| 国際シンポジウムの開催 | ||
| 「第4回アジア結晶成長および結晶技術会議」 | ||
結晶成長の科学と技術第161委員会 |
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2008年5月21日から24日にかけて、第4回アジア結晶成長・結晶技術国際会議(CGCT-4)が仙台にて開催された。本会議の主催は第4回アジア結晶成長・結晶技術会議組織委員会、学振161委員会および日本結晶成長学会であり、共催は応用物理学会、東北大学金属材料研究所、多元物質科学研究所、流体科学研究所、電気通信研究所、グローバルCOE "材料インテグレーション国際教育研究拠点"、中国結晶成長学会、韓国結晶成長学会、インド結晶成長学会、日本金属学会、日本セラミックス協会、日本結晶学会、日本鉱物科学会、粉体粉末冶金協会であった。また、本会議は日本学術振興会、村田学術振興財団、仙台観光コンベンション協会および東北インテリジェントコスモス財団から資金援助を受けている。 21日は午後から東北大学さくらホールにて受付およびウェルカムレセプションが行われ、翌22日午前中より、東北大片平キャンパス内の7つの会場で最新研究成果の報告が開始された。特に、中国Zhejiang UniversityのDeren Yang教授によるCZ-Si結晶中の酸素析出欠陥と微量不純物との関係に関するKeynote講演があり、デバイスプロセスにおける微小欠陥や析出物は、デバイスの性能を悪化させるために抑制することが望まれるが、Yang教授のグループで得られたN、C、Geを微量に添加したCZ-Si結晶における欠陥析出挙動を多くの実験データをもとにご紹介いただいた。その後、一般講演としてSiやGe結晶成長における不純物偏析、Ga添加Si結晶のキャリア移動度、SiO蒸発に関するシミュレーションなどの報告があった。また、太陽電池の少数キャリア拡散長に影響するSi多結晶中の粒界、亜粒界に関する研究の報告があり、太陽電池関連のセッションを設けている今回のCGCT-4を象徴する内容だった。 午後からは仙台国際ホテルに移動し、オープニングセレモニーが開催された。津軽三味線の厳格な演奏が始まり、非常に身が引き締まる思いがした。CGCT-4組織委員長中嶋一雄教授(東北大・金研所長)の挨拶の後、Jiang Minhua教授(Shandong Univ., 中国)および福田承生教授(東北大・多元研)の特別講演があり、両先生の40年に及ぶ結晶研究の歴史と成果が紹介された。また、UV域で高い透過率を示し優れた非線形光学係数をもつKD2PO4結晶作製技術の開発など、Jiang教授のアジアにおける結晶成長への多大な貢献が評価され、Jiang教授にCGCT award賞が贈られた。記念品は名前の彫られた大きな人工水晶単結晶だった。とても重い結晶にもかかわらず、Jiang教授は結晶を持ち上げて参加者に喜びを表現されていた。続いて、V.J Fratello博士(Integrated Photonics. Inc, 米国)による全体講演”Liquid Phase Epitaxy of Oxide Films”および天野浩教授(名城大)による全体講演”Growth of Group III Nitrides For UV and Green Light Emitting Devices”があり、多数の研究者が結晶成長技術や結晶を用いたデバイスに関する貴重な講演に聞き入っていた。 3日目(23日)および最終日(24日)は、東北大片平キャンパスにて終日講演があった。この間、結晶成長の科学や技術、結晶の応用などを中心に16のトピックスについて活発な議論がなされた。中でも、23日に行われた化合物半導体のセッションでは、R. Dradzinski博士(Ammono社,ポーランド)による2つの講演があり、”Growth and characterization of truly bulk ammonothermal GaN”では、アモノサーマル法でX線ロッキングカーブの半値幅が17秒、曲率半径1000m以上という非常に高品質なGaN単結晶作製に関する発表であり、”Outstanding homogeneity of homoepitaxial layers grown on truly bulk ammonothermal GaN substrates”では、アモノサーマル法により作製したGaNを基板に用いた薄膜成長に関する発表であった。これらは窒化物半導体の次のフェーズを示唆する非常にインパクトがあるものであった。また、立ち見が出るほどの聴講があり、バルクGaNに対する世の中の関心の深さが伺えた。 クロージングセッションでは、若手の研究発表に対する161 awardの表彰が行われた。日本、台湾、韓国、ノルウェー、フランスの研究機関に所属する6名の研究者が表彰されたが、残念ながら日本人の受賞者は出なかった。結果を謙虚に受け止め、今後日本の研究のレベルアップに努めていきたいと考えている。その後、立食形式のクロージングパーティーが行われ、会議の成功を喜ぶと共に、旧友との別れを惜しんだ。また、本会議の終了後、若手研究者はYoung Scientist Meetingを開催し、夜遅くまで将来のアジアの結晶成長に関わる各国の取り組みに対する議論と情報交換に努めていたことも本会議の大きな成果と考えられる。 CGCT-4の参加者総数589人、講演要旨の総数498件、その内、日本からの参加が220件、韓国から80件、中国からが69件、インドから44件などであり、アジア各国の関係機関から非常に大勢の研究者が参加した大盛況な学会となった。予算総額は1457万円であり、赤字を出さずに運営することができた。また、プロシーディングスへの投稿は196件あった。プロシーディングスはJournal of Crystal Growthから出版される。本国際会議は、2000年に第1回会議が仙台にて開催され、第2回ソウル(2002年、韓国)第3回北京(2005年、中国)を経て、再度仙台に戻ってきた。本会議生誕地での開催ということもあり、結晶科学・技術における日本のリーダーシップや国際会議運営におけるホストとしての役割などが問われる会であったが、アジアを中心とする多くの研究者が仙台に集い、非常に充実した会議となった。また、運営面でも大きな混乱や不満の声などは聞こえてこず、多くの参加者に満足して頂くことができたと考えている。
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