「絵本の世界の楽しさを子どもたちに伝える」
「絵本の世界の楽しさを子どもたちに伝える」 |
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平成20年11月1日(土) |
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国立民族学博物館 第7セミナー室 |
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大阪府吹田市千里万博公園10-1 |
第1回 絵本の世界の楽しさを子どもたちに伝える 絵本を読み語るとはどういうことか。何を読んだらよいのか。どのように読んだらよいのか。これらについて、講師の松野正子先生にお話しいただいた上で、梅花女子大学学生が実際に絵本を読み語って、その場で実践指導をしていただいた。参加者からも指摘や意見交換があった。 講師の松野正子先生は、作家・翻訳家として長年子どもたちに物語や絵本を送り続けてこられた。著作は、『ふしぎなたけのこ』『こぎつねコンとこだぬきポン』『こぎつねキッコ』など多数。その一方で、子どもたちに絵本や物語の世界の楽しさを伝える活動を続けられ、さらに若い世代を育ててこられている。 最初に行われた松野先生のお話は、これらの長年のご経験を踏まえられ、先生ご自身の絵本の読み語りを交えながら、子どもに絵本を読み語ることの意味や方法が展開された。読み語られたり、直接紹介された作品は、『ちょうちょ』(T.マーヴリナ絵、Yu.コヴァーリ文、田中泰子訳)、『りんご』(松野正子文、鎌田暢子絵)、『しずかなおはなし』(サムイル・マルシャーク文、ウラジミル・レーベデフ絵、うちだりさこ訳)、『タンタンのぼうし』(いわむらかずお作)、『ちいさなねこ』(石井桃子文、横内襄絵)、『どろんこハリー』(ジーン・ジオン文、マーガレット・ブロイ・グレアム絵、わたなべしげお訳)、『げんきなマドレーヌ』(ルドウィッヒ・ベーメルマンス作、瀬田貞二訳)。 子どもに絵本の世界を読み語るときの心得として挙げられたことは、まず絵本や本を読むことで子どもたちが想像力を羽ばたかせて心を遊ばせ、感じ方、考え方、ものの見方を豊かにして、より味わい深い生き方ができるようになることを大切にしたいということであった。絵本や本を読むこと、読み語ることは子どもにとってよいことであるという信念を説明された。ただ、おとなにはない子どもだけが持っている、物語の世界にどっぷりつかることのできる能力は、それほど長い期間続くわけではないので、その時期を大切にしたいこと。そして、時代の流れにしたがって確かに子どもも変化してきているが、子どもに寄り添って、この大切にしたい子どもに絵本の世界を届けることを続けていきたい。そして、よい絵本を選ぶことの重要性から、定評のある作品を多く読み、よい本を見分けられる力を付けていくことが肝心であると語られた。 お話の中には、「読み聞かせ」「読み語り」など用語の問題、基本的な心構えや技術、選書の仕方、個々の作品の魅力などについての具体的な言及も多々あり、まだ勉強を始めたばかりの学生たちや図書館や幼稚園・保育園で活動をされている一般の方々などの聴衆約30名は、終始熱心に聞き入っておられた。 最後に、このセミナーの特色でもある実践指導が行われ、梅花女子大学学生4人が、『ちいさなねこ』(前述に同じ)、『おおきなかぶ』(A.トルストイ文、佐藤忠良絵、内田莉莎子訳)、『くんちゃんのだいりょこう』(ドロシー・マリノ作、石井桃子訳)、『ちいさいおうち』(バージニア・リー・バートン作、石井桃子訳)を読み、聴衆からのご意見と共に、松野先生の指導を受けた。 予定時間を延長しての熱心なセミナーであった。アンケートには、「松野先生には、絵本を『どう読むか』という技術的なことの以前に、『なぜ読むのか』『何を読むのか』ということの大切さを教えていただきました。」(30代女性)、「自分の良いところと改善できるところを発見できたのでとても実のなるセミナーでした。」(指導を受けた学生)、「松野先生の絵本の『読み聞かせ』がとても良かったです。『素直に、誠実に、控えめに』読むことが大切。」(40代女性)、「保育の現場で実践として役に立つ内容だったので勉強になりました。」(20代女性)などの意見が寄せられた。主催者側の意図を汲んで3時間余にわたるセミナーを展開してくださった松野先生のお話と実践指導が、聴衆にも充分に受け止められ、成果を挙げることができたと考えている。 |

