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- 研究推進委員会及び産学協力研究委員会の活動等
- 研究推進委員会
ア.研究推進計画(全体構想、方針、推進方法等)及びプロジェクトの選定について
本事業では分野毎に研究推進委員会が設けられ、同委員会が研究推進計画を立案するとともに、これにそってプロジェクトを構想し、リーダーを選定するというトップダウン方式を基本として実施されているが、総括的にいえば研究推進委員会が立案した研究推進計画の内容は概して妥当であり、現在の方向に沿って推進すべきである。
プロジェクトの選定結果についても、全体的には概ね妥当な選定と考えられる。しかし、改善すべき点として、理工系評価部会が担当した分野では、プロジェクトの研究活動の実態が研究推進委員会の構想と一致していない例が認められる。例えば、「次世代プロセス技術」はプロジェクト間の相乗的効果をねらって多様なプロジェクトを取り込んでいるが、構想どおりには進展していないとの指摘があった。「知能情報・高度情報処理」はプロジェクト間に緊密な連携を保ちつつ、分野全体を一体化して運営する構想であるが、広範な分野が二分されていてその融合性が課題となっている。このほか、プロジェクトの選定や構成について、いくつかの分野に共通な問題点として、1)選定に偏りや欠落がある、2)一部異質なプロジェクトが含まれている、3)分野の研究推進計画と一致していない、4)専門外の研究者が含まれているのに、実績のある研究者が含まれていない、などがあげられる。
生命科学系評価部会が担当した分野については、「細胞シグナリング」は必ずしもこの分野に適さないプロジェクトも含まれているとの指摘があった。他方、プロジェクト内の構成に関しては、「細胞シグナリング」を除くと、各プロジェクトの中に多くの独立したグループを含む班研究形式を採用しているところが多いが、本事業ではむしろ個別の研究者をトップダウンにより選ぶことが望ましいのではないかと考える。リーダーのもとに数多くの研究室が存在し、activityの高いものと必ずしも高くないものとが混在しているような場合には、評価が曖昧になる危険性がある。生命科学系評価部会としてはかかるチーム編成については重点化を要請しており、これに伴う研究者の入れ替えについても考慮すべきであろう。
なお、プロジェクトの選定にあたっては研究推進委員会委員の専門に依存するところが大きいことから、委員の選考は広い視野から慎重に行われるべきであると考える。
また、プロジェクト選定の結果からみると、特に理工系分野の名称は概して広すぎて、その内容を明確に表すものとはなっていないとの印象を受ける。これは分野選定にあたり、その内容や範囲について十分な検討が行われなかったことを反映しているとも考えられ、事業委員会での検討が望まれる。
イ.研究推進委員会による研究評価及び研究推進委員会の構成について
研究推進委員会によるプロジェクトに対する評価は甘いものが多く、客観的、批判的な評価が行われている研究推進委員会が少ないとの意見が多かった。研究推進委員会委員がプロジェクトリーダーを兼務したり、リーダーと密接な関係を持つケースが多いため、研究推進委員会としての客観的な評価が困難になっていると思われる。
研究推進委員会委員にはその分野を代表する専門家が集められ、第一線で活躍する研究者が多く含まれている。その結果プロジェクトリーダーとして最適な人材が研究推進委員会に多く含まれることとなり、同委員会委員の中から多くのリーダーが選ばれる結果となったことはやむを得ない面がある。しかし、研究推進委員会が各プロジェクトを評価し、指導的な役割を果たすためには、組織の形態からみて委員がリーダーを兼ねることは極力避けるべきであると考える。
特に、理工系評価部会の担当した「シンセシスの科学」と「マイクロメカトロニクス・ソフトメカニクス」、また、生命科学系評価部会が担当した分野では、「ヒトゲノム」、「再生医工学」及び「生命科学と化学的手法の融合による新有用物質生産」などにおいて、プロジェクトリーダーの多くが研究推進委員会委員で占められており、適切さに欠けるとの指摘が多かった。他方、研究推進委員会による評価の際に、プロジェクトリーダーを兼ねる委員は除き、外部から評価のための委員を入れて評価を実施した「高次脳機能」による評価方式は、評価部会での評価も高かった。
今後、研究推進委員会がより高い客観性を持つ評価を行えるよう、改善を図ることが求められる。
ウ.社会、経済への還元の可能性について
特許や実用新案のみならずデータベースや出版物などが広い意味で社会に還元される知的資産に該当する。本事業においては、プロジェクトリーダー等の関係者は常に「社会へ還元すべき知的資産形成の面でどのような見通しがあり、どのような進捗状況にあるか」を明確にしておく必要がある。
理工系評価部会が担当した分野におけるプロジェクトについてみると、社会的に意義ある研究成果を目指して立案されており、既に特許申請が行われているプロジェクトも少なくない。過去2ヶ年の研究ですぐに役立つものは少ないが、長期的にみればいずれも社会へ還元される知的資産の形成が期待できる内容である。
生命科学系評価部会が担当した分野のプロジェクトにおいては、具体的な特許や企業化への展望が出ているものは比較的少ないが、その可能性を秘めた研究は多くの分野について散見され、今後は研究推進委員会を中心に、その具体化を追及していく必要がある。
なお、学術的資産である論文の実績に関し、プロジェクトリーダーから本事業の研究開始以前のものを報告している例がみられた。直接関連するもののみを報告するようにとの注意に従って適切に報告させるべきである。
エ.活動状況の全体的評価について
研究推進委員会の活動としては、研究推進計画の立案、プロジェクトの選定、プロジェクトに対する助言・支援、プロジェクト評価などが含まれ、優れた成果を実現するためにも各研究推進委員会が適切な役割を果たすことが望まれる。
しかし、今回の中間評価において、個々のプロジェクトをみると、必ずしも期待どおりに進捗しているものばかりとは言えず、研究推進計画の意図するところに向かっていないもの、焦点が絞られていないもの、各分野に属するプロジェクト間の関係が明確でなく相互の連携が乏しいものなどが見受けられた。
これらはプロジェクトに直接従事する研究者自身に起因する問題もあるが、プロジェクトを構想した研究推進委員会の推進方法やプロジェクトチームに対する適切な助言・支援など委員会活動とも深く関係する問題であり、例えば、「次世代プロセス技術」及び「生命情報」は全体構想は適切であるが、プロジェクトに対する助言・支援等の活動状況がやや不十分と評価された。また、「シンセシスの科学」については、研究推進委員会の意図が研究チームに十分把握されていないとの印象が持たれた。
本報告書に指摘されている問題点を研究推進委員会として十分検討し、必要に応じて軌道修正等を行い、本事業の期待に見合う成果が挙がるよう努めて頂きたい。
- 産学協力研究委員会
平成8年度に発足した産学協力研究委員会関係のプロジェクトは19件であるが、そのうち2件については既に関係する委員会が終了しており、産学協力研究委員会としては残り17の委員会について評価が行われた。
ア.産学協力研究委員会によるプロジェクトの選定について
各産学協力研究委員会が対象とする分野は極めて多岐にわたっている。産学協力系評価部会では、各委員会によるプロジェクト選定について個々の妥当性の評価を行った。その結果、プロジェクトの選定はおおむね妥当とする意見が多かったが、プロジェクト内のサブテーマの構成やプロジェクトチームの編成については、見直しや改善を求める意見が出され、テーマの重点化、産業界の研究者・技術者とのより密接な協力の必要性等が指摘された。
イ.産学協力研究委員会による研究評価について
各産学協力研究委員会によるプロジェクトに対する研究評価は、概ね適切な評価がなされているとする意見が多く見られたが、委員会に属する学界の研究者を網羅する形でチームが構成されていたために、委員会として評価できる体制にあるとは言い難いなどの問題点も指摘された。委員会の主要メンバーの多くがプロジェクトに参加したり、委員長がプロジェクトリーダーとなるような場合は、客観的で厳格な研究評価は行いにくい態勢となりがちであるので、今後、産学協力研究委員会におけるより客観的且つ適切な評価方法について、検討する必要があると思われる。
ウ.産学協力研究委員会のプロジェクトに係る活動状況の全体的評価について
プロジェクトへの助言や支援等の委員会活動については、国際シンポジウムなどを委員会として組織し広く関連する研究者との討議の場を設定したり、産学協力研究委員会の中に分科会を設け助言・支援の体制を組むなど積極的な対応等を行っている「素材プロセシング第69委員会」、「耐熱金属材料第123委員会」及び、「短波長光デバイス第162委員会」が高く評価され、他の委員会も概ね適切であると評価されたが、「炭素材料第117委員会」は産業界委員との連携協力の不足が指摘され、「建設材料第76委員会」は委員会委員以外でこの分野に実績のある研究者からも適切な助言や支援を得るべきであるとの指摘があった。
また、特許等知的資産の蓄積と保護について、産業界との連携をさらに強力に指導すべきとの指摘が多くみられた。
産学協力研究委員会の提案によるプロジェクトについては、委員会と表裏一体となって研究を推進するというユニークな特色を備えており、委員会が常に進捗状況を把握したうえで、適切な研究評価や助言・支援を行うことが成否の一つの鍵となっている。各委員会が指摘事項を真摯且つ積極的に受けとめ改善するとともに、必要な活動をさらに高めることを切に希望する。
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