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人文・社会科学振興プロジェクト研究事業

プロジェクト研究の成果

 
 
プロジェクト研究一覧表
 
平成18年7月作成

研究領域 4
Project Number 4-1


プロジェクト研究名:

千年持続学の確立

プロジェクト・リーダー名(所属):

木村 武史
筑波大学大学院・人文社会科学研究科

平成17年度までの研究成果について

<概要>

 本プロジェクトは「都市の持続性に関する学融合的研究」(代表 東京大学 村松伸)・「社会制度の持続性に関する学融合的研究」(代表 総合地球環境学研究所 加藤雄一)・「心性の持続性に関する学融合的研究」(代表 筑波大学 木村武史)の三コア研究グループからなり、各コア研究は個々別々に研究を進めながら、同時に交流を行い、千年持続学の確立に向けて学融合的研究を進めている。
 「都市の持続性」グループでは、6000年の過去から現在までに存在した、地球上の都市の盛衰をさまざまなディシプリンで比較分析することによって、今後の都市のあり方に対する哲学的解答を模索し、同時に、それを利用しつつ、実践的貢献を社会に及ぼすことを目標とし研究を行ってきた。そして、内外の専門家を交えた「都市の持続性フォーラム」の開催、ウランバートル・サマルカンド・インドネシア・テヘランの学融合的都市フィールド調査、小学生向け都市持続性学習プログラムの開発と実践、都市の持続の社会実践と協働手法の開発と実施し、理論、実践の総合化を図っている。
 「社会制度の持続性」グループでは、前後近千年という視座をもって、交易を横軸としながら、東アジア地域における社会制度変遷(何が常態であって、あるイヴェントが起こったときに社会は何を継承し、何を継承しなかったのか、また何を創成したのか)という縦軸を発言資料と沈黙資料の両側面から探っている。具体的には、同様に清朝・日本本土に対する従属的な交易を行ってきたアイヌと琉球において、一方は国家を形成し、一方は国家を形成しなかったことに関して比較研究を行っている。同時に、両者を繋ぐ結節点たる満洲とメインランド・チャイナ、台湾、日本列島中央部についても物品交易に関する制度変遷を通じて研究を進め、新しい研究を行っている。
 「心性の持続性」グループでは、諸分野の研究者との学融合的研究からサステイナビリィー・スタディーズとでも呼べる一連の問題群が輪郭を表してきた。過去・現在・未来の時間軸と現代の共時的諸問題との相互作用の中でそれらに関わる種々の問題が複雑系的な現れ方をする。サステイナビリティー・スタディーズにおいては、一つの学問的分野からだけでは問いつくすことのできない多種多様な問題が複雑に絡み合っており、一つの問題を掘り下げると他の問題が表れてくるという問題の重層性がある。また、日本の学術の海外への発信という観点から日本と海外の研究者とのネットワーク構築を目指して、海外での国際会議を開催してきた。現在は自然科学の視点をも取り入れた人文社会科学的なサステイナビリティー・スタディーズの構想に向けて取り組むとともに、諸分野の研究者が社会との繋がりを念頭においた方向での研究成果を構想中である。

<学際性・社会提言・人材育成について特記すべき事項>

(学際性について)
 「都市の持続性」グループでは、都市論、都市史、都市分析学、都市計画学、都市デザイン学等の工学的領域のみならず、歴史学、文化人類学、都市商業学等の人文社会学者がメンバーであり、また、メンバーの研究対象地域も、東南アジア、インド、中央アジア、イスラーム地域、アフリカ等と世界中にまたがっている。また、フォーラム、フィールドワーク等では、さらに多くの学問領域の専門家を招聘し、学際性を高めている。同時に、都市に関する学問的立場の比較をすることによって、メタレベルで都市研究における学融合性の意義と意味を分析している。
 「社会制度の持続性」グループでは、諸分野の研究者、特に次世代を担う若手研究者が前後近千年という視座をもって協働して、交易を横軸としながら、東アジア地域における社会制度変遷(何が常態であって、あるイヴェントが起こったときに社会は何を継承し、何を継承しなかったのか、また何を創成したのか)という縦軸を発言資料と沈黙資料の両側面から探っていこうとする初めての試みを進めている。
 「心性の持続性」グループでは、今まで持続的開発や持続可能性を取り上げてこなかった人文社会科学諸分野の研究者に研究協力してもらっているので、サステイナビリティーを共通テーマに、各自の視点から見えてくる問題とその視点から可能な学融合の方向を実験的に提示してもらいながら、共同研究を進めてきている。各研究者によってサステイナビリティー概念が異なったり、分析に用いる概念や理論が異なるため、それらを相互に絡ませながら新たな研究領域の開拓を目指している。また、日本国内の研究者との学融合的関係だけではなく、海外の研究者にも本プロジェクトの視点を理解してもらい、同様に学融合的研究を進めてもらっている。

(社会提言について)
 「都市の持続性」グループでは、世界中の都市を歴史的に深い深度で比較分析することによって文明論的な言説として、社会へ今後の都市ありかたを提言ができると考えている。この最終的目標をめざして、フォーラム、フィールドワークを実施している。同時に、子供たちへの教育、市民との協働事業を実施し、その過程から、都市持続と社会という問題に対する理論的知見を獲得しつつある。これは実践と理論の合一的提言として結実する。
 「社会制度の持続性」グループでは、第一に、ホームページ上で東アジア環日本海地域の人々がいかに社会の中で制度を実践し継承させてきたのか、つまり、どのように社会を維持させてきたのかという戦略についての情報を現代社会の問題に関する情報と併せて公開して、社会提言の一つとしている。第二に、学術に寄り添う形の記事や意見を出せる雑誌類・新聞類のメディア媒体を通して、つまり、研究者としての社会に対する見解を発表することができるものを通して、社会提言を行っている。
 「心性の持続性」グループでは、本プロジェクトと社会との連携の一環として、平成17年度に「未来との対話」原稿の募集を行った。選考結果、本プロジェクトと「未来との対話」の趣旨に合致する11編をホームページ上に、著者の承諾の上、公開している。今後も同様の呼びかけを行う予定である。

(人材育成について)
 「都市の持続性」グループのメンバーの中には、多くの博士課程の学生がいて、フォーラムへの出席、フィールドワークの参加、その他のプログラムへの参加を通して、大学院生たちの人材育成に本グループは大いに貢献している。また、子供たちへの都市持続プログラムでは、大学院の学生が小学生を指導することによって、大学院生と小学生の異なった世代の人材育成を実施している。
 「心性の持続性」グループでは、大学院生レベルの研究協力者には海外への調査補助やアンケート結果分析のための補助を提供している。平成17年度には4名の大学院生の海外研究調査の補助を行った。そのうち1名は18年度から一年間海外に留学する機会を得ることができるようになった。また、本プロジェクトの教育への還元として、学類(学部)生向けのサステイナビリティー・スタディーズ研究会を開始した。

  

プロジェクト名:

千年持続学の確立

グループ名:

心性の持続性に関する学融合的研究

リーダー名(所属):

木村 武史
筑波大学大学院・人文社会科学研究科

関連サイト:

   http://www.logos.tsukuba.ac.jp/~sen-mind/top.htm

組織構成:

木村 武史、筑波大学、総括ならびにサステイナビリティー・スタディーズの構想
久保 徹、筑波大学、ギリシア哲学と環境倫理
井出 里咲子、筑波大学、サステイナビリティーにおける言語の役割
箕輪 真理、筑波大学、ミクロ経済学と持続可能な開発
渡邊 和男、筑波大学、植物資源学・民族植物学・バイオディプロマシー
古沢 広祐、國學院大學、有機農業運動と持続可能な社会
小塩 和人、日本女子大学、環境法と環境資源
蓮井 誠一郎、茨城大学、平和学と開発
棚次 正和、京都府立医科大学、宗教哲学と持続可能性
レスリー・バウゾン、筑波大学、フィリピンの多民族文化と持続可能性
近藤 エディソン、筑波大学、持続可能性と公共政策
佐久間 秀範、筑波大学、仏教と自然環境倫理
塩尻 和子、 筑波大学、イスラームと持続可能な社会
佐藤 貢悦、筑波大学、中国文化とサステイナビリティー
小野 基、筑波大学、仏教論理と倫理
山田 重郎、筑波大学、古代文明論
木村 マリアン、筑波大学、文学とサステイナビリティー
渡辺 志保、筑波大学、フィリピンのNGOと持続可能な開発
柏木 健一、在エジプト日本国大使館、中東社会の持続可能性
カール・べーカー、京都大学、日本の伝統宗教倫理と持続可能な社会

これまでの研究成果:

<概要>

 今まで行ってきた諸分野の研究者との学融合的研究からサステイナビリィー・スタディーズとでも呼べる一連の問題群が輪郭を表してきた。過去・現在・未来の時間軸と現代の共時的諸問題との相互作用の中でそれらに関わる種々の問題が複雑系的な現れ方をする。サステイナビリティー・スタディーズにおいては、一つの学問的分野からだけでは問いつくすことのできない多種多様な問題が複雑に絡み合っており、一つの問題を掘り下げると他の問題が表れてくるという問題の重層性がある。また、日本の学術の海外への発信という観点から日本と海外の研究者とのネットワーク構築を目指して、海外での国際会議を開催してきた。現在は自然科学の視点をも取り入れた人文社会科学的なサステイナビリティー・スタディーズの構想に向けて取り組むとともに、諸分野の研究者が社会との繋がりを念頭においた方向での研究成果を構想中である。

<学際性について>

 本研究プロジェクトのために、今まで持続的開発や持続可能性を取り上げてこなかった人文社会科学諸分野の研究者に研究協力してもらっているので、サステイナビリティーを共通テーマに、各自の視点から見えてくる問題とその視点から可能な学融合の方向を実験的に提示してもらいながら、共同研究を進めてきている。各研究者によってサステイナビリティー概念が異なったり、分析に用いる概念や理論が異なるため、それらを相互に絡ませながら新たな研究領域の開拓を目指している。また、日本国内の研究者との学融合的関係だけではなく、海外の研究者にも本プロジェクトの視点を理解してもらい、同様に学融合的研究を進めてもらっている。国内外の多分野の研究者間の相互の研究交流から徐々にサステイナビリィティー・スタディーズへの貢献の視点が徐々に芽生えつつあるところである。

<社会提言について>

 本プロジェクトと社会との連携の一環として、平成17年度に「未来との対話」原稿の募集を行った。選考結果、本プロジェクトと「未来との対話」の趣旨に合致する11編をホームページ上に、著者の承諾の上、公開している。今後も同様の呼びかけを行う予定である。

<人材育成について>

 大学院生レベルの研究協力者には海外への調査補助やアンケート結果分析のための補助を提供している。平成17年度には4名の大学院生の海外研究調査を補助を行った。そのうち1名は18年度から一年間海外に留学する機会を得ることができるようになった。しかしながら、サステイナビリティーの問題は、人学系の学生の大学院における研究と直接的につながる研究テーマではないため、あまり本プロジェクトに深入りさせないようにしている。ただ、博士号取得者に対しては関心を広め、研究分野以外で社会的に重要なテーマについて考えられるようにいろいろな機会を提供している。  また、本プロジェクトの教育への還元として、学類(学部)生向けのサステイナビリティー・スタディーズ研究会を開始した。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

平成17年3月、品川プリンスホテル、国際宗教学宗教史東京大会・国際連合大学・千年持続学の確立プロジェクト共催、公開シンポジウム「持続可能な社会のための教育と宗教」ならびに学術パネル「宗教と科学技術」、前者の発表者は4名、参加者は400名ほど、後者の発表者は4名、参加者は300名ほど。

平成17年9月、筑波大学、千年持続学国際ワークショップ「国際法と環境保全」
講師: ジョセフ・ディメント氏(カリフォルニア大学)、参加者10名。

平成17年12月、カイロ市ナイル・ヒルトン・ホテル、千年持続学国際会議「未来に向けての文化価値と持続可能性:日本とエジプトの対話に向けて」、発表者17名、参加者40名。

論文、著書等:

木村 武史、「持続可能論・学融合・宗教誌」、『哲学・思想論集』、第30号、81-104頁、平成17年3月
木村 武史、「千年後の人類に思いを馳せて−日本発の研究プロジェクトをいかに海外に発信するか−」、学術月報、v.58, no.11, pp. 830-834.
Takeshi Kimura, ed., Proceedings of the International Cairo Conference on "Cultural Values and Sustainability for the Future-Dialogue between Egypt and Japan," 2006, pp. 1-170.

  
 

プロジェクト名:

千年持続学の確立

グループ名:

都市の持続性に関する学融合的研究

リーダー名(所属):

村松 伸
東京大学・生産技術研究所

関連サイト:

   http://www.sennen-toshi.org/
   http://www.sukoyuru.com/
   http://www.m-heritage.org/maan2006/

組織構成:

グループ長
村松 伸(東京大学・生産技術研究所・全体のまとめ)

メンバー
 深見 奈緒子(東京大学・東洋文化研究所・イスラーム都市史)
 国広 ジョージ(国士舘大学・建築学科、都市計画論)
 中谷 礼仁(大阪市立大学・建築学科、歴史工学)
 大田 省一(東京大学・生産技術研究所、東南アジア都市史)
 山下 裕子(一橋大学・商学部、商業と都市)
 山根 周(滋賀県立大学・人間学部、インド都市論)
 太田 浩次(東京大学・国際都市再生センター、都市設計論)
 伊藤 香織(東京電気大学・建築工学科、都市分析学)
 南 泰裕(アトリエ・アンプレックス、都市設計)
 松嶋 愛(総合研究大学院大学、モンゴル都市論)
 谷川 竜一(東京大学・生産技術研究所、都市開発社会論)
 鈴木 英明(東京大学・東洋文化研究所、アフリカ都市史)
 ソレマニエ 貴実也(東京大学・生産技術研究所、イラン都市論)
 鳳 英理子(東京大学・生産技術研究所、中央アジア都市史)
 林 憲吾(東京大学・生産技術研究所、インドネシア都市史)

これまでの研究成果:

<概要>

 「都市の持続性」とキーワードに、6000年の過去から現在までに存在した、地球上の都市の盛衰をさまざまなディシプリンで比較分析することによって、今後の都市のあり方に対する哲学的解答を模索し、同時に、それを利用しつつ、実践的貢献を社会に及ぼすことを目標としている。具体的には、内外の専門家を交えた「都市の持続性フォーラム」の開催、ウランバートル・サマルカンド・インドネシア・テヘランの学融合的都市フィールド調査、小学生に向け都市持続性学習プログラムの開発と実践、都市の持続の社会実践と協働手法の開発と実施し、理論、実践の総合化を図っている。

<学際性について>

 そもそも都市は、一様なものではなく、さまざまな学問領域の対象となる。本グループでは、都市論、都市史、都市分析学、都市計画学、都市デザイン学等の工学的領域のみならず、歴史学、文化人類学、都市商業学等の人文社会学者がメンバーとしている。メンバーの研究対象地域も、東南アジア、インド、中央アジア、イスラーム地域、アフリカ等と世界中にまたがる。また、フォーラム、フィールドワーク等では、さらに多くの学問領域の専門家を招聘し、学際性を高めている。同時に、都市に関する学問的立場の比較をすることによって、メタレベルで都市研究における学融合性の意義と意味を分析している。

<社会提言について>

 世界中の都市を歴史的に深い深度で比較分析することは、文明論的な言説として社会へ今後の都市ありかたを提言ができる。この最終的目標をめざして、フォーラム、フィールドワークを実施している。同時に、子供たちへの教育、市民との協働事業を実施し、その過程から、都市持続と社会という問題に対する理論的知見を獲得しつつある。これは実践と理論の合一的提言として結実する。

<人材育成について>

 メンバーの中には、多くの博士課程の学生がいて、フォーラムへの出席、フィールドワークの参加、その他のプログラムへの参加を通して、大学院生たちの人材育成に本グループは大いに貢献している。また、子供たちへの都市持続プログラムでは、大学院の学生が小学生を指導することによって、大学院生と小学生の異なった世代の人材育成を実施している。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

都市の持続性フォーラム
第1回:遊牧、定住、そして、都市-モンゴル的都市の未来を探る、 2004年2月25日、東京大学生産技術研究所、100人
第2回:持続する都市の原型、あるいはイスラーム―都市研究の新たなる枠組みを求めて 2004年4月17日、東京大学生産技術研究所、100人
第3回:多数性としての小都市 2004年7月3日、東京大学生産技術研究所、100人
第4回:社会科学は都市の持続を捉えられるか 2004年11月23日 東京大学生産技術研究所、100人
第5回:都市を作るモノたち 2005年4月9日、東京大学生産技術研究所、150人
第6回:植えつけられた都市−近代世界システムと植民都市 2005年10月15日、東京大学生産技術研究所、100人

ぼくらは街の探検隊発表会(小学生を対象とする都市の持続性教育プログラム)
第1回:2005年6月4日、東京大学生産技術研究所、100人
第2回:2006年6月2日、東京大学生産技術研究所、100人

論文、著書等:

村松伸「新・都市類型論序説」、『環』17号、藤原書店、2004年
村松伸・太田浩史他「千年持続学へのスモールシティ・スタディ」、『SD』2004年号、鹿島出版会、113〜124ページ
村松伸・松嶋愛・谷川竜一「都市文化遺産としてのオーラルヒストリー−モンゴル・ウランバートルの都市の持続性(1)」、『生産研究』57巻3号、1〜62ページ、東京大学生産技術研究所、2005年

  

プロジェクト名:

千年持続学の確立

グループ名:

社会制度の持続性に関する学融合的研究

リーダー名(所属):

加藤 雄三
総合地球環境学研究所

関連サイト:

   http://www.chikyu.ac.jp/sociosys/

組織構成:

グループ長
加藤 雄三 (総合地球環境学研究所)(グループ総括・中国社会制度担当)

メンバー
承 志(日本学術振興会)(満洲社会制度史担当)
杉山 清彦 (駒澤大学文学部) (大清帝国史担当)
大西 秀之 (総合地球環境学研究所)(北方人類学担当)
瀬川 拓郎 (旭川市博物館)(北方考古学担当)
中村 和之 (函館工業高等専門学校)(アイヌ交易社会史担当)
内山 純蔵 (総合地球環境学研究所) (環日本海交易担当)
太田 出 (兵庫県立大学経済学部)(江南交易社会史担当)
岡本 弘道 (大阪樟蔭女子大学) (琉球交易社会史担当)
渡辺 美季 (日本学術振興会)(中琉日関係史担当)
角南 聡一郎 (元興寺文化財研究所)(南島人類学担当)
林 淑美 (名古屋商科大学外国語学部)(台湾交易社会史担当)

これまでの研究成果:

<概要>

 本研究グループの目的は、前後近千年という視座をもって、交易を横軸としながら、東アジア地域における社会制度変遷(何が常態であって、あるイヴェントが起こったときに社会は何を継承し、何を継承しなかったのか、また何を創成したのか)という縦軸を発言資料と沈黙資料の両側面から探っていくことにある。具体的には、同様に清朝・日本本土に対する従属的な交易を行ってきたアイヌと琉球において、一方は国家を形成し、一方は国家を形成しなかったことに関して比較研究を行う。同時に、両者を繋ぐ結節点たる満洲とメインランド・チャイナ、台湾、日本列島中央部についても物品交易に関する制度変遷を通じて観察する。
 議論は各々の研究フィールドを訪れて研究会を開催すると同時に巡検する形でも行い、日本の南北端である北海道及び沖縄において地域史への理解を深めることを図った。

<学際性について>

 本グループは考古学(内山、瀬川)、考古人類学(大西、角南)、アイヌ史(中村)、中国史(太田)、台湾史(林)、琉球史(渡辺、岡本)、満洲史(杉山、承志)、法史学(加藤)といった分野の若手研究者から構成される。大きく言えば、考古学と歴史学という二者になるが、その両者が真摯に協働して結果を生み出す努力がなされたことはなかった。個人が考古資料と歴史資料を用いて事象を再構成するということはあったにしても、知見の総合という点から言えば限界があった。また、環日本海史などのテーマが叫ばれながら、国史単独・日本考古単独でなく、諸分野の研究者が集って研究が推進されたこともこれまではなかった。本グループが行おうとしているのは、諸分野の研究者、特に次世代を担う若手研究者が前後近千年という視座をもって協働して、交易を横軸としながら、東アジア地域における社会制度変遷(何が常態であって、あるイヴェントが起こったときに社会は何を継承し、何を継承しなかったのか、また何を創成したのか)という縦軸を発言資料と沈黙資料の両側面から探っていこうとする初めての試みであると言える。その手法としては、単純な意見交換だけでなく、揃って歴史の舞台となった現場に行き、残されたモノを見ることがあげられる。

<社会提言について>

 若手中心のグループであり、なおかつ歴史学、考古学、人類学は社会政策に直接繋がっていくような学問領域ではないことから、公共機関などに対して研究グループとしての政策提言を行うことは予定していない。しかし、第一に、ホームページ上で東アジア環日本海地域の人々がいかに社会の中で制度を実践し継承させてきたのか、つまり、どのように社会を維持させてきたのかという戦略についての情報を現代社会の問題に関する情報と併せて公開して、社会提言の一つとしたい。第二に、雑誌類・新聞類のメディア媒体には学術に寄り添う形の記事や意見、つまり、研究者としての社会に対する見解を発表することができるものがある。すでにそのような媒体上で意見発表を重ねているメンバーも居る。
 そこにあって、キータームとすることを意図しているのが「権利」である。慣行,制度,権力を含む広義の「権利」は社会を成立せしめる根本である。本グループの研究目的に則した形で交易等における権利を巡る事象を中心としてどのように社会が存続してきたのかを成果として提示したい。

<人材育成について>

 本グループは次世代の研究を担う30歳代の若手研究者を中心に構成される。各々の専攻は研究の対象となる地域・時代を異にした歴史学、考古学、人類学にまたがっており、本グループ活動を切っ掛けとして、従来交流のなかった近縁の分野の研究者同士で切磋琢磨する機会が与えられた。研究会だけでなく、E-mailなどによるメンバー相互の情報交換、意見交換を行い、自主的な相互育成も行われている。現在就いている地位や年齢からして、指導教員的な存在となって学生を指導するという意味での人材育成を本グループ活動の中で行う機会は少ないであろうが、プロジェクト研究の中で自らを成長させることのできる人材は確実に育ってきている。
 本グループは若手研究者で構成される以上、グループ研究活動の中で主体となって活躍するのは若手研究者でしかありえない。各々が研究論文、意見を従来のメディアを含むさまざまな活字媒体で報告、発表する以外に、ホームページには、グループ活動のみならず各々の最新の研究活動が掲載されている。また、本グループの活動は会議の為だけでなく、研究の為に行うものであり、日本国内及び中国、台湾、ロシアにおいて積極的な調査・研究活動を展開している。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

2004年11月6日 社会制度の持続性グループ国際ワークショップ
於函館高専 参加者15名
2005年7月17,18日 研究領域4-2「千年持続学の確立」横断研究会
於旭川市立博物館 参加者約30名

論文、著書等:

大西秀之「擦文文化の展開と"トビニタイ文化"の成立:オホーツク文化と擦文文化の接触・融合に関する一考察」『古代』115pp.1-32 2004年5月
中村和之「蝦夷錦・青玉と北方交易」青森県立郷土館編『蝦夷錦と北方交易[改訂版]』(青森県立郷土館)pp.6-10 2004年3月
中村和之「蝦夷錦にみるアイヌ民族の北方交易」『別冊太陽 先住民アイヌ民族』pp. 25-27 2004年10月
SUGIYAMA, Kiyohiko ,"The Ch'ing Empire as a Manchu Khanate: The Structure of Rule under the Eight Banners", ACTA ASIATICA No.88 pp. 21-48, Jan 2005
加藤雄三編著『日本学術振興会・人文社会科学振興プロジェクト事業 領域Ⅳ-2 千年持続学の確立「社会制度の持続性に関する学融合的研究」 中間活動報告』2005年3月、全82頁
林淑美「清代台湾移住民社会の「客」と「土着」」『史学』74(1.2) pp.103-129 2005年9月
大西秀之「テレビ番組における人類学的知識の流用:北方少数民族の呼称をめぐって」飯田卓編『電子メディアを飼いならす:異文化の橋渡しとしてのフィールド研究の視座』pp.65-75 2005年9月
瀬川拓郎『アイヌ・エコシステムの考古学』(北海道出版企画センター 2005年12月)全245頁
渡辺美季「中日の支配論理と近世琉球−『中国人・朝鮮人・異国人』漂着民の処置をめぐって−」『歴史学研究』810 pp.12-28 2006年1月
加藤雄三編著『日本学術振興会・人文社会科学振興プロジェクト事業 領域Ⅳ-1 千年持続学の確立「社会制度の持続性に関する学融合的研究」 中間活動報告Ⅱ』2006年2月、全83頁