平成15年度日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業研究成果報告書概要



研究推進分野名   外科領域を中心とするロボティックシステムの開発
 
研究プロジェクト名   術中における多次元画像情報の獲得と利用
 
(英文名)   Acquisition and Utilization of Multidimensional Image Information during Surgery
 
研究期間   平成11年度〜平成15年度

プロジェクト・リーダー名 研究経費 総額  482,538千円
氏名・所属研究機関
所属部局・職名
田村 進一・大阪大学
大学院医学系研究科・教授

内訳 平成11年度 69,953千円
平成12年度 152,295千円
平成13年度 152,290千円
平成14年度 51,000千円
平成15年度 57,000千円

1.研究組織

氏名 所属機関・部局・職 研究プロジェクトでの役割分担
橋本 昭洋 大阪学院大学・情報学部・教授 基本システムの構築
中村 仁信 大阪大学・大学院医学系研究科・教授 CT/MRデータ獲得および臨床応用
佐藤 嘉伸 大阪大学・大学院医学系研究科・助教授 基本システムの構築
中島 義和 大阪大学・大学院医学系研究科・助手 基本システムの構築
中本 将彦 大阪大学・大学院医学系研究科・ポストドクター 基本システムの構築
笹間 俊彦 鳥取大学・工学部・助手 基本システムの構築
萩原 兼一 大阪大学・大学院情報科学研究科・教授 並列計算環境の構築
藤本 典幸 大阪大学・大学院情報科学研究科・助教授 並列計算環境の構築
伊野 文彦 大阪大学・大学院情報科学研究科・助手 並列計算環境の構築
竹村 治雄 大阪大学・サイバーメディアセンター・教授 術者インタフェースの構築
鳥脇純一郎 名古屋大学・大学院工学研究科・教授 高速可視化システムの構築
森  健策 名古屋大学・大学院工学研究科・助教授 高速可視化システムの構築
目加田慶人 名古屋大学・大学院工学研究科・助教授 高速可視化システムの構築
平野  靖 名古屋大学・情報連携基盤センター・助手 高速可視化システムの構築
上甲  剛 大阪大学・大学院医学系研究科・教授 CT/MRデータ解析システムの構築
村瀬 研也 大阪大学・大学院医学系研究科・教授 CT/MRデータ解析システムの構築
小縣 裕二 大阪大学・大学院医学系研究科・助手 CT/MRデータ解析システムの構築
窪田 英明 大阪大学・大学院医学系研究科・助手 CT/MRデータ解析システムの構築
村上 卓道 大阪大学・大学院医学系研究科・助教授 CT/MRデータ獲得および臨床応用
堀  雅敏 大阪大学・大学院医学系研究科・助手 CT/MRデータ獲得および臨床応用
田中  寿 大阪大学・大学院医学系研究科・助手 CT/MRデータ獲得および臨床応用
中西 克之 大阪大学・大学院医学系研究科・非常勤講師 CT/MRデータ獲得および臨床応用
友田  要 大阪大学・医学部附属病院・助教授 CT/MRデータ獲得および臨床応用
玉木 康博 大阪大学・大学院医学系研究科・助教授 術中超音波の臨床応用
田村  学 大阪大学・大学院医学系研究科・助教授 局所麻酔下手術ナビゲーションの臨床応用

2.研究計画の概要

 術中4次元画像データを利用することにより、正確でかつ侵襲の少ない外科手術を実現する。そのため、3次元センシング技術,先端的画像処理・コンピュータビジョン(人工視覚)技術を用いて、術前および術中画像を獲得・解析・定量化・可視化・術後予測・統合表示する技術の開発を行う。
 このような技術の開発のためには、新しい3次元センシング手法,従来よりもはるかに高速のコンピュータおよび計算手法,表示手法,を必要とする。これらの技術開発は実物を製作することなく予測や設計が可能な仮想現実技術として他分野への波及効果が大きく、学術的にもその価値は大きい。また、患者の身体的および経済的負担を減少させ、さらには国民的経済負担の軽減に寄与する。

3.研究目的

(1) 術中4次元イメージングと可視化: 術中利用のための3次元センシング技術を開発する。これにより、術前3D画像に加えて超音波による術中リアルタイム画像を利用でき、4次元画像解析/計測/可視化を行うことができる。これにより、術中に手術計画の修正,治療の評価・最適化を行うことができる。
(2) 画像のセグメンテーションと定量化: ロバストな画像のセグメンテーション技術の開発により、各種モダリティの画像から臓器のセグメンテーションと変形推定,関節軟骨厚などの精密定量化,および,腫瘍の検出・範囲の決定・質的診断などを行なう。これにより、微小な領域や従来法では困難な領域の検出・抽出を行うことができる。
(3) 体内3次元センシング: カテーテル/内視鏡ナビゲーションシステムの開発を行う。そのため、超音波および磁気利用による体内挿入型位置決めセンサーおよび支援システムの開発を行う。従来は体内に挿入したカテーテルなどの位置・方向は検出困難であったが、本手法により可能となり、内視鏡手術などの進歩に貢献する。
(4) 臨床応用システムの構築: 整形外科手術(人工股関節・下肢関節手術支援,脊椎手術支援等),肝臓手術を対象としてシステム構築を行う。
(5) LAN基盤整備:手術室の外科医と研究室の計算機科学者の密接な協調は必要不可欠であるので、手術室画像や処理結果の伝送のため病院手術室と研究室の間に高速LANを敷設する。

4.研究成果の概要

4−1 研究計画、目的に対する成果
(1) 術中4次元イメージングと可視化:大腿骨骨折手術を対象に、術中に撮影する2次元X線画像と術前3次元CT画像との位置合わせに基づく骨折整復ロボットの開発を行った。また、腹腔鏡手術において術中超音波プローブの位置決めを行い、その超音波画像を光学的腹腔鏡画像上に重ね合わせ表示を行うシステムの開発を行った。
(2) 画像のセグメンテーションと定量化:多時相間のCT値の変化に基づき、3次元CT画像から、肝臓の自動セグメンテーション,肝血管系の抽出と左右葉の切り分けを行えるシステムの開発を行った。
(3) 体内3次元センシング:磁気式と光学式の3次元位置決め装置を組み合わせて、腹腔鏡手術ナビゲーションシステムを開発した((1)参照)。
(4) 臨床応用システムの構築:人工股関節,脊椎,肝臓の各手術に対する画像誘導(ナビゲーション)を行うシステムの開発を行った。
(5) LAN基盤整備:異なるキャンパスの工学系研究室のPCクラスタと阪大附属病院手術室,および国立大阪南病院手術室をインターネットを通して結び、術中関節可動域計算,およびX選画像による体内骨格の位置決め処理を行った。


4−2 研究計画、目的外の成果
(1) レーザガイダンスシステム:従来のナビゲーションシステムでは、モニターの3次元的画像表示をみ
(2) ながら術具を操作する方式が主流であった。本研究においては、2台のレーザ装置から照射される2つのレーザ光平面の交線として、直線状術具の位置と方向を提示するレーザガイダンスシステムを開発した。これにより、医師は術野から目をそらすことなくビゲーション手術を行うことができ、医師の負担の軽減とともに、手術の安全性が向上する。
(3) 画像および空間情報解析プラットフォームの開発:種々の画像解析,仮想化腹腔鏡を含む医用シミュレーション,手術記録機能を有する手術ナビゲーションなど、開発した多くのソフトウェアをプラグイン機能により、容易に統合できるプラットフォームとして、M-View(後のVirtual Place)を開発し、商品化された。


4−3 研究成果の展望
(1) レーザガイダンスシステム:本装置は世界的に普及している光学式3次元位置決め装置Polarisと一体構造になっており、単品としても市場性が高いと思われ、(株)日立製作所から商品化される予定である。
(2) 画像および空間情報解析プラットフォームの開発:本研究を進めるに当たって、その研究ツールとしてM-View(後のVirtual Place)の開発を始めた。その後、開発した学生が中心となってベンチャ企業((株)医用画像研究所;現在(株)Aze )を興し、開発したプラットフォームを画像および空間情報解析用として市販し、広く利用されるに至っている。
(3) 4次元手術記録:手術ナビゲーションシステムの適用に伴い、大量の4次元データが発生する。それを自動的にデータベース化することにより、従来の生理データ,映像データなどと統合した4次元手術記録を自動生成することができた。これは、手術手技の継承,教育,患者への説明,医療事故の検証などに使用することができ、今後の発展が期待される。


4−4 本事業の趣旨に鑑み、果たした役割
 本研究を通して、独自の手術ナビゲーション用レーザガイダンスシステム,骨折整復ロボット,画像および空間情報解析プラットフォーム,など新しい装置と、広く使用可能なソフトウェアツールを開発することができた。さらには手術ナビゲーションに付随する4次元手術記録方式を開発することができた。これらの成果は手術手技の客観化につながると考えられる。従来、手術は職人芸的な要素が強かったが、本研究の目指すナビゲーション技術の開発・発展により、より客観化され、手術手技の継承,教育,患者への説明,医療事故の検証などが容易にできるようになり、地理的条件,経験年数を超えて広く国内外の人たちに最高水準の医療を提供することができるようになると考えられる。

5.キーワード

(1)計算機支援手術 (2)手術ナビゲーション (3)術中画像
(4)人工股関節 (5)肝臓抽出 (6)骨折整復ロボット
(7)腹腔鏡手術    

6.研究成果発表状況

A.学術雑誌論文(Journal Papers)
全著者名 論文名
T. Yamazaki, T. Watanabe, Y. Nakajima, K. Sugamoto, T. Tomita, H. Yoshikawa, S. Tamura Improvement of depth position in 2-D/3-D registration of knee implants using single plane fluoroscopy
学術雑誌名 ページ 発行年
IEEE Trans. Med. Imag ??? ??? ??? 2004

全著者名 論文名
Y. Kawasaki, F. Ino, Y. Mizutani, N. Fujimoto, T. Sasama, Y. Sato, N. Sato, S. Tamura, and K. Hagihara High performance computing service over the internet for intraoperative medical imaging
学術雑誌名 ページ 発行年
IEEE Trans. Info. Tech. BioMed 8 1 ??? 2004

全著者名 論文名
J. Masumoto, Y. Sato, M. Hori, T. Murakami, T. Johkoh, H. Nakamura, S. Tamura A new similarity measure for nonrigid volume registration using known joint distribution of target tissue: Application to dynamic CT data of the liver
学術雑誌名 ページ 発行年
Medical Image Analysis 7 ??? 553-564 2003

全著者名 論文名
Y. Sato, H. Tanaka, T. Nishii, K. Nakanishi, N. Sugano, T. Kubota, H. Nakamura, H. Yoshikawa, T. Ochi, and S. Tamura Limits on the accuracy of 3D thickness measurement in magnetic resonance images --- Effects of voxel anisotropy
学術雑誌名 ページ 発行年
IEEE Trans. Med. Imag 22 9 1076-1088 2003

全著者名 論文名
R.A. Zoroofi, Y. Sato, T. Sasama, T. Nishii, N. Sugano, K. Yonenobu, H. Yoshikawa, T. Ochi, and S. Tamura Automated segmentation of acetabulum and femoral head from 3D CT images
学術雑誌名 ページ 発行年
IEEE Trans. Info. Tech. BioMed. 7 4 329-343 2003

全著者名 論文名
S. Tamura, M. Hirano, X. Chen, Y. Sato, Y. Narumi, M. Hori, S. Takahashi, and H. Nakamura Intra-body three-dimensional position sensor for an ultrasound endoscope
学術雑誌名 ページ 発行年
IEEE Trans. Biomed. Eng 49 10 1187-1194 2002

全著者名 論文名
N. Sugano, T. Sasama,Y. Sato, Y. Nakajima, T. Nishii, K. Yonenobu, S. Tamura, T. Ochi Accuracy evaluation of surface-based registration methods in a computer navigation system for hip surgery performed through a posterolateral approach
学術雑誌名 ページ 発行年
Computer Aided Surgery 6 ??? 195-203 2001

全著者名 論文名
Y. Sato, C.-F. Westin, A. Bhalerao, S. Nakajima, N. Shiraga, S. Tamura, and R. Kikinis Tissue classification based on 3D local intensity structures for volume rendering
学術雑誌名 ページ 発行年
IEEE Trans. Visualization and Computer Graphics 6 2 160-180 2000

全著者名 論文名
Y. Tamaki, Y. Sato, M. Nakamoto, T. Sasama, I. Sakita, M. Sekimoto, M. Ohue, N. Tomita, S. Tamura, and M. Monden Intraoperative navigation for breast cancer surgery using 3D-ultrasound image
学術雑誌名 ページ 発行年
Computer Aided Surgery 4 1 37-44 1999

B.国際会議発表論文(International Conferences)
全著者名 論文名
M.Nakamoto, Y.Sato, K.Nakada, Y.Nakajima, K.Konishi, M.Hashizume and S.Tamura A temporal calibration method for freehand 3D ultrasound system : a preliminary result
会議名 開催場所 論文番号 ページ 発表年
Proc.17th International Congress and Exhibition: Computer Assisted Radiology and Surgery (CARS 2003; Springer, Berlin) London ??? 1365 2003

全著者名 論文名
Nakajima Y, Tamura Y, Sato Y, Tashiro T, Sugano N, Yonenobu K, Yoshikawa H, Ochi T, and Tamura S Preoperative analysis of optimal imaging orientation in fluoroscopy for voxel-based 2-D/3-D registration
会議名 開催場所 論文番号 ページ 発表年
Lecture Notes in Computer Science 2489 (Proc. 5th International Conference on Medical Image Computing and Computer-Assisted Intervention-MICCAI2002 Tokyo ??? 485-492 2002


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