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人文・社会科学振興プロジェクト研究事業

プロジェクト研究の成果

プロジェクト研究一覧表

研究領域 1
Project Number 1-1

プロジェクト研究名:

多元的共生社会の構築

グループ名:

運動の現場における知の再編の解明

リーダー名(所属):

宇田川妙子(国立民族学博物館・助教授)

組織構成:

宇田川妙子(国立民族学博物館・先端人類科学研究部・助教授):グループ長・総括
中村陽一(立教大学・21世紀社会デザイン研究科・教授):日本の市民社会・運動
萩原なつ子(立教大学・21世紀社会デザイン研究科・教授):日本の市民社会・運動
佐野淳也(東京学芸員大学・環境学習研究員):日本の市民社会・運動
藤井敦史(立教大学・コミュニティ福祉学部・助教授):先進国の市民社会・運動(イギリス・イタリア)
鈴木紀(千葉大学・文学部・助教授):発展途上国の運動(フェアトレード)
鏡味治也(金沢大学・文学部・教授):発展途上国の運動(インドネシア)
小長谷有紀(国立民族学博物館・研究戦略センター・教授):発展途上国の運動(モンゴル)
辻村英之(京都大学大学院・農学研究科・助教授):発展途上国の運動(フェアトレード)
結城史隆(白鴎大学・経営学部・教授):発展途上国の運動(開発・援助)
関根久雄(筑波大学・社会科学系・助教授):発展途上国の運動(開発・援助)
渡辺登(新潟大学・人文学部・教授):日韓市民運動の比較
羅一慶(中京大学・総合政策学部・専任講師):日韓市民運動の比較
川橋範子(名古屋工業大学・共通講座人間社会科学・助教授):マイノリティと多元的共生(女性運動)
岸上伸啓(国立民族学博物館・先端人類科学研究部・教授):マイノリティと多元的共生(先住民運動)
窪田幸子(広島大学・総合科学部・助教授):マイノリティと多元的共生(先住民運動)
細川弘明(京都精華大学・人文学部・教授):マイノリティと多元的共生(先住民運動、環境運動)
砂川秀樹(実践女子大学・非常勤講師):マイノリティと多元的共生(同性愛者運動)
平野昌(三重県・地域振興部・主幹):ローカル/グローバル・ガバナンス(日本の地域社会)
林勲男(国立民族学博物館・民族社会研究部・助教授):ローカル/グローバル・ガバナンス(防災)
牧紀男(京都大学・助教授):ローカル/グローバル・ガバナンス(防災) 他

平成18年度の研究成果

<概況>
本年度は、これまでどおり、個々の調査研究を進めて、全体の共同研究会を開催すると共に、その内の何点かに関しては、シンポジウムという形で中間的な成果をまとめて公開し、今後の議論のための問題点をさらに精査することにした。また、今年度より新たにメンバーを何人か加えて、韓国との比較という視点を導入して、日本・アジアから発信する市民社会という課題にさらに取り組んだ。

<個々の調査研究>
主なものは以下の通り

・一昨年度から続く日本のコミュニティ作り運動に関する調査にかんしては、最終段階に入り、その調査結果の整理・分析もほぼ終了した。近々、報告書作成の予定。

・フェア・トレードに関する実態調査を継続。これに関しては、3月に国内シンポを実施し、フェア・トレードの多様化する現状を整理するとともに、関係者の間の交流を図った。

・他には、インドネシア、アメリカ等での市民活動の実態調査を各自進め、日本の市民運動に関する歴史的な調査検討という課題のために、とくにベ平連の運動家たちを対象にした調査研究も開始した。

<共同研究会>
合計6回。

テーマとしては、フェア・トレード、ヨーロッパの移民と市民社会、環境運動と先住民運動の関連など。

<成果の中間発表>
公開シンポジウム2回、公開ワークショップ1回。

内訳は、先進国の市民活動の事例を代表するものとしてイタリアの社会的協同組合にかんする国際シンポジウム、フェア・トレードに関する調査の中間成果発表としてのシンポジウム、先住民運動の国際比較をめざすワークショップ。詳細は次欄を参照。

<新規調査研究>
本プロジェクト研究全体の主旨の一つが、日本・アジアからの発信という視点を共有するである。このため本グループでも、18年度より、韓国の市民社会の動向と日本との比較という研究を立ち上げ、出発点に当たり問題点を整理するために、韓国の研究者や活動家とのワークショップを開催した。詳細は次欄を参照。

<19年度に向けて>
19年度は、最終年度として、これまでの研究成果のまとめに向けて全体および各チームの研究打ち合わせを開催していく。主なトピックとしては、先住民運動、日本のコミュニティ作り運動、韓国の市民運動、フェア・トレード運動、ヨーロッパの社会的企業の動きなどの研究に重点をおき、その際、日本を基本的な比較参照点として、世界的な多元的共生社会の現状を比較しモデル化するという課題を共有し、その課題に向けて議論を集約していく。

また、11月ごろに、岩崎グループ・辻中グループと協力してプロジェクト全体で、日本(またはアジア)から発信する市民社会というテーマのシンポジウムを企画し、日本の多元的な共生社会の現場に関する議論を深め、発信する場を作っていく。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

【シンポジウム】

国内シンポジウム(民博と共催)

3月10日「フェア・トレードのめざすもの:その多様化する現状と課題」(京都キャンパスプラザ) 約140名参加

国際シンポジウム

12月2日「社会的企業が拓くサード・セクターの新しい地平:イタリア・トレントの社会的協同組合の経験から」(立教大学)約100名参加

12月3日「21世紀の共生型の社会デザインを模索する:非営利・協同セクターによる共生の地域作り」(大阪市立中央会館)約100名参加

12月4日「ヨーロッパと日本における社会政策と社会的企業」(コープイン・京都)20名参加

【ワークショップ】

国内研究集会:10月21日「先住民概念とその周辺:国際的比較から考える」(白老アイヌ博物館)約30名参加

国際研究集会:1月29日〜31日「日本と韓国の市民社会の連帯に向けて:韓国における市民運動の現状と課題から」(中京大学)10名参加

論文、著書等:

2006.9
藤井敦史「社会的企業が拓くサード・セクターの新しい地平(12月2・3日、東京・関西で国際シンポジウム)」、『社会運動』(市民セクター政策機構)318号、3-7頁
2007.2
藤井敦史「社会的企業の組織戦略とその基盤―イタリア・トレントを事例として−」(講演録)、『21世紀フォーラム』(政策科学研究所)105号、50-61頁
2006.3
辻村英之「タンザニアにおけるコーヒーの価値連鎖の再編−流通制度改革と小農民−」『生物資源経済研究』第11号、117-135頁
 
辻村英之「コーヒーの価格形成と協同組合・小農民−「キリマンジャロ」の生産から輸出まで−」『あっと』3号、8-20頁
 
辻村英之「日本のコーヒー産業の特質とフェア・トレード」『あっと』3号、60-71頁
2006.8
鏡味治也「地方自治と民主化の進展:バリの事例から」杉島敬志・中村潔編『現代インドネシアの地方社会』89-116ページ、NTT出版
2006
林 勲男「意識の変容、多次元的な自己―ベダムニにおける夢と交霊をめぐって―」田中雅一・松田素二編『ミクロ人類学の実践−エイジェンシー/ネットワーク/身体』351-378頁、世界思想社
2007
林 勲男「災害とエスノグラフィー」『月刊みんぱく』31巻2号、5頁、千里文化財団
2007.3.10
岸上伸啓「北方先住民の社会経済開発−カナダ・イヌイットの場合−」煎本孝・山岸俊男編 pp. 126-149. 『現代文化人類学の課題』 京都:世界思想社
2007.2.15
岸上伸啓「イヌイットの経済」綾部恒雄編 pp.101-113. 『失われる文化・失われるアイデンティティ(講座 世界の先住民族−ファースト・ピープルズの現在−第10巻)』 東京:明石書店
2007
川橋範子「寺族問題―僧侶の妻はお寺の幽霊なのか」『宗教と現代』渡邊直樹編、平凡社
 
川橋範子「宗門における男女共同参画推進のために」 全仏(全日本仏教会機関紙)525号 仏暦2550年1月。
2007
宇田川妙子「もう一つの観光?:イタリアのアグリツーリズモ」『月刊みんぱく』2007.3号、6-7頁
2007.3
宇田川妙子(中谷文美と)共編『ジェンダー人類学を読む』世界思想社、総頁数392頁
 
砂川秀樹「セクシュアリティの多様性とその変容」宇田川妙子・中谷文美編『ジェンダー人類学を読む』世界思想社、331-355頁
  

グループ名:

被災地の現場における共生社会の構築

リーダー名(所属):

岩崎 信彦(神戸大学・大学院文化学研究科・教授)

組織構成:

グループ長 
岩崎信彦(神戸大学)(全体統括)

メンバー   
山口一史(ひょうご・まち・くらし研究所)(被災地における市民活動と市民社会形成)
菅磨志保 (大阪大学)(ボランティア展開と民知・学知連携)
西山志保 (山梨大学)(NPO活動の展開と社会的企業)
立木茂雄 (同志社大学)(市民参画と協働の社会的条件)
松浦さと子 (龍谷大学)(多文化主義と市民メディア)
日比野純一((株)エフエムわいわい)(多言語FM放送と市民社会形成)
吉富志津代(多言語センターFACIL)(多文化共生)
奥村弘(神戸大学)(歴史文化資産の保存と活用)
深井純一(立命館大学)(地方における大災害と住民活動の記録と記憶)
寺田匡宏(国立歴史民俗博物館)(歴史的災害の記憶・再生の方法論)
山本唯人(政治経済研究所)(関東大震災、東京大空襲の歴史研究)
中村健吾(大阪市立大学)(EUと市民社会)
金雄煕 (韓国仁荷大学校)(日韓社会文化比較)
佐々木衛 (神戸大学)(中国現代社会論)
油井清光 (神戸大学)(グローバリズムと市民社会)
松田毅(神戸大学)(産業公害と環境倫理)
羽地亮(神戸大学)(産業公害と工学倫理)
林大造(神戸大学)(災害文化と災害教育) 
山地久美子(NPO神戸まちづくり研究所)(日本と韓国の市民活動)
徳田剛(神戸大学)(被災地における市民活動)   ほか 

平成18年度の研究成果

1995年の阪神大震災において、被害、救助・救援、復興を通して行政、市場経済の脆弱点と住民の生活のあり方が大きく問われた。被災地ではそれを直視しながら、多様な担い手によって新しい社会づくりが「減災」「共生」「市民社会」をキーワードに進められている。とくにボランティア活動・市民活動の新たな興隆のなかで、コミュニティ・サポート・ネットワーク、行政とのパートナーシップ、異文化交流が進展している。

本グループでは、これらを「多元的共生社会の構築」のテーマの下に研究を進めており、平成18年度には、「災害文化と災害教育」、「新しい市民社会」という2つのテーマについて共同研究およびその成果発表を行った。

「災害文化と災害教育」では、阪神大震災の経験と教訓の継承を実践的課題におきながら「災害文化をいかに構築していくか」を引き続き追求した。本年度は、これまでにおきた大きな災害の記録や記憶の継承について諸事例を検証していくと共に、現在の小中高等学校における災害教育の実践例や神戸大学での災害教育プログラムやそのためのカリキュラム・教材作成を通じて、「災害文化に基礎をおく災害教育の方法的深化」を探求した。

また、「阪神大震災で障害・後遺症を負った方と家族の集い」を開き、“忘れられた”被災者に対する支援のあり方を探究した。この集いは、同じような苦労をしてきた人々が集まって語り合える貴重な機会であると同時に、当事者が阪神大震災での体験から得られた教訓(震災でけがや障害を負った人の相談窓口がどこにも置かれなかったこと、震災による後遺症や災害に対する公的支援の制度や枠組みがほとんど存在していないことなど)を出し合い、集約する場ともなっている。

「新しい市民社会」については、昨年度までに、これまでの社会科学の理論的研究の蓄積を整理するとともに、実践的な視点から市民活動の展開による新しい市民社会のあり方について検討を進めてきた。本年度はこれらの成果を踏まえながら、災害や公害の被害に遭いながらも長期にわたって「社会的に忘れられてきた」人々を支える支援活動の展開などを踏まえながら日本の「新しい市民社会」に向けたさまざまな課題を抽出し、考察を行った。具体的な事例としては、昨年度に引き続いて「リスク社会における災害倫理の構築」のテーマのもとに上記の阪神大震災の後遺症被災者支援問題とアスベスト被害問題をとりあげ、それらの責任構造を探求し、今後のさらなる支援活動に向けた提言を行った。とりわけアスベスト問題については、実際にアスベスト疾患の患者の支援に携わっている支援者や専門家を共同研究者として招聘し、2回のシンポジウムを開催して問題の検証と提言を行った。

また、アジア地域における「新しい市民社会」のあり方について、本年度はとりわけ韓国における市民活動、社会運動(平和ミュージアム構想、市民による番組制作プログラムによるメディア参加、韓国の社会的弱者を支援する市民活動の展開など)に着目し、各事例の概要と課題を明らかにしながら、日本と韓国における市民活動、社会運動の展開を比較しながら「市民社会」のあり方について探求した。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

2006.5.31
神戸大学瀧川記念学術交流会館・大会議室、「ノン・アスベスト社会のために(I)−人文科学の研究と教育の観点から」 100名
2006.10.15
神戸市勤労会館404号室、「災害文化を考える」第1回ワークショップ 17名
2006.11.17
神戸大学文学部・大会議室、「ノン・アスベスト社会のために(II)−被害と責任の構造を考える」 35名
2006.11.18
神戸市産業振興センター・レセプションホール、シンポジウム「災害文化と災害教育」 60名
2006.1.21
6.3
9.30
2007.2.18

「震災で障害、後遺症を負った方と家族の集い」 各回十数名


論文、著書等:

2007.3
学術振興会人文・社会科学振興プロジェクト・研究グループ「被災地の現場における共生社会の構築」研究活動報告書、『ノンアスベスト社会のために―被害と責任の構造を考える―』
2006.5
岩崎信彦他(共同監修)『地域社会学講座3 地域政策とガバナンス』東信堂
 
岩崎信彦「「日本式“羞耻” 構造的発展方向」(日本的『羞恥』の構造のゆくえ)」、孫新 主編・王偉 副編『世界中的日本文化―摩擦与融合(世界の中の日本文化―摩擦と融合)』、p.18-39、「日本国内 于日本文化研究的最新向(「日本における日本文化研究の最新動向」)」p.167-185、国際文化出版公司
2007.3
岩崎信彦(水口朋子と共同執筆)「カナダにおける新移住者向け日本語マガジンの登場」、佐々木衛編著『越境する移動とコミュニティの再構築』、p.251-270、東方書店
2006.5
西山志保 「公共サービスをめぐる市民活動団体の戦略」、地域社会学会『講座地域社会学 第3巻 地域社会の政策とガバナンス』東信堂、 p.245-256
2007.3
西山志保「ガバナンスを導く協働(パートナーシップ)の可能性」『社会政策研究7』東信堂, p.108-129
 
松浦さと子「地域のコミュニケーション・インフラの持続可能性 非営利コミュニティ放送の運営調査から」『龍谷社会学部紀要』第30号p.72-87.龍谷大学
2006.12
吉富志津代「新渡日外国人による自助組織の形成プロセスー兵庫県の事例からー」、『多文化関係学』第3号、p.17-32
2006.10
寺田匡宏「「博物館行き」再考−東京大学総合研究博物館「アフリカの骨、縄文の骨−」展を見て」『エコソフィア』18号、p.60-61
2007.1
山地久美子「日本の住宅政策と高齢者福祉:震災復興公営コレクティブハウジングの導入を事例に」、『国際保健支援会』4、p.26-37
2007.3
徳田剛「よそ者概念の社会学的彫琢」『社会学雑誌』24号、p.97-111
  

グループ名:

多元的共生に関する国際比較の研究

リーダー名(所属):

辻中 豊(筑波大学・大学院人文社会科学研究科・教授)

組織構成:

R. Pekkanen, ワシントン大学助教授,研究総合企画および実態調査・計量分析
崔 宰栄,   筑波大学人文社会科学研究科・講師,研究総合企画および実態調査・計量分析
赤根谷達雄, 筑波大学人文社会科学研究科・教授,グローバルガバナンスと多元的共生・市民社会研究
H.クラインシュミット, 筑波大学人文社会科学研究科・教授,グローバルガバナンスと多元的共生・市民社会研究
今泉容子, 筑波大学人文社会科学研究科・教授,スポーツ文化・映像・身体性と多元的共生・市民社会研究
黄 順姫, 筑波大学人文社会科学研究科・教授,スポーツ文化・映像・身体性と多元的共生・市民社会研究
波多野澄雄, 筑波大学人文社会科学研究科・教授,アジアの多元的共生・市民社会研究
李 景鵬,   北京大学政府管理学院・教授,アジアの多元的共生・市民社会研究
キュート・カンス, スタンブール・ビルギ大学・教授,アフリカ・イスラムの多元的共生・市民社会研究
岩田拓夫, 筑波大学人文社会科学研究科・講師,アフリカ・イスラムの多元的共生・市民社会研究
坪郷 実, 早稲田大学社会科学部・教授,多元的共生の政策ネットワーク研究
廉 載鎬, 高麗大学校政治経済大学行政学科・教授,多元的共生の政策ネットワーク研究
近藤・エジソン, 筑波大学人文社会科学研究科・教授,ラテンアメリカの多元的共生・市民社会研究
Egidio Lessinger, カトリック大学・教授,ラテンアメリカの多元的共生・市民社会研究

平成18年度の研究成果

本研究は、社会集団間の多元的な共生を成立させるものとして、各地域単位(国、自治体など)での市民社会の質が問われている。しかし、市民社会の現実のあり方については、非欧米を含めた経験的な比較実証研究は進んでいない。加えてNGO、NPO、社会関係資本(ソーシャルキャピタル)についても概念の欧米バイアスがあり、真の意味での地球的な多元的共生にむけて洗い直しが必要である。本研究では様々な文化圏をまたぎ市民社会組織の包括的な国際実態調査を行い、データベースを構築・比較分析を行い、文化(生活世界)と政治を繋ぐ市民社会の立体的モデルを構築する。

こうした研究のもとになるデータベースは、順次、社会に公開される。既遂の日本と韓国(第一次市民社会組織調査)のデータベースがLDBより公刊(2004年、2006年)されている。  世界的にも希少な市民社会組織データベースの構築は、他の研究グループ、プロジェクト研究に基本データを提供し、日本の共生社会を構想する上で、不可欠な国際比較データとなると考えられる。これまで世界の学界が依拠してきたL.サラモンのジョンズホプキンス大学データは、政府の集計資料に依拠するものであり、実態に迫るには限界がある。 本データはサラモンデータの限界を克服するものである。

平成18年度は、南アジアのバングラデシュを取り上げ、活動範囲、財政、組織人員、職員数、組織目的などの組織属性や、行政や政治組織との相互関係、政策関心や政策活動、政策決定に対する関与などの活動様態を調査し、日本や他の諸国との比較検討のための資料の作成と、基礎的な分析を行った。

バングラデシュの調査は、ラジシャヒ(Rajshahi)市、ダッカ(Dhaka)市、コックスバザール(Cox's Bazar)市を対象とし、実証調査を行なった。また、調査は、計画サンプル1,400団体に、調査員による訪問調査を行い有効サンプルによるデータベース化と基礎分析ができた。

また、平成18年度実施した市民社会組織全般、つまり団体、NGO・NPO、近隣地域団体全体を対象とする日本全国調査(特別推進研究)がデータベース化しつつあり、さらに一層データベース価値は増大している。

さらに、平成18年度は、国際的な学会等で研究発表(日本及び米国)を行い、プロジェクトの具体的な成果を広く世に問うことができた。また、これらの活動や研究成果を、『平成18年度 研究活動報告書』(総27頁)と、平成18年度 研究成果報告書(総649頁:平成19年度、刊行予定)としてまとめた。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

2006.4.11
筑波大学総合研究棟A205、ポスト9.11のサウジアラビア:女性のアクティヴィズムの進展と市民社会の可能性
2006.4.21
筑波大学総合研究棟A205、アフリカの地方分権化と民主主義の行方 - ベナンの大統領選挙を通じて -
2006.5.31
筑波大学総合研究棟A107、Birth, Violence and Canadian Nature in Cronenberg and Atwood
2006.6.15
筑波大学総合研究棟A107、カメルーン女性の商業活動と経済互助ネットワーク
2006.6.20
筑波大学総合研究棟A205、南アフリカの社会政策形成と市民社会組織:エイズ政策を事例として
2006.6.23
筑波大学総合研究棟A205、Leave Asia, Join Europe? Refugees, Foreigners, and International Human Rights Norms in Japan
2006.6.26
筑波大学人文社会学系棟B721、Mapping Civil Society in Cyberspace using Link Analysis
2006.7.3
筑波大学総合研究棟A107、Civil Society Organizations in Seven Countries・Chinese Social Organizations and Civil Society
2006.7.4
筑波大学人文社会学系棟B721、9.11によって芽生えた愛国心とアメリカ市民社会 - 2つの愛国心の力学と市民的自由の行方 -
2006.9.20
筑波大学総合研究棟A107、東西ドイツの女性と家族政策
2006.9.22
筑波大学総合研究棟A205、Emerging Role of Civil Society for Water Governance in Bangladesh
2006.9.26
筑波大学第二学群B棟411、エコノミーという病 - ネオリベラリズムと戦争の変容 -
2006.10.18
筑波大学第三学群A棟204教室、中東情勢の今を読む
2006.10.24
筑波大学人文社会学系棟B721、言語政策と社会的不平等
2006.10.27
筑波大学総合研究棟A107、なぜ北朝鮮の軍人はクーデターを起こさなかったのか?
2006.11.28
筑波大学人文社会学系棟B721、国際協力機構とNGOの連携 - ボリビアの農業農村開発を素材として
2006.11.29
筑波大学総合研究棟A205、少数民族・定住難民の教育問題 - ラオス・日本・アメリカにおける比較調査から -
2007.2.15
筑波大学総合研究棟A205、2006年ワールドカップサッカー・多文化・ディアスポラ

論文、著書等:

2006.7.9-13
Yutaka Tsujinaka Jae-Young Choe, Takafumi Ohtomo, and Hiroki Miwa. ”Which Civil Society Organizations in Which Countries are Enjoying Policy-Making Processes and Why: Comparing 7 Countries (Japan, South Korea, Germany, China, Turkey, Russia, and the Philippines) in JIGS Survey,” Paper Prepared for Presentation at the 20th International Political Science Association World Congress, Fukuoka, Japan, July 9-13, 2006 (Panel SS01.584: “Interest Groups, Civil Society Groups and Policy-Making in Asia”)
 
Yutaka Tsujinaka, Robert Pekkanen and Takafumi Ohtomo. “Civil Society Groups and Policy-Making in Contemporary Japan,” Paper Prepared for Presentation at the 20th International Political Science Association World Congress, Fukuoka, Japan, July 9-13, 2006 (Panel SS01.584: “Interest Groups, Civil Society Groups and Policy-Making in Asia”)
 
Kojima, Kazuko. “Chinese Social Organizations and Civil Society: based on a questionnaire survey on Shehui Tuanti, Paper Prepared for Presentation at the 20th International Political Science Association World Congress, Fukuoka, Japan, July 9-13, 2006 (Panel SS01.584: “Interest Groups, Civil Society Groups and Policy-Making in Asia”)
2006
辻中豊「比較のなかの中国「市民社会」組織」神戸大学『社会学雑誌』23号、197−215頁
 
小嶋華津子「労働組合・労働運動」『アジア遊学』83号、90-99頁
 
小嶋華津子「中国の市場経済化と「工会」改革をめぐる議論」『アジア研究』52巻1号、1-18頁
 
坪郷實他、『ヨーロッパ・デモクラシーの新世紀−グローバル化時代の挑戦』早稲田大学出版部、219頁