平成11年度開始分

未来開拓学術研究推進事業(平成11年度開始分)の「中間評価」について

 本事業は、地球規模の問題の解決、経済・社会の発展、豊かな国民生活の実現等を目指し、我が国の未来の開拓につながる創造性豊かな学術研究を大学主導により重点的に推進することを目的として、平成8年度から政府出資金により日本学術振興会が実施。
 本事業発足当初より、未来開拓学術研究推進事業研究評価委員会(委員長 金森順次郎:(財)国際高等研究所長 委員45名 以下「研究評価委員会」という。)により、研究開始から2年経過後に「中間評価」を、研究終了時(研究期間:原則5年間)に「最終評価」を実施することとしており、平成13年度は、平成11年度開始の研究プロジェクト等について「中間評価」を実施。
 このたび、未来開拓学術研究推進事業委員会(委員長 江崎玲於奈:芝浦工業大学長 委員43名 以下「事業委員会」という。)として「中間評価」結果への対応について取りまとめたので、併せて公表するもの。

「中間評価」の特色

  本事業の趣旨を鑑み、次の事項に配慮するとともに本事業の重要性及び期待感を認識し、慎重かつ客観的に実施。

  1.   研究プロジェクトを企画立案するとともに、研究の推進に必要な助言、支援及び評価を行う研究推進委員会並びに産学協力研究委員会の活動についても評価の対象とした。
  2.  研究評価委員は、第一線級の研究者及び産業界においてリーダー的な立場にある方々に依頼し、専門的観点から客観的かつ厳正な評価を行った。
  3.  研究プロジェクトの評価については、研究期間終了時に当該研究目的が達成出来るよう、2年経過後における研究の進捗状況を中心として評価を行った。

 「中間評価」の結果を受け、約3割の研究プロジェクトについて、研究の焦点を明確にし重点化を図る等の改善を求めることとした。


1.「中間評価」について

(1)実施主体
 研究評価委員会において、評価協力者44名の協力を得て実施。
(2)評価対象
 平成11年度開始の研究プロジェクト40件の進捗状況、並びにこれを推進する立場にある研究推進委員会9件及び産学協力研究委員会11件の活動状況を中心として評価。
(3)評価の方法
プロジェクトリーダーの研究状況等報告書、研究推進委員会等の活動状況等報告書に基づく書面評価
研究推進委員長等からのヒアリング
研究評価委員会の判断による、研究プロジェクトの現地調査又はプロジェクトリーダー等からのヒアリング
(4)評価の実施状況

平成13年4〜6月

 

研究状況等報告書及び活動状況等報告書の作成

平成13年 7 月

 

書面評価を実施

平成13年 9 月

 

研究推進委員長等からのヒアリングを実施

平成13年 12月

 

研究評価委員会から研究推進委員長等に対し、研究推進委員会等及び研究プロジェクトに対する個別に提示されたコメントを提示

平成14年 2 月

 

研究評価委員会による「中間評価」報告書を事業委員会へ提出

平成14年2〜4月

 

事業委員会による「中間評価」結果への対応の取りまとめ

 

2.「中間評価」報告書の概要

 研究評価委員会からは、評価報告書の内容が真摯に受けとめられ、本事業の趣旨に沿った順調な発展と目的の達成に貢献することを期待すること、また、今回実施した評価のプロセスや結果に関する関係各方面からの“評価に対する評価” を通して改善を重ねることにより、我が国の社会的、文化的風土に適した適正な評価制度が確立されるものであるとして、大要、次のような指摘があった。

(1)研究推進委員会等の活動等について
 研究推進計画の内容及び研究プロジェクトの選定結果については、概ね妥当とされた委員会が大部分を占め、委員会による研究プロジェクト研究評価については、従来から指摘された問題点の改善が進み、格段に客観的で適正な評価が行われている。また、研究成果を社会や経済に真に還元するためには、具体的な特許や企業化の展望が必要である。
(2)研究プロジェクトの評価と今後の取扱いについて
 今回の評価対象40件のうち、3件については研究の更なる発展が期待でき、計画の拡充も含め特に推進すべきである、26件については予定通り推進することが望ましい、10件については研究の焦点を明確にして重点化を図る必要がある、1件については進捗状況に鑑み、一部縮小・廃止等の変更が必要である。
(3)事業全体について
 方法論や分担研究者間の共通目的への接近方法及び分担の意義についての討論と足並みを揃えた研究活動推進に適切さを欠いた例があった。各研究推進委員会は研究推進の方向や評価を誤る結果にならないよう、本報告書の指摘に対する適切な対応と研究組織運営に対する充分な配慮を願う次第。
 本事業の特色である研究分野及び研究プロジェクト選定におけるトップダウン方式については、全体的には肯定的な評価を与えることができるが、なお幾つかの改良の余地があることが各領域の評価部会で指摘された。また、中間評価の評価対象が、該当年度に採択された研究プロジェクト並びにそれを推進した研究推進委員会及び産学協力研究委員会の活動に限定されていることから、研究評価委員会は事業の全体像の把握に限界があることに留意。

 

3.「中間評価」結果への対応の概要

 事業委員会においては、研究評価委員会が、本事業の趣旨・目的や運営方法等についての十分な理解の下に評価を実施していただいたとして、次のような対応を取りまとめた。

(1)研究推進委員会等について
 研究推進委員会の委員構成によって当該研究分野における研究活動状況が大きく影響されることから、当該研究分野を推進する上で最適な委員構成を考慮することが最重要である。
 産学協力研究委員会によって企画提案された研究プロジェクトについては、基礎から産学連携へ進む開発研究が期待される。また、産学協力研究委員会が研究プロジェクトの推進状況を常に把握し、国際競争力強化のための土台となる基礎的・応用的研究の推進のための適切な指導・助言、及び研究評価を行うことが研究プロジェクトの成否の一つの鍵となることから、本報告書における指摘の趣旨にそった積極的な対応を求める。

(2)研究プロジェクトについて
 特に推進すべきとされた研究プロジェクト3件については、研究計画等を拡充。研究の焦点を明確にして重点化を図る必要があるとされた研究プロジェクト10件、及び進捗状況に鑑み、一部縮小・廃止等の変更が必要であるとされた研究プロジェクト1件については、指摘の趣旨に添った見直しを行うなど、新たな研究方針の下に研究の遂行を図ることを徹底。
(3)事業全体について
 研究推進委員会は、外部からの意見等を積極的に取り入れるとともに研究プロジェクトの目標を明確にし、それらを研究者に十分認識させ、各研究者が目標を達成できるよう強力に指導・助言することが必要であり、このことが発揮できるような環境を整えることが重要。  
 また、具体的な研究成果をどのように社会へ発信し貢献していくかは、本事業の重要な課題の一つであることから、研究成果が知的資産形成にどれだけ寄与したかを具体的な形で広く情報公開に努めることが必要。
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