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人文・社会科学振興プロジェクト研究事業

プロジェクト研究の成果

プロジェクト研究一覧表

研究領域 3
Project Number 3-1

プロジェクト研究名:

ボトムアップ人間関係論の構築

グループ名:

社会変化と人間関係の諸相

リーダー名(所属):

佐藤達哉(立命館大学文学部)

組織構成:

組織構成:
研究G長
佐藤 達哉(立命館大学文学部教授・人間科学研究所)

福祉・医療など諸分野における人間関係論班
田垣 正晋(大阪府大講師)
松嶋 秀明(滋賀県大講師)
谷口 明子(武蔵野大講師)
高橋 登 (大阪教育大教授)
西垣 悦代(和歌山県医科大助教授)
辻内 琢也(早稲田大助教授)

学融のための方法論・科学社会学班
尾見 康博(山梨大助教授)
溝口 元(立正大教授)
村上 幸史(大阪大学PD)

学融のための方法論・科学社会学班 若手の会推進担当 荒川 歩(名古屋大法科大学院)
湧井 幸子(京都大博士課程)

事務局担当 水月 昭道(立命館大学ポスト・ドクトラルフェロー)
日高 友郎(立命館大学修士課程)

平成19年度の研究成果

 このグループはプロジェクト研究「ボトムアップ人間関係論の構築」の唯一のグループ研究であり、事実上一体となって研究を展開してきた。その成果は、サトウタツヤ(編)『ボトムアップな人間関係―心理・教育・福祉・環境・社会の12の現場から (未来を拓く人文・社会科学シリーズ 2) (東信堂)』となって結実した。この本の内容こそが、本年度のプロジェクトの紹介にもなり、4年間半のプロジェクトの成果でもある。その内容は広く、環境、医療、福祉、法の分野に及んでおり、内容的にも「性の選択」から「監視社会か安心社会か」のようなことまで多岐に及んでいる。

 ボトムアップ人間関係論の構築プロジェクトでは、社会生活上の選択肢拡大や選択肢の可視化こそが重要だと考えてきた。人間関係というのは小さな(ミクロな)視角ではあるが、人間関係を介さないマクロな関係は存在しない。それぞれの場所・領域において人間関係の非対称性を克服して水平的人間関係を構築していくためにはどうすればいいのか。本プロジェクトの一つの目標は、対人援助(対人サービス)を受けるときの人間関係の水平性の構築ということにもなる。される側である患者や学生・生徒が可能なかぎり自律的にものを考え行動を選択できるようでなければ水平的関係とは言えないのである。サービス提供者側の知識や技術や治療はもちろん重要である。しかし、その受け渡しの際の人間関係は上下である必要はないし、一方的な指令や従属である必要はない。

 医師−患者、法律家−相談者関係など社会生活における様々な場面における人間関係は、非対称的なまま固定化されていることがあり、しかも、そうした非対称性が問題として気づかれることは少ない。ではどうすればいいのか、本プロジェクトでは、オルタナティブオプションズ(代替選択肢)の設定こそが重要だと言いたい。選択肢があれば自由が高まる。選択肢が複数無ければ、自由な選択はできないから、事実上の従属関係しか生じない。ある病気があってこれをすれば必ず治る、というようなものがあるのであれば、そうした治療は重要であり、選択肢は不要だと考えられるかもしれないが、そうであっても、医療機関を複数の中から選べるというような自由度があってもいいのである。また、供給者側に必要なことは、「半分降りる」ことである。専門職の専門の部分は高見に立ってもいいが、人間と人間との関係という部分で「降りる」意識が必要となる。

 最後に、される側にとっての選択肢、する側が半分降りること、の他に重要なのはアリーナ性のガバナンスである。これは、メタ文脈的なことであるが、専門職とそのサービスを受ける人との関係のあり方が常に透明性をもって見渡せるようなアリーナ性を確保するためのガバナンスが行政などに必要だということである。この提言をもって本プロジェクトは完結した。 なお、私たちは人社プロ全体をボトムアップに支えて構築していくという観点から、各プロジェクトに参加する若手メンバーを中心とした「若手の会」の企画と実行を担い、同様にボトムアップな立場から学融を促進するという立場からニューズレター『学術の新しい風』の編集に携わり刊行を行った。

 このプロジェクトに関わったことによって、人文・社会科学の大きな分野とつながりをもつことができた。このことは大変大きな財産になったし、今後につなげていきたい。

 終了にあたって、ご尽力いただいた全ての関係各位に心から感謝いたします。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

  • 2007年7月7日 人文社会科学・芸術と社会のつながり—アマチュアリズムという楽しみ、趣味の公共性—立命館大学衣笠キャンパス 40名
  • 2007年8月18日 土曜日 午後1時〜5時 文化心理学に関する公開シンポジウム 立命館大学衣笠キャンパス 40名
  • 2007年9月9日 辺境力でまちづくりサミット in 東京都小笠原村母島  東京都小笠原村母島支所 20名

<飛び出せ人文・社会科学〜津々浦々学びの座〜実施状況>
2007年7月14日(土)お金のことを考えてみよう 大阪府大阪市 21名
2007年11月4日(日)みんなで考えよう、人にやさしいまちづくりat高野口 和歌山県高野口町 16名
2007年11月12日(月)子どもを取り巻く教育評価 東京都八王子市小学校PTA連合会 34名

論文、著書等:

Tatsuya Sato他 6名 2007 Sampling Reconsidered: Idiographic Science and the Analyses of Personal Life Trajectories. In Valsiner, J. and Rosa, A. (Eds.) Cambridge Handbook of Socio-Cultural Psychology,Chapter 4, CAMBRIDGE UNIVERSITY PRESS, Pp.82-106.

Arakawa, A., & Asai, C. (2007). Effects of the other members' opinion and the position of the speaker on determination of the punishment and the degree of certainly in a mixed jury. Paper presented at 3rd International Congress of Psychology and Law, in Adelaide, Australia.

松嶋秀明. 2007 第6章「会話分析」やまだようこ (編). 質的心理学の方法—語りをきく(pp 86-99)新曜社.

村上幸史 2007「運を研究する」ということ てんむすフォーラム, 2, 17-30

尾見康博 2007. 測定をめぐる問題—いったい何を測定しているのか?—

渡邊芳之(編) 心理学方法論(朝倉心理学講座第一巻 海保博之(監修)) 朝倉書店 Pp.68-89.

田垣正晋 2008 これからはじめる医療・福祉の質的研究入門 中央法規出版

谷口明子 編著  2007 子どもの育ちを支える教育心理学入門 角川学芸出版

荘島幸子. 2008. トランスジェンダーを生きる当事者と家族−人生イベントの羅生門的語り. 質的心理学研究, 7,204-224.