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第2回 “Conference for Bridging Japan and the UK”について
− JSPSロンドン研究連絡センター主催「在英日本人研究者会議」−


第2回 “Conference for Bridging Japan and the UK”について− JSPSロンドン研究連絡センター主催「在英日本人研究者会議」−

 2007年3月2日にロンドンにおいて、大学その他公的研究機関で研究に従事している在英の日本人研究者が参加する情報交換の場を提供するため、第2回“Conference for Bridging Japan and the UK”(日本学術振興会ロンドン研究連絡センター主催「在英日本人研究者会議」)を開催した。今回参加した研究者は、自然科学系から人文社会系まで専門は様々であり、自分の研究室を持っている方から、JSPS海外特別研究員まで幅広い層の方である(計36名)。

 会議では、第1回会議で行われた日本の科学技術に関する制度等の議論(http://www.jsps.go.jp/j-bilat/u-kokusen/foreign/london-h1804-1.html参照)についてフォローアップを行った後、参加した各研究者から自己紹介がなされた。その後、事前に参加者から頂いた関心事項を基に、日英の研究環境などについて意見交換が行われ、政策、施策、具体的な制度の検討する際に参考となる貴重な意見が出された。その概要は以下の通りである。

 参加者アンケートにおいては、異分野の日本人研究者に会え、議論の内容も濃く、大変有意義な機会であったとの回答が多く得られた。


1.日英の研究環境の違い

○ 日本の大学は、世界的な大学との競争をもっと意識すべきであり、海外の優れた人材をいかに日本に惹きつけるかが重要である。例えば、東京大学とケンブリッジ大学のどちらが研究者にとって良い研究環境か考えることが必要ではないか。

○ 日本が学ぶべきは大相撲の世界である。英国の強みの1つは、大学の学長、国立の研究所の所長が外国人であるように、重要なポストも外国人に開かれている点である。

○ 英国の大学は、研究評価(Research Assessment Exercise(RAE))で良い評価を受けられる優れた学科を揃えるため、学科を統廃合させる動きが近年起こっている。

○ 英国の大学は、学長が教授の実質的な人事権、給与決定権を持っており、国際的に活躍している優秀な人を国内外から招いている。

○ 英国の大学では、教授は授業を持たず研究及びそのマネージメントに専念しているケースが多いが、日本では、教授になっても入試等にも時間を割かなければならない。

○ 日本で所属した研究所では、人員削減はまず技官からなされた。これまで技官の特別な技術のおかけで行えた実験が、その技術を継承する人がいないため行えなくなっていることを大変懸念している。日本ではその対策がなされていないことが問題ではないか。

○ 英国の自分の所属大学では、15%の人員削減が行われたが、技官ではなく、年齢の高い講師(准教授相当)から早期退職を促された。今後は、年金のシステムにも手が入るかもしれない。

○ 実験設備に関して、日本では、研究室毎に設置されている傾向であるが、英国では、中央管理している傾向である。


2.研究者のキャリアパス

○ 日本では政策的に大学院を重点化し、ポスドクの人数を増やしたものの、その後の対策がなされていない。研究者として早期の段階で、様々なキャリアの可能性があることを示すと良いと思う。英国の大学では、キャリア・ディベロップメント・セミナーが開催されている。日本の場合、石にかじりついてでも、アカデミックな研究者にこだわる人が多い。

○ 英国の大学の技官は、サイエンスを専攻した人が研究設備のマネージメントも含めて担当している。給料は悪くなく、プライドを持っており、日本にもこのような職が存在して良いと思う。

○ 英国の大学では、博士号を取得している事務職員も多い。


3.日英の奨学金

○ 日本では大学院を重点化し、若い研究者の数を増やした結果、奨学金の規定の期限以内に常勤勤務の研究者になれない人が多いため、学生にとって奨学金に申し込むことはギャンブルである。給料があがるまでは免除するか、一定の基準を満たすまで返還を免除するなどの対策が必要でないか。

○ 英国の大学の奨学金の額は、住んでいる場所を考慮して決められている。日本でも、そのようにできないか。日本の奨学金の免除職に、海外の大学の研究者も適用すべきでないか。

○ 現在の給料は、日本の戦略的創造研究推事業(ERATO)からもらっているが、日本学生支援機構の奨学金の免除職の対象にならないか。


4.英国の若手研究者が日本で研究することの促進方策

○ JSPSのサマープログラムは、大学院生以上を対象としており、外国人に日本に関心を持ってもらうには遅すぎると思う。学部生に対して、日本で研究・生活する機会を提供する方が、日本に関心を持たせ、将来、日本で研究をしたり、日本人研究者と共同研究を行うことをより促進できると考える。大学入学前に日本へ行く機会を提供することも効果的である。

○ 日本への元留学生に調査したところ、日本へ行った理由として、日本文化に関心を持った点が大きかった。日本の科学技術の成果の発信のみならず、文化の発信も重要である。

○ 英国の若手研究者が日本で研究することに関心を持っても、どの機関で研究をするか、学会や論文を通じて探すものの難しいようだ。


5.海外在住の日本人研究者の帰国支援

○ 海外在住の日本人研究者にとって、日本でどんな就職先があるか情報を入手するのが難しい。日本への呼び戻し、帰国を支援する仕組みを構築すべきでないか。


6.その他

○ 英国では、プライベートを尊重しつつ、いかに効率よく仕事に取組むかが課題となっており、プライベートを犠牲にして研究しなさいとは研究員に指示できない。

○ JSPSが支援した英国の研究者と、在英日本人研究者による情報交換会を開催するのは有益でないか。


(JSPSロンドン研究連絡センター発行Newsletter No.12(平成19年3月発行)掲載)