プロジェクト研究名:
日本的知的資産の活用
グループ名:
日本文化の空間学構築
リーダー名(所属):
桑子 敏雄
東京工業大学・大学院社会理工学研究科・教授
関連サイト:
組織構成:
桑子 敏雄(東京工業大学大学院社会理工学研究科教授)(グループ長・空間学の全体構想担当)
延藤 安弘(愛知産業大学大学院教授・NPO法人まちの縁側育み隊隊長)(住民参加担当)
オギュスタン・ベルク(フランス国立社会科学高等研究院・教授)(風土学的観点による空間学)
片寄 俊秀(大阪人間科学大学人間科学部・教授)(地域再生の理念と技法、NPO・大学の役割担当)
島谷 幸宏(九州大学工学部・教授)(河川空間の再生と継承の理念構築担当)
萩原 なつ子(武蔵工業大学環境情報学部・助教授)(住民参加と合意形成担当)
宮尾 博一(河川環境管理財団・理事)(行政教育担当)
賀雪鴻(中国北京・文化交流センター・ジェネラルマネージャー)(日中文化交流促進担当)
百武 ひろ子(早稲田大学芸術学校講師・プロセスデザイン研究所代表)(ちいきづくり担当)
大谷 いづみ(NPO法人合意形成マネジメント協会・理事)(合意形成プロセス)
金子 洋二(新潟県NPOサポートセンター・事務局長)(NPO育成の問題担当)
ヤン・ヌソム(パリ大学・ラヴィレット建築学校・助教授)(景観担当)
吉村 伸一((株)吉村伸一流域計画室・代表取締役)(再生の技術担当)
鈴木 良一((株)昭和堂・取締役))(出版と文化学構築担当)
吉武 久美子((財)日本訪問看護振興財団主任研究員・地域医療合意形成)
これまでの研究成果:
<概要>
「日本文化の空間学構築」研究グループは、日本各地に伝承された地域管理の知恵(とくに水環境管理の知恵)を現地に赴いて掘り起こし、地域の人々、NPO、行政担当者と問題を議論して、解決の方向性を探る活動を13回ほど行ってきた。この活動の成果として、二つの点が明確になった。一つは、研究の目標を「空間の継承と再生」の課題としたこと、もう一つは、研究の方法を「フィールドワークショップ」として洗練してきたことである。フィールドワークショップとは、現地空間に赴いて、地域の人々とともに討議することであり、この点で、フィールドワークとワークショップとの融合であるが、この融合は、研究者、地域住民、行政との連携を含むという点で、従来にない新しい方法となっている。
平成18年7月16日に佐賀市で開催した「環有明海地域づくりシンポジウム 龍宮からの贈り物 −佐賀平野への新たなまなざし−」は、佐賀県の抱える公共事業の課題について、佐賀県副知事、国土交通省武雄河川事務所長の参加も得て、参加した地域住民との意見交換を行ったもので、本研究グループの最大の研究成果の一つである。
<学際性について>
本グループは、哲学、地理学、社会学のほかに建築学、土木工学の研究者のみならず、人文系、理工系出身者で地域づくりNPO活動のリーダーを含んでいる。メンバーはすでに特定の学問の枠にとどまらず、多彩な研究活動を展開しており、同時に、地域づくりや政策提言などの点で、NPO活動の中心的な活動も行っていて、その学際性、融合性は際だった特色をもっている。
メンバーそれぞれがすでに学際的、融合的な研究活動、社会活動を行っているが、本研究グループの特色は、このメンバーがフィールドワークショップという方法で空間体験を共有し、空間の意味の解読において協働するという形式を取っていることである。このプロセスによって、日本の地域空間、国土空間に対する新たなまなざしを発見しつつある。具体的には、佐賀で行ったシンポジウムでは、佐賀平野という空間を背振山の頂上と有明海の海底から見る「龍宮からのまなざし」という視点を提案した。これは、人文学と土木工学・建築学との協働によってはじめて可能になったものである。
<社会提言について>
本グループメンバーの多くは、すでにさまざまな地域においてNPO活動のリーダーとして社会提言活動を行っている。その意味で、メンバーそれぞれの研究スタイルは、実践的である。本グループが方法としているフィールドワークショップという方法は、特定地域の問題を討議するのにふさわしく、また積極的に貢献しようという意思をもったメンバーが現地に集まり、地域と交流しながら、問題解決の方向性を示すというプロセスである。これは、研究を行った上で社会提言する、ということではなく、地域社会の問題そのものに身を置きながら、地域の人々とともに考えるということである。たとえば、佐賀シンポジウムでは、「佐賀平野の空間特性を明らかにし、ふるさとのよさを見いだして、称賛しながら、議論の輪をつなげ、また広げる」という方向について、多くの参加者の賛同が得られている。
<人材育成について>
本グループでは、既存の学問的枠組みにないテーマや方法をとっており、本グループに参加した博士課程の学生やポスドクの学生の数は多くないが、主に3つの点で人材育成の効果を上げている。
| (1) |
プロジェクト・リーダーという点では、本グループメンバーであった博士課程の学生が学位取得とともに、研究機関の研究員として採用され、研究プロジェクトのマネジメントを任されているという事例がある。 |
| (2) |
修士課程の学生や学部生を本研究グループ企画の事業に参加させることにより、大きな教育的効果をもつことができた。 |
| (3) |
地域NPO活動の若手リーダーにも参加してもらうことによって、学問的研究と社会活動の連携が深くとれている。この点についても人材育成という点で効果を挙げてきたということができる。 |
シンポジウム、ワークショップ等の開催状況:
【シンポジウム・フィールドワークショップ(FWS)・研究会等】
(括弧内は、市民、行政担当者等の人数を含む総参加者数)
2003.12.23-25 京都銀閣寺FWS(日本的空間性の原理とその普遍性) 17名
2004.2.26-27 三田市FWS(三田市におけるオールドアンドニュー) 13(40)名
2004.7.30-31 合同研究会at四谷(景観法と日本橋のちいきづくり) 27名
2004.12.18-19 神戸国際シンポジウム 16(450)名
2004.12.20-23 宮崎県高千穂FWS(神話の里、自然の襞) 17(50)名
2005.3.9-15 石垣・西表FWS(自然環境と人間社会システム) 13(50)名
2005.6.23-24 豊後高田・別府FWS(空間の継承と再生) 12(210)名
2005.8.19-22 山ノ内町志賀高原サマースクール(農業・観光・環境と空間学) 22(110)名
2005.9.25 石巻市北上町FWS(食育と地域作り) (人社プロメンバー)
2005.12.9-11 伊勢市FWS(古代建築にみる空間の継承と再生) 21(50)名
2006.3.18-19 京都UコートFWS(集住文化の世代間継承) 9(40)名
2006.4.29-31 大川市風浪宮FWS 20(120)名
2006.7.14-17 佐賀市環有明海シンポジウム・FWS 16(140)名
論文、著書等:
【著書】
Yann Nussaume著 Anthologie critique de la théorie architecturale japonaise (OUSIA) 全543ページ[2004]
「いい川・いい川づくり」研究会編著 私たちの「いい川・いい川づくり」最前線(学芸出版社)
全258ページ pp.33-48(延藤)pp.69-87(桑子)pp.125-142(片寄)pp.179-189(島谷)[2004.7]
桑子敏雄編著 いのちの倫理学(コロナ社) 全231ページ [2004.10]
延藤安弘編著 人と縁をはぐくむまち育て(萌文社) 全246ページ[2005.8]
桑子敏雄著 風景のなかの環境哲学(東京大学出版会) 全251ページ [2005.10]
片寄俊秀著 まちづくり道場へようこそ(学芸出版社) 全223ページ[2005.11]
延藤安弘著 おもろい町人(まちんちゅ)(太郎次郎社エディタス)全150ページ[2006.4]
延藤安弘編著 私からはじまるまち育て(萌文社)全221ページ[2006.6]
【論文】
百武ひろ子 風景における「個性」を考える(土木施工45(1)、pp.8-12)2004.1
島谷幸宏 河畔の小径はなぜ心地よいのか?(FRONT193、pp.16-18) 2004.10
桑子敏雄 合意形成とコミュニケーションの教育(比較思想研究31、pp.1-8)2005.3
桑子敏雄 紛争解決と合意形成の空間構造(都市計画54(4)pp.47-50)2005.8
桑子敏雄 提案のための文法-市民参加とコミュニケーション(感性哲学5、pp.64-78)2005.8
吉村伸一 川と暮らしを伝える原風景(FRONT204、pp.34-38)2005.9
百武ひろ子 グッドデザイン選定制度にみる感性評価の視点(感性哲学5、pp.124-136) 2005.9
島谷幸宏 歴史的環境を活かす(建設業しんこう362、pp.36-42) 2006.2
吉村伸一 大地に刻まれた治水と利水の履歴(FRONT209、pp.34-38)2006.2
桑子敏雄 感性哲学とコミュニケーション(人工知能学会誌21(2)pp.177-182)2006.3
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