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人文・社会科学振興プロジェクト研究事業

プロジェクト研究の成果

プロジェクト研究一覧表

研究領域 1
Project Number 1-1

プロジェクト研究名:

「失われた10年」の克服−日本の社会システムの再構築−

グループ名:

日本的品質管理の検証

リーダー名(所属):

加登 豊(神戸大学・大学院経営学研究科・教授)

組織構成:

加登  豊 神戸大学大学院経営学研究科・教授 研究全体を統括
安酸 建二 流通科学大学・情報学部・助教授 品質管理専門誌のコンテンツ分析
島 吉伸   近畿大学・商学部・助教授 品質管理専門誌のコンテンツ分析
吉田 栄介 慶応義塾大学・商学部・助教授 自動車リコール原因分析
近藤 隆史 長崎大学・経済学部・助教授 自動車リコール原因分析
梶原 武久 神戸大学大学院経営学研究科・助教授 日本的品質管理の逆機能・機能不全の分析
坂口 順也 関西大学会計専門職大学院助教授 管理会計領域における品質管理研究のレビュー
河合 隆治 桃山学院大学・経営学部・助教授 管理会計領域における品質管理研究のレビュー

日本企業(海外工場を含む)における品質管理に関する調査、および高品質企業構築セミナー運営は全員が従事する

平成18年度の研究成果

日本的品質管理の現状分析

1) テキスト・マイニングによる品質管理専門誌のコンテンツ分析を実施した。ただし、最終分析結果は、次年度の報告を予定している。

2) 管理会計領域での文献調査に加えて、環境問題、新製品開発、企業内教育・研修に関する文献調査を実施した。一昨年度に実施した管理会計および品質管理の領域での知見を総合するとともに、これらに環境問題と企業内教育・研修に関する研究を融合し、高い品質レベルを維持するための教育・研修、新製品開発、コスト・品質・環境のトレードオフの解消のための仕組みに関する分析フレームワークを構築中である。このフレームワークは、平成19年度に作成予定の高品質維持のためのマネジメント・ポリシーやそれに基づくサンプル教材およびモデル研修プログラム作成のためのベースとなる。

3) リコール情報分析
十分な情報が開示されていないため、自動車産業のリコール情報分析は遅延しているが、とりあえずの分析結果は、吉田栄介論文に記述されている。国土交通省への働きかけを行うなどの方法を通じて、情報収集に努める。また、分析範囲を家電商品・半導体や機械・精密機器にまで拡張する予定であったが、研究メンバーが多忙であったため、予備分析段階から先に進むことができなかった。残された作業は平成19年度に実施する。すでに指摘したように、自動車のリコールのかなりの部分は、電子部品の不良を原因としているので、これら部品を多用するこれらの産業へも分析を拡張することによって、品質不良に関する包括的な情報を獲得することが期待できるからである。

4) 聞き取り調査の実施
本年度も聞き取り調査を継続実施した「高品質企業構築セミナー」参加企業のみならず、他の機会に出会った企業関係者に対しても調査を実施した。リコール情報分析との突合せ作業を通じて、日本企業の品質管理の現状を把握する活動を行った。とりわけ、品質・環境・コストのトレードオフ、品質管理教育・研修、品質管理知識の組織内伝承の仕組みに注目した。また、品質に関連する法令および企業不祥事に関連した法令について、法律専門家から多くの知見を得た。

5) アクション・リサーチ
アクション・リサーチは引き続き実施した。この研究を通じて得られた知見を実際に適用し(企業からの承諾が得られれば)、その結果を分析することで、平成19年度に作成予定の高品質維持のためのマネジメント・ポリシーやそれに基づくサンプル教材およびモデル研修プログラム作成のヒントとしたい。また調査対象にもう一社が追加された。


連続ワークショップの開催・研究成果の公表

学融合を図るためには、研究結果の報告、他分野の研究者および実務家との濃密なインターアクションが不可欠である。したがって、ワークショップはその場を提供するという意味で、きわめて重要な役割を演じることになる。一昨年度7月から月一回開催している「高品質企業構築セミナー」、継続して実施した。一昨年度との比較では、より多くの実務家やコンサルタントへの参画を呼びかけ、研究のみならず、研究成果の社会貢献方法に関するアドバイスを得た。東京大学のCOEプロジェクト(リーダー:藤本隆宏)とのコラボレーションの可能性についての打診を行い、モノつくりセンター所属の実務家との協働についての合意を形成した。また、日常的に、研究者と実務家が接触できる環境の整備を行うことが必要と考えている。あわせて、NPO法人現代経営学研究所内に「経営品質研究所(仮称)」の設置が可能かどうかの検討を引き続き行った。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

昨年度6月に開催を開始した高品質企業構築セミナーを本年度も連続開催し、日本的品質管理の現状に関する意見交換を、参加者を交えて実施した。平均的な参加者数は25名程度である。開催場所は、神戸大学経営教育センター(大阪・中之島)である。これらを通じて、日本企業は、ほぼ例外なく、深刻な品質問題に直面していることを本年度も確認した。また、本年度は、リコール法に加えて、製造物責任法や、次年度に施行が予定されている消費用製品安全法等の法令にも分析の対象を拡大し、日本企業の品質問題だけでなく、品質問題が生じた後の対応や頻発する企業不祥事も考察の対象に加えた。また、NPO法人現代経営学研究所主催シンポジウム「日本から生まれるグローバルスタンダード」ではパネル討議の司会を務め、トヨタアメリカ社社長、元広州ホンダ総経理、およびテンプル大学教授をパネラーに迎え、品質管理を含む日本発のマネジメントがグローバルスタンダードとして活用されるためのさまざまな問題について、討議を行った。このシンポジウムには約180名の参加があった。

2006.4.26
高品質企業構築セミナー第8回全体会議 
「品質管理教育・研修の現状と課題」
2006.5.31
高品質企業構築セミナー第9回全体会議 
「日本的品質管理の逆機能と業績指標の利用」
2006.6.28
高品質企業構築セミナー第10 回全体会議 
「わが国経営企画部門の実態」
2006.9.27
高品質企業構築セミナー第11回全体会議 
「環境会計の展開とマテリアルフロー情報」
2006.10.25
高品質企業構築セミナー第12回全体会議 
「事例に見る品質管理研修の意図と効果」
2006.11.22
NPO法人現代経営学研究所主催シンポジウム
「日本から生まれるグローバルスタンダード」
2006.12.8
品質企業構築セミナー第13回全体会議
  「品質管理と異文化コミュニケーション」
2006.1.31
高品質企業構築セミナー第14回全体会議 
「品質管理の復讐」
2007.2.27
高品質企業構築セミナー第15回全体会議 
「消費生活用製品保護法の改正案」

論文、著書等:

2007.3
吉田栄介「高品質と低コストのジレンマ:自動車リコール原因分析による考察」
『三田商学研究』第49巻第7号
2007
小林哲夫・清水信匡・坂口順也・河合隆治・金光明雄・中村恒彦
『文献研究:わが国1980年以降の会計学』桃山学院大学総合研究所
 
河合隆治 「顧客の視点からみた財務的指標に関する課題」
『桃山学院大学研究所紀要』第31巻第3号
近刊
島吉伸・安酸建二・梶原武久 「ISO9000が財務業績に及ぼす影響に関する実証分析」
『商経学叢』
 
梶原武久「パフォーマンス・フロンティア理論と品質コスト情報」
『経理研究 (中央大学経理研究所)』
 
梶原武久「品質指標が出荷額に及ぼす影響に関する実証分析」
『原価計算研究』 第31巻
 
島吉伸・安酸建二・梶原武久「ISO9000が財務業績に及ぼす影響に関する実証分析」
『商経学叢』
2006.4
加登豊・石川潔・大浦啓輔・新井康平「わが国の経営企画部門の実態」
神戸大学大学院経営学研究科
ディスカッション・ペーパー2006・30
2007 近刊
加登豊・石川潔・大浦啓輔・新井康平「わが国の経営企画部の実態調査」
2006.7
加登豊・大浦啓輔・新井康平「現代管理会計研究の方法論上の特徴と諸問題:Zimmerman論争をめぐって」
神戸大学大学院経営学研究科
ディスカッション・ペーパー2006・37
 
わが国における経営企画部の調査報告
坂口順也「管理会計への組織間関係に関する知見の適用」
『会計』(森山書店)第170巻第1号
2006.12
坂口順也「組織間関係と管理会計」
『Working Paper Series』(関西大学大学院会計研究科)
2007.3
坂口順也「情報共有にかかわるわが国管理会計研究の可能性と課題」
『現代社会と会計』 (関西大学大学院会計研究科)創刊号
 
坂口順也「Management Accounting Concerning Inter-Organizational Relationship:
Literature Review」
『Journal of Accountancy, Economics and Law』(関西大学大学院会計研究科)No.1
2007.2
坂口順也「管理会計における教育方法の課題」
(柴健次編著『会計教育方法論』第8章に所収) 関西大学出版部
  

グループ名:

日本の組織・人材育成システム

リーダー名(所属):

石川淳(立教大学経営学部・助教授)

組織構成:

蔡イン錫(専修大学経営学部准教授)
:非正規従業員の育成、組織と組織成員の間の信頼関係、人材育成目標を主として担当

坂爪洋美(和光大学人間関係学部准教授)
:女性従業員の育成、個人から見たキャリア・ディベロップメントを主として担当

平成18年度も、原則的には、上記3名がメンバーの核としてプロジェクトを推進していった。ただし、本グループは、メンバーを固定せず、様々な研究者と有機的に連携しながら、研究を進めていく、アメーバ型組織を目指している。従って、上記役割担当は、あくまでも便宜的に決めたものであり、実際には、各メンバーが、役割に縛られることなく、協力・連携しながらプロジェクトを推進している。また、多くの研究協力者と連携しながら、必要に応じてメンバーに入ってもらって研究を進めている。主とした研究協力者は以下の通りである。

R.Steers博士(University of Oregon)
R.Mowday博士(University of Oregon)
A.Bird博士(University of Missouri)
N.Sivasubramaniam博士(Duquesne University)

平成18年度の研究成果

第1に、米国企業において、人材育成システムに関するインタビュー調査を実施した。現在、日本における企業と従業員の関係は急速に変化しつつあり、ある意味では、米国におけるそれに近づきつつあると考えられる。このまま、米国企業と同じようになっていくとは考えられない。しかし、米国企業での実態調査から、日本企業における新しい人材育成システムを模索するための大きな示唆を得ることはできたと考えている。

第2に、国内において、人材育成システムや個人のキャリア形成に関して、インタビュー調査を実施した。今年度実施したインタビュー調査は、以下の2点において、過年度に実施したインタビュー調査と違っている。第1に、リーダーシップやR&D人材、非正規従業員など、対象を絞って人材育成施策の実態と問題点を明らかにした。第2に、企業が実施する人材育成施策を受ける側である従業員にも、インタビューを実施した。これらのインタビュー調査により、企業と従業員の間で、人材育成に関する考え方に大きなずれが生じていることを浮き彫りにすることができた。

第3に、日本企業を対象に、リーダー人材育成に関する質問紙調査を実施した。リーダー人材育成は、多くの企業において、重点的に取り組んでいる課題である。その一方で、どこの企業においても、あまりうまくいっていないのが現状であろう。日本企業における実態と課題を明らかにするために、質問紙調査を実施した。ただし、今年度は時間と予算の制約から、比較的小規模の調査を実施した。

第4に、米国において、人材育成を専門とする研究者との共同研究を始めるきっかけを作ることができた。まだ、共同研究は始まったばかりで、成果が出るまでには至っていない。しかし、米国においても、企業における人材育成のあり方は、大きな課題となっており、様々な研究が行われている。今後、米国の研究者との共同研究を進めていくことで、新しい知見を見いだしていくことができると考えられる。

第5に、これまで実施した理論研究および実証研究から得られた知見をもとに、現在日本企業が抱えている人材育成に関する課題の整理を試みた。その結果、多くの企業において、人材を育成しなければならないというスローガンだけが先走り、人材育成の目標を見失っていたことが、大きな問題点であることが明らかになった。具体的には、多くの企業が、業績低迷の原因をきちんと検証しないまま、一方的に従業員のタスク・パフォーマンスの低さに帰属し、その思いこみに基づいた人材育成を導入してきた。このため、タスク・パフォーマンスだけが重視され、コンテキスト・パフォーマンス、適応パフォーマンス、反社会的パフォーマンスといった他のパフォーマンスが犠牲にされてきてしまった。その結果、人材育成システムがうまく機能せず、協力・共同が抑制される一方で、反社会的行動を促進するような事態が頻発することになってしまった。

このような問題を解決するためには、これまでと全く違ったパラダイムに基づく人材育成システムを構築していくことが必要となる。我々は、これまで得られた知見および今年度実施予定の調査結果をふまえて、新たな人材育成システムを提言していく予定である。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

シンポジウム「日本企業の人材育成の課題」
開催日:2006年9月3日
開催場所:産業・組織心理学会第21回全国大会(北海学園大学)
参加人数:約100名

シンポジウム「21世紀のリーダーシップ」
開催日:2007年2月20日
開催場所:立教大学
参加人数:約100名

論文、著書等:

2006.7
石川淳 「企業内研究者の創造的成果を促進するリーダーシップ」・
日本労務学会第36回全国大会報告論集
2006.12
蔡イン錫「企業組織とグローバル化:株主・経営者・従業員の視点」・
世界思想社、共同執筆(第3章・コラム3)
2007.3
蔡イン錫「適応パフォーマンス論(theory of adaptive performance)の現状と課題」・
専修大学経営研究年報、第31号、47〜72頁
  

グループ名:

日本の教育システム(Education System in Japan)

リーダー名(所属):

苅谷 剛彦(東京大学・大学院教育学研究科・教授)

組織構成:

研究組織(研究協力者含む)(人名、所属、役割)
5つのサブグループのリーダー及び恒常的な参加者は下記の通りである。
下記リスト中、※印は、各サブグループのリーダーである。

【教育行政・政策・改革の「失敗」】※苅谷剛彦(東京大学大学院教育学研究科・教授)★研究グループ長,堀 健志(東京大学大学院教育学研究科産学官連携研究員),諸田裕子(東京大学大学院教育学研究科産学官連携研究員)

【社会化の「失敗」】※原田 豊(警察庁科学警察研究所犯罪行動科学部・部長),土井隆義(筑波大学人文社会科学研究科・教授),田中奈緒子(昭和女子大学大学院生活機構研究科心理学専攻・准教授),齊藤知範(警察庁科学警察研究所犯罪行動科学部犯罪予防研究室・研究員),平井秀幸(東京大学教育学研究科・教育学研究員)

【人材形成の「失敗」】※本田由紀(東京大学大学院教育学研究科・准教授),小塩隆士(神戸大学大学院経済学研究科・教授),梅崎修(法政大学・キャリアデザイン学部・講師),守島基博(一橋大学大学院商学研究科・教授),妹尾渉(平成国際大学・法学部・講師),筒井美紀(京都女子大学現代社会学部・準教授),居郷至伸(東京大学大学院教育学研究科・博士課程・大学院生)

【教育測定・評価の「失敗」】※荒井克弘(東北大学副学長・東北大学大学院教育学研究科教授・東北大学高等教育開発推進センター長),倉元直樹(東北大学高等教育開発推進センター高等教育開発部入試開発室・准教授),木村拓也(京都大学経済研究所教育経済学寄附研究部門・助教),西郡大(東北大学大学院教育情報学教育部・博士後期課程2年)

【教育研究の[失敗」】※小玉重夫(お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科・教授),  森田尚人(中央大学文学部・教授),田原宏人(札幌大学法学部・教授),松浦良充(慶應義塾大学文学部・教授),安藤寿康(慶應義塾大学文学部・教授),鹿毛雅治(慶應義塾大学教職課程センター・教授)

平成18年度の研究成果

私たち「日本の教育システム」研究グループは、5つのサブグループ(【社会化】【人材形成】【教育行政・政策・改革】【教育測定・評価】【教育研究】)に分かれ、それぞれのグループが個別に、先行研究の収集と批判的レビュー、雑誌記事等の資料収集と言説分析、インタビュー調査、質問紙調査、ゲスト・スピーカーを招いての研究会開催をすすめてきた。これらの活動を通じて明らかになったことは、@教育をめぐる多くの議論が、必要かつ十分なevidence basedでは展開されてこなかった、Aむしろ、emotional based での議論が主流を占め続けている、Bあるいは、局域のみで通用する論理(ある意味で’現場の知恵’でもある)によってのみ議論が組み立てられている、C繰り返される”教育の失敗”及び教育をめぐる議論自体の”失敗”という現象にこれら@〜Bの特徴が強く関連している、という4点である。活動の成果は、それぞれ、報告書や市販書のかたちで社会に向けて情報発信されている。各サブグループの活動状況は次の通り。

【人材形成】2006年度は9月15日に矢野眞和氏を招いて著書『大学改革の海図』をめぐって書評セッションを行った。また、これまで識者を招いて開催してきた研究会の内容を報告書にまとめた。これらと平行して、すでに決定された役割分担に基づいてメンバー各自がレビュー論文の執筆を進めている。

【社会化】これまでに青少年の凶悪事件報道等に関する週刊誌記事を幅広く収集し、研究者の目にとまりにくかった書誌情報などのデータベース化を進めている。また、平成16年度以降、国内外の研究者による公開講演会を実施し、科学的根拠に基づく犯罪予防、犯罪統計数値の批判的読解など、確かな根拠に基づく研究のあり方について検討・意見交換を進めている。週刊誌記事という媒体の特徴のひとつは、人々の好奇心や不安を煽るような、センセーショナルな報道姿勢にある。週刊誌記事の収集により、少年非行や青少年問題の原因や背景として世の中で語られていることが、どのように不確かな根拠のもとで広められているかについて、検討することができる。講演会や国際シンポジウムなどから得られた手がかりをヒントとして、週刊誌報道のどういった点にどのような問題があるのか、その一端を探っていきたい。

【教育政策・改革】現在も進行中である、地方自治体の教育改革を対象にフィールドワークを継続中である。これらの成果について現在、教育改革を評価する、というテーマのもと再検討を重ね、市販書を刊行。なおその刊行にあたっては、訪問した学校現場や地方教育委員会との合同研究会等開催や地方教育委員会主催のシンポジウムへの参加など、研究会外部との積極的な関係づくりもすすめてきた。また、義務教育費国庫負担問題、教員評価制度改革、教育課程改革の進行状況とこれまでの現地調査の成果をふまえつつ、調査対象地点を拡大し、ヒアリング調査を重ねている。

【教育測定】本サブグループでは,主に戦後のわが国の学力調査や大学入試など,教育における大規模試験を対象に,わが国の教育測定・評価事業が行われてきた際の認識,専門水準を明らかにすることを目的としている。平成18年度には,既に収集していた資料を基に,大学入試の多様化政策が追跡調査の統計的分析結果の誤読に由来することを明らかにし,研究成果として学会誌に投稿(採択済)。また,平成19年度には大学入試の公平性に関して社会心理学的な分析を行うため,基礎データをの解析を行っている。

【教育研究】2007.1.12.に研究会をもち、これまでの研究まとめをかねて、「戦後教育学における公儀と秘儀−これまでの議論の中間まとめにかえて−(第1草稿)」と題する報告が行われた(報告者、小玉重夫)。その報告では、本グループの研究で浮かび上がってきた共通の特徴として、戦後教育学における公儀と秘儀という点が指摘された。公儀とは、学問の正統性を主張するために、社会に対して述べられる教義、価値のことで、具体的には、(1)子どもの発達、(2)国民のための大学、学問などが挙げられる。秘儀とは、学問研究に従事する当事者内部で共有された教義、価値のことで、具体的には、(1)政治の「民主化」、(2)専門職としての教師(研究者)の教育権(学問の自由)の確立などが挙げられる。戦後教育学のジレンマは、かかる公儀と秘儀の対立、葛藤という点にあり、また、戦後教育学の「失敗」とは、公儀における「成功」と秘儀における「失敗」という逆説性にあったのではないか、という問題が提起された。また、これまでの研究会の成果を報告書にまとめて、年度初めを目途に刊行することとし、現在、校正中である。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

公開形式で、メンバー以外の方の参加があったのは、下記の活動である。研究会メンバーのみによる研究会は2ヶ月に1回程度の割合で、5つのサブグループがそれぞれ独自に開催した。

【シンポジウム】

2006.11.11
東京大学 国際シンポジウム 「東アジア諸国と日本の教育改革」30名
2006.3.11
東京大学 国内シンポジウム「『コミュニケーション能力』 何が問題なのか」190名

【セミナー等(公開形式)】

2006.9.15
東京大学 矢野眞和著『大学改革の海図』をめぐる書評研究会 8名

論文、著書等:

【本事業に係わる…Remarks等あり】

2006.5
「日本の教育システム」教育測定・評価サブグループ編,「大学入学者選考制度の改革に必要なものは何か −オレゴン州PASSシステム実施の事例からわかること−」( 独立行政法人日本学術振興会 人文・社会科学振興プロジェクト研究事業研究領域T「知の遺産を始めとする日本の在り方と今後の変容について研究する領域」,「失われた10年の再検討−日本の社会経済システムの功罪」研究プロジェクト,「日本の教育システム」コア研究(代表者: 苅谷剛彦),「教育測定・評価」サブグループ(代表者: 荒井克弘)主催第2回公開講演会報告書(講師: 橋本昭彦),2005年10月27日開催)
 
「日本の教育システム」教育測定・評価サブグループ編,「『テストスタンダード』を基にした学力調査のあり方 −日本版テストスタンダードがめざす役割−」(独立行政法人日本学術振興会 人文・社会科学振興プロジェクト研究事業研究領域T「知の遺産を始めとする日本の在り方と今後の変容について研究する領域」,「失われた10年の再検討−日本の社会経済システムの功罪」研究プロジェクト,「日本の教育システム」コア研究(代表者: 苅谷剛彦),「教育測定・評価」サブグループ(代表者: 荒井克弘)主催第3回公開講演会報告書(講師: 池田央),2005年11月10日開催)
2006.7
木村拓也,「戦後日本において『テストの専門家』とは一体誰であったのか? ― 戦後日本における学力調査一覧と『大規模学力テスト』の関係者一覧 −」,東北大学大学院教育情報学研究部・教育部編「教育情報学研究」第4号,67-100
2006.8
木村拓也,「何故,日本の学力調査には科学的測定論が根付かなかったのか? − 戦後日本で実施された全国学力調査の変遷と『テストの専門家』養成能力の実態 −」,日本テスト学会 第4回大会発表抄録集,90-94頁
2006.9
木村拓也,「『総合的かつ多面的な評価』に基づく大学入学者選抜の淵源 − 選抜効果とその修正公式を巡る教育測定技術の技術社会史的考察−」,日本教育社会学会 第58回大会発表要旨集録,61-62頁
2007.5
木村拓也,「大学入学者選抜と『総合的かつ多面的な評価』− 46答申で示された科学的根拠の再検討 −」,日本教育社会学会編「教育社会学研究」第80号(印刷中)
2007.1
「日本の教育システム」人材形成サブグループ編,「日本の人材形成における『成功』/『失敗』とは?―学者、教師、専門家をゲストスピーカーに迎えた研究会の記録―」(独立行政法人日本学術振興会 人文・社会科学振興プロジェクト研究事業研究領域T「知の遺産を始めとする日本の在り方と今後の変容について研究する領域」,「失われた10年の再検討−日本の社会経済システムの功罪」研究プロジェクト,「日本の教育システム」研究グループ(代表者: 苅谷剛彦)

【本事業に係わる…Remarks等あり】

2006
原田豊,「犯罪予防論の動向:発達的犯罪予防と状況的犯罪予防」,『警察学論集』59巻6号, 69-97頁
2006.9
小玉重夫,「マルチチュードとホモ・サケルの間−グローバリゼーションにおける包含と排除−」教育思想史学会『近代教育フォーラム』15号,89-102頁
2006.10
苅谷剛彦他,「検証 地方分権化時代の教育改革 教育改革を評価する 犬山市教育委員会の挑戦」岩波ブックレット,No.685
2006.11
土井隆義,「夢想される予定調和の世界−コミュニケーション偏重時代の社会病理−」『少年育成』第51巻(第11号),8〜14頁
 
土井隆義,「脱集団化する若者たち−少年犯罪の短絡化が意味するもの−」『更生保護』第57巻(第11号),(法務省保護局),6〜11頁
2006.11.10
苅谷剛彦・増田ユリヤ『欲張りすぎるニッポンの教育』講談社
2006.12
苅谷剛彦「『機会均等』教育の変貌」『アステイオン』65号,12-43頁
2007
原田豊,「犯罪分析の重要性と犯罪情報の正しい扱い方 ― GISを利用した犯罪地図でわかること」,小宮信夫編著『安全はこうして守る』,ぎょうせい, 154-166頁
2007.1
土井隆義,「『優しい関係』に窒息する子どもたち−自分らしさの時代のいじめ問題−」『世界』第760号,(岩波書店),67〜74頁
2007.3.31
藤吉 貴子・田中奈緒子「青年と成人における共感性と罪悪感の差異」,『昭和女子大学生活心理研究所紀要』 9号,99-105頁
2007.3.31
Takashi Oshio and Masaya Yasuoka,How long should we stay in education if ability is screened? Graduate School of Economics, Kobe University, Discussion Paper,No.0617.
2007
鹿毛雅治,『子どもの姿に学ぶ教師』教育出版
2007.3
苅谷剛彦「『学習資本主義』と教育格差」『社会政策学会誌』社会政策学会,第17号,32-48頁