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人文・社会科学振興プロジェクト研究事業

プロジェクト研究の成果

 
 
プロジェクト研究一覧表
 
平成18年7月作成

研究領域 4
Project Number 4-3


プロジェクト研究名:

資源配分メカニズムと公正

プロジェクト・リーダー名(所属):

佐藤 仁
東京大学大学院・新領域創成科学研究科・助教授

平成17年度までの研究成果について

<概要>

 第一グループ「分配問題としてのインフラ/資源開発」(コアリーダー:湊隆幸)のうち、「技術と人間の選択肢」をコアテーマとする第一班は、(1)「技術の政治性」に関する理論考察の深長、(2)事例の抽出および分析を中心に行い、内外の研究者を招いた研究会、学会およびシンポジウム等での発表を行った。また、若手研究者育成のために、博士学生への指導および事例研究を補助するとともに、修士学生のRAを採用し、広範な事例研究を開始している。一方、「資源化の社会的プロセス」をテーマとする第二班(コアリーダー:佐藤仁)では、稀少性や資源の概念整理について、理論的な研究の出版を果たしたと同時に、タイの津波被災地における現地調査を踏まえた援助資源の配分問題を扱い、論文執筆とともに学会発表などを通じて社会提言を行った。
 第二グループ「貧困・格差研究」(コアリーダー:青山和佳)では、ある国家や地域において不利な資源配分状況におかれてきた少数民族(マイノリティ)に焦点を絞り、彼らの貧困とそれに対する援助の影響というテーマをとり上げ、ミクロの事例研究と既存の諸理論を付き合わせる作業を続けてきた。定例的に研究会を開催し、開発援助研究の重要文献を読みこなしながら、事例研究者と理論研究者からなる研究を推進するための体制を整え、メンバー共通の分析枠組作りを探究した。その結果、リサーチ・デザインと各メンバーの個別研究の位置づけを明確化できた。また、(財)統計研究会を事務局とする「貧困の学際的研究」グループ(主査・下村恭民)との研究会を共催した。研究成果は、個別に学会報告、学術雑誌その他の出版物に発表してきた。ほかに、年度内に中間報告書をとりまとめた。

<学際性・社会提言・人材育成について特記すべき事項>

 第一グループ、第二グループともに、メンバーは複数の事例研究担当者と理論研究担当者から構成されている。前者は東南アジア(タイ、フィリピン、インドネシア)、アフリカ(ザンビア、モザンビーク)、ラテンアメリカ(メキシコ、ボリビア)など多岐にわたる。後者は政治学、開発研究、技術哲学などの専門家を含み、事例研究を一般化し、政策提言につなげていくための枠組を検討していく。
 このような役割分担を前提としながらも、分析の枠組作りには、事例研究担当者もそれぞれの学問的背景(開発経済学、国際関係論、国際社会学、文化人類学、工学)を生かして参加する。これにより、個別の事例研究、個別のディシプリンが抱え込んでいる論理の制約を超えるという意味での「学際的」研究を目指して活動している。
 社会提言の道筋は、書籍の執筆を通じた一般社会への発信と技術者や政策立案者といった制度設計担当者への発信、研究分担者が各大学で担当する授業へのエッセンスの取り込みの3つに分けられる。第一グループは、むしろ政策の生産者をターゲットとして、分配や公正に配慮した選択肢が、いかに採算性や安全性といった通常もちいられる価値基準を犠牲にしなくても達成できるのかを個別案件ごとに認識できるようにする簡易な評価マトリックスの作成を目指す。また、場合によってはJICAなどの案件に成果の一部をいれていく可能性についても模索する。第二グループの成果とも連携させながら、発展途上国に対する援助介入の具体的な改善(とくに人間の安全保障に対する配慮)をめざす。

  

プロジェクト名:

資源配分メカニズムと公正

グループ名:

分配問題としてのインフラ/資源開発

リーダー名(所属):

湊 隆幸
東京大学大学院・新領域創成科学研究科

関連サイト:

   http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/rdm/

組織構成:

湊 隆幸(東京大学大学院新領域創成科学研究科助教授、グループ長)
佐藤 仁(東京大学大学院新領域創成科学研究科助教授、プロジェクトリーダー)
安部 竜一郎(四国学院大学社会学部応用社会学科助教授、事例調査担当)
永田 淳嗣(東京大学大学院総合文化研究科助教授、インドネシア事例調査)
直江 清隆(山形大学教育学部助教授、技術の政治性に関する理論研究担当)
新井 祥穂(東京大学大学院総合文化研究科助手、沖縄の農業政策に関する理論研究)
渡部 厚志(東京大学大学院新領域創成科学研究科産学官連携研究員、東北タイ事例調査)
趙 公章(環境政策・評価研究院・責任研究員、韓国における環境資源評価の事例研究)
松本 悟(メコン・ウォッチ代表理事、途上国における資源配分の理論研究)
王 智弘(東京大学大学院新領域創成科学研究科D3、資源配分の離島的考察)
Pitch Sutheerawatthana(東京大学大学院新領域創成科学研究科D3、タイ事例調査担当)
杉浦 未希子(東京大学大学院新領域創成科学研究科D3、水資源分配に関する実証研究)
野村 彩子(東京大学大学院新領域創成科学研究科D2、教育資源配分に関する理論研究)
乙黒 聡子(東京大学大学院新領域創成科学研究科M2、災害復興時資源配分の事例研究)
石曾 根道子(東京大学大学院新領域創成科学研究科M2、ザンビアの鉱物資源の研究)

これまでの研究成果:

<概要>

 極端に不公正な資源の分配は、紛争や暴力の原因となり、社会秩序を不安定にし、持続性を損なう。本研究では、資源配分に関わる技術の問題を、機能的・経済的側面からではなく技術の政治性という観点から副次的な影響に着目し、2つのアプローチで分配メカニズムを研究する。
 第1班は、インフラを対象に、技術を「人間活動」と「選択肢拡大」の媒体として捉え、人工物と社会の連関についての考察を行った。特定の地域のインフラ整備が、順調な社会経済開発につながることもあれば、社会環境変化に重大な問題を引き起こすこともある。そこで、インフラ設置過程における必要条件としての設計規準、社会とのインターフェイス、意思決定システムなどが持つ分配論的メカニズムを技術の政治性の面から体系的に分析することを試みている。
 第2班は、資源そのものが社会で果たす役割に注目し、配分メカニズムを根本から再検討する。とりわけ、自然が資源になるときのメカニズムや二次的な作用についての事例研究を蓄積し続けることで、資源配分メカニズムの理論化を試みたい。2004年末のスマトラ沖地震に伴う津波被災地における財の分配と土地や社会関係資本といった資源との相互作業の分析を通じて、政策的なインプリケーションのある研究領域の開拓をめざしてきた。

<学際性について>

 資源配分の格差を生み出し、構造的にそれを維持している社会システムの背後にある意思決定、結果としての配分を総合的に捉えるには、政治学、理論経済学、現場重視の開発研究、意思決定科学、工学、社会学といった諸分野の協同が不可欠である。
 こうした観点から、本研究グループの活動においては、資源化・インフラに関して工学的・社会学・政治学・経済学的方法論に基づく実証研究と、哲学や政治学、経済学、社会倫理学の背景を持つ理論研究との交流を試みてきた。また、メンバーが行ってきた実証研究のフィールドは、タイ、インドネシア、日本、ザンビアなどきわめて多様である。
 17年度までに行われた研究会・シンポジウムにおいては、このように異なる分野・地域に背景を持つメンバーの意見交換により、方法論や得られたデータ、知見を共有することが可能になっている。

<社会提言について>

 社会提言の道筋は、書籍の執筆を通じた一般社会への発信と技術者や政策立案者といった制度設計担当者への発信、研究分担者が各大学で担当する授業へのエッセンスの取り込みの3つに分けられる。人工物と資源のグループは、むしろ政策の生産者をターゲットとして、分配や公正に配慮した選択肢が、いかに採算性や安全性といった通常もちいられる価値基準を犠牲にしなくても達成できるのかを個別案件ごとに認識できるようにする簡易な評価マトリックスの作成を目指す。また、場合によってはJICAなどの案件に成果の一部をいれていく可能性についても模索する。貧困・格差グループの成果とも連携させながら、発展途上国に対する援助介入の具体的な改善(とくに人間の安全保障に対する配慮)をめざす。

<人材育成について>

 研究グループのメンバーの大部分は博士課程を中心とする大学院生であり、研究プロセスそのものが人材育成であると考えている。とりわけ、所属は同じでも異なる分野の若手が集まっているので、他の分野の研究者と効果的なコミュニケーションがとれる人材育成を意識して、研究を進めている。また、出版にも力をいれ、若手の諸君ができるだけ早く印刷されたものを世に問う経験ができるよう工夫している。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

  • シンポジウム"Crossing Borders in Sustainability Development: Social Scientific Contribution"、2006年2月4日、東京大学本郷キャンパス山上会館、参加人数40名(うち外国人10名)
  • ワークショップ「人工物の政治性を巡って」2006年3月15日、東京大学先端科学技術研究センター13号館、(第49回「科学技術社会論研究会」ワークショップと共催、参加人数20名)
  • 「資源配分メカニズムのミクロ・ポリティクス」研究交流会 2004年7月24日(土)、東京大学先端科学技術研究センター13号館(第41回「科学技術社会論研究会」ワークショップと共催、参加人数50名)
  • 研究成果発表会 2005年3月29日(火)、東京大学山上会館

論文、著書等:

<雑誌論文>

  • 杉浦未希子・東智美 「『稀少性の歴史』再考−稀少性概念の誕生とその変化が意味すること−」、社会理論研究、6号、2005年、pp98−105
  • Jin Sato, "Towards the New Generation of Resource Professionals," Proceedings of a Regional Seminar on Natural Resources and Environmental Management in the Greater Makong Sub-Region, pp.24-30.
  • 佐藤仁 「スマトラ沖地震による津波被害の教訓と生活復興への方策:タイの事例」、地域安全学会論文集、7、2005、pp433−442
  • ピッチ、S. 「メラピ山における環境破壊:人工物の政治性の観点から」、科学技術社会論学会第4回年次研究大会予稿集、2005、pp291−294
  • 渡部厚志、「開発下農村での教育参加と生活設計〜東北タイ3農村の生活史調査から」、アジア・アフリカ研究、46巻1号、2006
  • 渡部厚志、「農村開発下における生活資源獲得・利用の変容〜東北タイの事例」、Keio SFC Journal、5巻1号(2006年9月刊行予定)

<図書>

  • 直江清隆 単著 「技術の哲学と倫理」  新田孝彦、蔵田伸雄、石原孝二編『科学技術倫理を学ぶ人のために』 共著 平成17年7月 世界思想社
  • 佐藤仁 「日本における資源社会科学の創成と未発達」(松原望・丸山真人編)、『アジア太平洋環境の新視点』、彩流社、2005
  • アッシャー、ウィリアム著 佐藤仁訳 『発展途上国の資源政治学:なぜ政府は資源を無駄にするのか』、東京大学出版会、2006
  

プロジェクト名:

資源配分メカニズムと公正

グループ名:

貧困・格差研究

リーダー名(所属):

青山 和佳
和洋女子大学・人文学部国際社会学科

関連サイト:

   http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/rdm/

組織構成:

青山 和佳(和洋女子大学人文学部)、グループ長、事例研究(フィリピン)
下村 恭民(法政大学人間環境学部)、アドヴァイザー、内外研究交流調整
受田 宏之(武蔵大学経済学部ほか)、グループ長補佐、事例研究(メキシコ)
小林 誉明(国際協力銀行開発金融研究所)、理論(政治学)
初鹿野 直美(アジア経済研究所)、理論(開発学研究)
東方 孝之(アジア経済研究所)、事例研究(インドネシア)
船田 クラーセン さやか(東京外国語大学外国語学部)、事例研究(モザンビーク)
宮地 隆廣(東京大学大学院総合文化研究科)、理論(政治学)・事例研究(ボリビア)

これまでの研究成果:

<概要>

 貧困・格差研究グループでは、ある国家や地域において不利な資源配分状況におかれてきた少数民族(マイノリティ)に焦点を絞り、彼らの貧困とそれに対する援助の影響というテーマをとり上げる。研究手法として、ミクロの事例研究を積み重ね、それらと既存の諸理論を付き合わせる作業を通じて、一般的な政策含意を提起することを目指す。本格的スタート地点となった17年度には、事例研究者と理論研究者からなる研究を推進するための体制を整え、メンバー共通の分析枠組作りを探究した。定例的に研究会を開催し、開発援助研究の重要文献を読みこなしてきた。その結果、リサーチ・デザインと各メンバーの個別研究の位置づけを明確化できた。また、(財)統計研究会を事務局とする「貧困の学際的研究」グループ(主査・下村恭民)との研究会を共催した。研究成果は、個別に学会報告、学術雑誌その他の出版物に発表してきた。ほかに、年度内に中間報告書をとりまとめた。

<学際性について>

 メンバーは、1) 事例研究担当者と 2) 理論研究担当者、に大別される。前者は現地語に通じるフィールドワーカーからなり、対象地域は東南アジア(フィリピン、インドネシア)、アフリカ(モザンビーク)、ラテンアメリカ(メキシコ、ボリビア)の計3地域・5カ国である。後者は政治学、開発研究の専門家を含み、事例研究を一般化し、政策提言につなげていくための枠組を検討していく。このような役割分担を前提としながらも、分析の枠組作りには、事例研究担当者もそれぞれの学問的背景(開発経済学、国際関係論、国際社会学、文化人類学)を生かして参加する。これにより、個別の事例研究、個別のディシプリンが抱え込んでいる論理の制約を超えるという意味での、「学際的」研究を目指して活動している。他グループとの交流を重ね、「資源配分メカニズムと公正」という共通テーマに向かって研究成果を取りまとめるプロセスで、さらに学際性を高めたい。

<社会提言について>

 本研究グループでは、1)成果を英語と日本語で執筆・出版するほかに、2)活動の社会的意義として少数民族への援助政策の改善に資すること、を目指している。狭義の研究者だけでなく、援助関係者や少数民族の指導者らにも成果を還元する。ワークショップやシンポジウムの開催を通じて、より広範に研究成果を公開していく。「少数民族と援助の政治経済学」の枠組に基づいた学術図書のほか、現地調査で収集が期待される一次資料の記録性、現場性を生かして、より幅広い読者を想定した一般書を執筆・公刊する。特に、日本における「社会提言」という意味では、援助という現象を通じて、国民と受益者がつながっている関係性の構図をわかりやすく提示することで、当テーマに対する市民の関心、理解を喚起したい。他のグループとも、シンポジウムの共催、学術書(英文)ないし若者向け新書の共同執筆といった形で連携しながら、社会への発信を行う計画である。

<人材育成について>

 研究グループ発足の段階より、若手研究者のリーダーシップと研究能力の向上を目的の1つとしてきた。実際、メンバーの中心は、博士論文作成前後という意味でキャリアの若い研究者である。これらのメンバーが、<学際性について>で述べたように、研究計画立案の段階から積極的に参加しており、共同研究プロジェクトの運営に関わるスキルを学びながら、個々の研究能力の向上とメンバー間での問題関心の深化を追求してきた。抽象化への志向、専門とする地域あるいは地域研究の手法等において異なる研究者との相互作用を通じて、参加者が新しい視点、技能を身につけることを期待している。人材育成への貢献を広げるため、<組織構成>に挙げたメンバーに限定されることなく、研究会や報告書作成といった機会をできるだけ生かして、多くの若手研究者の参加と協力を募っている。 

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

<資源・技術研究グループと共催のワークショップ> (参加人数は40名程度)
2004年7月24日 東京大学先端科学技術研究センター
科学技術社会論研究会のワークショップ「資源配分メカニズムのミクロ・ポリティクス」における報告 青山和佳 「フィリピン、ダバオ市のサマ移民のキリスト教受容」

<貧困の学際的研究会と共催のワークショップ> (参加人数は10〜20名程度)
2004年3月7日 (財)統計研究会
スダルノ氏(SMERU) 「インドネシアの貧困」
2004年3月26日(財)統計研究会
ニサンケ氏(ロンドン大学SOAS)「グローバリゼーションと貧困」
2004年10月22日(財)統計研究会
ゲバラ氏(アテネオ・デ・マニラ大学)「フィリピンの貧困」
2006年3月3日 経済社会総合研究所
アスレイナー氏(メリーランド大学)「知識社会における信頼と経済成長」

論文、著書等:

<論文>
1)青山和佳「ポスト・エドサ期のフィリピンにおける貧困対策と市民社会に関する一考察−ダバオ市のサマ・ディラウトの事例−」『ECO-FORUM』24(3),16-26, 2006年.2)青山和佳・受田宏之「少数民族と援助の社会的影響」『和洋女子大学紀要』第46集人文系編,1-22,2006年.3)受田宏之「メキシコ先住民コミュニティにおける教育普及−オトミーの事例−」『アジア経済』47(4),39-68, 2006年4月.4)小林誉明「コミュニティーの安全保障と健康危機管理」『季刊 Shelter-less』No.23,35-43,2005年.5)小林誉明「Pro-poor政策決定のインセンティブ構造−国内的起源と国際的起源−」『ECO-FORUM』24(3),58-69, 2006年.6)初鹿野直美「貧困の国際政治学−「貧困削減」の背後の政治力学−」『アジ研ワールド・トレンド』 No.117,24-27,2005年6月号.7)東方孝之「貧困の政治経済学−政治参加と貧困」『アジ研ワールド・トレンド』,No.117,8-11, 2005年6月号.8)船田クラーセンさやか「現代モザンビーク政治における『連帯/統一』と『分裂』の起源−モザンビーク北部における解放闘争期を中心に−」 2005年4月津田塾大学提出博士学位請求論文.

<著書>
1)青山和佳『貧困の民族誌−フィリピン・ダバオ市におけるサマの生活−』東京大学出版会,426頁,2006年1月.2)受田宏之「現代メキシコの貧困」坂井正人・鈴木紀編 『新世界地理第14巻ラテンアメリカ』 朝倉書店,2006年(予定).3)受田宏之「先住民二言語教育の理想と現実:メキシコのオトミーの事例」米村明夫編『貧困克服と教育発展の諸主体−メキシコとブラジル−』明石書店,2006年(予定).