日本学術振興会賞

第10回(平成25年度)日本学術振興会賞の受賞者決定について

第10回(平成25年度)日本学術振興会賞受賞者

photo_村上 靖彦
村上 靖彦
(ムラカミ ヤスヒコ)
MURAKAMI Yasuhiko



生年 1970年 出身地 東京都
現職 大阪大学大学院人間科学研究科 准教授
(Associate Professor, Graduate School of Human Sciences, Osaka University)
専門分野 現象学
略歴

1992年
1995年
1995年
1996年
2000年

2000年
2000年
2004年
2007年
2008年

東京大学教養学部卒
東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了
日本学術振興会特別研究員-DC
ブリュッセル自由大学博士課程留学
Ph.D(基礎精神病理学精神分析学)の学位取得(パリ第7大学)
東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位修得退学
日本大学国際関係学部専任講師
日本大学国際関係学部助教授
日本大学国際関係学部准教授
大阪大学大学院人間科学研究科准教授(現在に至る)

授賞理由
「医療実践の現象学的分析」
(Phenomenology of Medical Praxis)

  村上靖彦氏の研究は、医療実践や臨床現場を、現象学の立場から哲学的に分析することを通じ、従来の倫理や死生観や認識論を根本から見直そうとするものである。
  現象学は、「事象そのものへ」を標榜したE・フッサールによって開始した哲学的運動であるが、近年はフッサール及びその後継者たちについての文献研究に堕してしまった観がある。しかし村上氏は、参与観察やインタビューといった手法を駆使することによって、出産や死の看取り、障害を持つ子どもを支える医療実践の現場を冷静に分析し、これからの時代の倫理や死生観やコミュニケーション論を提示した。
  フィールドワークに基づく研究ではあるが、それを、レヴィナス、フッサール、ハイデッガー、メルロ=ポンティといった現代哲学者についての地道で透徹した哲学的研究にリンクさせ、実践現場の具体的事象を、緻密で深い理論的洞察へ昇華させた、じつに意欲的で独創的な成果である。村上氏のこの医療実践の現象学は、すでに海外でも高く評価され、村上氏を中心として開始した国際的共同研究は、今後の世界における哲学、ひいては人文学全体の新たな発展を示すものとして、大いに期待できる。

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