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人文・社会科学振興プロジェクト研究事業

プロジェクト研究の成果

プロジェクト研究一覧表

研究領域 5
Project Number 5-1

プロジェクト研究名:

伝統と越境 - とどまる力と越え行く流れのインタラクション -

グループ名:

自己表象の生成と変容

リーダー名(所属):

柏木博(武蔵野美術大学・造形学部・教授)

組織構成:

柏木 博   (武蔵野美術大学・教授、研究グループ長)
長沼 行太郎 (関東短期大学・助教授、調整) 
北澤 洋子  (武蔵野美術大学・教授) 
高橋 敏夫  (早稲田大学・教授)  
田中 正之  (国立西洋美術館・主任研究員、企画)
辻 吉祥   (早稲田大学・博士課程、記録・編集)

平成18年度の研究成果

美術と文学の分野での<自己表象>の問題性(生成、変容、社会的機能)について、下記1.〜6.のテーマで分担研究と研究会をおこない、さらに、他分野との交流を公開研究会の主催、他グループのシンポジウム等への参加・協力のかたちでおこなった。

1.肖像画と自己表象T…美術史的観点から。自己の描かれ方についての研究。主に前近代。
2.肖像画と自己表象U…美術史的観点から。自己の描かれ方についての研究。主に近現代。
3.ものと自己表象…デザイン史的観点から。自己の換喩としてのモノについての研究。
4.伝記と自己表象T…文学史的観点から。自己の語られ方についての研究。
5.伝記と自己表象U…現代文化論の観点から。いわゆる大衆文化のなかでの自己表象の研究。
6.美術と文学が社会に提供した自己表象モデル…研究のまとめ

研究成果の公開を主に次の2つの方法でおこなった。

  • 共同著作『自己表象の生成と変容 U』の刊行、2007年3月。
  • 公開研究会「踊る身体と自己表象」(次の項目参照)

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

【公開研究会】

2006.12.9
早稲田大学文学部39号館5階第6会議室
「踊る身体と自己表象――(反)ダンスの(非)自己(反)表象:ポスト・モダンダンス私論」 10名
外山紀久子氏(埼玉大)の発表と討論(司会:柏木博)

【フォーラム】

2006.6.29
「美術館とナショナルなるもの」日本学術振興会、人文・社会科学振興プロジェクト研究事業第5領域横断フォーラム『ミュージアムに未来はあるか〜その可能性と課題』 於東京グリーンパレス (田中正之:発表者・パネリスト)
2006.10.30
ぱ・る・るプラザ京都6F会議室
第5領域フォーラム「文化・芸術研究の新たな地平」(柏木博:コメンテーター)
2007.2.16
大阪大学、コミュニケーション・デザイン・センター
「独立行政法人化後の国立美術館」「芸術とコミュニケーションに関する実践的研究」グループ(田中正之:発表者)

論文、著書等:

2006.4 - 2007.3
高橋敏夫「観客席・演劇時評」 『週刊金曜日』隔週連載
2006.6
高橋敏夫「あらたな戦争、あらたな格差社会の『破戒』へ――『破戒』と『破戒』をめぐる議論を今、読みなおす意義」 「部落解放」556号 8P〜16P
2006.7
長沼行太郎「ビートルズとアップルハウスの伝説」 『団塊パンチ 2』 70p-80p 株式会社飛鳥新社
2006.9
高橋敏夫「『壊れ』の時代に燦然とかがやく『長塚ノアール』」 新国立劇場公演『アジアの女』パンフレット 19P〜22P
 
長沼行太郎『嫌老社会 老いを拒絶する時代』 ソフトバンククリエイティブ(株) 168p
2006.11
高橋敏夫『この小説の輝き!』 中経文庫 255P
2007.3.16
高橋敏夫・東憲司対談「100年前に戻って『今』と出会う――現代演劇の試み」 「週刊金曜日」 78P〜82P
2007.3.6
高橋敏夫講演「日本の役者はなぜ兵士が演じられないか――演劇身体論」 日本演出家協会主催若手演出家コンクール記念講演  下北沢「劇」小劇場
2007.3.22
高橋敏夫・ポストトーク 「現代演劇とホラー的なもの」 スロウライダー公演「アダムスキー」 劇作家山中隆次郎との対話  三鷹芸術文化センター
-
柏木博「366×366×226センチの家具」『ユリイカ』(青土社)5月号、82p―91p
  

グループ名:

越境と多文化

リーダー名(所属):

楯岡 求美 (神戸大学・国際文化学部・助教授)

組織構成:

グループ長
楯岡 求美(神戸大学国際文化学部・助教授:全体統括「演劇の近代と越境」)

サブリーダー
毛利 公美(北海道大学スラブ研究センター・非常勤研究員:担当責任「多文化的な場としてのハリウッド」)

コアメンバー
阿部 賢一(33歳、武蔵大学人文学部・専任講師:担当責任「亡命とテクスト」)
井上  優(38歳、日本橋学館大学人文経営学部・専任講師:担当責任「演劇の近代と越境」)
グレチコ・ヴァレリー(41歳、東京大学文学部・非常勤講師:担当責任「多言語性と文学」、海外研究者招聘)
増本 浩子(45歳、姫路獨協大学外国語学部・教授:担当責任「ナショナルなものへの志向と多文化」)
林 みどり(43歳、明治大学政治経済学部・助教授:担当責任「クレオールの現状」)

事務局
松井真之介(27歳、神戸大学大学院博士課程在籍:事務補助および若手研究者による研究会組織)

平成18年度の研究成果

本年度は17年度に各種研究会・ワークショップ等で提起された問題をさらに掘り下げることを目標に活動をすすめた。文化の境界を超え、異文化と接触することにより、どのような新しい芸術的創造が可能になるのか、そのメカニズムを20世紀の経験に基づいて分析し、現代世界における越境的な芸術・文化のあり方を解明すると同時に将来の展望を探る事を目的とする。

現代はグローバリズムの時代であり、多文化間の理解が不可欠な時代である。さらに、近年の地域紛争は、新たな越境者を大量に生んでいる時代状況もあり、個々の人間を、画一化されたひとつのカテゴリーに還元されない、複合的な文化的存在としてとらえる観点から多文化状況を考えることが必要とされる。移民の受け入れに関して、「寛容さを示してマジョリティーがマイノリティをどう受け入れ、適応させるのか」というな一方的な見方は、マジョリティーの優位を保持したままにすぎず、国ごと、民族ごとに分割された個別文化の間の交流にとどまってしまう限界が明らかであり、避けるべきである。よって、本研究では、個々の人間がどうやって自分を開き、自らのうちに多文化性を認めていくのか、またその関わりにおいて芸術創造にはどのような表現と機能の可能性が開かれているのかを考察することが重要である。

特に、移民・亡命者をはじめとする越境者の二世、三世が在留地の主流文化と、自らが所属する民族グループが歴史的に継承しているとされる「固有の」文化との間の齟齬や葛藤をどのように考え、自らのアイデンティティ形成を行っているのか、という点に注目して、研究会を行った。

とりわけ興味深かったのは、12月に行ったシンポジウムにおけるラウンドテーブルである。ディスカッション参加者13名は何らかの形でロシアの文化に属する、または研究するものであったが、参加者の過半数が、ロシアから外国への亡命、移住者で1名のみがロシア在住のロシア人研究者であった。にもかかわらず、多数の参加者が「ロシア」のアイデンティティを単一なものとして語ることが多かった。結果、討論事態がくしくも参加者のなかからも指摘がでたが、歴史的に形成されてきた文化的アイデンティティへのステレオタイプがいかに強固で揺るがすのが難しいかを象徴するものとなった。個人的な体験を研究の中に取り入れ、安易な普遍化を避けることの難しさを明らかにしてもいる。

また、ワークショップ「『声』とモダニティの転位」および公開研究会「越境者のアイデンティティ」においては、各民族が歴史を語る/書くことの恣意性が改めて浮き彫りにされた。中でも後者で報告された「アルメニア移民」の問題は、現在のトルコとの緊張のなかで在フランスアルメニア移民がEU統合の是非を巡る議論に利用されるという現代的な政治的アクチュアリティとともに、トルコからの移民が旧ソ連時代に本来歴史・文化をともにしなかったはずのソヴィエトアルメニア共和国への帰還運動が行われ、結果、原住アルメニア人との間の文化摩擦が理由となって失敗したことなど、いまだ強固なカテゴリーである「民族」のあり方を再考する手がかりを与えている。また、ドイツ研究者とロシア・スラヴ研究者の共同ディスカッションにより、ヨーロッパ的モダニティの継承/受容の差異が明らかとなり、「ソ連という政治システムを通して20世紀の文化システムを明らかにする手立てとして有効であるという手ごたえを得ることができた。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

2006.7.1
神戸大学国際文化学部、国際研究集会 若手研究者育成プログラム 1 「伝承のマニエール―マイノリティの言語継承と記憶」、報告者:寺尾智史(京都大学D1)、スヴェトラーナ・パイチャゼ(北海道大学D3)、村上八重子(大阪大学D1)、松井真之介(神戸大学D3)、参加者30名
2006.10.22
京都大学大学院人間環境学研究科、(日本ロシア文学会会共催) ワークショップα「ポータブルな祖国:ユダヤ・ディアスポラの文化とスラヴ」報告者:赤尾光春(北海道大学COE研究員)、樋上千寿(大阪大学COE研究員)、コメント:三谷研爾(大阪大学助教授)、角伸明(関西大学非常勤講師)、参加者100名
2006.12.17
京都大学大学院人間環境学研究,Symposium ”Constructing Nation and Region:Russia, USSR and European Identity”、Speakers: マーク・バッシン(イギリス)、イリーナ・ノヴィコヴァ(ラトヴィア)、ドミトリ・ザミャーチン(ロシア)、ボリス・ガスパーロフ(アメリカ)、ボリス・ラーニン(ロシア)、エヴゲーニー・ドブレンコ(イギリス)、トーマス・ラフーセン(カナダ)、アンジェイ・ラザリ(ポーランド)、クリストファー・エリー(アメリカ)、ツィピルマ・ダリーエヴァ(ドイツ)、ハーシャ・ラム(アメリカ)、トレイシー・マクドナルド(カナダ)、セルゲイ・コズロフ(ロシア)、参加者:20名
2006.2.21
立教大学文学部、ワークショップ 若手研究者育成プログラム2 「『声』とモダニティの転位──民衆・文化・共同体」、報告者:花田愛(明治大学非常勤講師)、井上正子(立教大学博士課程修了)、吉野亜矢子(早稲田大学客員講師)、河野真太郎(ノートルダム女子大学講師)、コメント:宇田川妙子(国立民族博物館助教授)、田崎英明(立教大学教授)、参加者:20名。
2007.3.21
学術振興会駒込事務室、公開研究会「演出の越境:ゴードン・クレイグとマックス・ラインハルトの場合」報告:大林のり子(浅井学園大学短期大学部専任講師)、星野立子(北海道教育大学教育学部函館校教授)
2007.3.25
北海道大学スラブ研究センター、公開研究会「越境者のアイデンティティ」、報告者:松井真之介(神戸大学D3)、中村唯史(山形大学助教授)、コメント:水田恭平(神戸大学教授)、増本浩子(姫路獨協大学教授)、参加者:10名

【その他】

第5領域横断フォーラム(第2回)「文化・芸術研究の新たな地平」報告:北村結花(神戸大学助教授)その他、参加者50名

論文、著書等:

研究報告書4 
『未来(ユートピア)への回帰 ―越境とナショナリズム―』 日本学術振興会「人文・社会振興のためのプロジェクト」研究領域X-1「伝統と越境―とどまる力と越えゆく流れのインタラクション」第2グループ「越境と多文化」、2006年9月。

また、2006年度に行ったシンポジウムおよびワークショップに関する報告書を現在編集中。19年度に刊行予定。

  

グループ名:

伝統から創造へ

リーダー名(所属):

福岡正太(国立民族学博物館・助教授)

組織構成:

高松晃子、聖徳大学、サブグループ(2)の総括
寺田吉孝、国立民族学博物館、東南アジア伝統芸能の映像記録
笹原亮二、国立民族学博物館、日本の民俗学と民俗芸能の映像記録
俵木悟、東京文化財研究所、日本の芸能保護政策と民俗芸能の映像記録
藤岡幹嗣、映像民族学者、芸能の映像記録の方法論
久万田晋、沖縄県立芸術大学、沖縄・奄美の伝統芸能の映像記録
梅田英春、沖縄県立芸術大学、東南アジアの伝統芸能の映像記録
岡田裕成、福井大学、植民地時代のアンデス美術における伝統研究
小塩さとみ、宮城教育大学、日本およびベトナム音楽における伝統研究
菅聡子、お茶の水女子大学、日本文学における伝統研究
田井竜一、京都市立芸術大学、オセアニアおよび日本の民俗芸能における伝統研究
藤原貞朗、茨城大学、近代フランスおよび日本美術における伝統研究
藤本寛子、お茶の水女子大学、研究補助

平成18年度の研究成果

研究グループ「伝統から創造へ」は、福岡正太(国立民族学博物館)をリーダーとするサブグループと高松晃子をリーダーとするサブグループから成る。

(1) サブグループ「東南アジアにおける伝統芸能を資源とした芸術創造を支える共有の知の構築」

国立民族学博物館の機関研究及び共同研究「伝統芸能の映像記録の可能性と課題」、ならびに映像取材プロジェクトと有機的に連携しながら研究活動を進めている。

平成18年度は、これまでこのプロジェクトを通じて構築してきた東南アジアの研究者とのネットワークを活用し、国立民族学博物館(民博)の映像取材経費によりカンボジア(H.16年度)にて記録した少数民族のゴング音楽にかかわる映像記録をもとに映像作品の編集をおこなった。同様に、インドネシア・スマトラ島(H17年度)にて記録したバタック人のタイコ・アンサンブルの映像をもとにインタラクティブなコンテンツを作成した。さらにマレーシア・クランタン州にて、伝統芸能の映像記録に向けた予備調査と打ち合わせをおこなった。また、民博の共同研究会において、日本国内での民俗芸能の映像記録の現状等について議論をおこない、平成19年度には研究会メンバーにより鹿児島県の民俗芸能の映像記録を試行することとした。

(2) サブグループ「芸術文化における『伝統的なもの』」

平成18年度は、研究対象地域を異にする美術・音楽・文学の3領域の研究者が集まり研究会を重ね、各地域・領域における「伝統」観念の生成過程やその伝承・創造過程への影響等について比較研究を行い、ジャンル横断的に議論をおこなうための共通の枠組みの構築を進めてきた。「伝統的なもの」として伝えられていくものはジャンルにより異なり、レパートリーであったり、形式、表現の技術、モチーフやテーマであったりする。それらはどのようにして「伝統」とみなされるようになり、伝承や創造の過程においてそれらの「伝統」はどのように扱われているのかについて議論を深めている。

2006年9月30日には、聖徳大学奏楽堂において、スコティッシュ・カントリーダンス・ソサエティ公認教師岡田昌子さんと東京スコティッシュ・ブルーベルクラブの皆さんを招き、実演を交えながら研究者との対談により、「伝統」の実際について明らかにする公開講演会の試みをおこなった。これは、研究者と芸術家のコラボレーションにより、「伝統」に関する議論と実際の芸術活動を接合することを目的としており、今後も引き続きシリーズで実施する予定である。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

2007.9.30
聖徳大学奏楽堂、公開講演会「スコティッシュ・ダンスは国境を越えて」

論文、著書等:

2007.3
寺田吉孝・福岡正太映像製作監修、『カンボジアの少数民族―儀礼とゴング音楽』、国立民族学博物館製作
 
寺田吉孝・福岡正太映像製作監修、『カンボジアの少数民族―村のくらし』、国立民族学博物館製作
 
寺田吉孝・福岡正太映像製作監修、『カンボジアの少数民族―クルンの動物供犠』、国立民族学博物館製作
2007.3.31
高松晃子編著、『伝統から創造へ』、日本学術振興会人文・社会科学振興プロジェクト研究事業「伝統と越境―とどまる力と越えゆく流れのインタラクション」「芸術文化における<伝統的なもの>グループ、124ページ