- 国際シンポジウム名
(和文名) 2008年先端ナノデバイスとナノテクノロジーに関する国際シンポジウム
(英文名) 2008 International Symposium on Advanced Nanodevices and Nanotechnology (NPMS-8)
- 目的
日本学術振興会「未踏・ナノデバイステクノロジー」第151委員会(平成13年設置)はその前進である「極限構造電子物性」第151委員会(委員長:難波進大阪大学教授(当時))時の1989年12月にナノ構造における電子物性関して、世界でもこの分野としては初めてまとまった国際会議(NPMS-1)を米国ハワイで開催した。以来、3年に1度の割合で米国ハワイにおいて開催し、出席者も日本・アジア・欧米から約100-150名程度集め、ナノデバイス・物理研究関連の研究者が一堂に集まる会議としては数少ない継続された研究発表の場として重要な役割を果たしてきた。本シンポジウムが初めて開催された約15年前に比べるとナノデバイス分野の研究発展はめざましいものがあり、その応用分野も、当時に比べれば現在ではエレクトロニクスは言うまでもなくバイオ、化学、機械工学など広範囲に広がっている。本委員会もその新しい流れに対応するために、平成13年より委員会名を「未踏・ナノデバイステクノロジー」と改め、新しいスコープのもと研究活動を行っている。このような急激に発展するナノテクノロジー、特にそのナノエレクトロニクスへの応用に関して議論する場として継続的に情報交換の場となってきた本シンポジウムは、今後のナノテクノロジーの行く末を議論する上で大変重要である。
本会議をさらに発展させるため、2003年度には、本会議とアメリカで定期的に開催されている国際シンポジウム(Surface and Interfaces of Mesoscopic Strudctures: SIMD 組織委員長:David K. Ferryアリゾナ州立大学教授)と同時開催し、バイオ、化学へも広がったナノテクノロジーに関するスコープを取り入れることに成功した。特に第6回の国際会議は、この分野で指導的役割を果たしてこられた難波進博士(前委員長)の功績をたたえる会議として開催された。第6回会議開かれた合同組織委員会で、米国と日本の連携をさらに強めるために今後も2つの会議を同時に開催することが確認された(米国SIMD組織委員長はS.Goodnickアリゾナ州立大学教授)。また、開催も3年に一度の開催から隔年に開催することが確認されている。これにより、本会議は米国と日本を中心とし、さらにヨーロッパやアジアからも参加者が集まるナノテクノロジー特にナノエレクトロニクスに関する重要な会議としての地位を築きつつある。ナノテクノロジーの出口が多岐にわたり、逆に見えにくくなっている今、目的先導型で研究を進める米国と連携を強めながらナノテクノロジー・ナノエレクトロニクスの将来を議論することを本会議の目的とする。
- 開催期間、開催場所
平成19年 12月2日(日)〜平成19年12月7日(金)( 6日間)
開催場所:米国ハワイ、ワイコロア
- 参加者数等
計:91名(国内48名、国外43名)
国外内訳: USA(25人)EU(12人)韓国(6人)
著名な参加者:
青柳克信(東工大、立命館大)、澤木宣彦(名古屋大)、松本和彦(大阪大)、安藤恒也(東工大)、大橋啓之(NEC)、納富雅也(NTT)、J. S. Tsai(NEC)、長谷川英樹(北海道大)、D. K. Ferry(アリゾナ州立大)、S. Goodnick(アリゾナ州立大)、D. Janes(パーデュー大)、J. P. Leburton(イリノイ大)、A. McDonald(テキサス大)、K. Schwab(コーネル大)、G. Bauer(リンツ大)、F. Kuchar(レオーベン大)、A. Asenov(グラスゴー大)、L. Samuelson(ルンド大)
- 予算
6,530千円(独立行政法人日本学術振興会経費負担額 1,250千円を含む)
- 実施内容、成果、公開方法
発表は、招待講演(13件)、口頭発表(29件)、ポスター発表(44件)が行われた。講演の内容は、量子ドットの電気的および光物性、量子コンピュータへの応用、ナノ構造および超薄膜構造の電気的、光学的特性、カーボンナノチューブの電気的、光物性とデバイス応用、超微少シリコンデバイスの実験およびモデリング、ナノメカニカルシステムとその量子効果、分子および有機デバイス、ナノマテリアルなどに関するものがあった。特に今回は、最近話題となっているグラフェンに関し、米国で活躍している理論家(A. McDonald)による招待講演があり、日本の第1線の研究者である安藤の講演とともに、注目を集めた。
全体的な成果としては、
- 予定していた招待講演が予定通りに行われたため、期待していた情報交換が行われた。
- プログラムが良く考えられて作成されていたため、議論が十分に行われた。
- 若手の研究者が積極的に発表できる雰囲気がつくられた。
- ナノテクノロジーのエレクトロニクスへ向けた出口を模索する中で、いわゆるMoore MooreからBeyond CMOSまで、幅広い可能性が議論されたことは有意義であった。
成果の公開としては、
- 1ページのアブストラクトを会議中に配布
- 講演の約半数を集めた論文集を 2008年の初めにJournal of Physics Conference Seriesから出版する。
- 今後の課題
ナノテクノロジーのエレクトロニクスへのはっきりした出口は未だ明確ではなく、日本、米国、EUそれぞれの国で、その取り組み方が異なることがわかり、有意義であった。ナノテクノロジーの裾野は広く、本会議は最近数回にわたり、かなり間口を広げたスコープをとってきたが、逆にこのことが本来の目的をぼかしているのではないか、という議論が会議中の国際諮問委員会で議論となった。今後は、本会議の原点に戻り、ナノテクノロジーの物理とエレクトロニクスによりフォーカスした会議とすることが指摘された。このことを委員会で議論してゆき、2年後の会議へとつなげてゆきたい。
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