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人文・社会科学振興プロジェクト研究事業

プロジェクト研究の成果

プロジェクト研究一覧表

研究領域 4
Project Number 4-1

プロジェクト研究名:

千年持続学の確立

グループ名:

心性の持続性に関する学融合的研究

リーダー名(所属):

木村 武史 (筑波大学大学院人文社会科学研究科哲学・思想専攻)

組織構成:

木村 武史 (筑波大学大学院人文社会科学研究科、総括)
 古沢 広祐 (國學院大學経済学部、農業とサステイナビリティ)
 佐久間 秀範 (筑波大学大学院人文社会科学研究科、仏教とサステイナビリティ)
 塩尻 和子 (筑波大学大学院人文社会科学研究科、宗教間の対話とサステイナビリティ)
 近藤エジソン謙二(筑波大学大学院人文社会科学研究科、ブラジルとサステイナビリティ)
 蓮井 誠一郎 (茨城大学人文学部、戦争の負の遺産とサステイナビリティ)
 石山 徳子 (明治大学政治経済学部、先住民と核廃棄物)
 西俣 先子(國學院大學大学院経済学研究科特別研究員、循環型社会とサステイナビリティ)
 箕輪 真理 (筑波大学大学院人文社会科学研究科、経済学とサステイナビリティ)
 須田 英子 (筑波大学大学院生命環境科学研究科、生命操作とサステイナビリティ)
 渡邉 和男 (筑波大学大学院生命環境科学研究科、植物遺伝学とサステイナビリティ)
 井出 里咲子 (筑波大学大学院人文社会科学研究科、言語とサステイナビリティ)
 鎌田 遵 (日本女子大学非常勤講師、先住民運動と環境保護)
 小塩 和人 (上智大学外国語学部、ソーシャル・エコロジー運動とサステイナビリティ)
 岩崎 真紀 (筑波大学大学院人文社会科学研究科、エジプト社会とサステイナビリティ)
 柏木 健一 (筑波大学北アフリカセンター研究員、イスラーム経済とサステイナビリティ)
 カール・ベッカー (京都大学人間・環境学研究科、日本の伝統とサステイナビリティ)
 棚次 正和 (京都府立医科大学人文・社会科学教室、ディープ・エコロジーとサステイナビリティ)

平成19年度の研究成果

本年度は、研究プロジェクト最終年ということで、シンポジウム等々を開催するというよりも、プロジェクト研究報告書としての論集作成に力を注ぐことにした。本研究プロジェクトの成果としては、シリーズ本を含めて三冊の本を刊行した。

1)シリーズ本編集のために関係者と連絡を取り、全体のとりまとめと拙稿を寄稿した。
2)「心性」グループの成果として、主要メンバーによる論集を企画、出版した。7月下旬に執筆者会議を開き、論集としての一貫性を持たせるべく話し合いを行い、9月末を原稿締め切りとして関係者に執筆依頼をした。9月末に集まった論文をもとに出版社編集者と話し合いをし、三回の校正を経て、2008年3月にはプロジェクト参加者18名による論集『サステイナブルな社会を目指して』を出版した。
 3)「心性」グループの中でも、プロジェクト関係で開催した国際会議関係者による英文論文集のReligion, Science and Sustainabitiliyの編集作業を4月から2月までずっと行い、2008年3月には出版した。

 本研究プロジェクトの研究テーマの研究を継続するために、平成19年度に筑波大学「戦略イニシアティブ推進機構」のプレ戦略イニシアティブ研究に申請し、採択された。平成20年度5月のヒアリングを経て、もう一年、更新される予定。

若手の養成に関しては、次の研究支援を行った。
1)筑波大学で文学博士号を取得した若手研究者を非常勤研究員として年間を通して雇用し、研究に取り組んでもらった。
2)國學院大學で経済博士号を取得した若手研究者には、非常勤研究員としてその知見を活用して、サステイナビリティ関係の資料収集とサイトリスト一覧の仕事を12月から3月までしてもらった。
3)日本女子大学非常勤講師の若手研究者(鎌田)には、アメリカ調査旅行の渡航費用を支援した。
4)大学院生二名(岩崎、須田)に、上記論集に執筆の機会を与えた。
5)近代哲学を研究している院生(豊岡)には、研究資料収集のためのフランス渡航費用を支援した。
6)近代倫理学を研究している博士号を取得し、教務補佐事務の仕事をしている若手(馬場)には、研究資料収集のためのデンマーク渡航費用を支援した。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況

2007年11月22日
筑波大学大塚キャンパス、「宗教体験の哲学的研究と生理心理学的研究:宗教とサステイナビリティを考える」、35名
2007年12月6日
筑波大学、「地球温暖化対策に必要なバックキャスティング」、40名
2008年1月29日
筑波大学、「宗教学におけるジェンダー研究の位置づけ(サステイナビリティを考えるために)」、25名
2008年3月5日
筑波大学、「低炭素社会へ向けてのロードマップ」、25名

<飛び出せ人文・社会科学〜津々浦々学びの座〜実施状況>
2007年12月9日、ラファエルの庭(水戸市)、「いまどきのサスティナビリティーとは」、14名
2007年12月13日、西武つくば店5階カフェ・リブロ、「スウェーデンの脱石油社会へのチャレンジ」、7名

論文、著書等:

木村 武史、「『智恵』を『生き方』につなぐ」、『環境会議』、2008年春号、76-81頁、2008年3月

木村 武史、「サスティナビリティ・スタディーズの基礎的諸問題についての覚書」、『比較文化研究』 第4号、16-26頁、2008年3月

木村 武史編著、『サステイナブルな社会を目指して』、春風社、319頁、2008年3月

Takeshi Kimura, ed., Religion, Science and Sustainability, Union Press, 2008年3月

  

グループ名:

都市の持続性に関する学融合的研究

リーダー名(所属):

村松伸(東京大学)

組織構成:

グループ長
村松伸 (東京大学・生産技術研究所・准教授)(全体のコーディネイト、東アジア都市)

メンバー
深見 奈緒子(東京大学・東洋文化研究所・講師)(イスラム都市論)
国広 ジョージ(国士舘大学・建築学科・教授)(都市計画史)
中谷 礼仁(早稲田大学・建築学科・准教授)(都市再生論)
山下 裕子(一橋大学・商学部・准教授)(都市商業論、空間商業論)
山根 周(滋賀県立大学・人間学部・講師)(インド都市論)
大田 省一(東京大学・生産技術研究所・助教)(東南アジア都市論)
太田 浩次(東京大学・国際都市再生センター・研究員)(都市再生論)
伊藤 香織(東京電機大学・講師)(都市分析学)
南 泰裕(国士舘大学・建築学科・准教授)(都市再生論)
前川 愛(総合研究大学院大学・博士課程)(都市映像人類学)
飯尾 次郎(メディア・デザイン研究所)(都市メディア論)
谷川 竜一(東京大学・生産技術研究所・技術補佐員)(都市遺産開発学)
鈴木 英明(東京大学・東洋文化研究所・博士課程)(インド海域都市史)
林 憲吾(東京大学・生産技術研究所・博士課程)(東南アジア建築史)
亀井由紀子 (東京大学・生産技術研究所・博士課程)(都市遺産保存論)
白 佐立 (東京大学・生産技術研究所・博士課程)(工業地帯再生論)

研究実施状況の概要(当該年度のまとめ)

 本年度は、最終年であって、前年度同様、以下のような研究を実施し、都市の持続性についての考究を行い、同時に社会への還元をおこい、研究のまとめを実施した。
1.海外都市フィールドワークによる都市の持続性調査のめとめ
 1) サマルカンド(ウズベキスタン)都市形成調査:サマルカンドという、歴史が積層した都市が、如何に持続してきたかを、これまでの調査をもとに、まとめるために、2007年9月、サマルカンドで補足調査を実施した。
 2) テヘラン(イラン)のバザール持続調査:前年度までの調査をもとに、バザールの持続の要因を解明するための、まとめの作業を実施した。
 3) ジャカルタ、パレンバン(インドネシア)の都市環境文化資源調査:前年度おこなったフィールド調査をもとに、ジャカルタヘリテイジマップを作成し、その成果を現地社会へと還元する作業をおこなった。また、パレンバンの都市環境文化資源調査を実施した。
 4)インドネシア建築家シラバン旧居の実測とそのためのワークショップ(2007年7月)の開催:インドネシア独立期に活躍した建築家シラバンは、大統領スカルノと同時に、インドネシアの都市の拡大と充実に関与した。この建築家の活動記録を保存し、次世代に継承するためのワークショップをmAANインドネシアと共催で実施した。

2.都市に持続的に住むためのリテラシーの確立
 1)小学生のための都市理解プログラム実施:都市のよりよくするためには、子供の時から都市をよく理解することが重要である、つまり、都市のリテラシーが必要であるという仮説にのっとって、プログラムの確立とその実施を渋谷区上原小学校でおこなった。また、そのプログラムを作成した。
 2)繭倉再生のための市民ワークショップの開催:市民にどのように、都市の持続性を伝達するかを考究するために、福島県須賀川市において、市民のために、都市の持続性の手法とその重要性を3回にわたりメンバーのレクチャー実施し、市民と議論した。

3.都市の変動を歴史的に解明するための研究会の開催
 世界の都市から150の都市を選び、時間軸に沿って、人口、都市面積、地形、水、食料、都市構造などを比較し、都市の変動の要因を歴史的に解明する研究に着手した。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況

・2007年6月1日、東京大学生産技術研究所(東京)、都市のリテラシー構築プログラム−ぼくらは街の探検隊発表会、100名

・2008年1月26日、福島県須賀川市市民会館、シリーズ講演:須賀川と繭倉をいかに継承するか(1)民家はなぜ残るか、中谷礼仁(早稲田大学准教授)、60名

・2008年2月21日、福島県須賀川市市民会館、シリーズ講演:須賀川と繭倉をいかに継承するか(2)工場の再生とはないか、国広ジョージ(国士舘大学教授)、60名

・2008年3月15日、福島県須賀川市市民会館、シリーズ講演:須賀川と繭倉をいかに継承するか(3)都市の音環境とその記憶の継承、鳥越けい子(聖心女子大教授)、70名

<飛び出せ人文・社会科学〜津々浦々学びの座〜実施状況>
・2007年11月17日、渋谷区上原小学校、都市のリテラシー構築プログラム−ぼくらは街の探検隊、その意義、50名

論文、著書等:

・ 「国を超えて世界遺産の為に活躍する日本人」、『カーサブルータス』87号、113ページ、マガジンハウス 2007.6

・ 「対談:安心・安全・安楽とまちづくり 村松 伸×桑子 敏雄」、『人社プロ・ニューズレター』2号、2〜3ページ、独立行政法人日本学術振興会2007.9

・ Muramatsu lab. ed. JAKALTA HERITAGE MAP, 2007, July

・ 「空間文化資源の評価とその継承」、東京大学講義ノート『アーバンストックの持続再生』、23〜43ページ、技報堂出版 2007.11

・ 「全球都市全史学のミッションとはなんですか?」、『10+1』49号、INAX出版2007.12, 172〜173ページ。

  

グループ名:

社会制度の持続性に関する学融合的研究

リーダー名(所属):

加藤 雄三(研究部)

組織構成:

人名 所属 役割
加藤 雄三 総合地球環境学研究所研究部 グループ総括・中国社会制度担当
承志 総合地球環境学研究所研究部 満洲社会制度史担当
杉山 清彦 駒澤大学文学部 大清帝国史担当
大西 秀之 総合地球環境学研究所研究部 北方人類学担当
瀬川 拓郎 旭川市博物館 北方考古学担当
中村 和之 函館高等工業専門学校 アイヌ交易社会史担当
内山 純蔵 総合地球環境学研究所研究部 環日本海交易担当
太田 出 兵庫県立大学経済学部 江南交易社会史担当
岡本 弘道 関西大学文化交渉学教育研究拠点 琉球交易社会史担当
渡辺 美季 日本学術振興会 中琉日関係史担当
角南 聡一郎 元興寺文化財研究所 南島人類学担当
林 淑美 名古屋商科大学外国語学部 台湾交易社会史担当

*各人の所属は平成20年3月31日時点でのものである。

平成19年度の研究成果

 平成19年度は東アジア環日本海地域における交易を巡る制度のあり方について総合叙述をまとめていくことが最大の目的であった。その成果が加藤が主編者となり、グループ構成メンバーほぼ全員が執筆に参加し、人文書院から刊行された『東アジア内海世界の交流史:周縁地域における社会制度の形成』である。同書は、我々がフィールドとした東アジア内海世界の歴史を「こういう視点から見るとまた違った様相が見える」ということを、一般読者を対象に想定して執筆・編纂したものである。そのため、体裁は学術論文とは異なるが、読み物として堪えるものに仕上げた。本グループ研究が目指す成果は、東アジア環日本海地域の人々がいかに社会の中で制度を実践し継承させてきたのか、つまり、どのように社会を維持させてきたのかという戦略についての情報を現代社会の問題に関する情報と併せて公開して、社会提言の一つとすることにあった。社会はあらゆるレヴェルにおいて制度という行為規範を実践することによって成り立っている。その制度は常に継承され、変容を受けながら社会の中で実践されていく。こうした人間社会の営みを一端なりとも解明することよって、千年先を見据えて社会の中で制度を実践する、つまり、生活する時に何らかの指針を与えてくれるものと考える。上記出版物の中では、社会を構成するための重要な要素である権利の作用に重点を置いた論述を目指し、日本の南北からの視点をもって参加メンバーが対話的に論を進めた。具体的には奇数章と偶数章を対として、両者を併せ読むことで各レヴェルの事象を対比して、その異同などを読み取ることができるようにした。
 また、継続的に進めてきた日本列島における交易中心地の調査を対馬において行った。具体的には、お船江、万松院、円通寺、石屋根など対馬口の史跡と県立対馬歴史民俗資料館、厳原町資料館、峰町歴史民俗資料館に保存される歴史民俗資料の調査を行った。これにより、松前口、長崎口(平戸口)、琉球口(薩摩口)、対馬口という江戸時代の各交易中心地をすべて調査しえたことになり、交易をめぐる社会建設と制度実践について比較考察する際の一助とすることができるようになった。
 北海道旭川市において行ったサイエンスカフェ人社版『飛び出す人文社会科学:津々浦々学びの座』の実施状況については後述する。
 人間文化研究機構連携研究「交流と表象:ユーラシアと日本」交易班との協力体制は19年度も継続し、本グループの活動はすべて同班と共同で行った。

シンポジウム、ワークショップ(サイエンスカフェ人社版)等の開催状況

<飛び出す人文・社会科学〜津々浦々学びの座〜実施状況>
テーマ名:北海道の歴史を見直してみませんか
開催日:平成19年11月10日 (土)
開催会場:大雪クリスタルホール(旭川市神楽3条7丁目)

実施状況
 わたしたちが旭川で実施した「飛び出す人文・社会科学〜津々浦々学びの座〜」の参加者は、一般参加者、ゲスト参加の中学・高校の教諭(社会科、歴史担当)、主催者を合わせ、21名でした。
 現在、中学・高校では受験対策が教員の主要な責務となり、正規の授業のなかで自分たちが暮らしている地域の歴史が伝えられることはまれになっています。どのようにして成り立った地域社会のなかに自分が生きているのかを知る機会は、教員があえて正規の授業時間を割くことによってしか得ることができなくなっているのです。北海道では、その試みとしてアイヌの人びとの歴史と文化を副読本に編集し、教材として提供する努力が一部の教員などによってなされてきました。しかし、「自然と調和している」などというアイヌの人びとの文化的側面を強調すると、「縄文時代以来、かれらには進歩がなかったのか」という反応があったり、逆に江戸時代の幕藩体制の下や明治以降の旧土人保護法の下の抑圧された状況を強調すると、親の世代にも根強くのこる差別感情を再生産してしまうというジレンマを現場の教員がかかえているのも事実です。その打開策として最近とりあげられるようになってきたのが、交易の民としてのアイヌ像です。もともと北東アジアに暮らす人びとの各集団を相対化して、大きな歴史の流れを描くために提示された交易関係が、あかるいアイヌ像を描くために一人歩きしてしまっているのです。
 今回のサイエンスカフェは、こうした北海道の歴史のどのような側面をいかに伝えていったらよいのか、を議論することを目的として開催しました。
 まず、函館工業高専の中村和之氏と新篠津中学校社会科教諭の滝川裕治氏から、教育実践の場での問題を紹介して、議論のきっかけをつくっていただいたのちに、参加者全員での話し合いにはいりました。途中、休憩をかねて、アイヌに対する表象のありかたを知っていただくために、旭川市博物館で現在すすめられている展示替えの計画とその実際の様子を旭川市博物館の瀬川拓郎氏に現場で解説していただきました。
 予定の2時間半をこえて、おこなった話し合いでは、教員の方々の「ありのままに伝えること」に対する苦悩が吐露されると同時に、アイヌの参加者からは「自分たちが何者なのかを知らされぬよりは、知らされた方がよい。被差別感情などが、そこで生まれるかもしれないが、教育を受けた子供たちには将来的になんらかの形で昇華する力がきっとそなわっている」という実体験からの意見も述べられました。北海道の歴史をアイヌの人びとにだけ背負わせるのは、実際に歴史を彩ってきた人びとの存在からも現実を反映したものにはならず、「地域」の歴史として、描きなおしてみることはできないのかという提案もあり、こんごの可能性を示唆する話し合いになったのではないかと思われます。

論文、著書等:

加藤雄三「モンゴル帝国時期のカルテ」、『人社プロ・ニューズレター』3号、5頁、2007年11月

瀬川拓郎『アイヌの歴史:海と宝のノマド』(2007年11月 講談社)

菊池俊彦・中村和之編『中性の北東アジアとアイヌ:奴児干永寧寺碑文とアイヌの北方世界』(2008年2月 高志書院)

加藤雄三・大西秀之・佐々木史郎編『東アジア内海世界の交流史:周縁地域における社会制度の形成』(2008年3月 人文書院)

岡本弘道「古琉球期における琉球王国の交易品――域内社会との関連を中心に」、『人間文化研究機構連携研究 シンポジウム ユーラシアと日本 境界の形成と認識―移動という視点 報告書』30-39頁、 2008年3月