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「主席科学顧問の役割について」(英国下院技術革新・大学・技能委員会)


 12月5日(水)に英国下院技術革新・大学・技能委員会において、主席科学顧問の役割に関する公聴会が開催され、ロンドン研究連絡センター職員が傍聴した。公聴会には、Prof. Sir David King主席科学顧問(当時)に出席を求め、同委員会委員と多岐にわたる内容について活発に意見交換が行われた。同委員会の概要は以下のとおり。
開催日時

2007年12月5日(水)9:30〜11:10

開催場所

House of Commons 第8 会議室

出席委員

Mr Phil Willis(委員長・自由民主党)、Dr Roberta Blackman-Woods(労働党)、Mr Ian Cawsey(労働党)、Dr Ian Gibson(労働党)、Dr Evan Harris(自由民主党)、Dr Brian Iddon(労働党)、Dr Desmond Turner(労働党)

議題 主席科学顧問(the Government Chief Scientific Adviser)の役割について

 現主席科学顧問であるProf. Sir David King に同席を求め、議題に関して様々な観点から質疑応答が行われた。主な意見交換及び発言は以下のとおり。
(○:委員、△:Prof. Sir David King の発言)
主席科学顧問に就任してから、その役割はどのように変わってきたか。

主席科学顧問の新たな役割として特に力を注いだのは、研究者に挑戦する姿勢・気持ちを持たせ続けるという役割である。これは研究者にとって必須のものと考えている。

国家公務員は自分の科学的経験や専門知識が昇進の妨げになるからと公にしたがらないようだ。この文化は不幸とも言うべきことで、ポリシーメーキングに科学を適切に反映できていないように感じる。

研究者の、特に上級官僚へのキャリアパスは侘しいものになっている。また、政策に対する助言システムの中に、科学的根拠や科学が何をできるかということをいかに反映させるかがいまもなお課題である。政策における科学に対する省庁の考え方は変わりつつあるが、その動きはとても遅く、これからも取り組んでいく必要がある。

この10 年間で政府がとってきた科学的根拠を基にした対策は改善してきているか。

口蹄疫や鳥インフルエンザへの対応など、改善してきている。

各省庁の科学的根拠を基にした政策の実行力は改善してきているか。

DEFRA(環境・食料・地域省)の例をあげると、大臣と同省の科学顧問および獣医学顧問がよく連携しており、高いレベルで科学が重要な役割を果たしているなど、いくつかの省庁では格段に改善してきている。

財務省からの予算削減の圧力などで、各省庁は、科学技術・学術関係予算、研究開発関係予算はすぐさま削減対象と考えがちだが、それをどのようにしてとめればよいと考えるか。

個人的には、使途を限定した予算とすればよいと考えているが、各省庁はそれを望んでおらず、大臣の指示の下で各省庁が達成したいことをきちんと遂行できるように予算の使用に自由度を持たせることを望んでいる。政治システムの課題であるが、それでは長期的な課題を解決するのは難しい。
また、中央に関係予算を一元的にプールする方法も考えられる。そのようにすれば、全省庁をカバーするような政府の中央研究所を設立することも可能である。例えば、超大規模なコンピュータ施設の設立も可能である。いまの気象庁のスパコンは世界で200 位以内にも入っていない。

新しく技術革新・大学・技能省が設置されたが、これは科学にとって良いことだったと考えるか?

そのように考えている。同省の立ち上げに大きく関わった。当初は、「科学・技術革新・技能省」と提案していた。個人的には科学を前1850 年的に「すべての知」と考えていたためだが、多くの人は科学をそのように捉えないようである。いずれにせよ、大学セクター、科学セクター、技能セクター、技術革新セクターをまとめたかった。そのことで、技術革新及び富を生み出す元となる科学をより強化できると考えている。
また、英国内における技術者の地位や技能を上げることにもっと集中する必要がある。デンマークの大学では、上級技術者(super technician)が大学教授と同等の地位を持っており、もちろんそれに相応しい技術をもって職務に当たっている。現場で継承される技術の地位などを高めたいと考えており、大学と技能を一緒にすることでそのような機会が生まれてくると考えている。


(JSPSロンドン研究連絡センター発行Newsletter No.15(平成20年1月発行)掲載)