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人文・社会科学振興プロジェクト研究事業

プロジェクト研究の成果

プロジェクト研究一覧表

研究領域 5
Project Number 5-3

プロジェクト研究名:

文学・芸術の社会的媒介機能

グループ名:

文学・芸術の社会統合的機能の研究

リーダー名(所属):

山田 広昭 (東京大学・大学院総合文化研究科・教授)

組織構成:

田尻 芳樹、大学院総合文化研究科・助教授、「国民文学の誕生と越境」
野崎 歓、大学院総合文化研究科・助教授、「メディアと芸術の生産・流通システム」
安原 伸一朗、東京大学・産学官連携研究員、共同体論/事務局・Webサイト
金澤 忠信、東京大学・産学官連携研究員、共同体論/事務局・ワークショップ
和田 雄志、未来工学研究所・21世紀社会システム研究センター長、「メディアと生産・流通システム(インターネット)」

上記のコアメンバー以外に東大を含む、全国の研究機関に20数名の研究協力者を数える。
協力者のリストは、http://www.lac.c.u-tokyo.ac.jp/laccercle.html に記載。

平成18年度の研究成果

本年度も、研究の集約軸として、国際シンポジウム、若手研究者を中心とする連続ワークショップ(「共同体を考える」)、そして関連セミナー・研究会という三つの活動を設定して研究を進めた。

シンポジウムは、10月(「精神分析とイスラーム、想像界をめぐって」)と11月(「新しい小説〈ヌーヴォーロマン〉から小説の未来へ」)の2度開催した。前者は、前年度2006年3月に開催した「精神分析的視点の可能性」と題するシンポジウムの問題意識を引き継ぐもので、ニューヨーク州立大学からジョーン・コプチェクを基調報告者として迎え、他の参加者との質疑応答を中心に行った。彼女の問題提起は、想像界という概念を媒介に、イスラーム神秘哲学とラカン派精神分析とを対話させ、かつそれをイランの映画作家キアロスタミの作品の分析にからませてイスラームにおける視線や女性の問題へとつなぐというきわめて興味深い論点を提出するものであった。後者では、一昨年秋にベルギーのフランス語共同体における文学の役割を議論するシンポジウムでの基調報告者である作家トゥーサンを再度招聘し、今度は第2次大戦後のフランスの文学風土を一変させた「ヌーヴォー・ロマン」の再検討を行った。多岐にわたる議論を通じて示されたことの一つは、文学という一見したところ、ばらばらの個人的営為に基礎をおくように見える活動が、ある共同の運動体をなしたという事実、さらにはそれをリードした出版社の役割であり、こうした事態を可能にした歴史的社会的条件の考察の必要性である。

本研究の重要な担い手である若手研究者によるワークショップについては、「共同体を考える」を統一テーマに、昨年6月、10月、そして本年3月と3回にわたって実施し、研究の深化と研究者ネットワークのさらなる確立を継続しているが、本年度の特筆すべき成果として、過去7回にわたるワークショップでの発表を論文に仕上げたものを集成した論文集の刊行がある。14人の執筆者からなるこの論集で扱われているテーマや方法論は、執筆者の専門領域を反映してきわめて多様であるが、そのどれもが文学や芸術の社会的機能をさぐる本研究への重要な貢献となっている。加えて、第1回のシンポジウム以来継続されてきた、現代のもっとも重要な作家のひとりであるクッツェーの研究は、ワークショップでの発表者の論考も加えて、単行本の形で出版された。これはこの作家についての日本で最初の研究書である。また、本年度の重要な進展として、これまで人間の情動や共同性へのよりダイレクトな関わりの故にその重要性が意識されながら、触れることができないでいた音楽の研究に着手することができたことがあげられる。具体的には、戦前・戦中期の日本やナチス・ドイツにおいて音楽がどのように用いられたかをさぐる研究である。

一方、未来工学研究所の和田を中心とするチームでは、インターネットに代表される新たな通信テクノロジーの爆発的な発展のもとで、芸術生産と受容の変容が追跡されているが、本年度もあらたにネットアンケートを中心とする調査を行い、前年度の調査を補完、深化させることができた。具体的には、オピニオン発信型中心の米国ブログ文化と比較して、日本型ブログ文化が日記やアート発信に大きなウエイトをおいており、かつ、そのほぼすべて領域において女性の優位性が見られるということがあらためて確認された。また、インターネットを通じての発信は、その簡便性によって芸術の生産発信におけるプロとアマの敷居を必然的に下げることになるが、それがどのような現象につながっていくかは今後の検討課題である。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

2006.6.10
第6回ワークショップ「共同体を考える-- ヨーロッパ「近代」の照射、宗教と美術:東アジア世界のプリズムをとおして」、東京大学駒場キャンパス(発表者2名)
2006.9.29
第3回セミナー「戦前・戦中期日本の音楽-- ナショナル・アイデンティティをめぐって」、駒場キャンパス
2006.10.7
第5回国際シンポジウム「精神分析とイスラーム - 想像界をめぐって The Imaginal World : between Paris and Theran」、駒場キャンパス (発表者5名)
2006.10.10
第4回セミナー「Appartenir sans appartenir, selon Derrida」、駒場キャンパス
2006.10.27
第7回ワークショップ「J・M・クッツェーの<新生>- 動物、植民地主義、倫理」、東京大学駒場キャンパス (発表者3名)
2006.11.27
第6回国際シンポジウム「新しい小説〈ヌーヴォーロマン〉から小説の未来へ」、駒場キャンパス (発表者4名)
2007.3
第8回ワークショップ「ことば・宗教・音楽と共同体」、駒場キャンパス (発表者3名)

上記シンポジウム、ワークショップの詳細については、本研究グループのサイト http://www.lac.c.u-tokyo.ac.jp/ 上に記載しています。

論文、著書等:

2006.9
田尻芳樹編 『J.M.クッツェーの世界 <フィクション>と<共同体>』、英宝社、291P
2006.8
野崎歓 『カミュ「よそもの」きみの友だち』みすず書房、《理想の教室》シリーズ、156P
2007.2
「LACワークショップ論文集」 vol. 1、「文学・芸術の社会的統合機能の研究(LAC)」事務局編集、発行、182P. (執筆者14名)
2007.5
安原伸一朗 「失語と詩 石原吉郎とヴァルラーム・シャラーモフのシベリヤ体験と文学」、『言語態』第7号、2007年5月刊行予定)
  

グループ名:

芸術とコミュニケーションに関する実践的研究

リーダー名(所属):

藤田治彦(大阪大学・コミュニケーションデザイン・センター、文学研究科・助教授)

組織構成:

藤田治彦(大阪大学大学院 文学研究科 CSCD教授)研究グループ長
玉井 ワ(大阪大学大学院 文学研究科 教授)「環境文学」部門代表
出原隆俊(大阪大学大学院 文学研究科 教授)「環境文学」部門
奥平俊六(大阪大学大学院 文学研究科 教授)「コミュニティ・アート」部門
和田章男(大阪大学大学院 文学研究科 教授)「環境文学」部門
永田 靖(大阪大学大学院 文学研究科 教授)「コミュニティ・アート」部門代表
伊東信宏(大阪大学大学院 文学研究科助教授)「コミュニティ・アート」部門
要真理子(大阪大学CSCD 講師)「芸術と福祉」部門代表
佐藤優香(国立歴史民俗博物館 助手)「アート・ワークショップ」部門
茂木一司(群馬大学 教育学部 助教授)「アート・ワークショップ」部門代表
上田信行(同志社女子大学 現代社会学部 教授)「アート・ワークショップ」部門
福本謹一(兵庫教育大学 教授)「アート・ワークショップ」部門
宮田義郎(中京大学 情報科学部 教授)「アート・ワークショップ」部門
苅宿俊文(大東文化大学 文学部 助教授)「アート・ワークショップ」部門
原田 泰(元多摩美術大学 デザイン学部 助教授)「アート・ワークショップ」部門
三木順子(京都工芸繊維大学 工芸学部 助教授)「芸術と福祉」部門
服部 正(兵庫県立美術館 学芸員)「コミュニティ・アート」部門
高安啓介(愛媛大学 法文学部 助教授)「芸術と福祉」部門

平成18年度の研究成果

2006年度から、「芸術と福祉」「環境と文学」「コミュニティ・アート」「アート・ワークショップ」の4部門共通で「芸術とコミュニケーション」合同研究会をスタートさせた。6月21日に第1回、8月10日に第2回を大阪大学で開催、第3回目の合同研究会は、「アート・ワークショップ」部門が参加していた越後妻有アートトリエンナーレの開催地、新潟県十日町市で開催した。「アート・ワークショップ」部門は、同トリエンナーレに出品し、多くの観客(鑑賞・訪問・参加者)を集めた。

「ミュージアム・デザイン」研究会は頻繁に研究会を開催している。今年度は、第8回から第12回まで、5回開催され、各地のミュージアムの学芸員などの講演が行われた。「デザイン・ミュージアム」がテーマとなった研究会には、JIDA日本インダストリアルデザイナー協会の理事長、事務局長ほか6名のJIDAメンバーが参加し、社学連携の実を挙げた。JIDAをはじめとするデザイン関係学協会とは今後も相互協力を進めていく予定である。

10月には韓国の公州国立博物館(コンジュ)を会場にコンジュ2006「芸術と福祉」国際会議を開催した。2005年度の倉敷2005「芸術と福祉」国際会議に続く、アジアでの開催であり、「芸術とコミュニケーションに関する実践的研究」のメンバーが事務局を担った。
「コミュニティ・アート」部門は、「アウトサイダー・アート」関係のワークショップを実施するとともに、2007年3月には、沖縄県立芸術大学で「伝統演劇とMODERNITY」研究集会を2日間にわたって開催した。

「環境と文学」部門は、2007年3月に第3回「環境と文学」フォーラムを大阪大学文学研究科で開催した。人文・社会科学振興プロジェクト研究「文学・芸術の社会的媒介機能」とともにスタートした同フォーラムは、毎年、この時期に開催されており、順調に研究活動を展開している。

2007年3月8日には第2回「文学・芸術の社会的媒介機能」活動報告・研究交流会を大阪大学文学研究科で開催した。「文学・芸術の社会的統合機能の研究」グループと交代で、昨年度から東西で開催しているこの活動報告・研究交流会は、その名称の通り、両グループが相互に活動報告を行い、研究の交流をはかるもので、「文学・芸術の社会的媒介機能」の研究遂行上、重要な役割を担っている。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

2006.4.28
第7回「ミュージアム・デザイン」研究会、大阪大学CSCD、約10名
2006.5.19
第8回「ミュージアム・デザイン」研究会、大阪大学CSCD、約20名
2006.6.21
第1回「芸術とコミュニケーション」合同研究会、大阪大学文学研究科、約20名
2006.6.23
第9回「ミュージアム・デザイン」研究会、大阪大学CSCD、約25名
2006.7.23-9.10
越後妻有アートトリエンナーレ2006参加、新潟県十日町市、約1000名
2006.8.8
第10回「ミュージアム・デザイン」研究会、大阪大学CSCD、約25名
2006.8.10
第2回「芸術とコミュニケーション」合同研究会、大阪大学文学研究科、約20名
2006.8.17
第3回「芸術とコミュニケーション」合同研究会、新潟県十日町市、約40名
2006.10.16-19
コンジュ2006「芸術と福祉」国際会議、大韓民国公州国立博物館、約60名
2006.12.15
第11回「ミュージアム・デザイン」研究会、大阪大学CSCD、約15名
2006.1.26
第4回「芸術とコミュニケーション」合同研究会、大阪大学文学研究科、約20名
2006.2.16
第12回「ミュージアム・デザイン」研究会、大阪大学CSCD、約30名
2006.3.8
第5回「芸術とコミュニケーション」合同研究会、大阪大学文学研究科、約20名
2006.3.9-10
「伝統演劇とMODERNITY」、沖縄県立芸術大学付属研究所、約80名
2006.3.8
第2回「文学・芸術の社会的媒介機能」活動報告・研究交流会、大阪大学文学研究科、約50名
2006.3.17
第3回「環境と文学」フォーラム、大阪大学文学研究科、約60名

論文、著書等:

2006.5
伊東信宏、「開かれた作品と開かれた大学と」、日本室内楽振興財団『奏』、第25号、7-8頁
 
要真理子、「誰のためのデザイン?オメガ工房の経営理念と製品デザインに関する考察」『デザイン史論』、第1号、47−55頁
2006.10
藤田治彦・要真理子編『公州2006「芸術と福祉」国際会議論集』、87−132頁
 
藤田治彦、「モダニズムの機械と装飾」、『なごみ』、70−71頁、2006年10月号
 
FUJITA, Haruhiko, ‘Kyoto: A City of Gardens, for Gardens, and as a Garden,’THE GREEN BOND: CITIES AND GARDENS, Wuhan University, Wuhan, China, pp. 48-49
2006.11
藤田治彦、「谷口吉郎とル・コルビュジエ」、『なごみ』、70−71頁、2006年11月号
2006.12
藤田治彦、「時と場:芸術とデザインにとっての歴史と環境」、『第12回公開シンポジウム・人文科学とデータベース』、21−30頁
2007.3
奥平俊六「「私」と出会って心が揺さぶられる、はたよしこ著『DNAパラダイス―27人のアウトサイダー・アーティストたち―』」、『紫明』、第20号、57頁