プロジェクト名:
「失われた10年」の克服 −日本の社会システムの再構築−
グループ名:
日本の組織・人材育成システム
リーダー名(所属):
石川 淳 立教大学・経営学部・助教授
組織構成:
平成16年度
石川 淳(立教大学経営学部助教授):国内における資料収集および事例研究
蔡 イン錫(専修大学経営学部助教授):海外における資料収集および事例研究
坂爪 洋美(和光大学人間関係学部助教授:海外における資料収集および事例研究
山崎 律子(専修大学大学院経営学研究科博士課程):海外における資料収集および事務手伝い
平成17年度
石川 淳(立教大学経営学部助教授):国内における資料収集、データ分析および日米シンポジウム企画
蔡 イン錫(専修大学経営学部助教授):国内における資料収集、データ分析および日米シンポジウム企画・報告
坂爪 洋美(和光大学人間関係学部助教授:国内における資料収集、データ分析および日米シンポジウム企画・報告
Richard M. Steers(オレゴン大学教授):日米シンポジウムでの報告および研究会での報告
Richard T. Mowday(オレゴン大学教授)日米シンポジウムでの報告および研究会での報告
これまでの研究成果:
<概要>
本グループでは、日本の組織の人材育成システムの変化とその規定要因を明らかにすると同時に、今後の経営環境の変化を見据えた新しい時代の人材育成システムを提言することを目的としている。平成16年度は、「教育訓練システムにおける変化」と「企業主導のOJT中心型教育の是非」にテーマの焦点を絞って、ベースとなる資料や文献収集を国内外で実施した。平成17年度は、前年度に収集した基礎資料をもとに、新しい時代に沿った人材育成システムのフレームワーク作りを行った。具体的には、フレームワーク全体に関わる要因として、組織成員の組織コミットメントや信頼、キャリア・ディベロップメントという概念に着目し、現在企業において最も課題となっているホワイトカラーの人材育成と非正規従業員の人材育成について、これまでの変化と今後の展望をふまえたフレームワークの構築を行った。また、新しい時代に求められるリーダー像についても明らかにし、そのようなリーダーをどのようにして育成していくべきかについても検討を行った。
<学際性について>
現在の研究メンバーのバックグランドは、それぞれ人材マネジメント、組織行動論、組織心理学であり、ディシプリンが違う研究者が集まって議論を行っている。今後は、研究メンバーを拡大して、より一層学際的な色彩が強いグループとしていくつもりである。また、実務家の参加も積極的に進めていく予定である。
また、現在のところ、我々の研究の焦点は、企業内教育訓練に限られている。しかし、企業内教育訓練は、学校教育との連携が欠かせない。従って、統合的なフレームワーク作成の際には、生涯教育という大きな視点から検討していくことが必要となる。このため、今後は、教育関連の研究グループとの連携も模索していきたい。
<社会提言について>
企業内教育訓練を積極的に実施していくべきなのか、実施していく場合にはどのように実施していくのか、といった点は、日本企業にとって大きな課題となっている。なぜなら、これらの点は、どのような人材をどのように調達するかという問題に関わっており、企業の競争力に大きく影響を及ぼす問題であるからである。
従って、本研究により、新たな時代に適応した企業内教育訓練のあり方についての提言を行うことができれば、日本企業の国際的な競争力向上に大きく寄与すると考えられる。特に、これまでのディシプリンに制限された議論を超えて、企業と従業員の新たな関係を構築し、職業能力向上に効果的な生涯にわたる教育システムを提言することができれば、雇用の拡大にもつながり、日本社会全体への貢献も大きなものとなると考えられる。
これまで、本グループでの研究成果を、シンポジウムと報告書という形で社会に還元している。前者は、2005年10月28日に実施した日米共同シンポジウムである。当該シンポジウムにおいて、米国で組織コミットメント研究の第一人者であるRichard M. Steers博士と米国でリーダーシップ研究の第一人者であるRichard T. Mowday博士に参加をいただき、日本企業の実務家・研究者を対象に、今後の日本の組織における人材育成の展望と課題について包括的な報告を行った。後者は、当該シンポジウムでの議論をまとめた報告書である。当該報告書は、国内の実務家および研究機関に配布予定である。
今後は、具体的で実務レベルにおいて応用可能なモデルを提言していくことになる。また、将来的には、学校教育との連携による生涯教育システムの提言につなげていきたい。
<人材育成について>
現在のところ、1人の若手研究者に研究へ参加してもらっているだけである。この点で、当グループは、人材育成に大きな貢献をしているとは言えない。しかし、これは、これまでグループの活動が、少人数に夜徹底的なディスカッションによるフレームワーク作りを目指してきたからである。今後は、グループメンバーも拡大していく予定であり、その中で、積極的に若手研究者にもメンバーに加わってもらい、情報交換や研究報告の機会を提供していくつもりである。
シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:
日米共同シンポジウムの開催
開催年月日:2005年10月28日
開催場所:学術総合センター
名称:「日本企業の人材育成の現在と未来を語る」−失われた10年、人材育成に何が起きたのか−
参加人数:200名弱
論文、著書等:
- 蔡イン錫、『雇用形態の多様化と労使関係−雇用形態の多様化が人事管理や労働組合、労働政策に及ぼす影響』、有斐閣、2004年
- 蔡イン錫、「組織行動論からみた経営組織」『経営組織論を学ぶ人のために』、世界思想社、2005年
- 蔡イン錫、「研究開発組織におけるリーダーシップの代替要因に関する研究」、専修経営学論集、79号、69-90頁、2004年
- 石川淳、「報酬」『人的資源マネジメント戦略(高木晴夫編)第4章』、49-65頁、2004年
- 坂爪洋美、「従業員を守る」『人的資源マネジメント戦略(高木晴夫編)第9章』、129-144頁、2004年
- 石川淳、研究開発の創造的成果を促進するリーダーシップ・人材育成学会第3回年次大会論文集、189-194頁、2005年
- 石川淳、フォロワーの創造性を促進するリーダーシップ・応用社会学研究、No.48、75-89頁、2006年
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