平成12年度開始分

未来開拓学術研究推進事業(平成12年度開始分)の「中間評価」について

 本事業は、地球規模の問題の解決、経済・社会の発展、豊かな国民生活の実現等を目指し、我が国の未来の開拓につながる創造性豊かな学術研究を大学主導により重点的に推進することを目的として、平成8年度より日本学術振興会が実施。
 本事業発足当初より、未来開拓学術研究推進事業研究評価委員会(委員長 金森順次郎:(財)国際高等研究所長 委員48名 以下「研究評価委員会」という。)により、研究開始から2年経過後に「中間評価」を、研究終了時(研究期間:原則5年間)に「最終評価」を実施することとしており、平成14年度は、平成12年度開始の研究プロジェクト等について「中間評価」を実施。
 このたび、未来開拓学術研究推進事業委員会(委員長 江崎玲於奈:芝浦工業大学長 委員11名 以下「事業委員会」という。)として「中間評価」結果への対応について取りまとめたので、併せて公表するもの。

「中間評価」の特色

  本事業の趣旨を鑑み、次の事項に配慮するとともに本事業の重要性及び期待感を認識し、慎重かつ客観的に実施。

  1.   研究プロジェクトを企画立案するとともに、研究の推進に必要な助言、支援及び評価を行う研究推進委員会並びに産学協力研究委員会の活動についても評価の対象とした。
  2.  研究評価委員は、第一線級の研究者及び産業界においてリーダー的な立場にある方々に依頼し、専門的観点から客観的かつ厳正な評価を行った。
  3.  研究プロジェクトの評価については、研究期間終了時に当該研究目的が達成出来るよう、2年経過後における研究の進捗状況を中心として評価を行った。

 「中間評価」の結果を受け、約3割の研究プロジェクトについて、研究の焦点を明確にし重点化を図る等の改善を求めることとした。


1.「中間評価」について

(1)実施主体
 研究評価委員会において、評価協力者17名の協力を得て実施。
(2)評価対象
 平成12年度開始の研究プロジェクト29件の進捗状況、並びにこれを推進する立場にある研究推進委員会4件の活動状況を中心として評価。
(3)評価の方法
プロジェクトリーダーの研究状況等報告書、研究推進委員会の委員会活動状況等報告書に基づく書面評価
研究推進委員長等からのヒアリング
研究評価委員会の判断による、研究プロジェクトの現地調査又はプロジェクトリーダー等からのヒアリング
(4)評価の実施状況

平成14年4〜6月

 

研究状況等報告書及び委員会活動状況等報告書の作成

平成14年7〜8月

 

書面評価を実施

平成14年 9 月

 

研究推進委員長等からのヒアリングを実施

平成14年 12月

 

研究評価委員会から研究推進委員長に対し、研究推進委員会及び研究プロジェクトに対する個別に提示されたコメントを提示

平成15年 2 月

 

研究評価委員会による「中間評価」報告書を事業委員会へ提出

平成15年2〜4月

 

事業委員会による「中間評価」結果への対応の取りまとめ

 

2.「中間評価」報告書の概要

 研究評価委員会からは、評価報告書の内容が真摯に受けとめられ、本事業の趣旨に沿った順調な研究の発展と目的の達成に貢献することを期待すること、また、今回実施した評価のプロセスや結果に関する関係各方面からの意見や批判を通して改善を重ねることにより、我が国の社会的、文化的風土に適した適正な評価制度が確立されるものであるとして、大要、次のような指摘があった。

(1)研究推進委員会等の活動等について
 研究推進計画の内容及び研究プロジェクトの選定結果については、概ね妥当とされた委員会が大部分を占め、委員会による研究プロジェクト研究評価については、全体的に見て、客観的で適正な評価が行われている。また、研究成果を社会や経済に真に還元するためには、具体的な特許や企業化の展望が必要である。
(2)研究プロジェクトの評価と今後の取扱いについて
 今回の評価対象29件のうち、1件については研究の更なる発展が期待でき、計画の拡充も含め特に推進すべきである、12件については予定通り推進することが望ましい、 10件については研究の焦点を明確にして重点化を図る必要がある、6件については進捗状況に鑑み、一部縮小・廃止等の変更が必要である。
(3)事業全体について
 研究評価委員会により実施される中間評価は本年度をもって最後となり、平成17年度には事業そのものも終了することとなるが、各研究推進委員会は研究推進の方向や評価を誤る結果にならないよう、本報告書の指摘に対する適切な対応と研究組織運営に対する充分な配慮を願う次第である。
 本事業の特色である研究分野及び研究プロジェクト選定におけるトップダウン方式については、全体的には肯定的な評価を与えることができるが、なお幾つかの改良の余地があることが今回の評価部会でも指摘された。また、中間評価の評価対象が、該当年度に採択された研究プロジェクト並びにそれを推進した研究推進委員会の活動に限定されていることから、研究評価委員会は事業の全体像の把握に限界があることに留意していただきたい。

 

3.「中間評価」結果への対応の概要

 事業委員会においては、研究評価委員会が、本事業の趣旨・目的や運営方法等についての十分な理解の下に評価を実施していただいたことに、次のような対応を取りまとめた。

(1)研究推進委員会等について
 研究推進委員会とプロジェクトチームが独立に設定構築されたためか、研究推進委員会の方針と実際に研究を実施するプロジェクトチームとの間に多少の乖離が認められる。また、他省庁の大型プロジェクトとも連携した「国家レベルでの戦略と成果見通し」なしには本来の目的に十分達することは困難である。研究推進委員会は、さらに強力な指導性を発揮するとともに、他省庁の関連プロジェクトや理化学研究所などの拠点との連絡を一層密にする必要がある。
(2)研究プロジェクトについて
 特に推進すべきとされた研究プロジェクト1件については、研究計画等の拡充を図り、研究の焦点を明確にして重点化を図る必要があるとされた研究プロジェクト10件、及び進捗状況に鑑み、一部縮小・廃止等の変更が必要であるとされた研究プロジェクト5件については、指摘の趣旨に添った見直しを行うなど、新たな研究方針の下に研究の遂行を図ることを徹底した。また、他プロジェクトとの統合を考慮するように指摘された1件の研究プロジェクトについても同様に統合を行った。
(3)事業全体について
 研究推進委員会は、全体構想と進行中の研究プロジェクトとの関係を明確に提示することが必要である。また、外部からの意見等を積極的に取り入れるとともに研究プロジェクトの目標を明確にし、それらを研究者に十分認識させ、各研究者が目標を達成できるよう強力に指導・助言することが重要であり、このことが発揮できるような環境を整えることが必要である。  
 また、本事業の特色をさらに一層機能させるためにも、公募方式による研究助成制度との整合性など事業全体の意義や方式の不断の改善が必要である。
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