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人文・社会科学振興プロジェクト研究事業

プロジェクト研究の成果

 
 
プロジェクト研究一覧表
 
平成18年7月作成

研究領域 5
Project Number 5-3


プロジェクト研究名:

文学・芸術の社会的媒介機能

プロジェクト・リーダー名(所属):

吉岡 洋
情報科学芸術大学院大学・教授

平成17年度までの研究成果について

<概要>

 本プロジェクトの目的は、文学・芸術と社会・共同体との関わりという問題を、近代国家の形成過程において、現代の情報メディア環境において、そしてまた福祉、環境、コミュニティ、ワークショップといったテーマを通して理論的・実践的に考察し、未来に向けた文学・芸術研究の方法を探ることにある。このことは、情報化とグローバリゼーションの中で文学や芸術自体が変質を遂げつつある現在、人文科学にとってきわめて重要であるとともに、文学・芸術という研究対象の本質からして、安易な解決や方法論の提示を許さず、根本的な洞察のための時間を要する課題である。そこでは個別・具体的な事例研究と、原理的な考察との相互的フィードバックが不可欠であると思われる。このような認識を踏まえつつ、本プロジェクトにおいては海外から作家や研究者を招いたシンポジウ、国際会議、公開ワークショップを行い、その結果を報告書や論文集、単行本という形で公刊する活動を進めてきた。また、インターネット状況におけるアート発信の調査と分析、海外におけるアート・ワークショップの開催など、国内外において積極的な研究活動を展開し、そこで得られた経験を多様な角度から議論・検討するための学際的な場をつくり出そうとしてきた。扱う課題の本性上、短期間において目に見える成果を追い求めるよりも、長い歴史的な射程の中で真に新たな人文科学のあり方を作り出すための土台づくりこそが重要であり、本プロジェクトは少なくともそのための一歩を踏み出し得たものと考えている。

<学際性・社会提言・人材育成について特記すべき事項>

 これまでの人文科学はともすると地域的・分野的な閉鎖性にとらわれがちであったが、本プロジェクトでは文学、美学、美術史、演劇、映画、音楽、教育など多様な地域・分野の研究者からなる学際的な共同研究が行われている。また社会との関わりは本プロジェクトの研究課題そのものでもあるが、単に社会のニーズを満たすのではなく、既存の社会を批判的・反省的にとらえなおすことこそが、こうした研究の行いうる重要な社会提言であると考えられる。そうした考えに基づき、一般読者を対象とした出版活動や、文学・芸術教育の現場における教育目標や方法の提案を考える他、首都圏以外の様々な場所での会議の開催を通して、地域に根ざした社会提言の可能性を探っている。いうまでもなく新たな人文科学のためには若い世代の研究者の育成は急務であり、本プロジェクトではワークショップや研究集会における議論やその運営を積極的に大学院生や若手研究者を中心として行っている。

  

プロジェクト名:

文学・芸術の社会的媒介機能

グループ名:

文学・芸術の社会的統合機能の研究

リーダー名(所属):

山田 広昭
東京大学・大学院総合文化研究科

関連サイト:

   http://www.lac.c.u-tokyo.ac.jp/

組織構成:

田尻芳樹、総合文化研究科、国民文学の誕生と越境
野崎歓、総合文化研究科、芸術の生産・流通システムとメディア(映画)
安原伸一朗、東京大学・産学官連携研究員、共同体論/事務局・Webサイト
金澤忠信、東京大学・産学官連携研究員、共同体論/事務局・ワークショップ
和田雄志、未来工学研究所・21世紀社会システム研究センター、芸術の生産・流通システムとメディア(インターネット)

 上記のコアメンバー以外に全国の研究機関に20数名の研究協力者を数える。

これまでの研究成果:

<概要>

 本研究の目的は、近代の国民国家体制の形成に際して文学・芸術が果たしてきた美的、感性的紐帯の創出という役割をあらためて検討しなおすとともに、まさしくこの現在において、文学・芸術がその周囲にどのような共同性(共同体)を生み出しているのか、あるいは逆にどのような共同体がどのような美的、感性的活動を必要としているのかを探り出すことにある。これは、グローバリゼーションの波に洗われる現代世界において、文学・芸術が有する新たな公共性を形作る力の探求でもある。そうした目的にもとづいて、本研究では複合的な観点から、海外の研究者を含めた共同研究を推し進め、その成果を主としてシンポジウムや公開ワークショップの形で公にしてきた。これらの成果はプロジェクトのサイトでその概要を公開するとともに、一部は論文や単行本の形でも公刊されつつある。研究成果そのものについては現時点でなんらかの総括を行いうる段階にはないが、共同体とは何かといった原理論的な考察と、個別的な事例研究(世界の多くの地域にまたがり、また文学のみならず、映画や伝統芸能、インターネットにおける芸術発信などにも及ぶ)の並行的な遂行によって、さまざまな知見が積み重ねられつつある。また、若手研究者の育成という面でも、研究員としての採用やワークショップの継続的開催によって成果が上がり始めている。

<学際性について>

 本研究は、その対象の多様性(文学、映画、音楽など)においても、その地政学的条件の多様性や流動性においても、長い間「国民」文化と芸術ジャンルによる類別を固定的な枠組みとして編成されてきた人文学の発展的な組み替えをはかることなしには遂行することが難しい。いいかえれば、本研究はこれまで孤立的になされることが多かった文学・芸術研究に協同的探求のひとつの方向性を示し、異なる分野の研究者による真に学際的な共同研究の場となりうることをその目標の一つにしている。

<社会提言について>

 人文学的研究は、ある種の社会科学的な研究とは異なり、ただちに具体的な政策提言や、広く公衆に向けた問題解決の処方箋の提示へとつながることはまれであり、本研究についても、社会とのあいだのコミュニケーションは、主としてシンポジウムや、限られた専門家の集団をこえて一般読者を対象とする研究書の出版(それが多くの読者に迎え入れられることが前提だが)による。その目標は、社会に向けて現代社会における「文化」の次元の重要性を、文学や芸術がそなえる社会的機能、いいかえれば、それらが潜在的に持つ新たな公共性を形作る力を強調することで広く訴えていくことであり、同時に、それらの力がまちがった方向に使用される際の危険性について歴史的考察にもとづいた警鐘を鳴らすことである。これに加えて、個別的には、教育の現場(とりわけ、初等、中等教育の)における文学や芸術教育の目標や手段についてより直接的な提言を行うことも模索中である。

<人材育成について>

 若手研究者の育成という面では、産学官連携研究員としての採用(2名)を行うとともに、彼らを中心としたワークショップ(「共同体を考える」)を継続的に開催している。この若手研究者中心のワークショップにおいても、分野・領域をまたがるということがつねに意識されており、毎回2名から3名の発表者を招き、研究者間の貴重な出会いの場となっている。なおワークショップでの発表については18年度末に論集の出版を予定している。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

<シンポジウム>
2005年3月18日、東京大学駒場キャンパス、「文学・芸術と共同体?国民国家の臨界で」、発表者10名。
2005年6月2日、東京大学駒場キャンパス、「不思議の国? ベルギー・フランス語共同体の文学と芸術」、発表者4名。
2005年12月17日、東京大学駒場キャンパス、「私的領域からのアート発信?日本文化の基底を探る」、発表者6名。
2006年3月17日、東京大学駒場キャンパス、「精神分析的視点の可能性?文学、歴史、共同体」、発表者6名

<若手研究者ワークショップ>
2005年3月10日、東京大学駒場キャンパス(以下同様)、「共同体を考える」、発表者3名。
2005年7月26日、「共同体を考えるー19世紀のドイツとフランスにおける(反)近代」、発表者4名。
2005年9月27日、「共同体を考えるーJ.M.クッツェーと歴史の欲望」、発表者3名。
2005年11月24日、「共同体を考えるー病める国アメリカ」、発表者3名。
2006年3月27日、「共同体を考えるー文学・言語・政治」、発表者2名。
2006年6月10日、「共同体を考えるーヨーロッパ近代の照射、宗教と美術:東アジアのプリズムを通して」、発表者2名。 ほか

論文、著書等:

図書
田尻芳樹ほか、『J.M.クッツェーの世界、<フィクション>と<共同体>』、英宝社、2006年、288ページ。

論文
和田雄志「インターネットと日本人の感性」、「技術と経済」462号、p,58-63.2005年
安原伸一朗「紙の争奪戦、ナチス占領下のフランスにおける検閲と作家の文筆活動」、「言語情報科学」第4号、p.339-355、2005年
安原伸一朗「ポリティックとミスティック−シャルル・モーラスの文学と政治」、「言語態」第6号、p.121-131、2006年

  

プロジェクト名:

文学・芸術の社会的媒介機能

グループ名:

芸術とコミュニケーションに関する実践的研究

リーダー名(所属):

藤田 治彦
大阪大学・大学院文学研究科・CSCD

関連サイト:

   http://homepage2.nifty.com/art_communication/

組織構成:

藤田 治彦(大阪大学大学院 文学研究科 CSCD 教授 研究グループ長)
玉井 (大阪大学大学院 文学研究科 教授「環境文学」部門代表)
出原 隆俊(大阪大学大学院 文学研究科 教授)
奥平 俊六(大阪大学大学院 文学研究科 教授)
和田 章男(大阪大学大学院 文学研究科 教授)
永田 靖(大阪大学大学院 文学研究科 教授「コミュニティ・アート」部門代表)
伊東 信宏(大阪大学大学院 文学研究科助教授)
要 真理子(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター 講師)
佐藤 優香(国立歴史民俗博物館 助手)
茂木 一司(群馬大学 教育学部 助教授「アート・ワークショップ」部門代表)
上田 信行(同志社女子大学 現代社会学部 教授)
福本 謹一(兵庫教育大学 教授)
宮田 義郎(中京大学 情報科学部 教授)
苅宿 俊文(大東文化大学 文学部 助教授)
原田 泰(元多摩美術大学 デザイン学部 助教授)
三木 順子(京都工芸繊維大学 工芸学部 助教授)
服部 正(兵庫県立美術館 学芸員)
高安 啓介(愛媛大学 法文学部 助教授)

これまでの研究成果:

<概要>

 本研究グループは「芸術と福祉」「環境と文学」「コミュニティ・アート」「アート・ワークショップ」の4部門からなる。「芸術と福祉」部門が中心となって、平成17年3月に、国際フォーラム「芸術・コミュニケーション・デザイン」を大阪で、平成17年7月には倉敷2005「芸術と福祉」国際会議を倉敷で開催した。「環境と文学」部門はフォーラム「環境と文学」を平成17年3月と平成18年3月に開催した。「コミュニティ・アート」部門は、「コミュニティ・アート」シンポジウムおよび実践会を開催した。「アート・ワークショップ」部門は、平成17年8月に、インドネシアのバリ(ウブド地区)で小学生を対象としたアート・ワークショップを開催した。また、「芸術と福祉」が中心となって、「ミュージアムデザイン研究会が組織され、毎月一回のペースで、研究会を開催している。各部門は、『国際フォーラム「芸術・コミュニケーション・デザイン」論文集』や『倉敷2005「芸術と福祉」国際会議論集』をはじめとする論集やパンフレットを刊行している。

<学際性について>

 本研究グループは、美学、美術史学、演劇学、音楽学、西洋文学、日本文学、デザイン学、美術教育学などの専門家で構成されている。研究自体も学際的性格をさらに高めるような設定がなされている。「芸術と福祉」部門は文字通り芸術と福祉の交流であり、「コミュニティ・アート」部門は美術、演劇、音楽という諸芸術間および諸芸術と地域との交流にかかわる。今後は「芸術とコミュニケーション」合同研究会をスタートさせて、4部門全体の学際的交流を図る。

<社会提言について>

 「コミュニティ・アート」部門では地域社会における芸術のあり方を、「アウトサイダー・アート」のプロジェクト等を通じて問い、実践を重ねている。「アートワークショップ」部門では、子供をおもな対象に社会的提言をおこなっている。「環境と文学」部門では、文学の社会的広がりを念頭において、環境文学に関するフォーラムを展開している。「芸術と福祉」部門が中心になって運営している「芸術と福祉」国際会議は、2005年には倉敷で開催され、その反響は倉敷・岡山県内にとどまらず、他都道府県や台湾にも及んだ。同国際会議は2006年度は公州国立博物館を主会場に韓国で開催されることが決まり、地域に根ざした社会提言を国際的に繰り広げつつある。

<人材育成について>

 「芸術と福祉」「環境と文学」「コミュニティ・アート」「アート・ワークショップ」ともに若手研究者の育成に力を入れている。「芸術と福祉」部門を中心に運営されている「ミュージアムデザイン研究会」は企画・運営ならびに広報や記録にも大学院生が活躍している。2006年度から始まった「芸術とコミュニケーション」合同研究会でも、上記研究会の運営方式を参考に、大学院生や若手研究者が運営に参加し、なおかつ、その活動が経験や業績の蓄積につながるように考えている。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

2005年3月14・15日 大阪大学 中之島センター 国際フォーラム「芸術とコミュニケーション」
2005年3月18日 大阪大学 豊中キャンパス 文学部本館 「環境と文学」第1回フォーラム
2005年3月21日 大阪大学 中之島センター 「コミュニティ・アート」連続シンポジウム(1)
2005年5月15日 愛媛県美術館 フォーラム「イームズ・デザイン&地域におけるモダンデザイン」
2005年6月15日 大阪大学修学館 コミュニティ・アート実践会「方法主義」と「逆シミュレーション音楽」
2005年7月26−29日 倉敷公民館大ホール他 倉敷2005「芸術と福祉」国際会議
2005年8月16−22日 バリ島 プリ・ルキサン美術館 キッズゲルニカ展ワークショップ
2005年11月6日 目黒区民センターホール「芸術とコミュニケーション:21世紀イームズ・デザインの社会的可能性」
2005年12月17日 滋賀県近江八幡市 ボーダレス・アートギャラリーNO・MA 「アウトサイダー・アート」−その解釈と公開−
2006年3月17日 大阪大学 豊中キャンパス 文学部本館 「環境と文学」第2回フォーラム

論文、著書等:

永田靖、"演劇史とナショナル・モデル−ロシアにおける演劇史記述の諸問題"『演劇学論叢』、7号、249−268、2004.12
藤田治彦・要真理子(共編)、『国際フォーラム「芸術・コミュニケーション・デザイン論文集』、1−122、2005.3
茂木一司(共著)、"知的障害児の美術教育の実践研究 ケータイというメディアの可能性"『日本美術教育論集』、38巻、129−136、2005.3
下原美保・茂木一司、「演劇的要素を取り入れた美術鑑賞の実践研究−教員養成大学における小学校教科専門科目:図画工作の授業改善の試みー」『大学美術教育学会誌』、第37号、455−462、2005.3
茂木一司・角倉淳介、「知的障害児の美術教育 第3報」『群馬大学教科教育研究』、第3号、69−82、2005.3
茂木一司、「地域貢献事業報告:ハートフルアート展−地域に根ざした障害児のアート活動への支援−」『群馬大学教科教育研究』、第4号、25−34、2005.3
茂木一司(共著)、「地域理解のためのメディア・リテラシー実践−異文化交流とオルタナティブなコミュニケーション回路構築−」日本教育メディア学会『教育メディア研究』、第2号、73−79、2005.6
藤田治彦・要真理子(共編)、『倉敷2005「芸術と福祉」国際会議論集』、1−268、2005.7
藤田治彦、「漢文から和文へ、文字と言葉のロマン」『なごみ』、70−74、2006.1
高安啓介(共著)、 『地域芸術のアクチュアリティー−愛媛からの発信−』愛媛大学地域創成研究センター編、3巻、229−254、2006.3
茂木一司、吉永雅明、「映像・メディア・ワークショップの実践的研究-障害児を事例に-」『群馬大学教育実践研究』、第23号、177〜196、2006.3
茂木一司、福本謹一、阿部寿文、佐藤優香(共著)"情報メディア時代の新しい芸術の学び 造形・メディア・ワークショップにおけるファッシリテータ−の役割と共同的学びの事例"『大学美術教育学会誌』、38巻、359−366、2006.3
和田章男、「ジャン・ジオノの「自然」−環境文学の誕生」、『シュンポシオン』(高岡幸一教授退職記念論文集)、朝日出版社、295-304、2006.3