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人文・社会科学振興プロジェクト研究事業

平成15年度 プロジェクト研究事業 資料 3

平成15年度
研究領域の概要及びプロジェクト研究概要

 

研究領域3


科学技術や市場経済等の急速な発展や変化に対応した社会倫理システムのあり方について研究する領域

研究領域の概要:

科学技術の発展や市場経済の進展に見られる社会の変化は、社会の様々な現場において新たな複雑性や不確実性を生み出すとともに、既存の社会倫理システムとの齟齬を引き起こし、様々な軋みを生じさせている。生命倫理に見られるようなヒトとは何かといった根本的な倫理的問いの再浮上、少年犯罪や教育機能の形骸化に見られる人間関係の不全化、医療、福祉、教育、司法の現場に見られる専門家・非専門家関係の緊張、政策形成過程に見られる市民・行政・専門家間の相互不信や専門家相互間での協働の機能不全、倫理性を疑われる企業行動の顕在化、急速な科学技術や市場経済化に対応できない政治社会システムや国際システムといった課題は、その例であるといえる。

本研究領域は、近年急速に進展しつつある科学技術の発展や、市場社会化(近年の司法社会化も関連する一側面であるといえる)に対応して、倫理を含む社会システムがどのように対応しているのか、その際の基本的問題は何か、今後どのような社会倫理システムを構築していったらいいのかといった課題に関して、社会の様々な具体的現場に即して分野横断的に研究することを目的とする。

具体的には、これらの課題を、ミクロな人間関係のレベル、医師、看護士、技術者といった専門家集団のレベル、政策決定や行政のレベル、企業行動や市場のレベルにおいて検討する。また、医療といった特定の課題に関して、様々なレベルの現象がどのように交錯しているのかについて横断的に考察する。これらの作業を行う際は、社会の現場との重視し、最終的には社会提言にもつなげる。

Project Number 3-1 Project Number 3-2 Project Number 3-3  
 
 
  

研究領域3
Project Number 3-1

プロジェクト研究名:

ボトムアップ人間関係論の構築

プロジェクト・リーダー名:

佐藤 達哉
(立命館大学文学部助教授)

プロジェクト研究の概要:

科学技術の急速な発達、市場経済の進化・複雑化、法化社会化、ボーダレス化は、既存の社会における様々な人間関係に深刻な軋みを生み、少年犯罪に見られるような様々な問題を引き起こしている。
本プロジェクトは、医療、司法、福祉、教育(家庭含む)での実践を、そこで起きている人間関係に着目して捉え直すものである。また、本プロジェクトは、ある意味で研究領域の基礎論的意味を持つ。すなわち、ここで見いだされた人間関係についての知見は、医療システムや科学技術ガバナンスなどの分野にも有用だろうし、市場システムにおける専門職等の倫理のあり方を論ずるうえでも有用であると思われる。人文社会系全般の調査に資する調査方法論(特に質的研究)の開拓についても積極的に行う。

コア研究の概要:

「社会変化と人間関係の諸相」
(佐藤 達哉  立命館大学文学部助教授)

本研究では、医療、司法、福祉、教育で行われている技術・サービスの提供・実践を「対人援助」という概念で捉え直し、その諸相、特に硬直化し問題化している部分を抽出する。また、科学技術や医療・福祉・教育などに対して人々が利用しうる代替資源の実態を調査するために「オルタナティブ・オプションズ」の研究を行う。さらに、学融的研究の方法論の検討(科学社会学)、社会と学問の関係の失敗の歴史(科学史)研究も行う。

  

研究領域 3
Project Number 3-2

プロジェクト研究名:

医療システムと倫理

プロジェクト・リーダー名:

清水 哲郎
(東北大学大学院文学研究科教授)

プロジェクト研究の概要:

現代社会における医療の諸問題を解決し、その望ましいあり方を実現することは喫緊の課題である。これに取り組む研究には、医療技術の高度化を図る視点のみならず、科学技術を担いまたそこから益を得る人間および社会に注目する視点が必要とされる。
本プロジェクト研究は、後者の視点を持つ人文・社会科学諸領域の研究者が参加する場を形成し、個別の医療現場から社会の医療体制までを視野に収めて、諸レベルで問題に取り組みつつ医療のシステムと倫理を探り、医療が今後どうあるべきかを提言することを目指す。まず、現場と密着した臨床倫理学研究および社会システムレベルでの実証的経済学研究を軸とする二つのコア研究を立て、他のプロジェクト研究とも交流しつつ、研究を展開する。

コア研究の概要:

医療現場における意思決定・問題解決・協働
(清水 哲郎  東北大学大学院文学研究科教授)

医療の質の向上のために、意思決定や問題解決のシステムを構築し、関係者の協働体制を整備する必要がある。本研究は、このために、医療者−患者・家族間、医療従事者間、さらには地域における協働システムの望ましいあり方を探り、提言することを目指す。臨床倫理学を研究の核かつ現場とのインターフェースとして、関係諸領域の研究者と現場の医療者からなる共同研究グループを構成し、患者・家族の協力を得ながら、研究を進める。

コア研究の概要:

医療システムと医療専門家組織、保険者、民間保険機関の役割
(吉田 あつし  筑波大学社会工学系教授)

現在の公的医療保険システムを維持すべきか、民間医療保険を主体にしたアメリカ型システムを取り入れるべきかが医療政策上の重要な論点になっている。本研究は、医療専門家集団の果たすべき機能と専門家としての倫理について理論的・実証的に分析し、公的保険者の役割や民間保険機関の機能を分析することを通じ、医療保険システムの中で医療専門組織、公的保険者、民間保険機関の果たすべき機能を再設計するための施策を提案する。

  

研究領域 3
Project Number 3-3

プロジェクト研究名:

科学技術ガバナンス

プロジェクト・リーダー名:

城山 英明
(東京大学大学院法学政治学研究科教授)

プロジェクト研究の概要:

現代社会は科学技術の発達に伴う安全・環境上の様々な問題に直面している。科学技術には不確実性が不可避であり、また、多様な社会的目的のために利用可能であるため、このような特質を踏まえて科学技術を社会において適切にマネジメントするシステムを、様々な分野の専門家、様々なレベル(国際組織、国、地方自治体)の政府、団体(専門家団体、事業者団体)や市民といった多様なアクターにより構築することが課題となっている。
本プロジェクトは、国際問題、国レベルのガバナンス、自律的技術者倫理という3つの次元に焦点を当て、政治学行政学、科学技術社会論、技術政策等の研究者や現場の実務家の協働によりこのような課題に取り組み、新たな研究領域を切り開くとともに、現場実態を踏まえた社会提言を試みる。

コア研究の概要:

日本のリスクガバナンス・システムの実態解明と再構築の提言
(平川 秀幸  京都女子大学現代社会学部講師)

本研究は、食品、原子力などにおける日本のリスクガバナンスの政策決定とそこでの専門知利用の実際を、行政・審議会・専門家集団・企業・市民団体など各アクターの働きと相互作用、法制度、人事などに焦点をあて、学際的に明らかにするものである。将来の制度の充実・改善に資する知見の獲得とともに、研究の遂行自体が、行政・企業・専門家など各方面の実務家も交えた経験・知見・情報共有のためのフォーラムとなることを目指す。

コア研究の概要:

現場からの技術者倫理システム
(大上 泰弘  帝人ファーマ株式会社生物医学総合研究所主任研究員)

既存の「生命倫理」が提示する原則は、生命科学・技術の現場との間に距離感がある。また、社会の中で科学・技術が受け入れられるためには、生命科学・技術者が専門家集団として、自らを制御できる制度を確立することが必要である。これらの課題に対し、本研究は、現場の研究者の観点から、現場に適用可能な生命倫理の枠組みを構築するとともに、専門家集団として自主的に実行しうる技術者倫理システムを提案する。

コア研究の概要:

科学技術の進展と国際問題−軍民両用技術のガバナンス
(鈴木 達治郎  慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)

本研究は、軍民両用技術(dual use technologies)に焦点をあて、国際条約から国内規制、行政指導、産業会の基準や学会・研究者の倫理規定にいたるまで、軍事転用防止にかかわる実態を調査・分析し、具体的提言を試みる。対象とする技術としては、巨大技術として原子力・宇宙技術、次に汎用技術でありながら大量破壊兵器に転用可能な生命科学・化学薬品技術、最後に最先端技術として注目されている技術(例・ナノ・テクノロジー)を事例として扱う。