「Stanford Challenge」−全学的キャンペーンに5年間で43億ドル−スタンフォード大学では、今世紀における地球規模の緊急課題の解決策を見出すこと、将来の指導者を育成する教育レベルを高めること、そして学術的活動を強化することを目的として、「Stanford Challenge」というキャンペーンを展開することが、評議員会の満場一致で決定された。これは、大学全体で取り組む各種プログラムの総称であり、5年間で43億ドルを拠出する。
これらの研究及び教育のイニシアチブのポイントは、学際的アプローチである。ここでいう「学際的アプローチ」は、スタンフォード大学の全7大学院及び多くの研究センター等全ての卓越性を利用するものであり、このキャンペーンによって、大学全体から専門家が結集し特定の問題に取り組むことができ、研究面での連携がより一層高まることが期待されている。 このキャンペーンの目標達成のための基盤として、スタンフォード大学は既に下3つの学際的研究イニシアチブを開始している。 (1) ヒトの健康(Human Health)イニシアチブ これらのイニシアチブは、教員と大学トップとの間での数年にわたる研究と議論を経て選定されたものである。始まりは、2000年10月に当時の学長John
Etchemendy氏が大学のミッションを検討するタスクフォースを開いた時に遡る。 二つ目のイニシアティブでは、グローバル社会における世界的な指導者の養成に焦点を当てており、K-12教育やいわゆる教養教育(arts and liberal education)の新たな試み、大学院教育の刷新、学部教育の質の向上等につとめる他、学部学生及び大学院学生の財政支援を強化している。財政支援には、必要性に基づいた奨学金対象者の留学生への拡大、公益部門で働く大学院生へのローン返済援助が含まれている。 また、三つ目のイニシアティブでは、優秀な学生と教員のために継続的投資を行う。財政的資源及び施設の充実した「高度な大学」の創造こそが、「世の中で成功し社会に役立つ学生を育てる」というスタンフォード大学の目標達成に必要不可欠なのである。 昨今は、予算の制約と市場の現状が政府及び産業界の研究努力を縮小させ、大学がそのギャップを埋めなければならなくなっている、との指摘があり、このように大学全体の専門的知識を、現在の社会的課題に対応すべく新たな試みを展開していくことは、社会的にも非常に意義があることである。 キャンペーン開催の共同議長であり、評議委員会に再選されたIsaac Stein氏「スタンフォード大学の核心的な強みは、独立した学部及び研究所の集合体としてではなく一大学として機能する力を持っていることである。スタンフォード大学は各々の卓越性を1つに集約し、Stanford Challengeを通じて、21世紀におけるスタンフォード大学の地位を確固たるものにすることだろう。」という発言に顕れているとおり、すでに世界トップレベルにある各研究・教育を、全学的な戦略を基により一層高いレベルを目指して推進していくことは、その他ライバルを引き離す原動力となる。学際的なアプローチも、これまでにない新たなブレークスルーを生み出すきっかけになることが期待される。 学際的な教育や研究を進める動きは日本の大学でも見られるが、大学全体としてビジョンと立てているケースは少ないと思われる。スタンフォード大学のこの動きは、大学全体のアクティビティ、社会的ニーズへの対応等の視点から学部、大学院、研究所間を超えた全学的な連携を促す先駆的取り組みであり、今後の大学戦略を考える上で、注目に値するものである。 参考:http://news-service.stanford.edu/news/2006/october11/challengesr-101106.html (平成18年10月19日 JSPSサンフランシスコ研究連絡センター) |








