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英国の大学の授業料制度(「Top-up fees」制度)


 英国では2006年秋より、これまでほぼ一律に設定されていた大学(学士課程及び教員資格取得課程)の授業料を、年間で最大3,000ポンド(約65万円)までの枠内で自由に設定できるという「Top-up fees」制度が導入されることとなった。これは、2004年高等教育法の下で法律となった制度で、労働党のチャールズ・クラーク教育・職業技能大臣(当時)が提案したものである。これにより、英国内の多くの大学では、学生に対して一挙に2倍以上の授業料を課すことができるようになった(ただし、地域等により状況は異なる)。
 英国における大学の授業料有料化が始まったのは、ブレア政権下の1998年のことであり、この背景には高等教育の拡大に対する深刻な財政難があったといわれている。今回の「Top-up fees」制度の導入も高等教育機関のさらなる財源確保が目的といわれている。しかしながら、この「top-up fees」制度導入を巡っては、さまざまな議論がなされている。まず、これまで学生は前払いで授業料を納めてきたが、今後は大学卒業後に一定の収入(1万5,000ポンド)を確保してから支払うことになるため、ほんとうにきちんとした財源確保につながるのかという疑問が出ている。また、授業料の高騰により将来的なローンを嫌う学生が、財政的理由で進学を諦めるのではないかとの懸念が出ている。実際、2005年秋の入学者選抜では「Top-up fees」制度導入の影響を避けるため、駆け込み的に志願者数が増加する等の変化が出始めているが、今回の授業料額引き上げは、これまで英国人学生よりはるかに多くの授業料を支払ってきた留学生(ただしEU諸国の学生は,国内学生扱い)との格差を縮めるものであり、歓迎すべきものだと考える大学関係者もいる。「Top-up fees」制度導入により、英国の高等教育機関においてどのような動きが生じるのか、今後も引き続き注目していきたい。


(JSPSロンドン研究連絡センター発行Newsletter No.10(平成18年10月発行)掲載)