- 国際シンポジウム名
(和文名) 第2回回折構造生物国際シンポジウム2007
(英文名) The 2nd International Symposium on Diffraction Structural Biology 2007
- 目的
21世紀のポスト・ゲノム・シーケンシング時代におけるゲノム研究の主要なテーマが遺伝子のコードするタンパク質の機能解析である。このため、タンパク質の機能、物性、生体内での役割などの解明とDNAから生命に関する情報の抽出をめざして発展している構造生物学は生命科学の中心に位置付けられるようになって来た。タンパク質の機能発現の理解に必須な立体構造は構造生物学の主要な研究の対象である。その中でタンパク合成系のリボソーム、受容体としてはロドプシン、超分子複合体としては細菌の鞭毛モーターやウイルスなどに代表される立体構造決定は、生命活動を支える最近の記念碑的なものとして位置付けることができる。また、タンパク質およびその複合体の立体構造解析が、病気と関連する遺伝子やタンパク質群を特定しその作用をコントロールする薬を開発するゲノム創薬の中心的技術であることも広く認識されている。
立体構造解析の手法はX線回折を中心として、NMR、電子顕微鏡(電子線回折)、中性子回折がある。中性子回折法では、X線解析では検出できないプロトンを検出でき、生理機能に直接関与する水素原子や完全な水和構造をX線解析より容易に明らかにすることができる点から魅力ある方法である。
回折構造生物第169委員会はX線、中性子線、電子線の回折を利用してタンパク質の原子レベルでの構造と機能を総合的に理解するため回折構造生物学の国際シンポジウムを提唱し、2003年5月に筑波で第1回回折構造生物国際シンポジウム(ISDSB2003)を開催した。
しかしながら、上記の手法や技術およびその産業応用などの進展はISDSB2003以降においても著しい。そこで、本シンポジウムは生命活動において特に重要で記念碑的な解析やゲノム創薬の中心技術としての解析に加え、本分野の発展を促す手法や技術および産業応用に関して国際的に最高のレベルの研究者を集め、本委員会の成果を世界に発信すると共に改めて将来を展望し本委員会の今後の発展に貢献することを目的とした。
加えて著名な科学者と将来が有望な若手研究者との直接的な交流により、若手研究者をエンカレージすることも期待した。
- 開催期間、開催場所
平成19年 9月10日(月)〜平成19年 9月13日(金)(4日間)
開催場所:東京(会場名:タワーホール船堀)
- 参加者数等
- 参加者数
計:281名(国内231名、国外50名)
国外内訳:ドイツ(1人)UK(5人)フランス(5人)USA(18人)スイス(2人)スウェーデン(1人)スペイン(1人)韓国(7人)、中国(3人)、台湾(2人)インド他(5人)
- 著名な参加者:
月原富武、雨宮慶幸、難波啓一、坂部知平、中川淳史、三木邦夫(日本)、Hartmut Michel (Germany) Tom Blundell, Samar Hasnain, Venki Ramakrishnan (UK) Paul Adams, John E Johnson, Alexander McPherson, Dean Myles (USA) Alberto Podjarny (France) Juan Manuel Garcia-Ruiz (Spain) Se Won Suh (Korea) Zihe Rao (China)
- 予算
28,500千円(独立行政法人日本学術振興会経費負担額1,250千円を含む)
- 実施内容、成果、公開方法
- 実施内容
予定していたノーベル講演1件、プレナリー講演3件をはじめ「膜タンパク質・超分子複合体のX線構造」など10セッションの招待講演が行われた。招待講演は37件、ポスター講演は101件であった。また、討議されたそれぞれのセッションと講演件数は以下の通りである。
@膜タンパク質・超分子複合体のX線構造:4件、A放射光X線回折:4件、Bタンパク質の折りたたみと成熟:4件、Cホットストラクチャを含む構造生物学全般:3件、D高分解能構造解析と結晶化:4件、E.中性子回折による水素と水和:4件、F立体構造に基づく創薬1:4件、G新しい方法論と装置:3件、H立体構造に基づく創薬2:3件、I電子顕微鏡による膜タンパク質の構造解析:4件、等である。
- 全体的な成果としては、
@ノーベル講演、プレナリー講演3件をはじめ講演は計画通りに行われ、期待していた情報交換が行われた。A若手の研究者が積極的に発表できる雰囲気がつくられた。B展示が8件、ランチョンセミナーが2件行われ、最新の動向の把握に役だてることがでた。
- 成果の公開としては、
@招待講演者は1〜4頁、ポスター発表者は1ページのアブストラクト集を作成し会議中に配布した。A招待講演者を中心にセレクトされた論文を2008年度に国際結晶学会連合会が出版しているJournal of Synchrotron Radiationの特集号として出版する。
- 今後の課題今後の課題
本委員会では若手研究者の育成にも常時配慮し、海外渡航援助や本委員会の研究会に参加のための旅費援助も行っている。その観点から、本シンポジウムに院生、学生が参加し易いよう参加費も極めて安く、一般2万円、学生1万円に抑えた。しかし院生、学生の参加はISDSB2003の時の43名を下回り23名に留まった。この件については学生に興味を持たせる企画とともに、会期、場所等の再検討を含め今後の対策を運営委員会で検討する。
重慶から参加予定の2名はビザの発給が間に合わずキャンセルとなったのは残念であった。この結果、中国からの参加者は5名を予想していたが3名に止まった。今後このようなことが起こらないよう、対策を検討する。
ISDSB2003開催直後から、国際諮問委員から提案されていたことであるが、「X線、中性子、電子線の構造生物学者が一堂に会するISDSBのような会議はユニークでこれまで存在していなかった、是非とも次回はフランスのパリで開催させて頂きたい」と言う具体的な提案がなされ、169委員会として検討の結果これを了承した。国外で行う場合、本委員会の取り組み方及び委員の渡航費などの新たな課題が生じた。今後これらの問題を解決するため運営委員会で検討を行う。
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