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英国科学技術政策に関する「セインズベリー・レポート」提言報告と英国政府改革方針


 元科学・イノベーション担当閣外大臣セインズベリー卿による英国科学技術・経済政策への提言報告書「Top to the Race」(以下「セインズベリー・レポート」と表す。)が、 2007 年10 月5 日に発表された。
 また、同報告書の提言を受けて、3年間・10億ポンド規模の科学・イノベーションに関する政府プランが発表された。


 セインズベリー卿は同報告において、英国の国際競争力向上のために、経済学でいう世界経済・貿易における低コスト経済社会優位に対して、「高品質・質の高いサービス・優秀な人材育成・提供」による国際競争制覇・国際的地位確保を目指すことを提言している。
そのために、現行科学・イノベーション改革の必要性、産業との連携強化を説いたものである。


「セインズベリー・レポート」の概要は以下のとおりである。

  • 技術戦略委員会は、リーダーシップを担い、地域開発公社、リサーチカウンシル、政府との連携のもと、技術革新に対する公的部門支援に対する公的資金の役割の高め、公的資金へのアクセスを容易するよう努めるべきである。
  • 知識移転への取組推進のため、(1)高等教育革新基金を使用して、ビジネス事業を積極的に行っている大学の知識移転活動の支援、(2)リサーチカウンシルの知識移転活動へ目標設定、(3)知識移転パートナーシップ件数の倍増、(4)知識移転活動を専門学校レベルへの拡大など推進すべき。
  • 質の高い科学・技術・工学・数学(以下STEM と表す。)分野の教員の増加、キャリア支援、英国科学コンテスト等などを通して、科学・工学分野の職業に就く若者の育成を行うべき。
  • 「中小企業研究開発イニシアティブ」を技術戦略委員会との協同で実施することで、成果の向上を図ることが望まれる。
    また、関係機関で経済規制の基準を考案する際に、イノベーションへの考慮が求められる。
  • 地域開発公社の事業については、科学・イノベーションへ分野へより焦点を置くべきである。そのために、技術戦略委員会との連携プログラム、知識移転パートナーシッププログラム、世界最高水準の研究大学周辺でのハイテク・クラスター事業に対する資源の充当・推進が求められる。
    また、英国政府は、同日「セインズベリー・レポート」を踏まえ、経済イノベーション・技術革新を目標とし、今後3年間に10億ポンドの予算投資を行う旨発表した。

改革の概要は以下の通りである。
  • 技術戦略委員会は今後3年間に10億ポンド規模の戦略プログラムをリサーチカウンシル、地域開発公社との連携のもと実施。
  • 技術革新・大学・技能省にて、新たに科学・イノベーション戦略を作成。
  • STEM教科指導力向上を図るため、科学教員の専門家養成への重点投資、キャリアアドバイス、科学・技術クラブの倍増、英国科学コンテスト等を実施。
  • 研究・ビジネス部門の知識移転推進のため、高等教育革新基金活用によるビジネス事業を積極的に行っている大学支援、知識移転パートナーシップ件数の倍増等行う。
  • 「中小企業研究開発イニシアティブ」事業を改善して、若手中小企業支援向上を図る。
  • 「サイエンス・ブリッジ(Science Bridge)」計画をとおして、英国と世界最高水準の研究者間の研究交流推進を図る。
  • 技術革新・大学・技能省はイノベーションに関する年次報告を作成・発表する。その際、技術戦略委員会、地域開発公社の活動等も含めて報告する。

〔参考〕
「Top to the Race」Lord Sainsbury of Turville 5 October、2007
HM Treasury ホームページ


(JSPSロンドン研究連絡センター発行Newsletter No.15(平成20年1月発行)掲載)