国際シンポジウムの開催
 
「第8回垂直磁気記録国際会議」
The Eighth Perpendicular Magnetic Recording Conference (PMRC 2007)
 

磁気記録第144委員会

  1. 会議の概要
    第8回垂直磁気記録国際会議(The Eighth Perpendicular Magnetic Recording Conference, PMRC 2007)は、磁気記録第144委員会の主催により平成19年(2007年)10月14日(月)より16日(水)までの3日間にわたり、東京都心の東京国際フォーラムにて、米・英・台・蘭・韓・中・シンガポール等の海外10カ国94名、国内227名、合計312名の参加者を得て盛会裏に開催された。特に、ハードディスク装置(HDD)関連産業の発達した米国からは53名の多数の参加があった。著名な参加者は、海外からJ. Judy, M. Kryder, R. Wood, J.G. Zhu, R. Indeck(以上、米)、D. Mapps(英)、J.C. Lodder(蘭)、B. Liu(シンガポール)等、国内から岩崎俊一、庄山悦彦、杉田愃、逢坂哲彌、中村慶久、大内一弘、等である。講演数は、特別講演2件と招待講演32件を含めた121件であった。予算総額は3087万円で、日本学術振興会よりの200万円の開催援助と関連産業界からの多大のご援助を賜った。記して深甚なる謝意を表する次第である。
    本国際会議は我が国が提案した垂直磁気記録について広く国際的な議論を行うために企画実行されているもので、1989年以降8回目を数えている。垂直磁気記録技術は2005年以降ハードディスク装置(HDD)として商品化が始まり幅広い国際的な普及を遂げている。今回は実用化後の初めての垂直磁気記録国際会議として意義深い開催となった。
    磁気記録技術は年率60〜100%を超える急速な高密度化が続いた結果、面記録密度が1平方インチ当たり200ギガビット(200Gbit/inch2)を越える高い記録密度に到達し、既存記録方式では微細ビット化に伴う再生磁束減少や熱エネルギーによる記録情報の減磁など、物理法則に則る本質的な記録密度限界に達していた。垂直磁気記録方式の実現は、この限界を乗り越えて継続的に記録密度を向上させることでHDDに代表される磁気記録産業の発展を支える国際的な技術戦略となっている。本会議はこの大きな流れを見極めて、さらに新たな垂直磁気記録の発展を議論する目的をもって行われた。垂直磁気記録国際会議の特長である、オーラルセッションとポスターセッションの併用による十分な議論と全セッションに参加できるシングルセッション方式の会議スタイルを踏襲した。
  2. photo会議の内容
    今回の会議では垂直磁気記録が実用化され、既に生産面でも転換が進んでいることを踏まえ、情報ストレージの技術的な現状と将来展望だけでなく、今後重要度が増すストレージの応用と社会的な役割をも含めた内容とした。
    会議初日の冒頭、米Minnesota大Judy教授の司会により岩崎俊一委員長と総合科学技術会議議員(日立製作所会長)庄山悦彦氏による特別セッションが行われ、垂直磁気記録の30年に渡る研究開発の経緯と現状、さらに、日本の科学技術政策とその中での垂直磁気記録の研究の意義が示された。引き続いて、HDD大手企業からのシステムインテグレーションの報告があり、実用化後も着実な面記録密度の向上が続いていることが示された。初日午後には磁気ヘッドに関するシンポジウムがあり、1 Tbit/inch2以上を目指す記録・再生ヘッドに加えて熱やマイクロ波を記録の補助に用いる新たな試みが発表された。夕方にはSocial Impact of Mass Storageと題したシンポジウムが開催され、垂直磁気記録による大容量情報ストレージが生み出す新しい応用と社会へのインパクトについて議論された。2日目には記録・再生ヘッドと高密度磁気記録理論についてのセッションが開かれた。同日午後には、垂直磁気記録媒体に関するセッションがあり、新規記録媒体による高記録密度化の取り組みが発表された。続いてポスターセッションで高異方性媒体や複合異方性膜媒体、信号処理、新規記録技術について多数の幅広い報告がなされた。最終日は、午前の垂直磁気記録記録媒体のセッションに続いてヘッドディスクインタフェースとサーボのセッションが開かれ、高密度化のために必要な周辺技術として磁気ヘッドの低浮上化やトラッキングの精密制御技術が発表された。信号処理のセッションでは垂直磁気記録用信号処理の先端技術が紹介されると同時に今後の技術動向が報告された。最終セッションは垂直磁気記録技術の将来展開についてのシンポジウムであり、1Tbit/inch2を目指した複合異方性膜や分離トラック方式など新規記録技術の導入による垂直磁気記録の継続的な発展が議論された。
    なお、会議2日目の夕方に東京湾クルーズに乗船し、東京のウォーターフロントの夜景とディナーを楽しみながらのバンケットを行った。本国際会議の継続した開催実績より参加者の多くが友人同士になっておりにぎやかなオフラインディスカッションとなった。
  3. photo会議の成果
    これらの研究成果の公開は、会議当日に講演ダイジェストとして参加者及び申込者に対して配布されている。さらに、会議終了後に討議内容を含んでの論文原稿提出を求めており、国際的なピアレビューを行って会議終了後2008年中に著名な国際学術誌Journal of Magnetism and Magnetic MaterialsのSpecial issueとしてElsevier Science B. V.社により学術論文選集として全世界に刊行され成果が広く公開される予定である。
    今回の会議で得られた学術面・産業面での成果として、垂直磁気記録が実用化され既に生産面でも従来技術の転換が進んでいることを踏まえて、垂直磁気記録技術に関する最先端技術の意見交換が行われるとともに映像記録等新しい応用の拡大と社会への浸透が議論された。また、研究開発面では垂直磁気記録の導入により現実的な目標となった1 Tbit/inch2(1平方インチ当たり1兆ビット)超の高面密度記録のための将来技術への活発な展開研究を促したことも重要な成果である。この垂直磁気記録の将来に向けた着実な研究の進展により磁気情報記録技術は将来も重要な位置を占め続けることを確信させる意義があったといえる。
    以上述べたように、垂直磁気記録の精力的な研究開発活動の高まりを本垂直磁気記録国際会議の成果に反映でき高い評価を得ることができた。また、継続した開催を望む声が多かった。


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