プロジェクト名:
資源配分メカニズムと公正
グループ名:
貧困・格差研究
リーダー名(所属):
青山 和佳 和洋女子大学・人文学部国際社会学科
関連サイト:
組織構成:
青山 和佳(和洋女子大学人文学部)、グループ長、事例研究(フィリピン)
下村 恭民(法政大学人間環境学部)、アドヴァイザー、内外研究交流調整
受田 宏之(武蔵大学経済学部ほか)、グループ長補佐、事例研究(メキシコ)
小林 誉明(国際協力銀行開発金融研究所)、理論(政治学)
初鹿野 直美(アジア経済研究所)、理論(開発学研究)
東方 孝之(アジア経済研究所)、事例研究(インドネシア)
船田 クラーセン さやか(東京外国語大学外国語学部)、事例研究(モザンビーク)
宮地 隆廣(東京大学大学院総合文化研究科)、理論(政治学)・事例研究(ボリビア)
これまでの研究成果:
<概要>
貧困・格差研究グループでは、ある国家や地域において不利な資源配分状況におかれてきた少数民族(マイノリティ)に焦点を絞り、彼らの貧困とそれに対する援助の影響というテーマをとり上げる。研究手法として、ミクロの事例研究を積み重ね、それらと既存の諸理論を付き合わせる作業を通じて、一般的な政策含意を提起することを目指す。本格的スタート地点となった17年度には、事例研究者と理論研究者からなる研究を推進するための体制を整え、メンバー共通の分析枠組作りを探究した。定例的に研究会を開催し、開発援助研究の重要文献を読みこなしてきた。その結果、リサーチ・デザインと各メンバーの個別研究の位置づけを明確化できた。また、(財)統計研究会を事務局とする「貧困の学際的研究」グループ(主査・下村恭民)との研究会を共催した。研究成果は、個別に学会報告、学術雑誌その他の出版物に発表してきた。ほかに、年度内に中間報告書をとりまとめた。
<学際性について>
メンバーは、1) 事例研究担当者と 2) 理論研究担当者、に大別される。前者は現地語に通じるフィールドワーカーからなり、対象地域は東南アジア(フィリピン、インドネシア)、アフリカ(モザンビーク)、ラテンアメリカ(メキシコ、ボリビア)の計3地域・5カ国である。後者は政治学、開発研究の専門家を含み、事例研究を一般化し、政策提言につなげていくための枠組を検討していく。このような役割分担を前提としながらも、分析の枠組作りには、事例研究担当者もそれぞれの学問的背景(開発経済学、国際関係論、国際社会学、文化人類学)を生かして参加する。これにより、個別の事例研究、個別のディシプリンが抱え込んでいる論理の制約を超えるという意味での、「学際的」研究を目指して活動している。他グループとの交流を重ね、「資源配分メカニズムと公正」という共通テーマに向かって研究成果を取りまとめるプロセスで、さらに学際性を高めたい。
<社会提言について>
本研究グループでは、1)成果を英語と日本語で執筆・出版するほかに、2)活動の社会的意義として少数民族への援助政策の改善に資すること、を目指している。狭義の研究者だけでなく、援助関係者や少数民族の指導者らにも成果を還元する。ワークショップやシンポジウムの開催を通じて、より広範に研究成果を公開していく。「少数民族と援助の政治経済学」の枠組に基づいた学術図書のほか、現地調査で収集が期待される一次資料の記録性、現場性を生かして、より幅広い読者を想定した一般書を執筆・公刊する。特に、日本における「社会提言」という意味では、援助という現象を通じて、国民と受益者がつながっている関係性の構図をわかりやすく提示することで、当テーマに対する市民の関心、理解を喚起したい。他のグループとも、シンポジウムの共催、学術書(英文)ないし若者向け新書の共同執筆といった形で連携しながら、社会への発信を行う計画である。
<人材育成について>
研究グループ発足の段階より、若手研究者のリーダーシップと研究能力の向上を目的の1つとしてきた。実際、メンバーの中心は、博士論文作成前後という意味でキャリアの若い研究者である。これらのメンバーが、<学際性について>で述べたように、研究計画立案の段階から積極的に参加しており、共同研究プロジェクトの運営に関わるスキルを学びながら、個々の研究能力の向上とメンバー間での問題関心の深化を追求してきた。抽象化への志向、専門とする地域あるいは地域研究の手法等において異なる研究者との相互作用を通じて、参加者が新しい視点、技能を身につけることを期待している。人材育成への貢献を広げるため、<組織構成>に挙げたメンバーに限定されることなく、研究会や報告書作成といった機会をできるだけ生かして、多くの若手研究者の参加と協力を募っている。
シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:
<資源・技術研究グループと共催のワークショップ> (参加人数は40名程度)
2004年7月24日 東京大学先端科学技術研究センター
科学技術社会論研究会のワークショップ「資源配分メカニズムのミクロ・ポリティクス」における報告 青山和佳 「フィリピン、ダバオ市のサマ移民のキリスト教受容」
<貧困の学際的研究会と共催のワークショップ> (参加人数は10〜20名程度)
2004年3月7日 (財)統計研究会
スダルノ氏(SMERU) 「インドネシアの貧困」
2004年3月26日(財)統計研究会
ニサンケ氏(ロンドン大学SOAS)「グローバリゼーションと貧困」
2004年10月22日(財)統計研究会
ゲバラ氏(アテネオ・デ・マニラ大学)「フィリピンの貧困」
2006年3月3日 経済社会総合研究所
アスレイナー氏(メリーランド大学)「知識社会における信頼と経済成長」
論文、著書等:
<論文>
1)青山和佳「ポスト・エドサ期のフィリピンにおける貧困対策と市民社会に関する一考察−ダバオ市のサマ・ディラウトの事例−」『ECO-FORUM』24(3),16-26, 2006年.2)青山和佳・受田宏之「少数民族と援助の社会的影響」『和洋女子大学紀要』第46集人文系編,1-22,2006年.3)受田宏之「メキシコ先住民コミュニティにおける教育普及−オトミーの事例−」『アジア経済』47(4),39-68, 2006年4月.4)小林誉明「コミュニティーの安全保障と健康危機管理」『季刊 Shelter-less』No.23,35-43,2005年.5)小林誉明「Pro-poor政策決定のインセンティブ構造−国内的起源と国際的起源−」『ECO-FORUM』24(3),58-69, 2006年.6)初鹿野直美「貧困の国際政治学−「貧困削減」の背後の政治力学−」『アジ研ワールド・トレンド』 No.117,24-27,2005年6月号.7)東方孝之「貧困の政治経済学−政治参加と貧困」『アジ研ワールド・トレンド』,No.117,8-11, 2005年6月号.8)船田クラーセンさやか「現代モザンビーク政治における『連帯/統一』と『分裂』の起源−モザンビーク北部における解放闘争期を中心に−」 2005年4月津田塾大学提出博士学位請求論文.
<著書>
1)青山和佳『貧困の民族誌−フィリピン・ダバオ市におけるサマの生活−』東京大学出版会,426頁,2006年1月.2)受田宏之「現代メキシコの貧困」坂井正人・鈴木紀編 『新世界地理第14巻ラテンアメリカ』 朝倉書店,2006年(予定).3)受田宏之「先住民二言語教育の理想と現実:メキシコのオトミーの事例」米村明夫編『貧困克服と教育発展の諸主体−メキシコとブラジル−』明石書店,2006年(予定).
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