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人文・社会科学振興プロジェクト研究事業

プロジェクト研究の成果

 
 
プロジェクト研究一覧表
 
平成18年7月作成

研究領域 1
Project Number 1-2


プロジェクト研究名:

「失われた10年」の克服 −日本の社会システムの再構築−

プロジェクト・リーダー名(所属):

青島 矢一
一橋大学・イノベーション研究センター

平成17年度までの研究成果について

<概要>

 本研究プロジェクトは、失われた10年といわれた90年代に露呈した日本の社会経済システムのもつ構造的な問題を浮き彫りにして、今後への指針を提供することを目的としている。
 プロジェクトは、日本企業の品質問題を扱う加登グループ、日本の教育システムを扱う苅谷グループ、組織・人材育成問題を扱う石川グループから構成されている。これらグループの研究は、背後で、「教育・人材形成の問題」と「組織メカニズムの機能不全」という課題を共有している。
 平成17年度までの各グループの研究成果の概要は以下のとおりである。

苅谷グループ:日本の教育システム
 5つのサブグループ(【社会化】【人材形成】【教育行政・政策・改革】【教育測定・評価】【教育研究】)が個別に、先行研究の渉猟と批判的レビュー、雑誌記事等の資料収集と言説分析、インタビュー調査、教育改革に関する質問紙調査実施と学会報告、ゲスト・スピーカーを招いての研究会等を精力的に行った。同時に、サブグループの枠を越えた活動として、「フリーター・ニート問題」という緊急かつ社会的なテーマを扱った合同セミナーを公開シンポジウムのかたちで試行した。また、【教育行政】と【人材形成】グループ内のメンバーによる合同の「教員人件費推計プロジェクト」も、昨年度から引き続き、教員採用や教員評価制度改革をめぐる現状と課題の解明を進めている。

加登グループ:日本的品質管理の検証
 日本企業の抱える品質問題を明らかにするために、『品質』『品質管理』『標準化と品質』を代表とする品質管理専門誌掲載の論文等の内容分析、管理会計領域での品質管理に関する研究の文献レビュー、リコール情報分析、国内、アメリカ、オーストラリアの品質管理実践企業に対する聞き取り調査が行われた。また、経営企画部門による品質管理への関与を明らかにするための質問票調査を実施して、その結果をもとにディスカッション・ペーパーを作成した。
 加えて、日本企業2社を対象としたアクション・リサーチに取り組んだ。具体的には、毎月、対象企業に赴き、同社の品質保証会議および現物会議で顧客からクレームがあった商品の品質問題を検討した。また、「高品質企業構築セミナー」で同社の製品について他産業の専門家による分析・助言を得るセッションを秘密保持契約締結後に実施した。異業種のベスト・プラクティスから学ぶベンチマーキング手法が非常に有用であることが確認できた。
 研究成果は、台湾国際政治大学とのカンファレンスにおいて報告を行い、また、H16年12月開催した日本的品質管理の功罪に関するワークショップの成果は、H17年5月に『ビジネス・インサイト』第13巻第1号の特集記事として刊行した。H17年7月から連続ワークショップを「高品質企業構築セミナー」と命名し、以降、毎月一度(各月の最終水曜日の夜)に開催している。

石川グループ:日本の組織・人材育成システム
 平成16年度には、「教育訓練システムにおける変化」と「企業主導のOJT中心型教育の是非」にテーマの焦点を絞って、ベースとなる資料や文献収集を国内外で実施した。平成17年度は、新しい時代に沿った人材育成システムのフレームワーク作りを行った。具体的には、フレームワーク全体に関わる要因として、組織成員の組織コミットメントや信頼、キャリア・ディベロップメントという概念に着目し、現在企業において最も課題となっているホワイトカラーの人材育成と非正規従業員の人材育成について、これまでの変化と今後の展望をふまえたフレームワークの構築を行った。また、新しい時代に求められるリーダー像についても明らかにし、そのようなリーダーをどのようにして育成していくべきかについても検討を行った。

 今年度は、徐々に、これら3つのグループの研究成果を統合する試みを行う予定である。

<学際性・社会提言・人材育成について特記すべき事項>

 グループはそれぞれ学際的なアプローチで研究を進めてきた。加登グループでは、研究者とコンサルタント、企業人が一つのチームとなって問題解決を行うこと通じて研究を行うアクション・リサーチという方法を実践している。苅谷グループは、狭義の教育研究者だけではなく、広く、犯罪社会学、経済学、心理学等の専門家によって構成されており、関連する複数の学問分野の理論・方法・知見を組み込みつつ、教育の諸領域における「失敗」の再検討を行っている。石川グループは、経営学・組織論を基盤としながらも、人材マネジメント、組織行動論、組織心理学といったディシプリンの異なる研究者が集まって議論を行っている。また、実務家の参加も予定している。3つのグループの研究を統合する段階ではこうした学際性を活かしたまとめ方を工夫したい。
 社会提言の方法としては、既に実行されているように、今後も、書物や論文での公開の他に、HP、公開セミナー、国際シンポジウムなどを広く活用していく。各グループの研究成果が固まりつつある段階では、グループを統合した形でのシンポジウムを行うことを考えている。

  

プロジェクト名:

「失われた10年」の克服 −日本の社会システムの再構築−

グループ名:

日本的品質管理の検証

リーダー名(所属):

加登 豊
神戸大学大学院・経営学研究科・教授

関連サイト:

http://kato-lab.jp/

組織構成:

グループ長
年齢
所属・職
役割分担
加登 豊
52
神戸大学大学院経営学研究科・教授 研究全体を総括する
メンバー
年齢
所属・職
役割分担
安酸建二
33
流通科学大学・専任講師 品質管理専門誌のコンテンツ分析
島 吉伸
35
近畿大学・助教授 品質管理専門誌のコンテンツ分析
吉田栄介
36
慶応義塾大学・助教授 自動車リコール原因分析
近藤隆史
32
長崎大学・助教授 自動車リコール原因分析
梶原武久
35
神戸大学・助教授 日本的品質管理の逆機能・機能不全の分析
坂口順也
35
関西大学・助教授 管理会計領域における品質管理研究のレビュー
河合隆治
31
桃山学院大学・助教授 管理会計領域における品質管理研究のレビュー
大浦啓輔
29
神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程3年 サプライチェーンマネジメント品質管理
新井康平
24
神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程1年 生産管理会計研究のレビュー

これまでの研究成果:

<概要>
これまでに以下の活動に取り組んだ。
  1. 品質管理専門誌のコンテンツ分析
  2. 管理会計領域での品質管理に関する研究の文献レビュー
  3. リコール情報分析
  4. 聞き取り調査の実施
  5. アクション・リサーチ
  6. 連続ワークショップの開催

 日本的品質管理が、日本企業の躍進に貢献したことは疑うことのない事実であるが、近年、日本製品の品質低下が顕著になりつつある。また、高品質が競争優位の源泉であった時代はすでに過去のものとなっているにもかかわらず、品質管理では対費用効果の分析が十分ではない。さらには、部分最適的な品質管理活動が、従業員のワークモチベーションの低下や組織硬直化を招き、現場の品質管理知識の伝承が機能しないなどの数多くの障害が観察されている。日本企業の品質管理の逆機能が顕在化し、機能不全を起こし始めると、日本製品やサービスに重大な問題が生じる危険性がある。残念ながら、このような現象は、現実に生じ始めており、三菱自動車事件、耐震強度偽装事件、シンドラー社事件などに代表されるように、社会問題化し始めている。一企業の品質問題が、場合によっては、あらゆる日本製品に対する世界の消費者の信頼低下につながるばかりでなく、世界的な日本製品不買運動に発展する危険性もある。品質で世界市場に受け入れられた日本企業にとっては、高品質の維持は至上命題であるといってよい。
 こうした中、本研究では、経営学はもとより、社会学、文化人類学、行動科学、品質工学、オペレーションズマネジメント、工場管理などの関連諸科学との学融合的な研究を行う。その際、重要なことは、品質管理の実践状況を現場で観察し、その改善を行うことである。そのために、研究者、企業、およびコンサルタント等がチームとなって実施するイノベーション・アクション・リサーチと呼ばれる研究方法論を採用する。  本研究により、わが国企業が抱える問題を浮き彫りにし、その解決を図ることは、企業の競争力回復に貢献することになる。また、実践的課題の解決に焦点を当てた研究は、新たな研究領域の開拓、研究テーマの探索、研究方法論の開発にもつながり、研究のさらなる進展に貢献する。

品質管理は、経営学はもとより、社会学、文化人類学、行動科学、品質工学、オペレーションズマネジメント、工場管理などの関連諸科学との学融合的な研究を行うべき問題であるにもかかわらず、現場主導の実践科学としての研究・実践に終始してきた。このことに、昨今の品質低下の原因の一つがある。重要なことは、品質管理の実践状況を現場で観察し、学融合的な研究成果の裏づけに基づいて改善を行うことである。そのために、研究者、企業、およびコンサルタント等がチームとなって実施するイノベーション・アクション・リサーチと呼ばれる研究方法が必須である
 本研究により、わが国企業が抱える問題を浮き彫りにし、その解決を図ることは、企業の競争力回復に貢献することになる。また、実践的課題の解決に焦点を当てた研究は、新たな研究領域の開拓、研究テーマの探索、研究方法論の開発にもつながり、研究のさらなる進展に貢献する。 また、本研究を通じて、学融合領域の研究者を育成するとともに、品質管理実践者の能力向上を図る必要がある。


シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

開催年月日
場所
プログラム名
参加
人数
2005年6月29日 神戸大学大阪経営教育センター 高品質企業構築セミナー(第1回)
35名
2005年8月24日 神戸大学大阪経営教育センター 高品質企業構築セミナー(第2回) 
30名
2005年9月28日 神戸大学大阪経営教育センター 高品質企業構築セミナー(第3回) 
30名
2005年10月26日 神戸大学大阪経営教育センター 高品質企業構築セミナー(第4回)
35名
2005年11月30日 神戸大学大阪経営教育センター 高品質企業構築セミナー(第5回) 
20名
2006年1月25日 神戸大学大阪経営教育センター 高品質企業構築セミナー(第6回) 
25名
2006年2月23日 神戸大学大阪経営教育センター 高品質企業構築セミナー(第7回)
20名
2006年4月25日 神戸大学大阪経営教育センター 高品質企業構築セミナー(第8回)
20名
2006年5月30日 神戸大学大阪経営教育センター 高品質企業構築セミナー(第9回)
40名
2005年6月28日 神戸大学大阪経営教育センター 高品質企業構築セミナー(第10回)
20名

論文、著書等:

  • 加登豊 管理会計による競争優位性の獲得と維持 管理会計学 12巻1号 2004 35-45
  • 加登豊 日本的品質管理を鍛える:「失われた10年」からの教訓 一橋ビジネスレビュー 52巻3号 2004 52-63
  • 加護野忠男・伊丹敬之・谷武幸・加登豊 日本的経営を鍛えなおす CIBERモノグラフシリーズ 1号 2005 1-37
  • 加登豊 日本的品質管理の再生 ビジネス・インサイト 13巻1号 2005 8-17
  • 加登豊 パネル討議(加登豊・梶原武久・太田勝之・島田直広) 日本的品質管理の功罪−シックスシグマの狙い ビジネス・インサイト 13巻1号 2005 48-73
  • 加登豊 品質は競争の最低線−品質と利益の二兎を追え 旬刊経理情報 1083号 2005 1
  • 梶原武久 ROQアプローチによる日本的品質管理の再構築 ビジネス・インサイト 13巻1号 2005 18-29
  • 梶原武久 日本企業における品質コストマネジメント実践の多様性とその規程要因 原価計算研究 29巻2号 2005 44-55
  • 安酸建二 品質管理の専門誌に見る品質管理の問題点とそれを考える手がかり ビジネス・インサイト 13巻1号 2005 30-47
  • 坂口順也・河合隆治 組織間マネジメントにおけるサプライヤーからの情報収集 会計 169巻4号 2005 69-80
  • 河合隆治 管理会計における生産マネジメント情報の測定・収集に関する課題 桃山学院大学研究所紀要 31巻3号 2006 85-95
  • 相原基大・近藤隆史 「非財務的業績指標に関する実証研究の展開:C.D.IttnerとD.F.Larckerの研究を中心として 長崎大学経済研究会ディスカッション・ペーパー 2005.08号 2005 1-24
  

プロジェクト名:

「失われた10年」の克服 −日本の社会システムの再構築−

グループ名:

日本の組織・人材育成システム

リーダー名(所属):

石川 淳
立教大学・経営学部・助教授

組織構成:

平成16年度
石川 淳(立教大学経営学部助教授):国内における資料収集および事例研究
蔡 イン錫(専修大学経営学部助教授):海外における資料収集および事例研究
坂爪 洋美(和光大学人間関係学部助教授:海外における資料収集および事例研究
山崎 律子(専修大学大学院経営学研究科博士課程):海外における資料収集および事務手伝い

平成17年度
石川 淳(立教大学経営学部助教授):国内における資料収集、データ分析および日米シンポジウム企画
蔡 イン錫(専修大学経営学部助教授):国内における資料収集、データ分析および日米シンポジウム企画・報告
坂爪 洋美(和光大学人間関係学部助教授:国内における資料収集、データ分析および日米シンポジウム企画・報告
Richard M. Steers(オレゴン大学教授):日米シンポジウムでの報告および研究会での報告
Richard T. Mowday(オレゴン大学教授)日米シンポジウムでの報告および研究会での報告

これまでの研究成果:

<概要>

 本グループでは、日本の組織の人材育成システムの変化とその規定要因を明らかにすると同時に、今後の経営環境の変化を見据えた新しい時代の人材育成システムを提言することを目的としている。平成16年度は、「教育訓練システムにおける変化」と「企業主導のOJT中心型教育の是非」にテーマの焦点を絞って、ベースとなる資料や文献収集を国内外で実施した。平成17年度は、前年度に収集した基礎資料をもとに、新しい時代に沿った人材育成システムのフレームワーク作りを行った。具体的には、フレームワーク全体に関わる要因として、組織成員の組織コミットメントや信頼、キャリア・ディベロップメントという概念に着目し、現在企業において最も課題となっているホワイトカラーの人材育成と非正規従業員の人材育成について、これまでの変化と今後の展望をふまえたフレームワークの構築を行った。また、新しい時代に求められるリーダー像についても明らかにし、そのようなリーダーをどのようにして育成していくべきかについても検討を行った。

<学際性について>

 現在の研究メンバーのバックグランドは、それぞれ人材マネジメント、組織行動論、組織心理学であり、ディシプリンが違う研究者が集まって議論を行っている。今後は、研究メンバーを拡大して、より一層学際的な色彩が強いグループとしていくつもりである。また、実務家の参加も積極的に進めていく予定である。
 また、現在のところ、我々の研究の焦点は、企業内教育訓練に限られている。しかし、企業内教育訓練は、学校教育との連携が欠かせない。従って、統合的なフレームワーク作成の際には、生涯教育という大きな視点から検討していくことが必要となる。このため、今後は、教育関連の研究グループとの連携も模索していきたい。

<社会提言について>

 企業内教育訓練を積極的に実施していくべきなのか、実施していく場合にはどのように実施していくのか、といった点は、日本企業にとって大きな課題となっている。なぜなら、これらの点は、どのような人材をどのように調達するかという問題に関わっており、企業の競争力に大きく影響を及ぼす問題であるからである。
 従って、本研究により、新たな時代に適応した企業内教育訓練のあり方についての提言を行うことができれば、日本企業の国際的な競争力向上に大きく寄与すると考えられる。特に、これまでのディシプリンに制限された議論を超えて、企業と従業員の新たな関係を構築し、職業能力向上に効果的な生涯にわたる教育システムを提言することができれば、雇用の拡大にもつながり、日本社会全体への貢献も大きなものとなると考えられる。
 これまで、本グループでの研究成果を、シンポジウムと報告書という形で社会に還元している。前者は、2005年10月28日に実施した日米共同シンポジウムである。当該シンポジウムにおいて、米国で組織コミットメント研究の第一人者であるRichard M. Steers博士と米国でリーダーシップ研究の第一人者であるRichard T. Mowday博士に参加をいただき、日本企業の実務家・研究者を対象に、今後の日本の組織における人材育成の展望と課題について包括的な報告を行った。後者は、当該シンポジウムでの議論をまとめた報告書である。当該報告書は、国内の実務家および研究機関に配布予定である。
今後は、具体的で実務レベルにおいて応用可能なモデルを提言していくことになる。また、将来的には、学校教育との連携による生涯教育システムの提言につなげていきたい。

<人材育成について>

 現在のところ、1人の若手研究者に研究へ参加してもらっているだけである。この点で、当グループは、人材育成に大きな貢献をしているとは言えない。しかし、これは、これまでグループの活動が、少人数に夜徹底的なディスカッションによるフレームワーク作りを目指してきたからである。今後は、グループメンバーも拡大していく予定であり、その中で、積極的に若手研究者にもメンバーに加わってもらい、情報交換や研究報告の機会を提供していくつもりである。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

日米共同シンポジウムの開催
開催年月日:2005年10月28日
開催場所:学術総合センター
名称:「日本企業の人材育成の現在と未来を語る」−失われた10年、人材育成に何が起きたのか−
参加人数:200名弱

論文、著書等:

  1. 蔡イン錫、『雇用形態の多様化と労使関係−雇用形態の多様化が人事管理や労働組合、労働政策に及ぼす影響』、有斐閣、2004年
  2. 蔡イン錫、「組織行動論からみた経営組織」『経営組織論を学ぶ人のために』、世界思想社、2005年
  3. 蔡イン錫、「研究開発組織におけるリーダーシップの代替要因に関する研究」、専修経営学論集、79号、69-90頁、2004年
  4. 石川淳、「報酬」『人的資源マネジメント戦略(高木晴夫編)第4章』、49-65頁、2004年
  5. 坂爪洋美、「従業員を守る」『人的資源マネジメント戦略(高木晴夫編)第9章』、129-144頁、2004年
  6. 石川淳、研究開発の創造的成果を促進するリーダーシップ・人材育成学会第3回年次大会論文集、189-194頁、2005年
  7. 石川淳、フォロワーの創造性を促進するリーダーシップ・応用社会学研究、No.48、75-89頁、2006年
  

プロジェクト名:

「失われた10年」の克服 −日本の社会システムの再構築−

グループ名:

日本の教育システム(Education System in Japan)

リーダー名(所属):

苅谷 剛彦
東京大学・大学院教育学研究科・教授

組織構成:

 5つのサブグループのリーダー及び恒常的な参加者は下記の通りである。必要に応じて、他領域からの参加者を募り、ネットワークを拡大・深化させていくことを目指している。また、各サブグループで随時開催している研究会のゲスト・スピーカーに対しても、関心を持たれた方には、随時コアメンバーとして参加することが可能な体制作りも同時にめざしている。なお、下記リスト中、※印は、各サブグループのリーダーである。
【教育行政・政策・改革の「失敗」】※苅谷剛彦(東京大学大学院教育学研究科・教授)★研究グループ長,諸田裕子(東京大学大学院教育学研究科教育研究創発機構・教務補佐),堀 健志(東京大学・COE特任研究員)
【社会化の「失敗」】※原田 豊(警察庁科学警察研究所犯罪行動科学部・部長犯罪予防研究室長),土井隆義(筑波大学人文社会科学研究科・助教授),田中奈緒子(昭和女子大学人間社会学部心理学科・助教授),齊藤知範(警察庁科学警察研究所犯罪行動科学部犯罪予防研究室・研究員),平井秀幸(日本学術振興会特別研究員)
【人材形成の「失敗」】※本田由紀(東京大学社会科学研究所・助教授),小塩隆士(神戸大学大学院経済学研究科・教授),梅崎修(法政大学・キャリアデザイン学部・講師),守島基博(一橋大学大学院商学研究科・教授),妹尾渉(平成国際大学・法学部・講師),筒井美紀(京都女子大学現代社会学部・講師),居郷至伸(東京大学大学院教育学研究科・博士課程・大学院生・本プロジェクト教務補佐)
【教育測定・評価の「失敗」】※荒井克弘(東北大学大学院教育学研究科・教授),倉元直樹(東北大学高等教育開発推進センター・高等教育開発部入試開発室・助教授),木村拓也(東北大学大学院教育情報学教育部・博士課程・大学院生),佐藤洋之(東北大学大学院教育情報学研究部・博士課程・大学院生)
【教育研究の[失敗」】※小玉重夫(お茶の水女子大学文教育学部教育思想研究室・助教授),松浦良充(慶應義塾大学文学部・教授),安藤寿康(慶應義塾大学文学部・教授),田原宏人(札幌大学法学部・教授),森田尚人(中央大学・教授),鹿毛雅治(慶應義塾大学・教職課程センター・教授)

これまでの研究成果:

<概要>

 平成16,17年度を通じて、5つのサブグループ(【社会化】【人材形成】【教育行政・政策・改革】【教育測定・評価】【教育研究】)が個別に、先行研究の渉猟と批判的レビュー、雑誌記事等の資料収集と言説分析、インタビュー調査、教育改革に関する質問紙調査実施と学会報告、ゲスト・スピーカーを招いての研究会等を精力的に継続中である。また、研究グループ全体としては、平成18年度に当初予定していた複数のサブグループ主催による合同セミナーを公開シンポジウムのかたちで試行した。これは、「フリーター・ニート問題」という緊急かつ社会的なテーマを、流行の議論に与さず、相対化しつつも現実的に丁寧に考えていくため、【人材形成】【社会化】【教育研究】の各視点・領域からとらえ返すことを企図したものである。また、【教育行政】と【人材形成】グループ内のメンバーによる合同の「教員人件費推計プロジェクト」も昨年度の推計作業に引き続き、教員採用や教員評価制度改革をめぐる現状と課題を解明していくために、逐次、データ収集とヒアリング調査、研究会をすすめている。

<学際性について>

  1. 我々のグループは、狭義の教育研究者だけではなく、広く、犯罪社会学、経済学、心理学等の専門家によって構成されている。したがって、関連する複数の学問分野の理論・方法・知見を組み込みつつ、教育の諸領域における「失敗」の再検討を行っている。このような研究組織体制によって、日本の教育における問題点の諸相が、より根拠あるものとして提示可能となる。その結果、これまでの教育政策や教育改革、教育論が予見としていた問題設定の、どこまでが正しく、なにが誤っていたのか、誤ってしまう原因はどこにあったのか、ということが解明される。これらの解明を通じて、教育に直接関係する教育政策に留まらず、労働、福祉、防犯などの社会政策に資する示唆を与えることができる。
  2. 広い意味での教育については、現在の問題にとどまらず、日本の未来に関係する。それだけに、教育の失敗という切り口から、人文・社会科学の諸分野の研究成果をつなげることにより、従来の狭義の教育学研究とは異なる、幅広い多様な視点から、教育についての研究の融合を図ることが可能になる。
  3. と同時に、教育という未来志向的な領域との接点を明確にすることにより、日本社会の「失われた10年」の研究が、近未来の日本社会にどのような影響を及ぼすことになるのかを見通す視点を他の人文・社会科学の分野に対し提供できる。

<社会提言について>

  1. 5つのサブグループ個別の報告書、市販書、専門書の刊行。多くの人々が、出来る限り読みやすく入手しやすいスタイルでの活字化を行うことがねらいである。
  2. それらの成果をふまえた、まとめの公開シンポジウム『教育の失敗〜何を失い、何を得たのか、そして、何を目指すのか』(仮)を最終年度に開催。
  3. 5つのサブグループのこれまでの成果を包括するテーマを設定し(例 ヒトを育てる、社会的資源の配分)、市販書や専門書として刊行。できれば、読みやすい一般書のかたちで、シリーズものとして刊行する。
  4. 通常の共同研究であれば同一テーブルでの交流も議論もありえなかった、多様な領域から募った現メンバー構成の強みを積極的に生かし、研究期間終了後も新たなメンバーをつのりつつ、共同研究チームを再組織する。
  5. 特に、グループ間の連携を視野におさめた上での活動としては、研究領域Ⅰとして、共通課題を設定し(例 ヒトを育てる、組織を読み解く、“現場の知恵”を探る)、各グループの研究成果を検討しあう課題研究の場を定期的に開催して、知見や手法を共有し、その成果をもとに活字やHP、公開セミナー等のかたちで情報発信を行う。

<人材育成について>

  1. 5つのサブグループのそれぞれに複数名の若手研究者が恒常的に配置されるよう研究チームを組織している。こうした組織化により、個人研究であれば同席することがないであろう他領域の中堅の研究者たちと一緒に分析、考察、議論を行う過程を彼らに提供している。したがって、自身の専門だけにとどまらない広くかつ深い視野をもった研究者を養成する機会ともなっている。
  2. また、彼らは、分析、議論だけではなく、資料収集やデータ作成、研究会の運営、シンポジウムの開催、報告書の編集といった研究活動の周縁的ではあるが土台となる幅広い作業も分担しつつ担当している。
  3. 現実社会のさまざまな問題に理論的かつ実践的に取り組んでいくためにもこうした幅広い分野の研究者との交流、共同作業、そして協同的に遂行されるマネージメント業務経験は重要な人材育成の一端を担うものである。

シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:

  1. 2005.1.29(東京大学) 第1回公開シンポジウム「教育の失敗」
    • 指定討論者:潮木守一氏(桜美林大学)、千田有紀氏(東京外国語大学)
    • 参加者:鍋島祥郎氏(大阪市立大学)、越智康詞氏(信州大学)、河野銀子氏(山形大学),他約60名
  2. 2005.10.1(東京大学) 第2回公開シンポジウム:「ニート」−何が問題なのか
    • パネリスト:堀有喜衣(労働政策研究・研修機構 研究員),中西新太郎(横浜市立大学国際文化学部教授),浜井浩一(龍谷大学大学院法務研究科教授)
    • 指定討論者:本田由紀(東京大学大学院情報学環助教授),他参加者約160名
  3. 2006.7.17(東北大学) ※教育測定SG主催
    • 第1回公開講演会:大規模能力試験を支える最新のテスト理論とその活用
      −外国語としての日本語能力測定を中心として−
    • 講師:野口裕之(名古屋大学),他参加者10名
  4. 2006.10.27(東北大学) ※教育測定SG主催
    • 第2回公開講演会:大学入学者選考制度の改革に必要なものは何か
      −オレゴン州PASSシステム実施の事例からわかること−
    • 講師:橋本昭彦(国立教育政策研究所),他参加者13名
  5. 2006.11.10(東北大学) ※教育測定SG主催
    • 第3回公開講演会:「テストスタンダード」を基にした学力調査のあり方
      −日本版テストスタンダードがめざす役割−
    • 講師:池田央(立教大学名誉教授),他参加者19名

※上記以外に、グループ内の5つのサブグループが2ヶ月に1回程度の研究会等を開催している。

論文、著書等:

  1. 苅谷剛彦,「緊急アピール! 分権化の踏み絵にするな−どうする義務教育費国庫負担制度」『論座』朝日新聞社(125)10月号,136-145,2005.
  2. 苅谷剛彦,「見直すべきは人と金と時間の配分だ—教育資源論を問い直す」『論座』朝日新聞社(120)5月号,8-21,2005.
  3. 苅谷剛彦,「少子化時代の怪 教員が大量に不足する!—義務教育を襲う地殻変動」『論座』朝日新聞社(118)3月号,156-165,2005.
  4. 苅谷剛彦、清水睦美、藤田武志、堀健志、松田洋介、山田哲也,『脱「中央」の選択:検証地方分権化時代の教育改革』岩波ブックレット,岩波書店,No.662 総頁数71,2005.
  5. 苅谷剛彦,「少子高齢化時代における教育格差の将来像?義務教育を通じた再配分のゆくえ」白波瀬佐和子編『変化する社会の不平等?少子高齢化にひそむ格差』東京大学出版会,105-135,2005.
  6. 日本の教育システム・教育測定・評価サブグループ編「学力の問題とその評価技術をめぐって」,教育測定・評価サブグループ(代表者: 荒井克弘)主催第1回研究会報告書 総頁数74,2005.
  7. 日本の教育システム・教育測定・評価サブグループ編「大規模能力試験を支える最新のテスト理論とその活用 −外国語としての日本語能力測定を中心として−」,教育測定・評価サブグループ(代表者: 荒井克弘)主催第1回公開講演会報告書(講師: 野口裕之)総頁数53,印刷中. ※他、報告書を印刷中。