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人文・社会科学振興プロジェクト研究事業

プロジェクト研究の成果

プロジェクト研究一覧表

研究領域 4
Project Number 5-1

プロジェクト研究名:

伝統と越境 ―とどまる力と越え行く流れのインタラクション―

グループ名:

自己表象の生成と変容

リーダー名(所属):

柏木 博(武蔵野美術大学造形学部・教授)

組織構成:

柏木 博   (武蔵野美術大学・教授、研究グループ長)
長沼 行太郎 (関東短期大学・准教授、調整)
北澤 洋子  (武蔵野美術大学・教授)
高橋 敏夫  (早稲田大学・教授)
田中 正之  (武蔵野美術大学・准教授、企画)
辻 吉祥   (早稲田大学・非常勤講師、記録・編集)

平成19年度の研究成果

美術・デザイン・文学の分野での<自己表象>の問題性(生成、変容、社会的機能)について、下記1〜6のテーマで分担研究と研究会、次年度展覧会準備をおこない、さらに、他分野との交流を公開研究会の主催、サイエンスカフェの共催のかたちでおこなった。

  • 肖像画と自己表象T……美術史的観点から。自己の描かれ方についての研究。主に前近代。
  • 肖像画と自己表象U……美術史的観点から。自己の描かれ方についての研究。主に近現代。
  • ものと自己表象……デザイン史的観点から。自己の換喩としてのモノについての研究。
  • 伝記と自己表象T……文学史的観点から。自己の語られ方についての研究。
  • 伝記と自己表象U……現代文化論の観点から。いわゆる大衆文化のなかでの自己表象の研究。
  • 美術と文学が社会に提供した自己表象モデル……研究のまとめ

研究成果の公開を主に次の2つの方法でおこなった。
● 共同著作『自己表象の生成と変容 V』の刊行、2008年3月。
● 公開研究会「被差別民の自己表象」(次の項目参照)

シンポジウム、ワークショップ(サイエンスカフェ人社版)等の開催状況

●公開研究会「被差別民の自己表象――境界文化のライフストーリー」
時:2008年1月27日(日)
所:早稲田大学 文学部キャンパス39号館4階第4会議室
桜井厚氏(社会学、立教大)の発表と討論(司会:柏木博)
参加人数 : 9名

<飛び出せ人文・社会科学〜津々浦々学びの座〜実施状況>
●ヒアリング会「認知症高齢者への理解:グループホームと地域社会」
時:2008年2月16日(土)、2月17日(日)
所:NPO法人新しいホームをつくる会事務所(東京都杉並区)
当グループと「NPO法人新しいホームをつくる会」「エー・アール・ネット一級建築士事務所」との共催。 参加人数:延17名

論文、著書等:

辻吉祥「芥川龍之介―妖怪・怪異―」、『国文学-解釈と鑑賞』 第72巻9号、至文堂刊、74-78p、2007.8

高橋敏夫『ホラー小説でめぐる「現代文学論」』、宝島社刊、1-223p、2007.10

高橋敏夫『時代小説に会う!―その愉しみ、その怖さ、そのきらめきへ』、原書房刊、1-324p、2007.12

長沼行太郎(筆名・花村太郎)「自分史に何を書くか?」、『dankaiパンチ』、2007年12月号、飛鳥新社刊、86-89p、2007.12

柏木博『玩物草子―スプーンから薪ストーブまで、心地良いデザインに囲まれた暮らし』、平凡社刊、1-127p、2008.1

長沼行太郎編著「ミニマリズム名語録」、『dankaiパンチ』、2008年2月号、飛鳥新社刊、p25・p31・p37・p43、2008.2

  

グループ名:

越境と多文化

リーダー名(所属):

楯岡求美(神戸大学大学院国際文化学研究科)

組織構成:

リーダー:
楯岡求美 神戸大学大学院・准教授(ロシア演劇)

サブリーダー:
毛利公美 東京大学大学院・助教(ロシア亡命文学)

コアメンバー:
増本浩子 姫路独協大学・教授(スイス等のドイツ語文学)
ヴァレリー・グレチコ 神戸大学非常勤講師(ロシア文学および記号論)
林みどり 立教大学・教授(ラテンアメリカ思想文化史)
井上優 日本橋学館大学・専任講師(シェイクスピア上演史)
阿部 賢一 武蔵大学・専任講師(中欧文化論)
昼間 賢 早稲田大学・非常勤講師(フランス文学)
中村 唯史 山形大学・准教授(ロシア文学、コーカサス論)

研究協力者:
木村崇 京都大学教授(ロシア文化論)
澤田直 立教大学教授(フランス語文学)
望月哲男 北海道大学スラヴ研究センター教授(ロシア文学・ロシア文化論) 等

コア・グループによる研究体制

  • 「越境とテクストの生成」(阿部賢一/林みどり/昼間賢 責任担当)
    切断と再生、移動と蝟集、シュミラクルの脅威とオーセンティシティの召喚。モダニズムに作用する複数の強度と、再編纂される〈声〉の配置をたどりなおす試み
  • 「亡命と演劇様式の伝承」(井上優 責任担当)
  • 「境界線のトランス フォーメーション (形質転換)と近代」(ヴァレリー・グレチコ 責任担当)
  • 「ロシア亡命と諸芸術」(毛利公美 責任担当)

平成19年度の研究成果

グローバル化のすすむ現代において、越境することよりも、境界を意識化することが難しい。政治体制、通信・輸送手段の大きな変化に伴い、もっとも堅牢と思われていた地理的(時に物理的)境界である国境もかなりボーダレス化され、ひと・もの・情報の移動伝達が地球規模で自由になった。より自由な流通を実現するための目下の課題が民族問題をはじめとする異文化間の問題、異文化理解、多文化共生であることは論を待たない。しかし、摩擦がないこと、すなわち問題解決とはらなない。異文化をエキゾチックな他者として受容・消費することの功罪は多々論じられてきたが、現在のグローバルな文化は自分と同じ感覚を探す「同一化」と「共鳴」の感覚である。それは異質な他者を排除する目に見えないバリアを張り、排除することに他ならない。実際に差別はなくならず、深化している。本研究が提言として行っていることは、さまざまな事例を掘り起こして不可視化されている異質性を言語化し、問題を意識化させることである。境界を可視化すること、異文化間の誤解や無理解によって引き起こされる葛藤を記憶し、名もなき声に耳を傾け、境界を超克する行為を意識化することこそが、改めて今求められているからである。

そのためには、個々の人間を、画一化されたひとつのカテゴリーに還元されない、複合的な文化的存在としてとらえる観点から多文化状況を考える必要がある。その際、近年移民の受け入れなどが論じられる際に問題になっている、「マジョリティーがマイノリティーをどう受け入れ、適応させるのか」、またはどう寛容さを示して受け入れるのか、という「多文化」性を論じる際に陥りがちな一方的な見方を避けなければならない。マジョリティーの優位を保持したまま、寛容さを示して受け入れる姿勢は、すでに国ごと、民族ごとに分割された個別文化の間の交流にとどまってしまう限界が明らかだからである。そのためには見えない境界、見えない格差をイメージとして「視覚化」する想像力が必要である。

個々の人間がどうやって自分を開き、自らのうちに多文化性を認めていくのか。このような問いの実践の場として、異質な他者の感覚・感情をシミュレーションする装置(メディア)として、芸術創造にはおおきな可能性が開かれている。

以上の問題意識を多様な地域・文化の諸相においてどのように「読む」ことができるのかについて、別項リストのように、従来の研究活動と並行して、本年はなるべく大学以外の聴衆が参加しやすい形を模索しつつ、交流・意見交換を行う機会を積極的に持つようにした。

また、来年度に研究をまとめるための各パートの補強として、以前から協力を得ていた昼間賢(早稲田大学非常勤講師)および中村唯史(山形大学准教授)をあらたにコア・メンバーとして迎え、研究体制の強化を図った。

シンポジウム、ワークショップ(サイエンスカフェ人社版)等の開催状況

  • 【講演会】①[2007年10月]アレクサンドル・ヴァイツェホフスキー(ペテルブルグ出身の画家)講演会「ロシアにおける現代アートを巡る状況について」②[2008年2月]ヴャチェスラフ・プラソーロフ(ノヴォシビルスクの指揮者)を招き、創作者と鑑賞者との受容の相違とそれゆえに生まれる交感について話を聞きい、実際に作品を見ながら個々人の経験の違いから見える世界観の違いについて討論を行った。(於:神戸大学/ 参加者 ①約25名、②40名)
  • 11月の<飛び出せ人文・社会科学〜津々浦々学びの座〜>につなげる形で、6月より月に一度、「ギャラリー・きのこ」(代表:扇千恵同志社大非常勤講師)の協力を得て、映画を題材に越境、多文化の諸相について意見交換会を行った。12月以降も、例会を続けている。(於:神戸・ギャラリーきのこ/ 参加者:各回 平均10名)
  • [2007年10月]日本ロシア文学会、日本ナボコフ協会と共催でヴラジーミル・アレクサンドロフ(イェール大教授)を招聘し、人文学研究の可能性をテーマに講演会を行った。(於 千葉大学 参加者  約 100名/ 京都大学 約50名)
  • 北海道大学スラヴ研究センター(望月哲男教授・前田弘毅准教授)、京都大学大学院人間環境学研究科(木村崇教授)との共催で、「コーカサス文化をめぐる文学者と歴史学者の対話 (In Search of the Caucasian as Culture: Seeking the New Perspectives from the Dialogue between Philologists and Historians)」を行い、内外の研究者10名以上を招き、「コーカサスとオリエント表象:ロシア文学からの問いかけ」「コーカサスにおけるネイション形成:現地研究からのレスポンス」などのテーマについて意見を交わした。(於:京都大学/ 参加者 約25名)
  • 2008年度に予定している「郊外」をめぐるワークショップの企画準備報告会として、公開で研究会を行った。司会・コメントに澤田直(立教大・教授)を迎えて、阿部賢一(武蔵大・准教授)、林みどり(立教大・教授)、昼間賢(早稲田大学非常勤講師)が「越境」の諸状況についての考察に際し、「郊外」という概念の有効性を論じた。
  • 2008年3月8-10日:文学研究の新しい可能性を探る若手研修研究合宿を野中進(埼玉大准教授)、望月哲男北大スラブ研究センター教授と協力し、開催した。

<飛び出せ人文・社会科学〜津々浦々学びの座〜実施状況>
2007年11月9日 「映画を語ろう: 記憶という祖国 〜ディアスポラと文化〜」(『僕の大事なコレクション』上映会)  【場所】中華会館ホール(神戸市中央区)一般参加者 約80名。
【シンポジウム報告】:沼野充義・東京大学教授、扇千恵・同志社大学非常勤講師、ヴァレリー・グレチコ・神戸大学非常勤講師、増本浩子・神戸大学准教授、楯岡求美・神戸大学准教授 【クレズマーコンサート】オルケステル・ドレイデル(代表:樋上千寿・大阪大学COE特任研究員)
映画を題材に越境、ディアスポラ、アイデンティティの諸相について意見を交わした。

論文、著書等:

阿部賢一・林みどり編集『「声」とモダニティの転位』研究報告集No.5、2008年3月。
Ed. by Valerij GRETCHKO, Kumi TATEOKA “Russia and Europian Identity”, Occasionnal Papers No.6, 2008.3.

  

グループ名:

伝統から創造へ

リーダー名(所属):

福岡正太(国立民族学博物館・准教授)

組織構成:

高松晃子、聖徳大学、サブグループ2の総括
寺田吉孝、国立民族学博物館、東南アジア伝統芸能の映像記録
笹原亮二、国立民族学博物館、日本の民俗学と民俗芸能の映像記録
俵木悟、東京文化財研究所、日本の芸能保護政策と民俗芸能の映像記録
藤岡幹嗣、映像民族学者、芸能の映像記録の方法論
久万田晋、沖縄県立芸術大学、沖縄・奄美の伝統芸能の映像記録
梅田英春、沖縄県立芸術大学、東南アジアの伝統芸能の映像記録
尾高暁子、東京芸術大学、映像音響アーカイブ構築における諸問題
岡田裕成、福井大学、植民地時代のアンデス美術における伝統研究
小塩さとみ、宮城教育大学、日本およびベトナム音楽における伝統研究
菅聡子、お茶の水女子大学、日本文学における伝統研究
田井竜一、京都市立芸術大学、オセアニアおよび日本の民俗芸能における伝統研究
藤原貞朗、茨城大学、近代フランスおよび日本美術における伝統研究
藤本寛子、お茶の水女子大学、研究補助

平成19年度の研究成果

研究グループ「伝統から創造へ」は、福岡正太をリーダーとするサブグループと高松晃子をリーダーとするサブグループから成る。

1.サブグループ「東南アジアにおける伝統芸能を資源とした芸術創造を支える共有の知の構築」
これまで、日本と東南アジアの研究者のネットワークを構築し、伝統芸能の映像記録の諸課題について議論を深めるとともに、国立民族学博物館の映像取材経費等により日本国内および東南アジアにおける芸能の撮影記録等を行ってきた。平成19年度には、鹿児島県三島村硫黄島、マレーシア、フィリピン、インドネシア等において芸能を撮影記録するとともに、これまでに撮影した映像に基づき、インドネシアのバタック人の太鼓音楽についての映像作品を作成した。さらに、サイエンスカフェ人社版の一環として、奄美大島の八月踊りについての映像作品を奄美市立奄美博物館等にて上映して、関係者との意見交換を行い、映像の意義および活用の可能性と手法について検討した。これらの活動を通じて、現在一般的に利用可能な機器や技術によって、多くの人々やコミュニティによって実現可能な映像記録とその活用の方法についての議論を深めた。

サブグループ2.「芸術文化における『伝統的なもの』」
本研究グループでは、美術・音楽・文学の各地域・領域における「伝統」観念の生成 過程やその伝承・創造過程への影響等について比較研究してきた。平成19年度は、3領域の研究者によるプロジェクト・メンバーに加えて、問題意識を共有する研究者をゲストに行う研究会と、伝統の当事者である創作者をゲストに行うインタビュー・セッションとをバランスを取りながら開催した。創作者ゲストとしては、これまでに、日本音楽演奏家・西洋音楽作曲家・古典芸能技芸員・歌人・舞踊家・陶芸家らを招き、領域という点から言えば、平成19年をもって議論の枠組構築のために必要な材料がほぼ出揃った。
2007年12月15日には、陶芸家の安倍安人氏を招いての講演会を開催したが、前半に ギャラリーでの個展鑑賞と作家による解説、午後に講演と参加者による意見交換を行い、作品を実際に手にしながら伝統議論を深めることができた。この講演会は、2006 年2月10日の「民藝」研究の回、2007年2月2日の日本美術研究の回の間に位置づけ、日本における伝統の成立と創作者の視点という一貫したテーマで捉えることができた。 今後は、これまでの議論を受容者の視点で捉えなおし、さらにそれを研究者としてどう発信していくかを検討する予定である。

シンポジウム、ワークショップ(サイエンスカフェ人社版)等の開催状況

<飛び出せ人文・社会科学〜津々浦々学びの座〜実施状況>
2007年11月11日、奄美市立奄美博物館、「映像で八月踊りを記録する」、参加人数約100名
なお、前日、宇検村阿室においても非公式の上映会と意見交換会を行った。

論文、著書等:

俵木悟「東京文化財研究所の無形文化遺産保護のための取り組み」、東京文化財研究所編『無形文化遺産の保護―国際的協力と日本の役割』、2008年1月

福岡正太「伝統芸能の保護と映像記録の役割」、東京文化財研究所編『無形文化遺産の保護―国際的協力と日本の役割』、2008年1月

高松晃子編著、『伝統から創造へ』2、日本学術振興会人文・社会科学振興プロジェクト研究事業「伝統と越境―とどまる力と越えゆく流れのインタラクション」「芸術文化における<伝統的なもの>グループ、75p.、2008年3月

福岡正太(責任編集)特集「伝統芸能を映像で記録する」『民博通信』120号、pp.2-17、2008年3月

福岡正太「伝統芸能を映像で記録する」

笹原亮二「演じられる現実に注いだ眼差し―郷土舞踊と民謡の会と研究者たち」

俵木悟「無形の民族文化財保護と映像記録作成事業」

藤岡幹嗣「芸能の撮影が投げかけるさまざまな問題」

久万田晋「奄美大島の八月踊りについて」

寺田吉孝「芸能への思いを記録する―『大阪のエイサー』の制作をめぐって」

福岡正太「リーディング・ガイド」

福岡正太映像製作監修、『バタックの太鼓とリズム―インドネシア・スマトラ島』、国立民族学博物館製作、2008年3月

福岡正太映像製作監修、『スマトラ島バタックの太鼓―多様なリズムの世界』、国立民族学博物館製作、2008年3月

笹原亮二編、『映像で八月踊りを記録する』、国立民族学博物館期間研究プロジェクト「伝統芸能の映像記録の可能性と課題」・「ユーラシアと日本:交流とイメージ」発行、50p.、2008年3月