英国学位制度・成績評価方法に対する提言報告-Universities UK-
2007 年10 月に英国大学協会(Universities UK)から英国大学の成績評価方法に対する提言報告が発表された。
“Beyond the honours degree classification”と題した報告書は、英国大学の学位授与制度は「生涯教育社会」という時代の変遷とともに、変革が求められているという前提のもと、英国の学位制度の現状と課題について2年間の審議を経て発表されたものである。
以下に本報告の概要並びに報告書に対するイングランド高等教育財政カウンシル(Higher Education Funding Council for England: HEFCE)の見解を紹介する。
◆提言
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2010 年度までに高等教育達成度レポート(Higher Education Achievement Report: HEAR)の開発を行う。これは英国大学等学部課程での成績記録としての利用を目的とする。
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HEAR は、成績表及びボローニャ・プロセスにおける欧州高等教育圏の学習達成度指標の標準フォーマット「European Diploma Supplement」の内容を取り入れる。
HEAR の個々の項目については一律の基本項目に加え、各大学で独自の項目を付加できるような内容が望ましい。
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正規の学部課程以外でのノン・フォーマルな教育をとおして学生が身につけた知識・能力・技能の評価法への検討が求められる。これら学生が独自に作成した達成度情報については、「パーソナル・ディベロップメント計画表(Personal Development Planning)」といった記録に含めるべきである。
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今後の高等教育評価に関するあらゆる議論の結果を、HEAR の開発に役立てる。
◆制度改革を求める背景
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現行学位制度は数値指標での成績評価法であり、生涯教育の概念と相容れない。
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学生の達成度に対するより広範の定義を通して、あらゆる学生の経験で得た知識・能力・技能を正当に評価すべきである。
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現行の学位制度は、従来の伝統的な高等教育の概念に基づくものである。時代とともに高等教育の概念が変容している中、学位制度も新しい要素を取り入れるなど、改革が求められる。
- 現行学位制度は、雇用者や学生に対して、学生の学業達成度を十分に情報提供できておらず、例えば、学生が成績区分上位2区分、「First Class」か「Upper Second」の成績でないというだけで、雇用者が学生個々に培われた、かつ働く上で必須の知識・能力・技能を見落とす可能性もある。
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成績区分の上位から「First Class」「Upper Second」のみ優秀な成績だという考え方が強いため、それ以下の区分である「Lower Second」「Third class」は、優等学位や卒業資格の基準を満たしているにも関わらず、基準を満たしていない成績との印象を与えている。
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学位区分の評価法を明確にすることで、学生の理解を深めるべき。
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学業成果の方法への変革が求められ、累積方式の現行制度から、より多様な情報を包含した評価法への移行も考えられる。
◆制度改革方法の検討
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各方面のステークホルダーへの調査結果からは、現行の学位制度を刷新・廃止するのでなく、現行学位制度を残しつつ改革を行うという意見が多数を占めた。
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検討グループでは、海外の学位制度の調査も行ったが、現行の英国学位制度の代案とはなりえない。
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累積方式による成績評価法(評価基準の数値化と数値加点による成績評価)のみでは、学生が身につけた能力を総合的に判断することはできないのではないか。
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学生の学習成果により力点を置き、生涯教育の概念の中で個々の能力開発・理解推進を促進するような評価方法が望ましい。
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新規に構想するHEAR は、現在欧州高等教育圏の学習達成度指標の標準フォーマット「European Diploma Supplement」の内容を組み込むべき。
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HEAR 開発については4年程度の、試行期間をとり、現行学位制度の検証も引き続き行う。
◆HEFCE の見解
HEFCE は2007 年10 月16 日付報告書に対して、以下のとおり肯定的な見解を示している。
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HEAR を通して、雇用者は学生が身につけた知識・能力・技能についてより詳細な情報を得ることができる。
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インターンシップ学習等の記録も可能となる。
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さらに、EU 高等教育圏で使用されている学習達成度指標の標準フォーマット「European Diploma Supplement」の内容も含んでおり、ボローニャ・プロセスで提唱されるEU 各国の高等教育制度・資格の比較も容易となり、英国の高等教育資格制度への理解が深まる。
また、HEFCE 会長である Professor David Eastwood 氏からは、本報告書の発表を受けて以下のようなコメントが発表された。
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本提言は学生・雇用者・社会のニーズに基づくもので歓迎する。
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英国の大学は本報告が提示した課題に応じるべく、関係機関との協力のもと、しかるべき対応をしていかなければならない。
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HEFCE は、本報告の提言を支持しHEAR 開発を推奨したい。
〔参考〕
“Beyond the honours degree classification” The Burgess Group final report、Universities UK
October 2007
Higher Education for Founding for England ホームページ
(JSPSロンドン研究連絡センター発行Newsletter No.15(平成20年1月発行)掲載)