パン屑リストを開始します ホーム >> 事業案内 >> 人文・社会科学振興プロジェクト研究事業 >> プロジェクト研究の成果一覧 >> プロジェクト研究の成果 パン屑リストを終わります
main content
本編を開始します
人文・社会科学振興プロジェクト研究事業

プロジェクト研究の成果

プロジェクト研究一覧表

研究領域 4
Project Number 4-3

プロジェクト研究名:

資源配分メカニズムと公正

グループ名:

分配問題としてのインフラ/資源開発

リーダー名(所属):

湊 隆幸(東京大学・大学院新領域創成科学研究科・助教授)

組織構成:

【コア・メンバー】
佐藤 仁  東京大学大学院新領域創成科学研究科 助教授
湊 隆幸  東京大学大学院新領域創成科学研究科 助教授

【メンバー】
直江清隆  東北大学文学部 助教授
安部竜一郎 四国学院大学社会学部応用社会学科 助教授
永田淳嗣  東京大学大学院総合文化研究科 助教授
新井祥穂 東京大学大学院総合文化研究科 助手
趙公章   大韓民国環境研究所 研究員
ピッチ・スティラワッタナ 東京大学大学院新領域創成科学研究科 後期博士課程
渡部厚志 東京大学大学院新領域創成科学研究科 産学官連携研究員
松本 悟  特定非営利活動法人メコン・ウォッチ 代表理事
東 知美  一橋大学大学院社会学研究科 後期博士課程
王智弘   東京大学大学院新領域創成科学研究科 後期博士課程
杉浦未希子 東京大学大学院新領域創成科学研究科 後期博士課程
野村彩子  東京大学大学院新領域創成科学研究科 後期博士課程
佐々木育子 東京大学大学院新領域創成科学研究科 後期博士課程
石曽根道子 東京大学大学院新領域創成科学研究科 修士課程

平成18年度の研究成果

【概要】

極端に不公正な資源の分配は、紛争や暴力の原因となり、社会秩序を不安定にし、持続性を損なう。「分配問題としてのインフラ/資源開発」グループは、資源配分に関わる技術の問題を、機能的・経済的側面からではなく技術の政治性という観点から副次的な影響に着目している。技術の政治性という観点を深めるために、本グループは「技術と人間の選択肢」「資源化プロセス」という二つのサブグループを持ち、それぞれ以下のようなアプローチで分配メカニズムを研究している。

第1班「技術と人間の選択肢」は、インフラを対象に、技術を「人間活動」と「選択肢拡大」の媒体として捉え、人工物と社会の連関についての考察を行う。特定の地域のインフラ整備が、順調な社会経済開発につながることもあれば、社会環境変化に重大な問題を引き起こすこともある。そこで、インフラ設置過程における必要条件としての設計規準、社会とのインターフェイス、意思決定システムなどが持つ分配論的メカニズムを技術の政治性の面から体系的に分析することを試みている。

第2班「資源化プロセスの研究」は、資源そのものが社会で果たす役割に注目し、配分メカニズムを根本から再検討する。とりわけ、自然が資源になるときのメカニズムや二次的な作用についての事例研究を蓄積し続けることで、資源配分メカニズムの理論化を試みたい。2004年末のスマトラ沖地震に伴う津波被災地における財の分配と土地や社会関係資本といった資源との相互作業の分析を通じて、政策的なインプリケーションのある研究領域の開拓をめざしている。

【研究の進展】

研究会の実施:18年度は、2班合計で5回の研究会を実施し、大学所属の研究者やNGOの実務家等から「開発と資源」に関わる多様な報告を頂き、概念構築に大いに役立てることができた。

事例調査の進捗:メンバーが取り扱う研究事例は、津波被災地域、移動労働者出身村(以上タイ)、森林保全(インドネシア)、遊牧民と農耕民の共生(ナイジェリア)、エコツーリズム、産業廃棄物の再利用(日本)、都市河川の復元(韓国)など多岐にわたる。18年度中はそれぞれの事例について1〜2回の現地調査を行い、下にあげる12本に代表される論文・エッセイならびに学会・シンポジウム報告として公表した。

研究テーマの再編:上記のような個別研究に加え、「技術」班、「資源化」班双方の理論的考察を昇華させるテーマとして、18年度からは「大規模開発の後始末」を設定した。廃坑、発電所や大規模工場の跡など、かつて経済開発に大きく寄与したが、現在はその役割を終え、なおかつ処理されずに残っている人工物の、「資源」として今後果たすことの可能な役割やコストを検討する試みである。「大規模開発の後始末」は、急激な経済開発の進む東・東南アジア諸国においても、近い将来、重要な政策課題として浮上することが確実であり、このテーマの事例研究・分析の進展が、本研究の社会的意義をいっそう高めることが期待できる。

 

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

2006.11.24
東京大学本郷キャンパス小柴ホール International Workshop on “Sustainability in an Unequal World” 参加人数 約70名 (国際開発学会、サステイナビリティ学連携研究機構と共催)

論文、著書等:

【著書】

2006
佐藤仁、「貧困と環境破壊」『環境経済・政策学の基礎知識』(環境経済・政策学会編),有斐閣

【論文・エッセイ】

 
佐藤仁、連載シリーズ「サステイナビリティと資源の分配(1)−(2)」『サステナ』(サステイナビリティ学連携研究機構)
2006.4
新井祥穂・永田淳嗣,沖縄・石垣島の土地改良事業の停滞,(地理学評論)
2006.6
新井祥穂・永田淳嗣,沖縄・石垣島におけるパイナップル生産の危機と再生,(東京大学人文地理学研究)
 
永田淳嗣・新井祥穂,スマトラ中部・リアウ州における近年の農園開発─研究 の背景と方法・論点,(東京大学人文地理学研究)
 
渡部厚志、「開発下農村での教育参加と生活設計〜東北タイ3農村の生活史調査から」、アジア・アフリカ研究、アジア・アフリカ研究所、46巻1号、pp39-61
2006.10
直江清隆、「機能と意図の問題圏に寄せて」、モラリア、13号、東北大学倫理学研究会
 
渡部厚志、「農村開発下における生活資源獲得・利用の変容〜東北タイの事例」、Keio SFC Journal、慶應義塾大学、5巻1号、pp94-117
 
安部竜一郎「途上国の自然資源管理における正統性の競合:インドネシア・南スマトラの事例から」(環境社会学研究第12号、有斐閣)
 
安部竜一郎「なぜ熱帯林の保全はうまくいかないか:インドネシアの場合」(季刊軍縮地球市民No.6、西田書店)
2006.12
新井祥穂,沖縄におけるサトウキビ関連政策と農家の対応─新価格制度への考察,(「農村と都市をむすぶ」)
2007.3
Minato,T. and Fujikuma,K., “An Alternative Emission Trading Including Technological Products," Proceedings of The Alliance for Global Sustainability Annual meeting 2007, pp.-97-98
 
安部竜一郎「いかにして人工物は政治となるか:荒瀬ダム廃棄の政治過程」(社会学研究科紀要第7号、四国学院大学大学院社会学研究科委員会)

【報告】

2007.2
Minato, T., “Considering Social Adaptation of Infrastructure and Consequences of Its Impact on Sustainability,” Concept Sheets and Abstracts of International Symposium on Dialogue between Social and Natural Sciences, pp.21
2006.6.13-17
Sato, J、 "Communal Defense of Land after Tsunami," paper resented at the international conference “Locating the Communal on Asian Land Tenure” at Buon Me Tuot, Vietnam
2006.11
Sutheerawatthana,P., Minato,T., “The Political Phenomenon of Chain Effects in Infrastructure Development” 科学技術社会論学会第5回年次研究大会予稿集,pp.269-272
2007.2.26-28
Sato, J. “Democratic Turn of Resource Governance: Pre and Post War Resource Policies in Japan,” Paper presented at the International Workshop on Dialogue between the Natural and Social Sciences,Honolulu, USA
2007.1.12,
1.19,1.26
安部竜一郎「脱・常識の環境学:個人化と神話化を超えて」
四国市民政策機構『市民リーダー育成講座』高松市市民文化センター
2007.2.25-27
Watabe, A. “People on/off the Move: Transformation of Isaan People’s ‘Place for Living’, Paper presented at the 6th International Workshop on Human Security: Ideas and Practices in East and Southeast Asia, Fujisawa, Keio University
  

グループ名:

貧困・格差研究

リーダー名(所属):

青山和佳(和洋女子大学・人文学部・助教授)

組織構成:

青山 和佳(和洋女子大学人文学部)、グループ長、事例研究(フィリピン)
下村 恭民(法政大学人間環境学部)、アドヴァイザー、内外研究交流調整
受田 宏之(東京大学教養学部ほか)、グループ長補佐、事例研究(メキシコ)
小林 誉明(国際協力銀行開発金融研究所)、理論(政治学)
初鹿野 直美(アジア経済研究所)、理論(開発学研究)・事例研究(カンボジア) 
東方 孝之(アジア経済研究所)、事例研究(インドネシア)
船田クラーセン さやか(東京外国語大学外国語学部)、事例研究(モザンビーク)
宮地 隆廣(東京大学大学院総合文化研究科)、理論(政治学)・事例研究(ボリビア)

平成18年度の研究成果

貧困の学際的な理解を目指し、(財)統計研究会を事務局とする「貧困の学際的研究会」を共同組織してほぼ月1回のペースで研究会を開き、内外の第一線の研究者・実務家との交流を重ねてきた。その成果は、学会報告、ワークショップ、および出版物を通じて公表してきた。一部は当事業の新書に収録される予定。

事例研究者と理論研究者からなるメンバー共通の分析枠組作りの確立を目指した。その成果は、第17回国際開発学会の企画セッションとして採用され、理論研究者1名、事例研究者3名の合計4名で「少数民族と援助の社会的影響」の題目の下に報告を行った(2006年11月26日、東京大学本郷キャンパス)。

最終的成果である学術書と一般書の出版準備を念頭に、共通の分析枠組に基づいて理論研究、事例研究を進めた。事例研究はアジア3ヶ国(フィリピン、インドネシア、カンボジア)、ラテンアメリカ2ヶ国(メキシコ、ボリビア)、アフリカ1ヶ国(モザンビーク)に対象を拡げ、夏休みを中心に調査を実施した。

少数民族と援助について、理論面では次のような議論2点を提示してきた。

1つ目は、「援助という資源を通じて、どのように少数民族の福祉が改善(公正化)するか」というリサーチ・アジェンダの設定である。昨今、再分配をめぐる政治経済学が流行しているが、それがエスニシティの無視も含め歴史的条件を過度に単純化する傾向の是正を、本アジェンダは企図している。

2つ目は、<資金ドナー−援助の実施主体−受益少数民族>間の複雑な相互作用とその結果としての資源配分メカニズムの変化(ないし未変化)に着目する、よりミクロな理論枠組の精緻化である。依頼人−代理人モデル(援助ドナーと援助目的の複数性、ドナーと受益者間の情報断絶の指摘等)、集合行為論(ただ乗り問題等)、A・センの潜在能力論(援助資源の「転換効率」の考察等)といった既存の理論の適用可能性を探ると同時に、それらが語り得ないことを人類学的な手法で補うという学際的なアプローチを採用する。

同様に、実証面では、調査・分析において先行した少なくとも次の3つの事例を提示してきた。

1つ目「フィリピン、ダバオ市におけるサマのキリスト教受容−開発援助アナロジーからの一考察−」(青山)では、宣教師の介入を開発社会学の枠組みを援用し、異文化間資源移転の観点から、介入がサマ側の生存戦略として、エスニシティの資源化、貧困の資源化を招いたことを指摘した。また、サマの歴史も含む膨大な資料に依拠しつつ、「依存を通じた自律」という大胆な解釈を提起している。

2つ目「援助と『都市のオトミー』」(受田)では、援助過程における依頼人−代理人関係が招く困難とオトミー移住者の適応戦略を説明に用いつつ、援助による先住民性と貧困の資源化が抱えるジレンマの解明に取り組んだ。本年は「二重の代理」の役割を果たすオトミー・リーダーと教育NGOの経験に焦点をあてた。

3つ目「インドネシアの離島における援助の影響」(東方)では、日本からの援助が現地住民と現地NGOに与えた影響、援助の資源化について、主に経済学の枠組に基づきつつ分析した。現地NGOが情報の非対称性を利用し援助原資そのものを資源化したり、経験・実績という形で資源化したりしている一方で、情報伝達の不備やパワーの格差により受益者内での援助の資源化が非貧困層に偏っていることを明らかにした。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

【学会報告】
2006年11月26日
「マイノリティの福祉向上における開発援助の役割−生存戦略のための『資源』としての観点から−」
(セッション23、企画、「少数民族と援助の社会的影響」)国際開発学会第17回全国大会、東京大学本郷キャンパス経済学研究科棟) 30名。

【ワークショップ】
2007年1月26日(金) 
国際協力銀行(JBIC) 「マイノリティと援助の社会的影響」
10名。

論文、著書等:

【論文】

2006
青山和佳「ポスト・エドサ期のフィリピンにおける貧困対策と市民社会に関する一考察―ダバオ市のサマ・ディラウトの事例―」『ECO-FORUM』24(3),16-26
 
青山和佳・受田宏之「少数民族と援助の社会的影響」『和洋女子大学紀要』第46集人文系編,1-22
2006.4
受田宏之「メキシコ先住民コミュニティにおける教育普及―オトミーの事例―」『アジア経済』47(4),39-68
2006
小林誉明「Pro-poor政策決定のインセンティブ構造―国内的起源と国際的起源―」『ECO-FORUM』24(3),58-69
 
桂井太郎・小林誉明「国際援助システムのグローバリゼーションと日本の役割−石川プロジェクトを事例として−」国際協力銀行開発金融研究所 『グローバリゼーション下のアジアと日本の役割研究会報告書』 国際協力銀行
 
小林誉明「北欧援助政策の動向−資金配分の観点からみた変容と分岐−」『開発金融研究所報』31号
2007.1
初鹿野直美「カンボジア特別法廷の始動―30年前の「犯罪」をどう裁くのか」『アジ研ワール ド・トレンド』、第136号
2006.11
初鹿野直美「カンボジア―南部経済回廊と国境地域の経済開発」『アジ研ワールド・トレン ド』、第134号
2006
初鹿野直美「カンボジアの工業化―自由化の渦中にある製造業とその担い手」(天川直子編 『後発ASEAN諸国の工業化―CLMV諸国の経験と展望』、研究双書No.553)
2007
小林誉明「格差と再分配に関する政治経済学の研究動向」『ワールド・トレンド』第136号,8-11

【その他】

2006
東方孝之、「紹介:河合正弘・深作喜一郎編著『開発のための政策一貫性―東アジアの経済発展と先進諸国の役割―』(明石書店)」『アジア経済』47(10)