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人文・社会科学振興プロジェクト研究事業

プロジェクト研究の成果

プロジェクト研究一覧表

研究領域 5
Project Number 5-3

プロジェクト研究名:

文学・芸術の社会的媒介機能

グループ名:

文学・芸術の社会統合的機能の研究

リーダー名(所属):

山田 広昭(大学院総合文化研究科)

組織構成:

田尻 芳樹、大学院総合文化研究科・准教授、「国民文学の誕生と越境」
野崎 歓、大学院人文社会科学研究科・准教授、「メディアと芸術の生産・流通システム」 安原 伸一朗、日本大学商学部・講師、共同体論
金澤 忠信、東京大学大学院総合文化研究科・助教、共同体論
大原 宣久、東京大学産学官連携研究員、共同体論・事務局・ワークショップ
脇田 裕正、東京大学産学官連携研究員、事務局、ワークショップ担当

和田 雄志、未来工学研究所・21世紀社会システム研究センター長、「メディアと生産・流通システム(インターネット)」

上記のコアメンバー以外に東大の他部局を含む、全国の研究機関に20数名の研究協力者を数える。
協力者のリストは、http://www.lac.c.u-tokyo.ac.jp/laccercle.html に記載。

 

平成20年度の研究成果

本年度の研究は、以下の五つを柱として実施された。
1)ワークショップ「共同体を考える」の定期的開催の継続(年間4回程度)
2)映画と「現実」(リアル)をめぐる研究
3)喪や痛みと文学をめぐる研究
4)文学・芸術と「負の遺産」をめぐる研究
5)インターネットを媒体とした芸術の発信と享受の研究

1)に関しては、学外の多くの若手研究者、アーティストの参加をえて、計3回開催することができた。そしてそこでの発表、討議をもとに、昨年度のワークショップでの発表をも加えて、その成果を『LACワークショップ論文集』第2巻として刊行することができた。この論文集は本受託研究の大きな目標でもあった、若手研究者の分野横断的ネットワーク構築の重要な成果である。
2)映画についての研究は、本研究が継続的に取り組んできた主題の一つであるが、これまで検討してきたのが、映画と都市、映画と戦争という主題であったとすれば、それらをさらに総合し発展させるために映画と現実(リアル)との関係に主題的に問いかける研究をおこない、その結果を、没後ちょうど50年にあたる、フランスの映画批評家であるアンドレ・バザンを記念する国際シンポジウムとして発信した。そこでは、映画と現実との関係をするどく問うたバザンの思考を導きの糸に、デジタル映像の世紀を迎えて、観客との関係も含めて映画がいまどのような形で現実を表象できるのかが、具体的な作品に基づいて、また映画監督自身の立場をも含めて討議され、刺激的な考察が得られた。
3)、4)文学や芸術の役割が、個人にとどまらず、共同体の痛み、喪ともいうべきものと深く関わっていることは、これまでの本研究がさまざまな形で明らかにしてきたことであるが、本年度はそれを正面からとりあげて研究を行った。その成果は、スイスとフランスから、それぞれ美学と文学を専門とする研究者を迎えての国際シンポジウム「喪と文学」に結実している。共同体にとっての最大の災厄ともいえる、戦争や虐殺などの極点的暴力は、作品のなかに様々な形で姿を現すが、そこで遂行されているのが、いわば「喪の作業」ともいうべきものであることが発表や討議を通じて明らかにされた。これは、戦犯の家族、子孫たち、あるいは収容所を生き延びた人たちの文学など、私たちの「負の遺産」と文学・芸術との関係に関わる問題の解明にとっても重要な視点となる。そして、私たちの失われた共同性の回復にとって、文学や芸術の役割がいかに重要であるかがいっそう鮮明となった。
5)このテーマに関しては、とくに未来工学研究所を中心とした研究チームが研究を行ったが、インターネット時代における文学・芸術の社会的機能を考える上で、デジタルネットワークやICTを活用したアート活動の現状と展望に焦点をあてた。2月に開催された「ミームカフェ」においては、安斎らが主宰する「連画」プロジェクトにおけるアート展開プロセスの解析、こどもが自由に使えるメディア(SQUEAK)を駆使したNPO法人のCANVASの活動を紹介するとともに、北海道大学の田中譲研究室で開発された知的活動支援ツールであるintelligent Padのアート分野への適用可能性を検討した。他方で、従来、アートやまちづくりなどの現場で使われてきた参加型ワークショップ手法の展開方策についても分野横断的な観点から分析を行った。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

<国際シンポジウム>
・ 2008年10月8日、「喪と文学」、東京大学駒場キャンパス18号館、発表者4名
・ 2008年12月6日、「Representation of Pain in Beckett and his contemporaries」、東京大学駒場キャンパス18号館、発表者4名
・ 2009年1月28日、「映画批評の原点を求めて - バザン理論と映画の現在」、東京大学駒場キャンパス18号館、発表者4名

<ワークショップ>
・ 2008年7月1日、「ニッポン・アメリカ・ゲンダイ、芸術と共同体のダイナミズム」、東京大学駒場キャンパス18号館、発表者3名(以下同様)
・ 2008年10月2日、「周縁をめぐって、クッツェー・ロレンス・コンラッド」
・ 2009年3月13日、「共同体を考える - 共同体の臨界」

<カフェ>
・ 2009年2月22日、「ミームカフェ001:ミームと語る午後」、国際文化会館(講堂)
・ (上記シンポジウム、ワークショップの詳細については、本研究グループのサイト http://www.lac.c.u-tokyo.ac.jp/ 上に記載しています。)

<飛び出す人文・社会科学〜津々浦々学びの座〜実施状況>
2008年12月20日「文学・芸術の役割とは「癒し」なのだろうか」(ゲスト:小泉明郎、豊崎由美)、青山ブックセンター本店カルチャーサロン、参加者数:約30名

論文、著書等:

・ 山田広昭、※「アナキズムからファシズムへの変転」、『季刊at』14号、太田出版、2008年12月p.95-105
・ Nozaki,Kan, ※"Miyazaki, cin?aste bazinien", Cahiers du cin?ma, d?cembre 2008, n.640, p.82-83.
・ 『LACワークショップ論文集』vol.2、2009年3月1日(執筆者:今西彩子、大原宣久、大森晋輔、金澤忠信、小泉有加、小泉明郎、近藤康裕、三枝大修、沢山遼、設楽靖子、福島勲、安原伸一朗)
・ 野崎歓、※「映画とは何か 生誕90年 仏の批評家バザン再評価」、朝日新聞、2009年3月7日夕刊第11面.
・ 安原伸一朗、※「文学における種々のテロル--モーラスとポーラン」、『言語態』第9号2009年掲載予定

<人社シリーズ本(刊行予定含む)>
『文学・芸術は何のためにあるのか』、東信堂、2009年3月19日刊行

  

グループ名:

芸術とコミュニケーションに関する実践的研究

リーダー名(所属):

藤田治彦(コミュニケーションデザイン・センター、文学研究科)

組織構成:

藤田治彦(大阪大学大学院 文学研究科 CSCD教授)研究グループ長・「芸術と福祉」部門代表
玉井 ワ(大阪大学大学院 文学研究科 教授)「環境文学」部門代表
出原隆俊(大阪大学大学院 文学研究科 教授)「環境文学」部門
奥平俊六(大阪大学大学院 文学研究科 教授)「コミュニティ・アート」部門
和田章男(大阪大学大学院 文学研究科 教授)「環境文学」部門
永田 靖(大阪大学大学院 文学研究科 教授)「コミュニティ・アート」部門代表
伊東信宏(大阪大学大学院 文学研究科准教授)「コミュニティ・アート」部門
要真理子(大阪大学CSCD 特任講師)「芸術と福祉」部門
佐藤優香(国立歴史民俗博物館 助教)「アート・ワークショップ」部門
茂木一司(群馬大学 教育学部 教授)「アート・ワークショップ」部門代表
上田信行(同志社女子大学 現代社会学部 教授)「アート・ワークショップ」部門
福本謹一(兵庫教育大学 教授)「アート・ワークショップ」部門
宮田義郎(中京大学 情報科学部 教授)「アート・ワークショップ」部門
苅宿俊文(青山学院大学 社会情報部 教授)「アート・ワークショップ」部門
原田 泰(千葉工業大学 工学部 准教授)「アート・ワークショップ」部門
三木順子(京都工芸繊維大学 工芸学部 准教授)「芸術と福祉」部門
服部 正(兵庫県立美術館 学芸員)「コミュニティ・アート」部門
高安啓介(愛媛大学 法文学部 准教授)「芸術と福祉」部門

平成20年度の研究成果

「芸術と福祉」部門は、2008年7月1−2日、ライデン・フォルクスハウス(オランダ)で、「芸術と福祉」国際会議を開催し、オランダ、ベルギー、日本などから多くの熱心な参加者を集めた。人文・社会科学振興プロジェクト「芸術とコミュニケーションの実践的研究」がお世話しているこのシリーズの国際会議で今回の最大の向上点は、オランダからの参加者を中心に国際会議論集の編集委員会が立ち上げられたことで、「芸術と福祉」国際会議は人社プロジェクト終了後も継続される(2009年には慶應義塾大学日吉キャンパスでの開催が決まった)。「ミュージアム・デザイン」研究会と「デザイン・ミュージアム」カフェも活発に研究を展開した。
「環境と文学」部門は、毎年「環境文学フォーラム」を開催したが、これまでその成果を印刷物で公表する機会はなかった。今年はまとめの年であり、これまでの研究発表論文を編集した。その結果、「環境と文学」部門だけで29篇の論文が集まり、研究報告集では同部門からの報告が非常に充実している。
「コミュニティ・アート」部門はいくつかのワークショップ等を行い、国内外で調査研究ならびに報告会を行った。「アウトサイダー・アート」関係の活動も充実していた。
「アート・ワークショップ」部門は、引き続き「人茶カフェ」を展開し、2009年1月24日、東京大学本郷キャンパスの福武ホールで「人茶カフェ:語る文化から、しぐさの学びへ−アートの社会的媒介機能としてのワークショップの4年間の実践をふりかえって−」を開催し4年間の活動のまとめを行った。
その他の3部門「芸術と福祉」「環境と文学」および「コミュニティ・アート」は、2009年3月26−27日に、慶應義塾大学日吉キャンパスで「芸術とコミュニケーションに関する実践的研究:研究交流会」を開催した。「アート・ワークショップ」部門は一足先にまとめの集会を開催しており、残り3部門がこの研究交流会を開催することによって、有意義かつ和やかに、4年と数ヶ月の共同研究を終えることができた。講演者25名他多くの参加者があった。
共同研究の最終的総括として、人文・社会科学振興プロジェクト研究事業の研究報告書『芸術とコミュニケーションに関する実践的研究』(320ページ)を刊行した。人社シリーズ本『文学・芸術は何のためにあるのか?』(吉岡洋・岡田暁生編)にも、「芸術とコミュニケーションに関する実践的研究」から、「文学・芸術の社会統合的機能の研究」グループのメンバーとともに、多くもメンバーが執筆に加わり、同書は2009年3月に出版されたが、相前後して刊行されたこの研究報告書『芸術とコミュニケーションに関する実践的研究』は、より詳しく本グループの研究内容を報告している。
さらに、大阪大学出版会から『芸術と福祉:アーティストとしての人間』を、市販本として近く刊行する。編集はすでに終了し、印刷を待つのみである。「芸術と福祉」というタイトルだが、「芸術とコミュニケーションに関する実践的研究」のその他の部門にも大いに関わる内容で、「環境と文学」「コミュニティ・アート」部門からも執筆に参加しており、「芸術とコミュニケーションに関する実践的研究」全体の成果の一つとなっている。人社シリーズ本に加えて、この本研究グループ独自の市販本の実現により、人文・社会科学振興プロジェクト研究事業および「芸術とコミュニケーションに関する実践的研究」の成果を、さらに直接的に社会に還元することになるだろう。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

2008年6月21日、大阪市立東洋陶磁美術館、第4回デザインミュージアム・カフェ(20名)
2008年11月1日、東京国立近代美術館、第5回デザインミュージアム・カフェ(19名)
2008年11月2日、東京国立近代美術館工芸館、第1回アート&デザイン・カフェ(20名)
2008年6月21日、丸の内カフェ倶楽部21号館、第6回デザインミュージアム・カフェ(23名)
2009年1月24日、東京大学本郷キャンパス福武ホール、「人茶カフェ:語る文化から、しぐさの学びへ−アートの社会的媒介機能としてのワークショップの4年間の実践をふりかえって−」(40名)
2009年3月26−27日、慶応大学日吉キャンパス、「芸術とコミュニケーションの実践的研究:研究交流会」(講演者等25名他参加)

<飛び出す人文・社会科学〜津々浦々学びの座〜実施状況>
上記の5つのカフェを、「飛び出す人文・社会科学〜津々浦々学びの座〜」として実施した。

論文、著書等:

Haruhiko Fujita, "GENESIS OF KANA and its relationship with Japanese art and nature,"
XVII International Congress of Aesthetics BOOK 1, September 2008, Ankara, 343-348.
藤田治彦(編)『近代工芸運動とデザイン史』、思文閣出版、1−300、2008年9月
和田章男「ジャン・ジオノと環境文学−『世界の歌』−を中心に」、『芸術とコミュニケーション』、76−80、2009年3月
三谷研爾「不適応のトポグラフィー−カフカの『失踪者』における都市空間と物語−」、『芸術とコミュニケーション』、198−203、2009年3月
服部正「アウトサイダー・アートと日本のコミュニティ」『芸術とコミュニケーション』、284−289、2009年3月
伊東信宏「チャルガに夢中−ブルガリアン・ポップ・フォークの地政学−」『芸術とコミュニケーション』、290−293、2009年3月
茂木一司・下原美保「なりきりえまき(絵本)プロジェクト」『芸術とコミュニケーション』、302−311、2009年3月

<人社シリーズ本>
『文学・芸術は何のためにあるのか』(吉岡洋・岡田暁生編)を「文学・芸術の社会統合的機能の研究」グループのメンバーとともに執筆、2009年3月刊行。