平成12年度未来開拓学術研究推進事業研究成果報告書概要



1.研究機関名 新潟大学
 
2.研究領域 生命科学
 
3.研究分野 高次脳機能
 
4.研究期間 平成8年度〜平成12年度
 
5.研究プロジェクト番号 96L00203
 
6.研究プロジェクト名 成長因子によるシナプスの発達調節と脳機能獲得

7.プロジェクト・リーダー
プロジェクト・リーダー名 フリガナ 所属部局名 職名
那波 宏之 ナワ ヒロユキ 脳研究所 教授

8.コア・メンバー

コア・メンバー名 フリガナ 所属研究機関名・所属部局名 職名
武井 延之 タケイ ノブユキ 新潟大学・脳研究所 助教授
齊藤 真子 サイトウ マコ 新潟大学・脳研究所 助手
難波 寿明 ナンバ ヒサアキ 新潟大学・脳研究所 助手

9.研究協力者

研究協力者名 フリガナ 所属研究機関名・所属部局名 職名
荒木 一明 アラキ カズアキ 新潟大学・脳研究所 技官
稲村 直子 イナムラ ナオコ 新潟大学・脳研究所 機関研究員
川村 名子 カワムラ メイコ 新潟大学・脳研究所 技能補佐

10.研究成果の概要

○ニューロトロフィンや他の成長因子には無い、特異な蛋白合成を制御する活性がBDNFと呼ばれる因子にあることが判明した。特にこの活性は、蛋白合成を構成する3つの分子過程のうち、翻訳開始過程にもっとも強い影響を及ぼしていた。
○上皮成長因子やインターロイキンには、神経細胞の分化発達を促進するニューロトロフィンなどの因子に拮抗して、未熟な神経細胞の神経伝達物質とAMPA型グルタミン酸受容体の合成等を逆に低下させる脱分化活性が存在することを発見した。
○細胞レベルの研究で、成長因子BDNFがおよぼすAMPA型グルタミン酸受容体の発現上昇には、2種類の分子過程が関与していることが判明した。まず、BDNF刺激でNSF依存性の表面移行が起こり、次に、表面発現した受容体がPSD蛋白を介して後シナプス膜に安定化されることが重要である。
○脳内において神経に作用する成長因子で保持されているホメオスタシスが崩れることが、神経精神疾患の病因、病理と深く結びついていると考えられている。我々の開発した成長因子微量定量法を用いて、精神分裂病の剖検脳中のニューロトロフィンやEGFとよばれる神経成長因子群を測定したところ、いずれの疾患においても有意な変動を示していて、精神脳疾患との関連が示唆された。
○精神分裂病の剖検脳中で異常値を呈した成長因子を実際に成長中のラットに連続投与して成長させた結果、それらの動物は驚愕反応、運動量等の行動学的テストにおいて異常性を示した。これにより、実際にこれら成長因子の機能異常が精神疾患に結びつくことが裏付けられた。

11.キーワード

(1)BDNF、(2)Neurotrophin、(3)EGF
(4)Cytokine、(5)Brain、(6)PCP
(7)Amphetamine、(8)Psychosis、(9)Behavior

12.研究発表(印刷中も含む)

[雑誌論文]
著者名 論文標題
Suzuki, T., et al. Biochemical evidence for localization of AMPA-type glutamate receptor subunits in the dendritic raft.
雑誌名 発行年 ページ
Mol. Brain Res. In press.      

著者名 論文標題
Weidong, Li., et al. Characterization of a novelsynGAP isoform, synGAP-beta.
雑誌名 発行年 ページ
J. Biol. Chem, in press.      

著者名 論文標題
Watakabe, A., et al. Similarity and Variation in Gene Expression Among Human Cerebral Cortical Subregions Revealed By DNAMacroarrays DNA Macroarrays: Technical Consideration of RNA Expression Profiling from Postmortem Samples
雑誌名 発行年 ページ
Mol. Brain Res. In press.      

著者名 論文標題
Nawa, H., et al. Cytokine and growth factor involvement in schizophrenia--support for the developmental model.
雑誌名 発行年 ページ
Mol. Psychiatry 5 2000 594-603

著者名 論文標題
Mizuno, M., et al. Involvement of brain-derivedneurotrophic factor in spatial memory formation and maintenance in a radial arm maze test in rats
雑誌名 発行年 ページ
J. Neurosci 20 2000 7116-7121

著者名 論文標題
Takahashi, M., et al. Abnormal expression of brain-derivedneurotrophic factor and its receptor in the corticolimbic system of schizophrenic patients.
雑誌名 発行年 ページ
Mol. Psychiatry   2000 293-300

著者名 論文標題
Yamaguchi, T., et al. Molecular Characterization of a Novel Gamma Glutamyl Transpeptidase Homologue Found in Rat Brain
雑誌名 発行年 ページ
J Biochem. 128 2000 101-106

著者名 論文標題
Linden, A. M., et al. Expression of neurotrophins BDNF and NT-3, and their receptors in rat brain After administration of antipsychotic and psychotrophic agents.
雑誌名 発行年 ページ
J. Mol. Neurosci. 14 2000 27-37

著者名 論文標題
Iritani, S., et al. The distribution of neuropeptide Y and brain-derived neurotrophic factor immunoreactivity in hippocampal formation of the monkey and rat.
雑誌名 発行年 ページ
Brain Res. 852 2000 475-478

著者名 論文標題
Han, D., et al. Involvement of nitric oxide inpentylenetetrazole-induced kindling in rats.
雑誌名 発行年 ページ
J. Neurochem. 74 2000 792-798


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