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人文・社会科学振興プロジェクト研究事業

プロジェクト研究の成果

プロジェクト研究一覧表

研究領域 3
Project Number 3-4

プロジェクト研究名:

市場システムのガバナンス

グループ名:

政策システムと専門知

リーダー名(所属):

久米郁男(早稲田大学・政治経済学部・教授)

組織構成:

久米郁男, 早稲田大学・教授 研究総括・政治過程における専門知の分析    
阿部昌樹 大阪市立大学・教授 司法制度改革分析担当
河野勝 早稲田大学・教授 改革過程の理論的分析担当
品田裕 神戸大学・教授 選挙制度改革分析担当
土居丈朗 慶応大学・准教授  財政政策の分析担当
宮本融 北海道大学・准教授 環境政策の分析担当
打越綾子 成城大学・講師 自然環境保護政策の分析担当
堀江孝司 首都大学東京・准教授 少子化対策の分析担当

平成18年度の研究成果

・各メンバーの担当研究:

昨年度に引き続き、各メンバーの分担担当領域の研究を行いつつ、それぞれの研究が全体のテーマである、政策システムにおける専門知の役割という観点からどのように位置づけられるかを研究会やそれ以外の機会を利用して検討してきた。

とりわけ、当該年度においては、2008年度に刊行を目指しているシリーズ本「未来を拓く人文・社会科学」に寄稿する予定の阿部昌樹の司法制度と市場との関係に関する研究及びこれまでの合同フィールド調査を踏まえた打越綾子による森林認証制度の分析が完成に近づいており、それを手がかりに久米郁男が本研究グループの分析フレームの整理を行い、それ以外の個別研究との相互調整を図ることにつとめた。

また、代表である久米郁男は、政治エリートに関するサーベイデータを2次利用して分析を行い、1990年代から2000年代の日本において従来型の利益政治に変わって政策アイデアが重要な役割を果たすような政治システムの変化が起こってきていることを示唆する分析結果を得た。この観察は、本プロジェクトにおける個別事例研究の知見を大きな政治過程の変化の中に位置づける意味を持つものである。

・グループ全体での活動

本グループでは、専門家集団によって保持される「専門知」が実際の政策決定や実施の場でどのように利用されるか、evidence-basedな政策決定がどの程度行われているかを可能な限り多様な政策領域について解明し、そのパターンのバリエーションを観察し整理するべく専門家への聞き取り調査や政策実施現場での合同フィールド調査を行ってきた。2007年度においては、リスク管理・防災システム構築・治安行政と言った基本的な公共財供給に関わる政策過程に於いて専門家集団の知識がどのように生かされるのか、それがどのような政治的対応を生じさせるかを聞き取り調査によって解明することにつとめた。

・「現場知」と「専門知」のダイナミズムの検討

本グループの現在までのフィールド調査に於いて、政策実施や政策対象のまさに現場における活動の中から、既存の専門知と時に対立し、時に補完しあう体系化された知識、それを我々は「現場知」と名付けているが、生み出されそれが政策決定に重要な役割を果たしている例を観察してきた。2007年度は、そのようなダイナミズムを観察するべく農業政策の現場における規制と民間イニシアティブの関係、遺伝子組み換えをめぐる政策決定、そして環境保護政策と経済開発政策の対抗をフィールド調査によって観察する試みを行い、今までの調査と比較しつつ一般化可能性について検討した。

・他の研究グループとの共同

同じ研究領域内で関心がオーバーラップする医療システム研究グループ(吉田あつし代表)及び市場補完・制御の法制度を研究する藤谷武史グループとの間で研究成果を共有し意見交換を行うために合同のワークショップを開催した。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

・合同ワークショップ:
2006年6月24日・神戸大学(18名)
吉田あつし(筑波大学)「専門サービスにおける競争」
阿部昌樹(大阪市立大学)「弁護 士による業務独占に関わる諸問題」
コメンテーター 藤谷 武史(北海道大学)

・ワークショップ:
2006年7月27日・学術振興会麹町事務所(20名)
報告:中西準子(産業総合技術研究所)「リスク管理について」

・フィールド調査:
2006年9月14日-16日(14人)
北海道興部町 合宿研究会・フィールド調査
North Plain Farm 大黒宏社長「酪農経営と現場知」
松井博和(北海道大学農学研究科教授)「遺伝子組み換え作物規制条例と専門知」
神里達博(JST社会技術研究開発センター・研究統括補佐)「狂牛病対策と専門知」

・ワークショップ:
2006年11月25日・早稲田大学(8人)
渡辺巧氏(早稲田大学社会安全政策研究所客員教授・警察庁)「警察のシンクタンク」

・ワークショップ:
2007年2月2日・阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター
永松 伸吾氏(阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター(DRI) 専任研究員)「防災と専門知」

・フィールド調査:
2007年3月15・16日・石垣島(10人)
白保メールグループ・崎山正美(環境コンサルタント風水社)

論文、著書等:

2006.9
久米郁男「利益団体政治の変容」村松岐夫・久米郁男編『日本政治 変動の30年』東洋経済新報社、259-276頁
2006.8
阿部昌樹「司法過疎の解消に向けて」法律のひろば59巻8号、56-57頁
2006.10
阿部昌樹「地域社会の活性化に向けて」橋本信之編『21世紀の都市活力』(都市問題研究会)87-123 頁
2006.12
阿部昌樹「法化社会における法と権力」和田仁孝編『法社会学』(法律文化社)55-77頁
2006
品田裕「2005年総選挙を説明する-政党支持類型から見た小泉選挙戦略」木鐸社  『レヴァイアサン』39号 38-69頁
 
品田裕「選挙公約政策データについて」木鐸社 『日本政治研究』第3巻第2号 63-91頁
2006.9
品田裕「国会議員との社会的支持基盤とのつながり」村松岐夫・久米郁男編『日本政治 変動の30年』東洋経済新報社、95-117頁
2007.3
宮本融「日本官僚論の再定義-官僚は『政策知識専門家』か『行政管理者』か?」、年報政治学2006-2、木鐸社、83-124頁
2007.2
打越綾子「ペットブームの行政学」『成城法学』75号、25-57頁
2006
堀江孝司「人口問題と政策-社会保障・税制・労働力供給-」北九州市立男女共同参画センター”ムーブ”編『ジェンダー白書4 女性と少子化』明石書店、121-138頁
  

グループ名:

市場補完・統御の法制度設計に向けた知の再編

リーダー名(所属):

藤谷武史(北海道大学・大学院法学研究科・助教授)

組織構成:

藤谷武史(北海道大学法学研究科助教授):租税法・財政法、研究活動総括担当
島村健(神戸大学法学研究科助教授):行政法・環境法・安全法担当
松井智予(東北大学法学研究科助教授):商法・金融法・企業/団体法・取引法担当
畑中綾子(東京大学COE特任研究員):民法・医療法・医療政策担当
米谷三以(弁護士・西村ときわ法律事務所):国際経済法、WTOの法的プロセス担当
神江沙蘭(ライシャワーセンター客員研究員):政治学・金融監督規制の国際比較担当
佐伯耕三(経済産業省事務官):実務家、安全規制・WTOにおける履行確保担当

平成18年度の研究成果

本年度は、昨年度末に立てた方針に従い、医療サービス市場、金融サービス市場、製品市場(※環境規制および製品安全規制の側面に着目)という三つの市場領域におけるガバナンスの現状と課題について、積極的に外部の実務家・研究者を招聘した研究会を開催し、さらにメンバー間でも研究会の席上およびメール等で緊密な連携・議論を行い、考察を深めることができた。その結果、「ガバナンス手法(政策の道具立て)」と「メタ・ガバナンス(なんらかのガバナンス状況の成立・存続を可能にする仕組みないし構造)」の両面について、それぞれ以下のような知見が得られた。

「ガバナンス手法」に関しては、「自主規制」の仕組みと、ガバナンスのコストを賄うための「基金」の仕組みが、上記の三つの市場領域に共通して見られる道具立てとして浮かび上がってきた。医療・金融・製品の各分野における具体的なガバナンス課題との関係で、これらの手法は固有性・特殊性を帯びるとともに、なお共通する面が指摘される。とりわけこれらの市場領域に共通する特性として、情報の非対称性の問題が特に顕著であるために、「市場のガバナンス」の構築が喫緊の課題となっているという点が指摘されるが、これらの市場に共通するガバナンス手法として浮き彫りになった上記の仕組みが、政府による伝統的なcommand and controlと、財産法秩序のみの市場メカニズムの中間領域の手法として作動していることが観察されるとともに、それが作動するための条件についてもさらに考察を深めるべきことが確認された。

「メタ・ガバナンス」に関しては、上記の検討の中でそれ自体が新しい概念として抽出されてきたものであり、個別のケースごとに有効なガバナンス手法の導入に至らしめる前提条件と、ガバナンス手法それ自体の検討とを有機的に連関させる方向で検討を進めつつある。今後さらに具体的なケース・スタディを積み重ねていくことで有益な知見が得られるであろう。
年度の後半にかけては、研究の成果を形にする方向での作業も開始した。すなわち、第一には共著論文の執筆に向けて、研究会報告で提供された素材を各人が執筆し、さらに市場領域ごとの総括担当者がそれを統合して一つの論文にしていく、という作業に取りかかっている。今年度後半はひとまず金融市場分野について作業を先行させたが、一段踏み込んだ共同作業が可能になり、異なる分野の専門家同士の意見交換による問題発見的作用が一層促進されているとの手応えを得ることができた。この作業を来年度も継続することで、最終年度にはまとまった成果物を世に送り出す予定である。

第二に、年度末に国際ワークショップを開催し、本グループの中で検討してきた上記の仮説を、海外(オーストラリア、アメリカ/オランダ、ドイツ)の規制研究の専門家との意見交換の中で検証し、さらに有益な示唆を得るという形で、一層考察を深めることができた。また、今回のゲストとの研究ネットワークを活かしつつ、最終年度には成果報告を国際的に発信することも視野に入れているところである。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

第1回研究会(2006年5月1日、東京大学第二本部棟6階会議室)
「市場システムのガバナンスにおける財政的手法」(ゲスト:古澤知之客員教授) 参加者6名

第2回研究会(2006年6月23日・24日午前、神戸大学アカデミア館(23日)、フロンティア館(24日午前)
「金融市場におけるガバナンスの検討」(ゲスト:原田大樹九州大学法学部助教授) 参加者7名

第1回合同研究会(2006年6月24日午後、神戸大学アカデミア館)※久米G、吉田Gとの共催
「医療・法務サービス市場における専門家の役割」 参加者約30名

第3回研究会(2006年6月28日、日本学術振興会麹町事務室)
「商法改正プロセスの検討」(ゲスト:中原裕彦氏(経済産業省)) 参加者7名

第4回研究会(2006年7月25日、東京大学第二本部棟6階会議室)
「製品市場のガバナンス」・「内閣法制局の役割」(ゲスト:山本庸幸氏(内閣法制局部長)) 参加者6名

第5回研究会(2006年10月22日、八重洲ホール会議室(東京都中央区))
「競争法と自主規制の交錯」 参加者6名

第6回研究会(2007年1月4日、日本学術振興会麹町事務室)
「ガバナンス手法の市場領域横断的分析にむけた序論的考察」 参加者6名

第2回合同研究会(2007年3月11日、東京グリーンパレス会議室さくら)※久米Gとの共催
「人社プロジェクト新書企画にむけた合同検討会」 参加者11名

国際ワークショップ(2007年3月12日、日本学術振興会麹町事務室)
「The Law and Regulatory Strategies for the New Market Governance」 参加者9名

論文、著書等:

特になし。