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スウェーデンのThe Globalization Councilが発足


 教育研究大臣レイヨンボリは、2006年11月30日に、グローバル化が急速に進展している世界の中で、スウェーデンが国際競争力を維持強化するために必要なことについて、知識を深め、社会全体の議論を広げ、提言をまとめるために、自ら議長となり22名で構成される The Globalization Councilを立ち上げました。


 教育研究大臣以外他のメンバーは、オロフソン産業大臣兼副首相を始めとする4名の大臣、カロリンスカ研究所のヘンリクソン学長、チャルマーシュ工科大学のマキィデァス学長、企業連盟のベックストロームCEO、3つの中央労働組合(LO、TCO、Saco)の各々の議長、エリクソンなどのCEO、学者、ジャーナリストで構成されています。


 これは、デンマークがラスムセン首相を議長に総勢26名のメンバーで2005年4月に立ち上げ、翌年4月にデンマークの戦略「PROGRESS,INNOVATION AND COHESION」をまとめたThe Globalization Council に倣ったものです。デンマークにおいては、社会全体の議論を起こすために前もって会議の資料を専用のウェッブサイトで公開し、14回の会議を開催して、デンマークの国際競争力を維持強化するために、主として、初等中等教育から高等教育政策、研究政策に係る提言をまとめました。また、2007年には、政策の実行の状況を確認するため、再び会議を開催することにしております。


 スウェーデンにおいては、デンマークのような会議運営がなされるか分かりませんが、提言は、次回の総選挙が行われる2010年の前には最終的に取りまとめられることになっている上、個々の政党の政策や集団の利益を超えたものになるとレイヨンボリ大臣は語っており、今後のスウェーデンの教育研究政策に大きな影響を与えるものになると予想されます。
なお、レイヨンボリ大臣は、デンマークの政策に倣うと主張しており、4月に取りまとめられたデンマークの高等教育政策・研究政策のうち、興味深い部分を以下に紹介しておきます。


デンマークの高等教育政策・研究政策の概要

  • 高等教育機関の修了者を現在の45%から2015年までに少なくとも50%に上げる(注1)。

  • より多くの若者が高額、自然科学、健康管理の分野の教育を受けるようにする(注2)。

  • 大学の基盤的経費は、研究、教育、情報発信の質に関連した実際の成果に応じて配分されるべきである。

  • 政府系の研究機関は、学部、マスターレベルの学生の教育に携わっておらず、大学のカリキュラムを強化するため数年以内に大学に統合すべきである。

  • 独立した第三者評価機関を、国際基準に従ってすべての大学の課程を評価するために設立すべきである。認証評価を受けた課程のみが政府の資金を受ける資格を持つべきである。一方で、大学に新しい課程を立ち上げる相当程度の自由を認めるべきで、政府の承認は廃止すべきである。

  • 政府部門、民間部門における研究開発総額の対GDP比を2010年までにそれぞれ1%、2%にすべきである(2003年の統計によると、OECD諸国の平均はそれぞれ0.7%、1.5%であるのに対して、デンマークはそれぞれ0.8%、1.8%である。)。

  • 2010年までに政府部門の研究資金の50%を競争的資金とすべきである。

  • ほとんどすべての競争的資金は、研究者個人及び研究グループを対象としており、大学の戦略と合致しなくなっている。将来的には大規模な長期間の研究を対象として大学に競争的資金を割り当てるべきである。

  • 特定の大学や研究機関のみで支えることができない研究施設のための資金を政府の予算の中で特別に確保すべきである。

  • 政府部門の競争的研究資金の大部分は、繁栄を増大させ社会的問題を解決するための戦略的研究に充当されるべきである。

  • デンマークの研究水準を体系的に評価すべきである。さらに、研究プログラムはより体系的に評価し、研究資金がその質に応じて分配されていることを保証すべきである。

  • 近年、EUは戦略共同研究をかなり拡大してきている。しかしながら、EUプログラムへのデンマークの参加は減少しており、規則を改正してリサーチカウンシルは国際共同研究に資金を配分できるようにすべきである。


(注1) デンマークの高等教育機関は、大学(総合・単科)、各種専門学校(3年)、各種専門学校(2年)から成り立っており、大学進学者は、高等教育機関進学者の40%である。

(注2) 高等教育機関(修士以上)の学生の専攻分野(2003年)

    社会科学    28.8%
    人文科学、神学  22.5%
        工学      15.9%
        健康管理    11.6%
        自然科学    9.4%
    農学水産学   4.0%

【参考資料】
・スウェーデン教育研究省の報道発表資料: http://www.regeringen.se/sb/d/7596/a/73388外部サイト
・Denmark in the global economyのウェブサイト:http://www.globalisering.dk/page.dsp?area=52外部サイト


(JSPSストックホルム研究連絡センター発行『ストックホルムセンターだより第13号(平成19年1月5日)』掲載)