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米国国立衛生研究所(NIH)の科研費について
―外国機関が採択されるための条件―


 NIHは、その傘下に27の国立研究所や研究センターを持つ研究機関であるが、同時に米国の大学や研究機関に対して競争的研究資金を配分するファンディングエージェンシーでもある。実はNIHの科研費は、米国の大学や研究機関だけでなく、外国の大学や研究機関からも申請することが可能である。


 NIH事業の中核をなす事業として、「Research Project Grant (R01)」と称される事業がある。この事業は、研究者の自由な発想に基づく研究に対して支援するものである(もちろん、NIHがカバーする医学生物学分野の範囲内ではあるが)。このResearch Project Grantの募集要項をチェックしてみた。(URL:http://grants.nih.gov/grants/guide/pa-files/PA-07-070.html(外部サイト))


 募集要項のセクションIIIに申請資格に関する記載があり、申請資格のある機関として、20種類の機関が挙げられているが、その中に、「Non-domestic (non-U.S.) Entity (Foreign Organization)」がある。すなわち外国機関も申請することが可能ということである。この申請資格に関するセクションの中で、外国機関の申請を制限するような文言も記載されていない。


 しかし、審査に関する情報を記載した、セクションVの中の項目、「2.B. Additional Review Considerations」において、次のような記述がある。


Applications from Foreign Organizations: Whether the project presents special opportunities for furthering research programs through the use of unusual talent, resources, populations, or environmental conditions in other countries that are not readily available in the United States or that augment existing U.S. resources will be assessed.


 つまり、外国機関からの申請については、その申請課題が、米国にはない、あるいは不足しているが、申請機関の国では遂行可能な、通常とは異なった人的・物的資源や研究環境等を利用した特別な研究であるかどうかが、審査の過程で評価される。


 このことについて、NIHのプログラムオフィサーに詳しく聞いてみたところ、次のような回答であった。
「確かにNIHのResearch Project Grant事業は外国機関にも開放しているし、もちろん、日本の大学も申請することは可能である。申請にあたっての制限はない。しかし、このことは、審査の段階で問題となる。全ての申請が採択されるわけでないので、外国機関の申請を採択すれば、その分、米国の大学を不採択にしなければならない。なぜ、米国の税金を外国機関のために使用する必要があるのかが審査の過程で議論となるであろう。具体的には、次の2点が考えられる。
1) 世界で、その申請機関だけが取り組むことができる研究内容であるかどうか。
2) その研究の成果が米国の医学生物学、米国人の健康、生命にどのような利益があるか。
 これら2つのことについて審査員を納得させるだけの申請でないと採択されるのは、まず難しい。」


 我が国の大学等学術研究機関がNIHの事業を申請するにあたって、形式的な制限はないが、実際に採択されるかどうかという問題となると、ハードルはかなり高そうである。少なくとも申請の際には、NIHのプログラムオフィサーと充分に相談することが必要であると思われる。


 少しでも我が国の大学等学術研究機関にとって、競争的資金の獲得のチャンスが増える一助になればという思いで本件を報告した。


(平成18年12月21日 JSPSワシントン研究連絡センター)