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人文・社会科学振興プロジェクト研究事業

平成15年度 プロジェクト研究事業 資料 3

平成15年度
研究領域の概要及びプロジェクト研究概要

 


知の遺産を始めとする日本の在り方と今後の変容について研究する領域

研究領域の概要:

20世紀から21世紀への転換のなかで、戦後の日本社会を支えてきた価値観が大きく変化している。バブル経済の崩壊とその後の九十年代には、経済の成長を豊かな社会の実現と考えてきた人々がその幻影から目覚める機会を与えられたにもかかわらず、失われた十年の意義については十分究明されず、他方、モノの豊かさから心の豊かさへの転換をどのように行ったらよいのかはいまだ見えていない。この十年は、同時に、大学をはじめとする教育システムに大きな変化が起こった期間でもあった。このような状況のなかで、戦後の経済成長中心の社会で失われてきた日本の自然や社会の在り方あるいは教育の在り方が再び問われようとしている。

本研究領域は、20世紀の日本の在り方を問い直すプロセスのなかで、現代日本の教養教育の問題点やその再構築の方向を明らかにするとともに、知の遺産の活用法や組織・企業のあり方をはじめとする日本の在り方と今後の変容について研究し、現代の社会経済システムをはじめとする日本社会の抱える問題群に対して、その解決の方向や具体的な解決策を示すための研究を行うことを目的とする。

Project Number 1-1 Project Number 1-2 Project Number 1-3  
 
 
  

研究領域 1
Project Number 1-1

プロジェクト研究名:

日本的知的資産の活用

プロジェクト・リーダー名:

桑子 敏雄
(東京工業大学大学院社会理工学研究科教授)

プロジェクト研究の概要:

人文社会科学の研究は人類の知的遺産をその対象とすることが多いが、現代社会の諸問題を解決するという明確な目的と関連づけられることが少なかった。
本プロジェクトでは、日本の歴史に蓄積されたさまざまな知的資産の価値を再認識するとともに、現代社会の抱える現実的課題の起源を明らかにし、またその分析に活かしながら、問題を解決するための方法、手続きなどについて、学問的根拠にもとづく提案を学際的に研究し、その成果を社会提言として発表する。本プロジェクトでは、日本の文化的資産のなかで、とくに空間と結縁組織の概念に注目し、「空間的協働行為」と「地域ネットワーク」をキーワードに研究プロジェクトを構成する。

コア研究の概要:

日本文化の空間学構築
(桑子 敏雄  東京工業大学大学院社会理工学研究科教授)

現代の日本社会における国土政策や環境政策では、20世紀に主流であった行政主導型から住民参加・市民参加型事業を理念とする政策への転換が進みつつあり、日本の社会にふさわしい市民参加・合意形成手法が求められている。本研究では、日本社会の知的資産として、地域社会に蓄積された様々な空間管理手法や社会的合意形成手法を掘り起こすとともに、これからの国土政策や環境政策に活用する方法を研究、開発し、社会に提言する。

コア研究の概要:

日本型地域ネットワークと地域通貨
(岡田 真美子  姫路工業大学環境人間学部教授)

講、結い、ため池管理などに見られる日本的結縁ネットワーク形成の手法および結縁組織による伝統的地域社会経営の形態や実効性を、文献探査とフィールドワークの両面から研究するとともに、ICT(Information & Communication Technology)の活用と地域通貨実験によるシミュレーションを通して、これからの地域づくりのビジョンを提案し、同時にビジョン実現のための推進方策を提言する。

  

研究領域 1
Project Number 1-2

プロジェクト研究名:

失われた10年の再検討 ―日本の社会経済システムの功罪―

プロジェクト・リーダー名:

青島 矢一
(一橋大学イノベーション研究センター助教授)

プロジェクト研究の概要:

80 年代後半には世界で最も競争力がある国と評価されていた日本経済が90 年代以降長期的な低迷状態にある。このような経済的凋落が起きたのはなぜなのか。80 年代に世界のお手本として君臨した日本の経済・社会システムが、いまや問題の根源として批判の対象となっているのはなぜなのか。失われた10 年といわれる90 年代以降の日本の状況に関しては多くの解明すべき点が残されている。それは単なる景気の波では説明できない、日本の社会経済システムの構造的な問題が絡んでいると考えられる。
本プロジェクトでは、この点を、経営学、経済学、教育学、政治学、さらに自然科学の研究者を含めた領域横断的な協同の下に解明していく。

コア研究の概要:

日本的品質管理の功罪
(加登 豊  神戸大学大学院経営学研究科教授)

日本的品質管理が日本企業の躍進に貢献したことは、疑うことのない事実であるが、近年、日本製品の品質低下が顕著になりつつある。この品質問題の本質にせまるために、本研究では、研究者、企業、およびコンサルタント等がチームとなって実施するイノベーション・アクション・リサーチと呼ばれる研究方法論を採用する。それは、品質管理の実践状況を現場で観察し、その改善を行うことまでも含む研究である。

コア研究の概要:

危機管理と組織・人材
(青島 矢一  一橋大学イノベーション研究センター助教授)

技術や社会など、人間を取り巻くシステムが複雑化している現在、多くの人々に対して甚大な影響を及ぼすような事件や事故の可能性が高まっており、社会的に大きな問題となっている。これらの事件や事故は、技術、個人、集団、組織、組織間など様々な要因が複雑に絡み合って生じている。そこで、本研究では、組織理論や技術管理論に加えて、刑法などの法学の学問領域も含めた包括的な研究を行ない、危機管理や組織倫理としての実践的なインプリケーションを導出する。

  

研究領域 1
Project Number 1-3

プロジェクト研究名:

教養教育の再構築

プロジェクト・リーダー名:

鈴木 佳秀
(新潟大学人文学部教授)

プロジェクト研究の概要:

本プロジェクト研究は、日本の教養教育に影響を与えた諸文化の歴史と背景の批判的検証を通じて教養教育とは何だったかを見極めるとともに、今求められるべき「教養」のコンセプトと具体的な内容を模索し、その教育を実現するためのシステムを再構築することを目的とする。
本研究では、種々の分野の大量かつ多様な現象、事象、状況を認識、判断する能力を、各分野の思考枠組ないし「フォーミュラ」を把握させることによって、涵養する営為を、教養教育として捉える。そして、この把握すべき対象を「リテラシー」と呼び、現代人が必要とするリテラシーを、三つの側面(個人、公け、そして科学技術)から把握し、各々について具体的な内容を、カリキュラムや教材として提示することを目指したい。
具体的作業としては、三つの側面に対応して以下の三班にわけ、各々においてキーワードと比較対象国毎に分担し、さらに各班全体および三班全体で常に、相互に批判的検討を行う。

コア研究の概要:

人文学班
(佐藤 慎一  東京大学大学院人文社会科学研究科教授)

上記のリテラシーを個人の側面から捉える人文学班では、比較の対象として欧米の文学、哲学、歴史学を考察するとともに、日本の人文学の伝統を形成してきた、国文、漢文学を含め総合的に把握する。さらに、伝統的に教養教育の役割を担ってきた古典教育の歴史と変容などを、複眼的視点から、冷静に見据えたい。

コア研究の概要:

社会科学班
(小川 浩三  桐蔭横浜大学法学部教授)

上記のリテラシーを「公け」ないし「公人」としての視点から捉える社会科学班では、基本的には人文学班と同様な作業を行うが、特に自らの社会をどのように担うか、主権者としてどのように判断するかという自覚と能力を涵養することにも十分配慮する。そして、人文学班、科学技術班との共同作業にも積極的に関与する。

コア研究の概要:

科学技術班
(中島 尚正  放送大学教授)

自然科学ないし科学技術に携わる研究者・技術者から、教養教育に対する期待は非常に高い。そして環境、安全問題を初めとして、科学技術と「人間性」、科学技術と「社会」の関係に対する真剣な考察は、ますます重要になって来ている。科学技術班では、米国の例などを参考にしながら、大学関係者のみならず、種々の研究所や企業で科学技術に携わる方との積極的な意見交換を取り入れて研究を遂行する。