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国際生物学賞

国際生物学賞 歴代受賞者

第24回国際生物学賞 審査経過報告

国際生物学賞委員会審査委員長 和田正三

 第24回国際生物学賞審査委員会を代表いたしまして、今回の審査の経緯について御報告申し上げます。
 審査委員会は、私を含めて計19人の委員で構成いたしましたが、そのうち4人は特別に委嘱した外国人の権威ある研究者でした。
 審査委員会は、今回の授賞対象分野に定められた「生態学」に関連する内外の大学、研究機関、学協会および個人研究者並びに国際学術団体あてに、1,885通の推薦依頼状を送りましたところ、38通の推薦状が届きました。このうち重複を除きますと、推薦された候補者の実数は34人であり、広く17か国に亘っておりました。
 審査委員会は、計4回の会議を開き、慎重に候補者の選考にあたりました。その結果、第24回国際生物学賞受賞者として、アメリカ合衆国のジョージ・デイビッド・ティルマン博士を国際生物学賞委員会へ推薦することに決定いたしました。

 ティルマン博士は、1949生まれの59歳で、アメリカ国籍をお持ちです。博士は1976年に米国ミシガン大学で博士号を取得されました。その後、ミネソタ大学において研究活動を行い、生態学に関する数多くの研究成果を挙げられました。現在はミネソタ大学の教授でいらっしゃいます。

 ティルマン博士は、生物多様性について、数学モデルを用いた包括的な理論検討と、草原での大規模かつ長期間の実験データの検証という理論と実験の両面で、他の追随を許さない独創的で優れた業績を挙げられました。競争理論を発展させ、生物多様性の成立とその維持機構を明らかにされたほか、生物多様性と生態系の安定性との関係について、生物多様性は生態系の安定性に寄与するとして、生態学における長年の論争に決着をもたらされるなど、ティルマン博士の研究が生態学の発展に与えた影響は誠に大きく、国際的に高く評価されるものです。
 また、ティルマン博士は、これら基礎研究にとどまらず、そこで得られた知見や技法を駆使し、異分野との共同研究も積極的に進めることにより、今日の環境危機において喫緊の課題となっている「持続可能な農業生産」や「炭素削減」の研究についても優れた業績を挙げて来られました。社会が適切な選択を行うための科学的見地の提供という立場から、生物多様性の保全や再生の必要性を政策提言にもつながる形で明らかにしてきたティルマン博士の研究は、現代生態学をまさに先頭に立って切り拓く極めてインパクトの高いものです。

 審査委員会は、本賞の審査基準として、研究の独創性、国際性および生物学の進歩に対する貢献度を取り上げていますが、ジョージ・デイビッド・ティルマン博士の業績は、そのいずれをも十分に満たすものであることを認め、国際生物学賞を授与するのに最もふさわしい研究者として推薦いたしました。
 国際生物学賞委員会は、審査委員会の推薦を承認し、ジョージ・デイビッド・ティルマン博士に対し、第24回国際生物学賞を授与するものであります。
 以上をもちまして、私の審査経過報告を終わります。