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人文・社会科学振興プロジェクト研究事業

プロジェクト研究の成果

プロジェクト研究一覧表

研究領域 3
Project Number 3-4

プロジェクト研究名:

市場システムのガバナンス

グループ名:

政策システムと専門知

リーダー名(所属):

久米郁男(早稲田大学政治経済学術院)

組織構成:

 久米郁男    早稲田大学・教授    研究総括・政治過程における専門知の分析
 阿部昌樹    大阪市立大学・教授   司法制度改革分析担当
 河野勝     早稲田大学・教授    改革過程の理論的分析担当
 品田裕     神戸大学・教授   選挙制度改革分析担当
 土居丈朗    慶応大学・准教授  財政政策の分析担当
 宮本融     北海道大学・准教授   環境政策の分析担当
 打越綾子    成城大学・講師     自然環境保護政策の分析担当
 堀江孝司    首都大学東京・准教授  少子化対策の分析担当

平成19年度の研究成果

 本年度は、当プロジェクトの最終年度にあたり、二つの活動を集中して行った。
 第1は、研究プロジェクト参加メンバー8名に加えて、医療政策分野における専門知の役割に関心を持って研究を行っている琉球大学の宗前清貞の参加を得て、上記研究組織において明示した研究担当テーマにつき最終的成果を完成させるべく行った研究活動である。全メンバーが出席し、各自が研究報告をするワークショップを2ヶ月に1回開催し、個別の分析につき意見交換をすると同時に、政策決定において専門知が果たす役割のバリエーション及びその全体像の把握を目指した。各メンバー及び宗前の報告テーマは以下の通りである

 土居丈朗「小泉改革における経済学の専門知〜政府の資産負債のオフバランス化改革〜」
 阿部昌樹「司法制度改革の必要性を語る言説」
 堀江孝司「少子化問題と専門知」
 久米郁男「専門知の蹉跌:労働政策改革はなぜ「成功」しなかったのか」
 品田裕「教育政策における専門知」
 宮本融「地球温暖化対策と専門知」
 打越綾子「地域社会における専門知発揮の条件──野生動物の保護管理を素材にして」
 宗前清貞「政策過程における専門情報の強度〜公立病院改革を題材に〜」
 河野勝「政策システムにおける専門知」

 これらの報告は、19年度中の研究会で順次全員による検討の対象とされた上で、その過程でのコメントをも踏まえつつ修正がなされた上で、2月2?3日に、宗前が所属する琉球大学法文学部における公開ワークショップで発表された。
 これらの研究を通して、専門知が学術的コミュニティーにおいてある程度体系的に保持されており、その政策決定への利用がなされる場合(土居、久米の事例)、当該政策に関して異なる専門家コミュニティーが専門知を蓄積していながら、全体として体系的に利用できる専門知が不在の場合(堀江、宮本、品田の事例)、専門家が政策決定に関わるもののその専門家が当該政策決定に関する体系的な専門知は保持していない場合(阿部の事例)、そして政策の執行段階で関わる当事者の間に存在する現場知が体系化されて利用される場合(打越の事例)が4つの典型的なパターンとして析出された。なお、河野は、それらの事例を整理しつつ専門知の役割についての理論的検討を行い従来の政治学におけるPolitics of Idea論の文脈での整理を行った。
 第2に、本グループの現在までのフィールド調査に於いて、政策実施や政策対象のまさに現場における活動の中から、既存の専門知と時に対立し、時に補完しあう体系化された知識が生み出され政策決定に重要な役割を果たしている例を観察してきた。本年度は、そのようなメカニズムを作り上げる場として軽井沢に焦点を定めてネットワーク形成を行い、その集大成として「地域社会、自然、クマを考える集い」として、後述の通り人社版サイエンスカフェを開催した。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況

2007年11月3日 午前
「全国で問題になっている野生鳥獣被害とその保護管理に関わる勉強会」
 軽井沢町老人福祉センターにおいて、2名の町会議員、地元NPOメンバー、ボランティア、研究グループメンバーなど20名が参加して開催。
2007年11月3日 午後
人社版サイエンスカフェ「地域社会、自然、クマを考える集い」
軽井沢ランタサルミモデルハウスにおいて、地元住民の方、地元NPOメンバー、ボランティア、研究グループメンバーなど20名が参加して開催。
2008年2月2?3日
公開ワークショップ「政策決定過程における専門知の役割」
琉球大学法文学部において、本プロジェクトメンバー8名、琉球大学研究者2名、学生などの参加を得て開催。

<飛び出せ人文・社会科学〜津々浦々学びの座〜実施状況>
上記の通り、11月3日に開催した。なお、当日は、久米郁男の司会のもと高橋一秋氏(長野大学 環境ツーリズム学部)、田中純平氏(NPO法人ピッキオ)、打越綾子による話題提供と討論、及びクマ対策現場ツアーを開催した。

論文、著書等:

・阿部昌樹「NPOと市民社会」棚瀬孝雄編『市民社会と法?変容する日本と韓国の社会?』(ミネルヴァ書房)73?98頁,2007年4月.
・阿部昌樹「司法過疎対策がもたらすもの」大阪市立大学法学雑誌54巻1号 578?552頁, 2007年8月. ・土居丈朗、「地方交付税改革こそ格差是正の鍵だ」, 『都市問題』 2007年12月号(vol.98, no.13), 9-12頁, 2007年12月.
・堀江孝司「少子化問題をめぐるアイディアと政治」首都大学東京『人文学報』第394号、1-29ページ、2008年3月。
・土居丈朗、「中央政府・地方政府の資金の流れ」, 『フィナンシャル・レビュー』, 第88号, 57-95頁, 2008年3月.
・打越綾子「消費者が作る市場:市場メカニズムによる森林保全の可能性」下記シリーズ所収

  

グループ名:

市場補完・統御の法制度設計に向けた知の再編

リーダー名(所属):

藤谷武史(大学院法学研究科准教授)

組織構成:

藤谷武史(北海道大学法学研究科准教授):租税法・財政法、研究活動総括担当
島村健(神戸大学法学研究科准教授):行政法・環境法・安全法担当
松井智予(東北大学法学研究科准教授):商法・金融法・企業/団体法・取引法担当
畑中綾子(東京大学COE特任研究員):民法・医療法・医療政策担当
米谷三以(弁護士・西村ときわ法律事務所):国際経済法、WTOの法的プロセス担当
神江沙蘭(ライシャワーセンター客員研究員):政治学・金融監督規制の国際比較担当
佐伯耕三(経済産業省事務官):実務家、安全規制・WTOにおける履行確保担当

平成19年度の研究成果

 最終年度となる本年度は、過去2年度の成果を踏まえて、「市場補完・統御の法制度設計に向けた知の再編」のために本研究を通じて得られた知見を具体的成果として取りまとめるための作業に注力した。
 まず、金融・医療・製品という三つの市場領域と、国際経済法と国内経済法の交錯、「メタ・ガバナンス」論の総論と各論(ケーススタディ)、及びそれらを包摂する領域比較の総論という分担に基づいて、各自が執筆した草稿を持ち寄っての綿密な内部検討会を、7月と11月に国内で行なった。
 次に、最終成果に向けて取りまとめつつある段階の中間成果物を対外的に発信し、フィードバックを得て質を高めるための作業を行った。
 (1)急速に進展する「市場化」(グローバル化、国家の撤退ないし相対化、規制手法の変革、多様なアクターの関与など)を前に新たな市場補完・統御の法制度設計が求められている状況は、日本に限定されず、先進各国が抱える共通の課題ということができる。そこで、1月にドイツ(ギーセン大学)、2月にオーストラリア(オーストラリア国立大学)において国際ワークショップを開催し、活発な意見交換を行った。いずれのワークショップにおいても、本研究グループ側が、国内で行なった内部検討会で準備された問題提起・分析のフレームワーク・ケーススタディの報告を行い、それに対して他国の専門家の視点から(しかし問題意識を共有しつつ)かなり踏み込んだコメントを受ける方式を採用したことにより、本研究グループの作業仮説の意義(極めて高い評価を受けた)と、なお克服すべき課題を相当程度明確にすることができた。また、いずれのワークショップにおいても、本研究が提示した問題意識を相当程度深いレベルで外国の研究者と共有することができ、さらに今後の交流の重要性も相互に確認することができた結果として、本事業終了後にもつながる強力な国際的研究ネットワークが得られたことも、有意義な副産物として指摘することができる。
 (2)これらの成果をも踏まえて、3月には国内の関連領域の研究者を招いて「『市場化』する社会と法――法制度設計への視座」と題する総括シンポジウムを開催した。本研究グループからの主報告と、同世代の問題意識を共有する研究者からのコメント、さらに全体での討論を行い、極めて活発な意見交換を行うことができた。シンポジウム参加者の大半は、まさに本研究グループが提示する問題意識を共有しつつ、問題へのアプローチについては異なる途を採る人々であったために、非常に有益な意見交換を行うことができ、本研究にとってきわめて有意義な示唆を数多く得ることができたと同時に、本研究の独自性や意義についてもアピールすることができたと考える。
 この3月を以て研究事業期間は終了するが、2008年度中もこの研究グループとしては活動を継続し、最終的な成果論文集の公刊を行う予定である。また、その要約版を英文で公表することで、今年度の活動で得られた国際的な研究ネットワークをさらに拡大・強化していく方針である。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況

第1回研究会(2007年7月9日)、東京大学第二本部棟6階会議室)
「研究成果取りまとめに向けた内部検討会@」 参加者6名
第2回研究会(2007年11月17・18日)、北海道大学人文社会科学総合教育研究棟
「研究成果取りまとめに向けた内部検討会A」 参加者8名
第1回国際ワークショップ(2008年1月28日)、ギーセン大学(ドイツ連邦共和国・ヘッセン州)
「“Market, Governance, and the Reinvented Role of the Legal System”と品質管理(Qualitaetssicherung)概念」
 日本側参加者7名、ドイツ側参加者8名
第2回国際ワークショップ(2008年2月27日)、オーストラリア国立大学(オーストラリア・キャンベラ市)
「“Market, Governance, and the Reinvented Role of the Legal System”」
 日本側参加者4名、オーストラリア側参加者12名
総括シンポジウム(2008年3月10日)、東京グリーンパレス
「『市場化』する社会と法――法制度設計への視座」、参加者30名強


<飛び出せ人文・社会科学〜津々浦々学びの座〜実施状況>
2007年11月3日 「全国で問題になっている野生鳥獣被害とその保護管理に関わるワークショップ〜軽井沢町のツキノワグマと地域社会との係り方を考える〜」 、軽井沢町一円のクマ生息地と軋轢現場(現地視察)、町内のカフェにて開催(※「政策システムと専門知」グループ(久米郁男教授)と共催)