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大学院生に海外での研究機会を提供(プリンストン大学)


 大学生にとって、3年生で海外へ行くことが通過儀礼になってきている現状に鑑み、プリンストン大学では、社会科学分野の大学院生に、海外で視野を広げるために「The new Global Network on Inequality」というプログラムを提供している。

 このプログラムはPrinston Institute for Affairs and Regional Studies(PIIRS)とWoodrow Wilson School of Public and International Affairsから拠出されており、社会学及び政治学の大学院生が、西ヨーロッパ、日本、インド、南アフリカの計15機関の研究者と海外で共同研究するための奨学金が給付される。


 ヨーロッパでは、博士課程の学生は多数の国々で研究活動を行い、様々な知的伝統を持つ教員と出会い、その恩恵を受けることが通常となっている。同プログラムは、プリンストン大学の学生に同様の機会を提供することになる。

 これまで、社会科学分野の学生が海外で研究する機会は、アメリカ以外の社会を研究対象としている者に限定される傾向にあったが、同プログラムは、アメリカ社会の研究を専門にする者にまで対象を広げている点が特徴的である。

「Inequality」がテーマに選定されたのは、近年、発展途上国のみならず先進国においても、収入、学歴及び保健衛生等の格差が拡大しつつあるからである。

 本プログラムを通じて、プリンストン大学で行われている優れた研究を広めると共に、アフリカ、アジア、ヨーロッパ及びラテンアメリカで行われている興味深い研究内容を直に学ぶことが期待される。


 The new Global Network on Inequalityから奨学金を受ける大学院生は、まず最初に15のパートナー機関(パリのSciences PO、London School of Economics及びフィレンツェのEuropean University Institute等一流の研究機関を含む)におけるデータ収集の可能性やフィールドワークの機会について調べた上で、パートナー機関の教授と行う短期研究プロジェクトの計画書を提出する。プリンストン大学の諮問委員会、パートナー研究機関の諮問委員会での審査を経て、承認された計画について、旅費と海外で研究する2ヶ月間分の滞在費が支給される。


 プリンストン大学の目標は、毎年10から12人の学生を海外に送ることである。これまで、社会学の大学院生のうち、4名がフェローシップを終了、他の8人(社会学が6名、政治学が2名)が2007年4月までの間に海外で研究する予定である。



 本プログラムは大学院生に恩恵をもたらすだけではない。同プログラムによって構築されるネットワークは、優秀な学者らも共に情報や見解を共有することにも一役買っている。最近の事例としては、Woodrow Wilson Schoolの75周年記念として、国際会議「New Directions in Inequality and Stratification 」の開催が挙げられる。

 会議では、本プログラムの参加機関から約45名の学者が参加、アメリカの大学からは、イェール大学、コーネル大学、ニューヨーク大学、コロンビア大学、ウィスコンシン大学、ニューヨーク市立大学、ペンシルバニア大学を含め、約50名の教員と大学院生が参加した。

 McCarty(Professor of politics and Associate dean of the Woodrow Wilson School)が会議で指摘した通り、Inequality、貧困、人の移動−これらは一国の問題ではなく、全ての国が直面している国際的な問題であり、本プログラムを通じてグローバルな研究を行っている研究者たちの交流を図る意義は非常に大きい。地理的のみならず学際的に重要な問題を議論できる貴重な機会であったと言えよう。


 将来的には、本プログラムは、心理学と経済学分野の学際的な研究を促進するだけでなく、国際的な広がりも見せることになるであろう。他の研究機関からプリンストン大学へ人の移動が増加することも期待されている。



参考:http://www.princeton.edu/pr/pwb/06/0605/6a.shtml


(平成18年7月19日 JSPSサンフランシスコ研究連絡センター)