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人文・社会科学振興プロジェクト研究事業

平成15年度 プロジェクト研究事業 資料 3

平成15年度
研究領域の概要及びプロジェクト研究概要

 

研究領域2


グローバル化時代における多様な価値観を持つ社会の共生を図るシステムについて研究する領域

研究領域の概要:

今日、地球規模で時空間の差異が縮小し、それによって情報格差は縮小しつつある。これは、人類社会にとってひとつの大きな利点を提供している一方で、同時にまた、あらゆる生活面での同一化や、価値規範の画一化などが見られるようになっており、こうした現代社会に見られる特徴的な傾向に対して、危機感が強く打ち出されるようになっている。

生物世界における多様性の意義から類推すれば、人類社会においても、言語や習慣を異にする諸集団が共存しあうことは、それ自体、地球規模での豊かさにつながると誰もが直感的に感得しうる。しかしながら、人類社会における文化の多様性のもつ意義は、いまだ理論的に確保されておらず、また実際にも確保されていない。

本研究領域では、多様な価値観を積極的に混在させ、そこに意味を見出し、理解の枠組みを社会へ発信することを目的とする。これは同時に、新しい社会関係、とりわけ単一の価値観によって上下関係の総体として認識されてきた社会から、水平関係の総和として認識される市民社会への転換を読み解く研究領域でもある。

具体的には、世界における地域紛争や民族問題の解決をめざして、平和構築を図るための研究群、地域社会を考察の単位として設定し、そこでの具体的な活動を観察することによって、これからの共生社会のありかたを模索する研究群とその国際的な展開に注目する研究とを一体化して有意性を増加させる研究群、さらに国際政治における新しい秩序の概念を検討する研究群、という3つの研究群を設定する。

Project Number 2-1 Project Number 2-2 Project Number 2-3  
 
 
  

研究領域2
Project Number 2-1

プロジェクト研究名:

平和構築に向けた知の再編

プロジェクト・リーダー名:

黒木 英充
(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助教授)

プロジェクト研究の概要:

9.11 事件やイラク戦争を通じて、20 世紀型の戦争認識や平和維持のための諸制度が、今や機 能不全を呈していることが明らかになった。戦争も含めた政治的暴力を抑止し、平和構築に資するべく、多様な文化や価値観が保障される仕組みを構想することは、現代の研究者に課せられた喫緊の使命である。
本プロジェクトは「人間の安全」が世界各地でどのように捉えられてきたかを明らかにし、 それが極限的に破壊される状況「ジェノサイド」を多角的に問題とし、20 世紀以降の世界を最も強く規定してきた「アメリカ」に対する視点を刷新する。この作業を通じて、研究者が従来の学問の枠組と限定的な地域的枠組とを越えて交流し合い、上記の負託に応えるべく21 世紀型の「人間の安全保障」をめぐり知の再編をめざすものである。

コア研究の概要:

地域研究による「人間の安全保障学」の構築
(黒木 英充  東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助教授)

これまでに「人間の安全保障」をめぐる研究は様々に活発になされてきたが、世界各地の紛争・共存のダイナミズムを現地の社会的・文化的な文脈に位置付けて「現地の知」を導出する研究は未だ欠落したままである。本研究は、アジア・アフリカ・ラテンアメリカを中心に多様なディシプリンをもって取り組む地域研究者を組織し、この欠を埋めるとともに、「人間の安全保障」を新たな学的体系として打ち立てることを目指す。

コア研究の概要:

「ジェノサイド研究」の展開
(石田 勇治  東京大学大学院総合文化研究科助教授)

本研究の目的はわが国において未開拓の分野に属する「ジェノサイド研究」を確立すること にある。ホロコーストを含む第二次大戦期の「ヨーロッパ・ジェノサイド」、第一次大戦下トルコでのアルメニア人虐殺、植民地支配下、開発途上国、社会主義独裁下でのジェノサイドなど、20 世紀に生起したジェノサイドの多様な形態とメカニズムを実証的に明らかにし、比較ジェノサイド研究のための研究枠組みの構築と予防論の確立に挑む。

コア研究の概要:

「アメリカ研究」の再編
(古矢 旬  北海道大学大学院法学研究科教授)

今日、世界のあらゆる地域の安全保障を語るさいに、軍事、経済、文化などすべての分野に およぶアメリカ合衆国の国際的影響力を無視するわけにはいかない。本研究は、他国、他地域のアメリカ観、アメリカ理解、対米政策を包括的に比較検討することをとおして、従来ともすれば現実の日米関係の枠内に逼塞させられてきた、わが国の「アメリカ研究」を、グローバル化の時代に対応した国際的な視野の中で再構築することを目的とする。

  

研究領域 2
Project Number 2-2

プロジェクト研究名:

多元的共生社会に向けた知の再編

プロジェクト・リーダー名:

宇田川 妙子
(国立民族学博物館民族文化研究部助教授)

プロジェクト研究の概要:

多元化がより複雑化し、共生社会への要請がますます強まっている現在、その歩みの実質的 な推進のためには、社会全体を鳥瞰的に捉えてその制度や組織を議論していくだけでなく、実際にそうした動きの中で生活している人々の目線にそって、現場でいったい何が起きているのかについて微細に観察し考察していくことが必要である。共生社会への模索はすでに現場で始まっており、我々研究者こそが、そこに学ぶという姿勢も必須である。
本プロジェクトは積極的にその視点に立ち、各コア研究が、具体的な個別事例研究、統計分析も駆使した比較研究、理論的な考察等々、それぞれの方法論の特長を生かして連携しながら、共生社会の構築への提言を試みていく。

コア研究の概要:

「運動の現場における知の再編」の解明
(宇田川 妙子  国立民族学博物館民族文化研究部助教授)

近年、先住民運動、女性運動、市民運動などの様々な運動が、世界的に活性化しつつある。 この動きは、特にマイノリティの人々が自らの承認を求めながら社会を再編し、共生を模索する動きとしても捉えられる。本研究は、そうした観点から具体的な運動について実態調査を行うと同時に、従来、様々な学問分野に細分化されてきた運動論を糾合して、多元的共生社会への可能性をより積極的に論じうるような新たな運動論を立ち上げていく。

コア研究の概要:

「被災地の現場における共生社会」の構築
(岩崎 信彦  神戸大学文学部教授)

阪神大震災において噴出したボランティア活動は、その後、災害救援、「弱者」支援の福祉、地域における仕事づくり、地域文化の復興、エコロジーなど多様な市民活動として定着し展開している。そして、これらが横にネットワークを組み、一つの「多元的な共生社会」を形成し始めている。本研究は、ここに至る過程ならびに現在の活動のダイナミズムと課題を、<学知>と<民知>の連携によって考察し、「多元的共生社会」のモデルを構築する。

コア研究の概要:

「多元的共生に関する国際比較」の研究
(辻中 豊  筑波大学社会科学系教授)

多元的な共生を成立させるものとして、各地域での市民社会の質が問われている。しかし、市民社会の現実のあり方については、経験的な比較研究は進んでいない。加えてNGO、NPO、社会関係資本についても概念の西欧バイアスがあり、多元的共生にむけて洗い直しが必要である。本研究では様々な文化圏をまたぐ市民社会組織の包括的な国際調査を行い、データベースを構築し、文化と政治を繋ぐ市民社会の組織構造の立体的モデルを構築する。

  

研究領域 2
Project Number 2-3

プロジェクト研究名:

グローバル・ガバナンスに向けた知の再編

プロジェクト・リーダー名:

遠藤 乾
(北海道大学大学院法学研究科助教授)

プロジェクト研究の概要:

グローバル化、国際機構・レジームの強化、地域統合・自由貿易圏の創設、「帝国」的行動様式の再浮上、国境横断的なネットワークの顕在化、分権化といった秩序・運動が先行するのに対して、そのような秩序・運動を支える概念・理念・思想が十分練り上げられていない。
本プロジェクトでは、そのような問題に対し、純然たる主権国家体制以外の歴史的経験や思想的遺産を踏まえ、世界的規模での秩序のあり方(=グローバル・ガバナンス)に関する知の再編を図ることでこたえたい。

コア研究の概要:

「重層的ガバナンスの理念と実態」の解明
(遠藤 乾  北海道大学大学院法学研究科助教授)

グローバル化・ボーダーレス化、帝国的秩序の形成、地方分権の進行、国境横断的な非政府組織の伸張は、国家の「内」「外」の峻別を掘り崩し、統治機能やアクターの多元多層化、ひいては断片化をもたらしている。本研究は、グローバル化時代のガバナンス(統治構造)を経験的な分析の中心に据えるとともに、それらを統合する概念・理念・思想の形成ないし再発見を、人文社会科学の蓄積を活用しつつ試みる。

コア研究の概要:

「帝国とネットワーク−アジア広域経済秩序」の解明
(籠谷 直人  京都大学人文科学研究所助教授)

主権国家がそこから生まれてきたところの「帝国」とは、いかなる本質を有していたのか。本研究は、広域経済秩序形成の観点から、前近代「帝国」・近代「帝国主義」・戦後「覇権」を「広義の帝国」として議論する。そして、帝国とともに伸張したアジア商人の「ネットワーク」を地域的「公共財」の提供者として議論したい。グルーバル・ガバナンス論に、歴史的視座、経済学的視座を分野横断的に提供することを企図している。