平成12年度開始分 研究評価委員会「中間評価」報告書
 

3.研究プロジェクトの評価と今後の取扱いについて

 今回中間評価の対象となった29研究プロジェクトの進捗状況及び成果に対する評価は、附属資料2の中段のグラフにまとめられている。「研究の進展が著しく、予想を超える成果が期待できる」もしくは「研究は概ね順調であり、成果が期待できる」と評価された研究プロジェクトが多数を占めた。しかし、「研究は概ね順調であるが、検討すべき点がある」と評価された研究プロジェクトもあり、何らかのコメントが付されたものが相当数あった。
 また、研究開始後2年間の進捗状況等の評価を基に、研究プロジェクトの今後の取扱いを審査した結果が附属資料2の下段のグラフにまとめられている。「研究の更なる発展が期待でき、計画の拡充も含め特に推進すべきである」もしくは「予定通り推進することが望ましい」と評価された研究プロジェクトが大半であるが、「研究の焦点を明確にして重点化を図る必要がある」と評価された研究プロジェクトが3割程度あり、「進捗状況に鑑み、一部縮小・廃止等の変更が必要である」と評価された研究プロジェクトもあった。
 以下、評価部会において特に付された意見や留意を要すると指摘された事項等を示す。

 血管新生と分化制御
 本研究分野は、21世紀の医療を考える上で非常に重要なテーマに挑むものであり、高齢化社会に対する基礎研究としても期待されるものである。「基礎研究から応用研究へ」、「分子から組織へ」とバランスの取れた研究分野が選定されている。研究推進委員会は、各研究プロジェクトの目的・研究内容・進捗状況について、具体的に良く把握しており、概ね妥当な進捗状況であると評価された。今後はさらに基礎研究・応用研究ともに内容が大型プロジェクトに見合ったインパクトのある研究成果を具体的に出していくことが期待される。特に今年度の2つの研究プロジェクトについては、すでに得ている興味深い研究データを活かすための計画について戦略化が望まれる。今後の研究活動の推進スケールについては、概ね現状維持が適切である。

 ゲノム研究
 本研究分野は、ゲノム解析技術を開発し、これを用いてゲノム情報、ゲノム多型情報を有効利用して、疾患遺伝子同定を行い、それを通して治療法の開発や新薬の開発につなげるものである。日本のゲノム研究として重点的に推進すべき方向の分野、研究者をカバーしており、研究推進計画は全体として概ね妥当であるが、疾患のゲノム解析では関連テーマ(研究プロジェクト)が羅列的で相互の連携や全体的なビジョンが不足している点が見られる。特に、宮野プロジェクトについては、プロジェクトリーダーの専門性と研究内容にかい離があり、より実体に合わせた組織体制に改めるべきである。また、武田プロジェクトについては、ゲノム全体ではなく、いくつかの領域に集中して解析を進めるべきであるとの指摘があった。今後は、疾患遺伝子探索、解析プロジェクトにおいて、リソースや技術の共有や密な連携を図り、効率的に進めることが重要である。

 発生・分化・再生
 本研究分野は、21世紀の医療の中心の1つとなる再生医療を創出するものであり、強力な研究推進を必要とする研究分野である。行政的に研究プロジェクトが選定され、研究推進委員会の意向が取り入れられなかったものの、その後は研究推進委員会が定期的に実施状況を把握し、さらに適切な指導が行われていることから概ね妥当な進捗状況と評価された。なお、吉田プロジェクトについては、研究目的に沿った研究成果が乏しく、研究組織の再構成や研究プロジェクトの重点化、或いは縮小も視野に入れるなどの研究計画の改善が必要であること、中辻プロジェクトについては、着実に研究成果を挙げており、今後の進展が大いに期待されるので、研究計画の拡大をしてさらに推進を図るべきであるとの指摘があった。本研究分野は国際的な研究競争も熾烈であるが、その研究成果は医療のみならず、これを通じてさらに経済的にも国益に繋がるものであり、国を挙げて、強く研究推進がなされるべきであり、研究推進委員会にはさらに強力な指導性を発揮されることを希望する。

 植物遺伝子
 本研究分野は、多様な植物遺伝子を単離・解析し、その解析情報を用いて植物の進化・多様化の機構を明らかにするとともに、食糧・医薬品の効率的生産・環境保全等に資する有益な遺伝子組換え植物を育成し、その安全性の確認を行うものである。全体構想と方針については、概ね妥当であるが、7つの研究プロジェクト全てが、二本立ての研究テーマとなっており、テーマが多すぎて広がり過ぎである。今後はすべてにおいて焦点を大幅に絞り込み、重点化する必要がある。なお、鎌田プロジェクト、井上プロジェクト、及び佐野プロジェクトについては、研究プロジェクトの分割を検討するべきであるとの指摘があった。また、焦点を絞り込んだそれぞれの研究プロジェクトの下に、全面的に協力出来るコアメンバーで再編成する方が望ましい。


平成12年度開始分
中間報告書 目次
1.序 文
  2.研究推進委員会の活動等について
    3.研究プロジェクトの評価と今後の取扱いについて
  4.事業全体について
日本学術振興会 未来開拓学術研究推進事業