シェフィールド大・リーズ大コンソーシアムが「日本・中国研究教育COE」(地域研究(語学関連)分野のCOE助成プログラム)に選定1.昨秋以来英国ESRC(社会科学研究会議)、AHRC(芸術人文科学研究会議)及びHEFCE(イングランド高等教育助成会議)〔スコットランド及びウェールズにおけるHEFCEの類似機関である SFC及びHEFCWも共催〕から公募・選考されていた「学習者の比較的少ない語学に関連した地域研究分野」のCOE助成プログラムの選考結果が本年5月に決定、7月のHEFCEニューズレターで公表された。 2.本件COE助成プログラム立案のきっかけは、近年、経済的理由で大学の学部・学科やコースの閉鎖が相次ぎ、社会問題化したことに関連し、「戦略上重要だが危機にある科目」に関して教育技能省とHEFCEとの間でのやりとりや、関係機関での検討が行われたことによる。 3.その結果、学習者の比較的少ない語学に関連した地域研究に関しては、日本、中国の他アラブ世界、東欧・旧ソ連について、教育・研修事業への助成を中心に、5年間で総額22百万ポンド(約46億円)を助成することとした。 4.「戦略上重要だが危機にある科目」として、HEFCEではこのほかに基礎科学(Science, Technology, Engineering & Mathematics)、地学関係(Land-based Study)、計量社会科学及び現代外国語を挙げており、それぞれ既存の助成プログラムの活用やその他の対策を進めている。 5.「戦略上重要だが危機にある科目」と本件COEプログラム立案に至る経緯は次の通り。 (1)近年、英国では経済的理由で大学の学部・学科やコースの閉鎖が相次いでいる。特に、化学学部は2004年までの10年間で28大学で閉鎖された。基礎科学の専攻希望者が減少したことは、中等教育段階での理科教員の不足に拍車をかけ、英国における科学教育の実態を一層深刻化させている。 (2)また、学習者の比較的少ない語学に関連した地域研究の専攻希望者も全般に低迷しており、日本語・日本研究については90年代を通じ日本語学習者は増加したものの、今世紀に入り、経済的事情から日本語コースを閉鎖する大学が出たほか、ダーラム大学(University of Durham)が2003-04年度に東アジア学部(日本、中国、韓国学)の学生の新規受入廃止と2007年完全閉鎖を決定した。 (3)これらは、イギリス国家の将来にとって問題であるとして、2004年にクラーク教育技能大臣(当時)は、科学、語学分野を中心とした保護すべき学部リストを発表するとともに、HEFCEに対し、政府は大学の自治的経営に介入しないことを前提にしつつ、この問題に対応するため、如何なる場合や方法で大学に対してインセンティブ付与などの関与が可能かどうかの提言を求めた。(なお、野党保守党は特定重要分野で政府奨学金給付を多数の学生に支給することを提案した。) (4)諮問グループを設けて検討したHEFCEは昨年6月、ケリー教育技能大臣(当時)に宛てて、大要以下のような答申を行った。 ・英国の高等教育は力強いダイナミズムを持っており、市場メカニズムを解釈・修正するような介入は最小限に止めるべきである。 ・但し、『戦略上重要だが危機にある科目』の存在は認められる。 ・「危機にある」という判断基準は、学部等の存続が危いことではなく、教育の需要・供給が国や地方のニーズを満たしていないこと、又は特定科目が大学全体の中で枢要な地位を占めており、大学自体が社会変化に弱くなっていることによって判断されるべきである。 (5)昨年10月になって、ケリー教育技能大臣(当時)はこの答申を基本的には了解するとしつつも、以下のような注文をつけた。 ・大学関係者が戦略的に重要な科目への学生募集に力を入れること。 ・この問題についてHEFCEやオープン・ユニバーシティなど関係機関が協力すること。 ・学生への悪影響が無いよう、HEFCEと危機にある科目を持つ大学が相談すること。 (6)昨秋、英国ESRC(社会科学研究会議)、AHRC(芸術人文科学研究会議)はHEFCEとともに、日本、中国の他アラブ世界、東欧・旧ソ連について、教育・研修事業への助成を中心に、5年間で総額22百万ポンド(約46億円)を助成することとし、公募を行った。(HEFCEの管轄するイングランド以外から大学が選定された際にはそれぞれの地域の高等教育助成機関が協力することとされた。) (JSPSロンドン研究連絡センター発行Newsletter No.9(平成18年7月発行)掲載) |








