平成12年度未来開拓学術研究推進事業研究成果報告書概要



1.研究機関名 北海道大学
 
2.研究領域 生命科学
 
3.研究分野 生命体の形成機構
 
4.研究期間 平成8年度〜平成12年度
 
5.研究プロジェクト番号 96L00403
 
6.研究プロジェクト名 植物における栄養・生殖成長切換えの分子機構

7.プロジェクト・リーダー
プロジェクト・リーダー名 フリガナ 所属部局名 職名
米田 好文 コメダ ヨシブミ 大学院理学研究科 教授

8.コア・メンバー

コア・メンバー名 フリガナ 所属研究機関名・所属部局名 職名
西谷 和彦 ニシタニ カズヒコ 東北大学 大学院理学研究科 教授
後藤 弘爾 ゴトウ コウジ 岡山県生物科学総合研究所 遺伝子工学研究部門 室長
荒木 崇 アラキ タカシ 京都大学 大学院理学研究科 助手

9.研究協力者

研究協力者名 フリガナ 所属研究機関名・所属部局名 職名
加藤 英寿 カトウ ヒデトシ 京都大学 化学研究所 日本学術振興会研究員
倉田 哲也 クラタ テツヤ 北海道大学 大学院理学研究科 日本学術振興会研究員
高橋(半澤) 芳恵 タカハシ(ハンザワ)ヨシエ 北海道大学 大学院理学研究科 日本学術振興会研究員

10.研究成果の概要

植物の頂端分裂組織は、L1、L2、L3と呼ばれる三層の構造からなり、この構造は茎頂、花序、花芽を通して維持されている。器官形成にはこれら三層の細胞が協調して起こる必要があり、そのためには各層をこえる細胞間コミュニケーションが必要である。栄養期分裂組織から花序分裂組織への転換およびその維持に主要な役割を果たす、TERMINAL FLOWER 1は、そのタンパク質自身が細胞間を移動して、L1-L3層に亘る細胞間コミュニケーションに関与していることを明らかにした。
 L1層特異的に発現する遺伝子、PDF1、PDF2を発見した。前者は、L1-boxと命名した転写調節領域の存在を発見。後者は、HD-GL2classと呼ばれるホメオドメインを持った転写因子であることが推定された。ゲルシフト法で、相互作用を確認した。PDF2遺伝子を高発現する組換え遺伝子を作成して、植物に導入し、花成遅延・表現型、花芽器官形成・不全・表現型を示した。これらの結果は、L1層の運命決定が以後の発生時に花芽形成に大きな影響を及ぼしていることを示していると考えられる。
 花成制御に関わる遺伝子の中で、花成時期遺伝子のひとつFT遺伝子に特に着目して研究を進めた。その結果、FT遺伝子が花成を制御する3つの主要な経路を統合する遺伝子の有力な候補であることを明らかにした。また、花成の場である頂端分裂組織の構造と機能の維持に関わる突然変異体の解析から、高等真核生物からは初めて、クロマチン構築因子1(CAF-1)の機能欠損変異体を同定した。
 植物の形態形成の基盤となる細胞壁の構築に於けるエンド型キシログルカン転移酵素遺伝子群の機能を解析し以下の新知見を明らかにした。1)シロイヌナズナでは33遺伝子よりなるファミリーを形成する。2)各メンバーは固有の発現組織特異性を示し、固有の組織で、細胞板形成から一次細胞壁、二次細胞壁の構築・分解の役割分担をしている。3)メンバーの一つであるEXGT-A3遺伝子の欠損は、花茎の抽台時期および葉の形状異常を引き起こした

11.キーワード

(1)PDF1、(2)PDF2、(3)花形態形成
(4)花成時期遺伝子、(5)細胞間コミュニケーション、(6)クロマチン構築因子1(CAF-1)
(7)TFL1、(8)細胞壁、(9)エンド型キシログルカン転移酵素

12.研究発表(印刷中も含む)

[雑誌論文]
著者名 論文標題
Hanzawa, Y. ACL5: an Arabidopsis gene required for the internodal elongation after flowering.
雑誌名 発行年 ページ
The Plant Journal 12(4) 1997 863-874

著者名 論文標題
Yokoyama, R. The Arabidopsis ERECTA gene is expressed in the shoot apical meristem and organ primordia
雑誌名 発行年 ページ
The Plant Journal 15(3) 1998 301-310

著者名 論文標題
Komeda, Y. Development of Inflorescences in Arabidopsis thaliana
雑誌名 発行年 ページ
Journal of Plant Research (JPR Symposium) 111(1102) 1998 283-288

著者名 論文標題
Abe, M. Cloning and Characterization of an L1 Layer-specific Gene in Arabidopsis thaliana.
雑誌名 発行年 ページ
Plant and Cell Physiology 40(6) 1999 571-580

著者名 論文標題
Akamatsu, T. Expression of endoxyloglucan transferase genes in acaulis mutants of Arabidopsis.
雑誌名 発行年 ページ
Plant Physiology 121(3) 1999 715-721

著者名 論文標題
Kato, A. Isolation and analysis of cDNA within a 300 kb Arabidopsis thaliana genomic region located around the 100 map unit of chromosome 1.
雑誌名 発行年 ページ
Gene 239 1999 309-316

著者名 論文標題
高橋 卓 熱ショック応答の分子機構
雑誌名 発行年 ページ
蛋白質核酸酵素 44(15) 1999 39-44

著者名 論文標題
Suzuki, M. An RNA-binding protein, AtRBP1, is expressed in actively proliferative regions in Arabidopsis thaliana.
雑誌名 発行年 ページ
Plant and Cell Physiology 41(3) 2000 282-288

著者名 論文標題
Kuwahara, A. Isolation and characterization of copia-type retrotransposons in Arabidopsis thaliana.
雑誌名 発行年 ページ
Gene 244 2000 127-136

著者名 論文標題
Matsuhara, S. Heat-shock tagging: a simple method for expression and isolation of plant genome DNA flanked by T-DNA insertions.
雑誌名 発行年 ページ
The Plant Journal 22(1) 2000 79-86

著者名 論文標題
Hanzawa, Y. ACAULIS5, an Arabidopsis gene required for stem elongation, encodes a spermine synthase.
雑誌名 発行年 ページ
The EMBO Journal 19(16) 2000 4248-4256

著者名 論文標題
Ohtake, Y. Salicylic acid induces the expression of a number of receptor-like kinase genes in Arabidopsis thaliana.
雑誌名 発行年 ページ
Plant and Cell Physiology 41(9) 2000 1038-1044

著者名 論文標題
Abe, M. Identification of a cis-regulatory element for L1 layer-specific gene expression, which is targeted by an L1-specific homeodomain protein.
雑誌名 発行年 ページ
The Plant Journal   2001 in press

著者名 論文標題
Nishitani, K. The role of endoxyloglucan transferase in the organization of plant cell walls.
雑誌名 発行年 ページ
International Review of Cytology 173 1997 157-206

著者名 論文標題
Nishitani, K. Implication of xyloglucan related protein (XRP) family in regulation of plant growth and development.
雑誌名 発行年 ページ
Trends in Glycoscience and Glycotechnology 9 1997 233-234

著者名 論文標題
西谷 和彦 アポプラストの枠組みの構築
雑誌名 発行年 ページ
化学と生物 35 1997 790-797

著者名 論文標題
Nishitani, K. Construction and restructuring of the cellulose-xyloglucan framework in the apoplast as mediated by the xyloglucan-related protein family - A hypothetical scheme.
雑誌名 発行年 ページ
J. Plant Res. 111 1998 159-166

著者名 論文標題
Takano M. Endoxyloglucan transferase cDNA isolated from pea roots and its fluctuating expression in hydrotropically responding roots.
雑誌名 発行年 ページ
Plant Cell Physiol. 40(2) 1999 135-142

著者名 論文標題
Ito, H. Visualization of EXGT-mediated molecular grafting activity by means of a fluorescently labeled xyloglucan oligomer.
雑誌名 発行年 ページ
Plant Cell Physiol. 40 1999 1172-1176

著者名 論文標題
Yokoyama, R. Functional diversity of xyloglucan-related proteins and its implications in the cell wall dynamics in plants.
雑誌名 発行年 ページ
Plant bioloby 2 2000 598-604

著者名 論文標題
Yokoyama, R. Endoxyloglucan transferase is localized both in the cell plate and in the secretory pathway destined for the apoplast in tobacco cells.
雑誌名 発行年 ページ
Plant Cell Physiol. 42(3) 2001 in press

著者名 論文標題
Goto, K. Molecular and genetic analyses of flower homeotic genes of Arabidopsis.
雑誌名 発行年 ページ
Journal of Biosciences. 21 1996 369-378

著者名 論文標題
Goto, K. Molecular mechanisms of petal and stamen development in Arabidopsis.
雑誌名 発行年 ページ
Journal of Reproduction and Development. 43 1997 19-20

著者名 論文標題
工藤 光子 花の器官の並ぶメカニズム―ABCモデル―
雑誌名 発行年 ページ
遺伝 51(4) 1997 27-33

著者名 論文標題
Kato, H CENTRORADIALIS/TERMINAL FLOWER 1 Gene Homolog is Conserved in N. tabacum, a Determinate Inflorescence Plant.
雑誌名 発行年 ページ
Journal of Plant Research (JPR Symposium) 111 1998 289-294

著者名 論文標題
Sawa, S. FILAMENTOUS FLOWER, a meristem and organ identity gene of Arabidopsis, encodes a protein with a zinc finger and a HMG-related domains.
雑誌名 発行年 ページ
Genes & Development 13 1999 1079-1088

著者名 論文標題
Kobayashi, Y. A pair of related genes with antagonistic roles in mediating flowering signals.
雑誌名 発行年 ページ
Science 286 1999 1960-1962

著者名 論文標題
Honma, T. The Arabidopsis floral homeotic gene PISTILLATA is regulated by discrete cis-elements responsive to induction and maintenance signals.
雑誌名 発行年 ページ
Development 127 2000 2021-2030

著者名 論文標題
Honma, T. Complexes of MADS-box proteins are sufficient to convert leaves into floral organs.
雑誌名 発行年 ページ
Nature 409 2001 525-529

著者名 論文標題
Minida, N. Functional divergence of the TFL1-like gene family in Arabidopsis revealed by characterization of a novel member, ATC.
雑誌名 発行年 ページ
Genes to Cells   2001 in press

著者名 論文標題
Okada, K. The genetic basis of phenotype expression in plants.
雑誌名 発行年 ページ
Plant Species Biol. 11 1996 115-139

著者名 論文標題
荒木 崇 花を咲かせる遺伝子.
雑誌名 発行年 ページ
遺伝 51(4) 1997 19-26

著者名 論文標題
荒木 崇 花が咲くということ.
雑誌名 発行年 ページ
季刊・生命誌 5(1) 1997 10-15

著者名 論文標題
荒木 崇 栄養成長から生殖成長への転換(花成)の遺伝学的制御
雑誌名 発行年 ページ
蛋白質・核酸・酸素 43(4) 1998 583-591

著者名 論文標題
Araki, T. The flowering-time gene FT and regulation of flowering in Arabidopsis.
雑誌名 発行年 ページ
Journal of Plant Research (JPR Symposium) 111 1998 277-281

著者名 論文標題
Taoka, K-i. Identification of three kinds of mutually related composite elements conferring S phase-specific transcriptional activation.
雑誌名 発行年 ページ
Plant Journal 18(6) 1999 611-623

著者名 論文標題
Sakamoto, H. Expression of a subset of the Arabidopsis Cys2/His2-type zinc finger protein gene family under water stress.
雑誌名 発行年 ページ
Gene 248(1/2) 2000 23-32

著者名 論文標題
Kaya, H. hosoba toge toge, a syndrome caused by a large chromosomal deletion associated with a T-DNA insertion in Arabidopsis.
雑誌名 発行年 ページ
Plant and Cell Physiology 41(9) 2000 1055-1066

著者名 論文標題
Kaya, H. FASCIATA genes for chromatin assembly factor-1 in Arabidopsis maintain the cellular organization of apical meristems.
雑誌名 発行年 ページ
Cell 104(1) 2001 131-142

著者名 論文標題
Araki, T. Transition from vegetative to reproductive phase.
雑誌名 発行年 ページ
Current Opinion in Plant Biology 4(1) 2001 63-68

著者名 論文標題
荒木 崇 花成を制御する複数の経路を統合する遺伝子.
雑誌名 発行年 ページ
化学と生物 38(12) 2000 826-829

著者名 論文標題
賀屋 秀隆 CAF-1のシロイヌナズナ後胚発生過程における役割.
雑誌名 発行年 ページ
細胞工学 20(2) 2001 176-177

[図書]
著者名 出版者
稻塲-日向野 久美子 植物化学調節学会(東京)
書名 発行年 総ページ数
突然変異体の誘起法(植物化学調節実験マニュアル・編:吉田茂男) 1997 199

著者名 出版者
米田 好文 植物化学調節学会(東京)
書名 発行年 総ページ数
タギング法による遺伝子単離法(植物化学調節実験マニュアル・編・吉田茂男) 1997 199

著者名 出版者
米田 好文 植物化学調節学会(東京)
書名 発行年 総ページ数
突然変異体を用いた遺伝子の単離法(植物化学調節実験マニュアル・編:吉田茂男) 1997 199

著者名 出版者
半澤 芳恵 秀潤社
書名 発行年 総ページ数
茎伸長の分子機構 (Genetic control of internode elongation.) 「新版 植物の形を決める分子機構」 (岡田清孝ほか編) 2000 292

著者名 出版者
倉田 哲也 学会出版センター
書名 発行年 総ページ数
花芽と花序の分化 (花・性と生殖の分子生物学・編:日向康吉) 2001 258

著者名 出版者
西谷 和彦 秀潤社
書名 発行年 総ページ数
細胞工学別冊 植物のタンパク質実験プロトコール 1998 206

著者名 出版者
西谷 和彦 学会出版センター
書名 発行年 総ページ数
エンド型キシログルカン転移酵素と細胞壁構築 (植物ホルモンと細胞壁) 1998 190

著者名 出版者
Nishitani, K. Japanese Scientific Societies Press
書名 発行年 総ページ数
Endoxyloglucan transferases (Glycoenzymes) 2000 263

著者名 出版者
後藤 弘爾 秀潤社
書名 発行年 総ページ数
組織へのin situハイブリダイゼーション。 (細胞工学別冊 植物細胞工学シリーズ4:モデル植物の実験プロトコール) 1996 260

著者名 出版者
後藤 弘爾 クバプロ
書名 発行年 総ページ数
花の形を決める遺伝子 (植物の生長 遺伝子から何が見えるか) 1998 169(86-94)

著者名 出版者
後藤弘爾 東京化学同人
書名 発行年 総ページ数
モデル生物の分子生物学…アラビドプシス(シロイヌナズナ) (分子生物学) 1999 326(287-292)

著者名 出版者
後藤弘爾 シュプリンガー・フェアラーク東京株式会社
書名 発行年 総ページ数
遺伝子の発現をみる -in situハイブリダイゼーション- (モデル植物ラボマニュアル 分子遺伝学・分子生物学的実験法) 2000 275(204-217)

著者名 出版者
荒木 崇 秀潤社
書名 発行年 総ページ数
減圧浸潤法による形質転換. (モデル植物の実験プロトコール イネ・シロイヌナズナ編:島本功・岡田清孝) 1996 260

著者名 出版者
荒木 崇 秀潤社
書名 発行年 総ページ数
花成制御の遺伝学的枠組み(新版 植物の形を決める分子機構 編:岡田清孝ほか) 2000 292

著者名 出版者
荒木 崇 シュプリンガー・フェアラーク東京株式会社
書名 発行年 総ページ数
遺伝子導入のための設備(シロイヌナズナ)(モデル植物ラボマニュアル 分子遺伝学・分子生物学的実験法・編:岩渕雅樹・岡田清孝・島本 功) 2000 275(29-30)

著者名 出版者
荒木 崇 シュプリンガー・フェアラーク東京株式会社
書名 発行年 総ページ数
トランスジェニック植物をつくる(シロイヌナズナ)(モデル植物ラボマニュアル 分子遺伝学・分子生物学的実験法・編:岩渕雅樹・岡田清孝・島本 功) 2000 275(99-109)

著者名 出版者
荒木 崇 シュプリンガー・フェアラーク東京株式会社
書名 発行年 総ページ数
遺伝子をクローニングする・タギング法・(シロイヌナズナ). (モデル植物ラボマニュアル分子遺伝学・分子生物学的実験法・編:岩渕雅樹・岡田清孝・島本 功) 2000 275(162-168)

著者名 出版者
小林 恭士 秀潤社
書名 発行年 総ページ数
生物時計と花成制御. (植物細胞の分裂(植物細胞工学シリーズ13)編:町田泰則・福田裕穂) 2000 188

著者名 出版者
荒木 崇 学会出版センター
書名 発行年 総ページ数
双子葉植物の花器官分化.(花・性と生殖の分子生物学・編:日向康吉) 2001 258


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