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人文・社会科学振興プロジェクト研究事業

プロジェクト研究の成果

プロジェクト研究一覧表

研究領域 4
Project Number 5-3

プロジェクト研究名:

文学・芸術の社会的媒介機能

グループ名:

文学・芸術の社会的統合機能の研究

リーダー名(所属):

山田 広昭 (大学院総合文化研究科)

組織構成:

田尻 芳樹、大学院総合文化研究科・准教授、「国民文学の誕生と越境」
野崎 歓、大学院人文社会科学研究科・准教授、「メディアと芸術の生産・流通システム」
安原 伸一朗、大学院総合文化研究科・助教、共同体論
金澤 忠信、東京大学・産学官連携研究員、共同体論・事務局・ワークショップ
大原 宣久、東京大学産学官連携研究員、共同体論・事務局・ワークショップ
和田 雄志、未来工学研究所・21世紀社会システム研究センター長、「メディアと生産・流通システム(インターネット) 」

平成19年度の研究成果

 本年度もまた、国際シンポジウム、若手研究者を中心とする連続ワークショップ(「共同体を考える」)、そして関連セミナー・研究会という三つの活動を、研究の集約軸として設定しつつ研究を進めた。

 シンポジウムは、2007年5月(「個であることーピエール・パシェをめぐって」、12月(「文学とテロル」)と2008年2月(「映画と<敵>、中国語圏映画における日本軍の表象」)の3度開催した。最初のシンポジウムは現在フランスのもっとも影響力のある思想家の一人であるパシャ氏をむかえ、個として生きることの意味や重要性を共同性の構築との関わりを念頭におきつつ議論した。他方で、文学やその他の芸術の社会的機能を考える際には、それらが、共同体を襲う、いわば極限的な暴力としての戦争やテロルにどのように対峙し、どのように表象しているかを検討することは不可欠な作業となる。本年度に開催した後半二つのシンポジウムは、両者共にこうした問題の討議にあてられた。前者には、爆弾「テロ」を本質的要素としてとりこんだ小説のなかでももっともすぐれたものの一つである『密偵』の作者コンラッドの専門的研究者をイギリスから、そして、強制収容所やジェノサイドを生き延びた者たちの「証言」としての文学の意味をするどく問う著作を発表したばかりの研究者をフランスから招聘し、プロジェクト・メンバーを中心とする日本側の参加者とのあいだで、充実した議論を行うことができた。後者では、プロジェクト開始以来の重要な研究対象であり、直接的に表象的なメディアでもある映画をとりあげ、芸術における<敵>の表象という問題に迫った。政治の本質は敵と味方の峻別にあるとは、カール・シュミットの言葉であるが、芸術もまたこうした区別と無縁ではいられない。しかし、芸術の固有性は、そうした単純な二分法をむしろ混乱させ、複雑化させてしまうことにあることが、香港と日本の気鋭の映画研究者と、南京出身であり、かつ大江健三郎のすぐれた研究者、紹介者である北京の研究者を交えた討議のなかで、明らかになった。また本シンポジウムは内容を反映して、会場の聴衆とのあいだでも活発な、ときに激しい議論がなされたことも特筆される。

 本研究の重要な担い手である若手研究者によるワークショップについては、昨年度に過去7回にわたるワークショップでの発表を論文に仕上げたものを集成した論文集の刊行を行ったが、本年度も「共同体を考える」を統一テーマに、昨年6月と12月に実施し、研究の深化と研究者ネットワークのいっそうの確立を継続しており、2008年度のワークショップと合わせて、2回目の報告集を準備中である。

  一方、未来工学研究所の和田を中心とするチームでは、インターネットに代表される新たな通信テクノロジーの爆発的な発展のもとで、芸術生産と受容の変容が追跡してきているが、インターネット時代における多数のアマによる作品発表をマス・アマチュアライゼーションとしてとらえ、それがプロ(職業的芸術家)の存在を前提としてきた既存の芸術・文学シーンなどに与える影響を分析するとともに、インターネット時代における「等身大のアート発信」の可能性を継続的に調査している。また、連続サロンを開催し、近代西洋アートとは異なる、アジア的な世界観(その基底にはたとえば、漢字文化圏といった文字の問題が存在する)にねざしたアート表現のもつ可能性および今日的意義を探った。

シンポジウム、ワークショップ(サイエンスカフェ人社版)等の開催状況

2007年5月18日 第7回国際シンポジウム「個であることーピエール・パシェをめぐって」、東大駒場キャンパス (発表者3名)
6月28日 第9回ワークショップ「テクストの弱さと共同体」、東大駒場キャンパス(発表者3名)
12月6日 第10回ワークショップ「<聖なるもののイメージ、フランス知識人と共同体」、東大駒場キャンパス(発表者2名)
12月15日 第8回国際シンポジウム「文学とテロル」、東大駒場キャンパス (発表者6名)
2008年2月2日 第9回国際シンポジウム「映画と<敵>、中国語圏映画における日本軍の表象」、東大駒場キャンパス (発表者4名)
2008年2月18日、3月7日、3月24日 連続サロン「アジアの想像力」、工作舎会議室 (講演者計4名)
(上記シンポジウム、ワークショップの詳細については、本研究グループのサイト http://www.lac.c.u-tokyo.ac.jp/ 上に記載しています。)

<飛び出せ人文・社会科学〜津々浦々学びの座〜実施状況>
2008年1月20日 「外国文学研究者はいま何を考えているのかー文学の拡散状況の中で」、青山ブックセンター本店カルチャーサロンにて実施。一般参加者28名。会場から活発な意見や質問がだされ、予定した2時間を超過するほどであった。(http://www.lac.c.u-tokyo.ac.jp/laccolloque2.html に当日の模様を掲載しています。)

論文、著書等:

  • 山田広昭 「アナキズムと美学:1890年代のフランス文学の一断章」、『季刊at(あっと)』、太田出版、2007年12月、pp.92 ? 102.
  • Yuji Wada, “Blog Culture in Japan”, The Daily Yomiuri, 2008.1.1
  • 安原伸一朗 「観察する人、ピエール・パシェ」、『文学』第9巻第2号、2008年3月、岩波書店、pp.240-246.
  • 根本美作子 「オートマチズムと個人の孤独」、『文学』第9巻第2号、2008年3月、岩波書店、pp.225-239.
  • 野崎歓 『われわれはみな外国人である 翻訳文学という日本文学』五柳書院、2008年、494p
  • 安原伸一朗 「癒しのメロディー? ナチス収容所における音楽」、『学習院大学文 学部研究年報』第54輯、2008年3月、127-151ページ
  

グループ名:

芸術とコミュニケーションに関する実践的研究

リーダー名(所属):

藤田治彦(大阪大学・コミュニケーションデザイン・センター・大学院文学研究科)

組織構成:

藤田治彦(大阪大学大学院 文学研究科 CSCD教授)研究グループ長
玉井 ワ(大阪大学大学院 文学研究科 教授)「環境文学」部門代表
出原隆俊(大阪大学大学院 文学研究科 教授)
奥平俊六(大阪大学大学院 文学研究科 教授)
和田章男(大阪大学大学院 文学研究科 教授)
永田 靖(大阪大学大学院 文学研究科 教授)「コミュニティ・アート」部門代表
伊東信宏(大阪大学大学院 文学研究科准教授)
要真理子(大阪大学CSCD 講師)「芸術と福祉」部門代表
佐藤優香(国立歴史民俗博物館 助教)
茂木一司(群馬大学 教育学部 准教授)「アート・ワークショップ」部門代表
上田信行(同志社女子大学 現代社会学部 教授)
福本謹一(兵庫教育大学 教授)
宮田義郎(中京大学 情報科学部 教授)
苅宿俊文(大東文化大学 文学部 准教授)
原田 泰(元多摩美術大学 デザイン学部 助教授)
三木順子(京都工芸繊維大学 工芸学部 准教授)
服部 正(兵庫県立美術館 学芸員)
高安啓介(愛媛大学 法文学部 准教授)

平成19年度の研究成果

「芸術とコミュニケーションに関する実践的研究」は、「芸術と福祉」「環境と文学」「コミュニティ・アート」「アート・ワークショップ」の4部門に分かれて、それぞれの活動を展開した。

 2007年6月3日には、篠山市四季の森生涯学習センター多目的ホール(篠山市)で、「支援ネット2007in丹波」を開催し、約200名が参加した。同時に、ロビー展示「アートでつながる地域と福祉」を行い、パネルとビデオによる展示は好評であった(「コミュニティ・アート」部門)。
 9月10日から13日まで、フィンランド・セツルメント連盟の協力を得て、ヘルシンキ(ホテル・オリンピア内)で、「芸術と福祉」国際会議を開催し、延べ約200名が参加した。この「芸術と福祉」国際会議は、2005年(倉敷)、2006年(韓国公州)、2007年(ヘルシンキ)と、人文・社会科学振興プロジェクト研究事業「芸術とコミュニケーションに関する実践的研究」の共催で連続開催されており、2008年にはオランダのライデンで開催される(おもに「芸術と福祉」部門)。
 11月17日に、沖縄県立博物館・美術館(沖縄市)で、シンポジウム「コミュニケーションの乗り物〜アートと福祉からみる地域社会」を開催し、約60名が参加した(「コミュニティ・アート」部門)。
 2008年3月15日に、大阪大学豊中キャンパスの大阪大学附属図書館6階「図書館ホール」において、「環境と文学:第4回フォーラム」を開催し、約70名が参加した(「環境と文学」部門)。

 また、「芸術とコミュニケーションに関する実践的研究」の活動は、研究メンバーが所属する、あるいは関係する教育活動とも深くかかわっている。例えば、9月から11月にかけて、ギャラリーインカーブ(大阪市)、すずかけ絵画クラブ(西宮市)、ボーダレスアートミュージアムNO-MA(近江八幡市)で行われた実習や見学会は、大阪大学コミュニケーションデザイン・センターの見学実習「アートプロジェクト入門(アウトサイダーアート)」の一環であり、大学における教育においても着実な成果を挙げている。

 今年度から始まった、サイエンスカフェ人社版<飛び出せ人文・社会科学〜津々浦々学びの座〜>関連では、群馬県前橋市と東京で、二つのカフェを開催した。前橋市では、「アート・ワークショップ」部門が「人茶workshop cafe@前橋」を開催した。「芸術と福祉」部門は、「デザインミュージアム・カフェ」をスタートさせた。第1回はJIDAデザインミュージアム(東京都港区)で10月2日に開催され、柏木博氏によるロンドンのジェフリー・ミュージアムについての報告の後、約20名の参加者のあいだで活発なディスカッションが行われた。第2回は丸の内カフェ倶楽部21号館(東京都千代田区)で1月12日に開催され、橋本優子氏のフィンランド・デザインミュージアムについての報告の後、同じく約20名の参加者のあいだで活発なディスカッションが行われた。第3回は東京大学総合研究博物館(東京都文京区)で3月8日)に開催され、井口壽乃氏のハンガリー応用美術館(ブダペスト)ついての報告の後、参加者のあいだで活発な意見交換が行われた。この「デザインミュージアム・カフェ」は2008年度も継続され、関西や名古屋圏など、あるいは東京以外の東日本での開催も計画されている。

シンポジウム、ワークショップ(サイエンスカフェ人社版)等の開催状況

2007年5月18−19日:ワークショップ「教育上演の課題と展望−札幌、ソウル、大阪」、札幌教育文化会館小ホール、北翔大学北方圏学術情報センター4F中会議室、延べ約60人
2007年6月3日:篠山市四季の森生涯学習センター多目的ホール(篠山市)、「支援ネット2007in丹波」、ロビー展示「アートでつながる地域と福祉」(パネルとビデオ):約200名
2007年9月10-13日:フィンランド・セツルメント連盟ホテル・オリンピア(ヘルシンキ)、「芸術と福祉」国際会議:延べ約200名
2007年11月17日:沖縄県立博物館・美術館(沖縄市)、シンポジウム「コミュニケーションの乗り物〜アートと福祉からみる地域社会」:約60名
2008年3月15日:大阪大学豊中キャンパス大阪大学附属図書館6階「図書館ホール」、「環境と文学:第4回フォーラム」、約70名

ワークショップ(サイエンスカフェ人社版)としては、下記のようなカフェを群馬県前橋市と東京で開催した

<飛び出せ人文・社会科学〜津々浦々学びの座〜実施状況>
人茶workshop cafe@前橋:プロスパーハウス(前橋市)2007年5月27日-7月22日。
第1回デザインミュージアム・カフェ:JIDAデザインミュージアム(東京都港区)2007年10月2日
第2回デザインミュージアム・カフェ:丸の内カフェ倶楽部21号館(東京都千代田区)2008年1月12日
第3回デザインミュージアム・カフェ:東京大学総合研究博物館(東京都文京区)2008年3月8日

論文、著書等:

FUJITA Haruhiko, Script, Language, and Aesthetics, XVIIth International Congress of Aesthetics, Info Book, pp. 83-87, July 2007.

Kazuji MOGI, Miho SHIMOHARA, A Practical Study on a Workshop Using a Picture Scroll (Emaki) ―Narikiri Emaki Project―, Horizonte InSEA 2007 Germany―insea Art Education Research and Development Congress, Proceeding CD―ROM, July 2007

玉井ワ・大森文子、注解、『<Eco-Friendly Japan>, by Paul A.S. Harvey』(英宝社、2008年1月)、viii+106pp.

茂木一司、「ゆるやかな学びの創造−人茶ワークショップカフェの実践─」、群馬大学教育実践研究、25号、2008年3月、pp.125-136