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国際生物学賞委員会審査委員長 浅島 誠
第25回国際生物学賞審査委員会を代表いたしまして、今回の審査の経緯について御報告申し上げます。
審査委員会は、私を含めて計20人の委員で構成いたしましたが、そのうち4人は特別に委嘱した外国人の権威ある研究者でした。
審査委員会は、今回の授賞対象分野に定められた「感覚の生物学」に関連する内外の大学、研究機関、学協会および個人研究者並びに国際学術団体あてに、1,890通の推薦依頼状を送りましたところ、57通の推薦状が届きました。このうち重複を除きますと、実数は46件であり、広く16か国に亘っておりました。
審査委員会は、計四回の会議を開き、慎重に候補者の選考にあたりました。その結果、第25回国際生物学賞受賞者として、アメリカ合衆国のウィンスロー・ラッセル・ブリッグス博士を国際生物学賞委員会へ推薦することに決定いたしました。
ブリッグス博士は、1928年生まれの81歳で、アメリカ国籍をお持ちです。博士は1956年に米国ハーバード大学で博士号を取得されました。その後、スタンフォード大学、ハーバード大学やカーネギー研究所において研究活動を行い、感覚の生物学に関する数多くの研究成果を挙げられました。現在はカーネギー研究所植物学部門の名誉部門長でいらっしゃいます。
ブリッグス博士は、長年にわたり、植物が光情報を利用する仕組みについて、多くの優れた業績を上げてこられました。特にチャールズ・ダーウィンが初めて研究対象として解析し、その後の植物科学の主要な研究課題となった光屈性反応に関して、ブレイクスルーとなる幾つもの重要な発見をされました。
とりわけ、青色光受容体タンパク質であるフォトトロピンの発見は、非常に独創性が高く画期的であり、単なる植物の一光受容体の発見にとどまらず、バクテリアから種子植物に至る多くの生物における光利用の実体を大きく見直す端緒となりました。すなわち、近年のゲノム解析の進展により、フォトトロピンの光受容部位であるLOVドメインが、他の多くの生物にも存在していることが明らかになり、多くの新規LOV光受容体が発見されました。それらの機能解析を通じて、従来光との関連があまり指摘されてこなかった生理現象についても光の影響が指摘されるなど、ブリッグス博士の発見は生物学全般に大きなインパクトを与えることになっています。
審査委員会は、本賞の審査基準として、研究の独創性、国際性および生物学の進歩に対する貢献度を取り上げていますが、ウィンスロー・ラッセル・ブリッグス博士の業績は、そのいずれをも十分に満たすものであることを認め、国際生物学賞を授与するのに最もふさわしい研究者として推薦いたしました。
国際生物学賞委員会は、審査委員会の推薦を承認し、ウィンスロー・ラッセル・ブリッグス博士に対し、第25回国際生物学賞を授与するものであります。
以上をもちまして、私の審査経過報告を終わります。