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人文・社会科学振興プロジェクト研究事業

平成15年度 プロジェクト研究事業 資料 3

平成15年度
研究領域の概要及びプロジェクト研究概要

 

研究領域4


過去から現代にわたる社会システムに学び、将来に向けた社会の持続的発展の確保について研究する領域

研究領域の概要:

エネルギー使用量の抑制や、廃棄物の分別、環境負荷の低減など、地球環境問題への対応策は広く社会に受け入れられつつある。それは、せめてできるだけ消費を抑え、循環型社会を実現させて、少しでも現状の生活を持続させようとしているのである。しかし、そもそも、どんな社会が、どのくらい長く持続することが望ましいと考えられるのだろうか?どうすれば、望むべき社会が持続することができるのだろうか?21 世紀を展望すると、日本のみならず、世界中で指数関数的な人口増加、経済発展が終焉を告げようとしている現在、社会の発展とその持続性に関し、上記のような問いに答えつつ、新たな視点と今後の明るい展望、方向性を示すことこそが、人文社会科学に対し強く求められている。

本研究領域では、百年後などに関する定量的な展望、見通しの策定に関する取り組みを踏まえた上で、千年といった時間単位を想定した場合の、社会の持続性に関する研究を行うことを目的とする。

Project Number 4-1 Project Number 4-2 Project Number 4-3 Project Number 4-4  
 
 
  

研究領域4
Project Number 4-1

プロジェクト研究名:

水のグローバル・ガバナンス

プロジェクト・リーダー名:

中山 幹康
(東京農工大学大学院連合農学研究科教授)

プロジェクト研究の概要:

国際河川・湖沼流域の水資源を巡る国家間での確執が、世界の幾つかの地域では顕在化していることからも明らかなように、水資源の分野でも、エネルギーや食料の分野と同じく「グローバル・ガバナンス」の必要性が高まっている。「グローバル・ガバナンス」を水資源の管理において確立するためには、新しい行動規範と、そのような行動規範が機能するため方法論が提案されねばならない。
本プロジェクト研究では、新しい行動規範として「青の革命」を、行動規範が機能するための方法論として「越境影響評価」を研究の対象とする。本プロジェクト研究は、その成果からの政策提言を通じて、国際社会へインパクトを与えることを志向している。

コア研究の概要:

「越境影響評価」と水のガバナンス
(中山 幹康  東京農工大学大学院連合農学研究科教授)

本研究では、次の課題に、国際的な学際研究チームにより、「文理融合型」の国際共同研究として取り組む:(1)「越境影響評価」を水資源の分野で方法論として確立するための理論的な構築と、事例からの検証を行う。(2)「越境影響評価」に関する国際的な行動規範として既に提唱されている、「ダム建設時の自然および人間居住環境への配慮」および「国際流域における流域国の協調形成」」の適用性を事例研究を通して検討する。

コア研究の概要:

「青の革命」と水のガバナンス
(蔵治 光一郎  東京大学大学院農学生命科学研究科附属愛知演習林講師)

「緑の革命」によって人口増加を上回る食糧生産が達成されたが、同様に「水危機」を克服するために「青の革命」が必要だという考え方がある。「青の革命」の実現にはダムによる水資源開発よりもむしろ、土地利用、生態系、社会・政治システム、人間の心のあり方を含めた水の合理的・合倫理的な分配・利用を実現する新しい水ガバナンスの形成が求められている。本研究では、事例研究を通じて「青の革命」を実現する諸条件を調査研究する。

  

研究領域 4
Project Number 4-2

プロジェクト研究名:

千年持続学の確立

プロジェクト・リーダー名:

沖 大幹
(東京大学生産技術研究所助教授)

プロジェクト研究の概要:

本プロジェクトでは、どういう社会が、どのくらい長く持続することが望ましいのか、また、どうすれば、望むべき社会が持続することができ、そのためには今何をすべきなのか、といった問いに答える千年持続学の構築を目指す。学融合的な研究チームによる新たな視点から、人間と環境、生態系とが過去にどのように共存、あるいは競合してきたか、現在の我々の社会がどれほど有形無形の歴史財産によって支えられているのか、革新的な技術が社会システムをどのように変革し、そしてその持続性を如何に変化させてきたのか、また、そもそも持続している社会とは何がどう持続していることなのか、といった点に関する調査研究を行い、今後の社会システムのあり方の意思決定に資することができるような知識体系を提供することを目的とする。

コア研究の概要:

心性の持続性に関する学融合的研究
(木村 武史  筑波大学哲学・思想学系助教授)

千年持続社会の可能性を考えるには、日本だけではなく、経済至上主義の前では弱者である少数民族・先住民が存続できるような精神的に豊かなグローバル社会を考える必要がある。これらの先住民族は自然環境との有機的な関係の中で宗教的精神世界を数千年間築き上げてきており、日本の伝統との接点もあり、交流を通して学ぶこと が多々あると考えられる。本研究では、精神文化の持続性と構築の可能性について考えていく。

コア研究の概要:

都市の持続性に関する学融合的研究
(村松 伸  東京大学生産技術研究所助手)

本研究では、現在の都市の混迷を解き明かすために、過去から現在へ至る都市の変貌の実態と、その行く末をこの研究ではあきらかにする。建築史、都市史、地理学、文化人類学、商業社会学、歴史学などの研究者が集まって、ウランバートル、サマルカンド、秋葉原、メダン、ニューヨークなどの都市フィールドワークを実施し、人間社会の器であり暮らしを映す都市がいかに持続してきたか(来なかったか)を解明する。

コア研究の概要:

社会制度の持続性に関する学融合的研究
(加藤 雄三  総合地球環境学研究所助手)

人類は家族から全球のレヴェルに至るまで社会の構成員であった。この構成員を規律する社会制度は個別社会の中において成立し展開する。但し、社会内部の存在たる制度はより広域の社会の影響を有形無形に受けて存在している。「社会」なるものの持続性或いは継承性の構造を解く鍵はここに内在している。本研究では、「東アジア世界」を対象として、社会制度を持続・継承させる諸般の人間の営みを読み解き、千年持続学の基礎を固める。

  

研究領域 4
Project Number 4-3

プロジェクト研究名:

豊かな人間像の獲得 ―グローバリズムの超克―

プロジェクト・リーダー名:

小長谷 有紀
(国立民族学博物館民族社会研究部教授)

プロジェクト研究の概要:

今日、人類は他の生物と比べて圧倒的に優勢にその権益を拡大し、環境問題など地球規模の課題を自ら作り出している。それゆえに、こうした問題を解決するための最も根源的な問いが「人間とは何か」であることは疑いない。換言すれば、人の生き方に関する価値観や規範をめぐる再検討が必要とされている。とくに、市場経済に対抗すべく生まれた社会主義の崩壊を経て21 世紀の現代を席巻しているグローバリズムについて、価値観や規範の多様性という観点から超克してゆかなければならない。
本プロジェクト研究は、一人一人が幸せに生きてゆくために豊かな人間像を社会に提供することを目的とした、人文学系諸学を主役とするものである。

コア研究の概要:

産育の現場からの考察
(松岡 悦子  旭川医科大学医学部助教授)

リプロダクションすなわち人を産み育てる営みは、自然科学や工場生産の価値観ではとらえきれない文化の継承や人間の発達という側面をもっている。本研究では、様々な文化におけるリプロダクションの多様性と普遍性を検討し、現代社会における「人の再生産」の枠組みを相対化しうる視点を提示する。そのような視点は同時に、女性のみならず、男性にとっても産育をめぐる豊かな人間像の構築となり、少子化問題への根源的な訴求となるであろう。

コア研究の概要:

生死の現場からの考察
(木下 鉄矢  総合地球環境学研究所教授)

本研究では、世界各地の過去および現在を研究対象とする歴史学、文学、政治学、地理学、人類学など諸分野の研究者が連携して、人の生き死にする現場に着目し、個別的な事例から豊かな人間像を提示する。とりわけ、社会構造や制度とせめぎ合い折り合い乗り越える個々人の動態に焦点をあて、事例を析出する。こうした事例の幅広い提示により、現代人が際会している生きる価値の崩壊状況をしのぎ、にぎわう未来を開く力強いビジョンを現わす。

  

研究領域 4
Project Number 4-4

プロジェクト研究名:

資源配分メカニズムと公正

プロジェクト・リーダー名:

佐藤 仁
(東京大学大学院新領域創成科学研究科助教授)

プロジェクト研究の概要:

グローバル化の進行は総量として富の増大をもたらしているが、その影では、自然環境の劣化、さまざまな資源へのアクセス格差の拡大、貧困問題の顕在化がみられる。一部の論者は、さらなる経済成長を続けることで、こうした負の側面が解決されると主張するが、その議論は十分に検証されているわけではない。成長の果実を再分配して格差を縮小する、という従来型の発想から、地域的文脈に応じた生産・経済活動の編成のされかたそれ自体に「公正」の側面を取り入れるような制度設計を考案しなくてはならない。
本プロジェクト研究では、貧困削減事業や人工物の整備という「開発」の象徴が人間の選択肢の広がりにどう影響してきたのかを切り口に、資源アクセスと格差問題の構造的メカニズム解明に迫る。

コア研究の概要:

貧困と資源配分メカニズムの公正
(佐藤 仁  東京大学大学院新領域創成科学研究科助教授)

本研究は、「貧困・格差の学際的研究」班と「資源配分としてのインフラ・資源開発」班の2つの部分から構成される。前者は、社会科学内での横断的研究を志向し、異なる社会集団の間での資源アクセスの相違が生じるメカニズム、および再配分のための移転メカニズムを考察する。後者は、工学と社会科学との融合を目指して、ダムを中心的な題材としながら人工物の設置や立地の背景にある意思決定と、その決定が人間社会に及ぼす政治的影響を考察する。