サウサンプトン大学の特徴・国際戦略等
2009年3月13日に、古川センター長と小野アドバイザーは、サウサンプトン大学を訪問し、フィル・ネルソン副学長(研究・企業担当)、アリスター・フィット副学長補佐(国際担当)、デイビッド・ウリー研究イノベーション・サービス課、チャーレン・アレン国際課日本担当と、同学の特徴、国際戦略、日本との協力関係等について会談をした。以下は会談の概要である。
1.大学の特徴
- 3つのFacultyに帰属する22のSchoolで構成されており、Schoolの独立性が高い。
- 特に工学部が強く、英国内では、インペリアル・カレッジ・ロンドン、ケンブリッジ大学に続く。中でも、特にエレクトロニクス関連が強い。
- サウサンプトン大学では、学際的な協力を行いやすい環境がある。
2.日本との協力関係
- ネルソン研究担当副学長は、音声研究が専門で、東京電機大学と研究者レベルの交流で長年研究協力を行ってきた。東京電機大学は、企業と共同研究の契約を行っており、ヤマハ、日立などと共同研究を行ってきた。
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フィット国際担当副学長は、2008年12月に、早稲田大学を訪問し、2015年までに早稲田大学が開催予定の5千人規模の大規模なカンファレンスのための国際委員会(International Committee)に出席した。
- 日本との長年の協力関係があるにもかかわらず、日本の大学と全学レベルでの協定を有していない。ぜひ日本との協定を締結したい。
- 2009年2月にロンドンで開催された日英学長会議に参加した。同会議では、慶應義塾がマッチング機関として、サウサンプトン大学を訪問しフィット国際担当副学長等と面談した。その後、協定締結の交渉を継続しており、2009年5月にフィット国際担当副学長等が日本(慶應義塾)を訪問する予定。
3.国際戦略
- 国際戦略は、2009年3月12日のInternational Strategy Groupで議論され、近々ドラフトが出来上がる見込み。
- 2009年9月に、新しい学長が就任する予定のところ、現在の国際戦略は大きく見直される可能性がある。
- 基本的に、22のSchoolは独立した権限を持っており、基本はボトムアップであるが、大学本部を中心としたトップダウンの戦略により、それを補完し支援する。
- 国際戦略における具体的な数値目標としては、YES/NO式のバイナリーの目標が多い。また、個人的には、サウサンプトン大学の学生の海外留学を推進したい。25%程度が望ましいと考えている。
- 学生だけでなく研究の面でも、個々の研究者が持っている協力関係を活かしつつ、戦略的に協力関係を構築していく方針。
- University Research Groupは、ネルソン研究担当副学長のもと、重点投資すべき分野など、研究に関する様々なアイデアを調整している。
- 東南アジアでは、マレーシアのマラヤ、シンガポールのヤンナン大学(NTU)などは、すばらしい施設も持っている。
4.国際化
- 国際化の達成度をみる指標として、以下のような項目が考えられる。
| カリキュラムがグローバルに通用するものであること。 |
| 海外に出て行き経験を積むこと。 |
| 全国学生連合(National Union of Students)の会長(President)が留学生であること。 |
| 英国と海外の大学でそれぞれ2年ずつ学ぶことができるカリキュラムの構築。 |
| IP電話やTV会議等を使い、リモートでも学生を指導できること。 |
5.大学間国際アライアンス
WUN (Worldwide Universities Network)
- WUNは、英米の協力で発足した。
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最近の主な課題としては、国際共同研究のためのファンディングの確保があげられる。当該プロジェクトの参加者に対して、両国で必ずしも同時に助成されない可能性があるが(「二重の危険」(Double Jeopardy))、これは依然として国際研究協力を推進するための課題である。
- WUNを通じて、大規模研究施設の共同利用、国際共同研究の「二重の危険」(Double Jeopardy)、寄付金収入の促進などに努めたい。
- 現在、WUNの次期事務総長(Chief Executive)の選定が課題になっている。
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2009年5月に英国で、メンバー機関の学長レベルの年次総会(Annual Global Meeting)が開催される。
- ネルソン研究担当副学長は、1995年に数か月間、サバティカルで、米国Pennsylvania State Universityで研究活動を行った。Pennsylvania State Universityは、5億米ドルを投資してIT関連の新しいビルを建設した。
・WUNメンバー機関 (英国5機関)
| No | 大学名 | 国 |
| 1 | University of Alberta | カナダ |
| 2 | University of Bergen | ノルウェー |
| 3 | University of Bristol | 英国 |
| 4 | University of California, San Diego | 米国 |
| 5 | University of Illinois, Urbana-Champaign | 米国 |
| 6 | University of Leeds | 英国 |
| 7 | Nanjing University (南京) | 中国 |
| 8 | Pennsylvania State University | 米国 |
| 9 | University of Sheffield | 英国 |
| 10 | University of Southampton | 英国 |
| 11 | University of Sydney | オーストラリア |
| 12 | University of Toronto | カナダ |
| 13 | Universiteit Utrecht | オランダ |
| 14 | University of Washington, Seattle | 米国 |
| 15 | University of Western Australia | オーストラリア |
| 16 | University of Wisconsin, Madison | 米国 |
| 17 | University of York | 英国 |
| 18 | Zhejiang University (浙江大学) | 中国 |
(JSPSロンドン研究連絡センター発行『JSPS London Newsletter No.20(April 2009)』より