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研究グラントに関するピアレビューシステムの効率の向上について


 Research Councils UK(8つの研究カウンシルの集合体)が、2006年3月から9月末を目途に検討をすすめていた「研究グラントに関するピアレビューシステムの効率の向上」についての検討結果が2006年10月20日公表された。特に下記の改善案について、2007年1月19日までに関係機関の意見を求めている。
 報告の概略は以下の通り。

〔基本認識〕
・ピアレビューは効果的に研究費を配分し、英国の研究基盤を支えており、各大学の研究者の93%から「労力を払うだけの価値はある」として支持されている。また、英国の研究カウンシルにおけるピアレビューのプロセスは、国際的な研究助成団体に比べ、効率の面では優れていると言える。
・英国のピアレビューによる研究グラントシステムについて、実際にかかっているフルエコノミックコスト(関係者の人件費や間接経費を算出して足し上げた総費用)を今回初めて試算した。研究カウンシル(Research Councils)側の管理経費は年間1千万ポンド(約20億円強)、研究機関側の申請、審査(研究者がピアレビューを依頼された場合)等に要する費用は最大で年間1億8千6百万ポンド(約400億円)にのぼる。
・その74%は申請に要する経費であり、事前の調査、実験、計画策定作業に要する人件費や間接経費も含めれば、申請1件当たり約1万ポンド(約200万円)相当の資源が費やされている。
・ピアレビューシステムを効率化するとすれば、申請と審査に必要な研究者の時間をどう節約できるかに焦点を当てて考えるべきである。
・3分の2以上の大学関係者が、研究カウンシルにおけるピアレビューのプロセスと、全研究カウンシル共同で新たに導入した電子申請システム(Je-S)を高く評価、支持している。
・研究カウンシルへの申請件数は1988年に比べ、2倍に増えたため、採択率は必然的に低下しており、ピアレビューの効率性が議論される背景となっている。現在全研究カウンシルを通じた採択率は28%で、このレベルでは現行制度は依然として効率的に機能していると言える。しかし、採択率が低下し、一部の分野では競争が厳しくなっていることから、ピアレビューの効率性を低下させないよう、可能な手段を検討すべき時期に来ている。

〔改善案・・・この報告では、ピアレビューシステムの効率を高める可能性のある方法を多数示しているが、可能性が高い手段として以下の案を紹介している。〕
・研究グループ、学科や研究機関で複数の研究を統合し、これを大規模グラントとして助成したり、長期間のグラントとして助成したりすることにより、トップレベルの研究集団に関する申請や審査の手間を省き、柔軟性を持たせる。その代わり、対象となる研究者が一般的なグラントに応募することは制限する。
・全研究機関・大学を対象に、又は採択率の低い機関だけを対象に、グラント申請件数の上限を決めて割り当てる。
・同じ制度において同趣旨の申請が再度出されないよう、再提出を要請された場合を除いて、制限する。(但し再提出をチェックする方法は確立されていない。)
・常時申請を受け付けるような一般的なグラントにおいては、研究概要だけを審査する段階を設ける。


(JSPSロンドン研究連絡センター発行Newsletter No.10(平成18年10月発行)掲載)