英国における2008年以降の研究評価について1.英国教育技能省は2006年6月13日付で、大学の研究評価(RAE)の改善方策(Reform of higher education research assessment and funding)に関する関係者会議の意見を公表し、4か月間パブリック・コメントを求めることとした。 2.この会議では、現行のピアレビュー形式によるRAEに関する財政負担及び関係者の作業負担を軽減するとともに、研究評価の透明性を高めて各大学の改善意欲を刺激するため、各種のデータ数値(Metrics)に基づく評価をもってこれに代える方策を検討してきた。 (1)2008年に予定されている研究評価は基本的に予定通り、ピアレビューを中心に実施する(但し各分野の審査委員が各種のデータ数値を参考にすることは可能)。 (2)これと並行して自然科学関係の「STEM」分野について、各種のデータ数値に基づく「影の研究評価」を試行して次回以降の研究評価に備える。 (3)さらに、これらのうち一部の科目及び大学については、早ければ2009年度からデータ数値による研究評価を段階的に導入していく。 (4)他方、人文科学など「STEM」以外の分野では、より多様なアプローチが必要と考えられ、少なくともしばらくはピアレビューを継続せざるを得ないものの、HEFCEと人文科学研究会議(AHRC)とで共同ワーキンググループを設けるなどしてデータ数値による研究評価方法を検討していく。 (5)研究評価方法の変化により各大学の経営が不安定にならないよう、研究分助成額が前年度に比べて例えば5%以上増減しないよう、激変緩和措置を設けることが望ましい。 (6)研究評価方法の変更により予想外の悪影響が拡がることのないよう、大学助成関係者において常に状況を予測、監視し、対策を講じることが望ましい。 3.今回の意見では、外部研究資金獲得額を中心に、5つの研究評価モデルを提案、更にHEFCEでは前回2001年の研究評価におけるデータを使って大学毎に各モデルで試算した結果を公表した。 モデルA:単純に外部研究資金獲得額を基準に評価、配分するもの。 モデルB:外部研究資金獲得額を研究者数で割り、(過去の研究評価に基づいて算出した)研究分野別1人当たり必要研究費指数(1.0〜1.7)で加重したものを用いる。 モデルC:研究分野(研究評価では68分野の研究ユニットがある。)別の配分総額を(過去の研究評価実績に基づいて)設け、分野毎に各大学の外部研究資金獲得額で評価、配分。 モデルD:モデルBによるが、これまでの研究評価と同様、研究分野(ユニット)別に一定基準以下のところには配分しないこととする。 モデルE:モデルAによるが、医科学への配分が多いチャリティ(財団等)からの資金導入を少なめに評価するなどの調整を行う。 4.なお、この会議では、出版物への掲載や引用等のインパクト評価についても検討され、国際的な競争力の証拠として、あるいは「STEM」以外の分野における活用の可能性は認容されたが、領域によっては強い反論があったり、適切な学会誌が無かったりすることなどから、少なくとも「STEM」分野での大学の研究水準の評価材料として活用することには否定的であった。 5.また、The Times Higher Education Supplement紙(7月14日付)によれば、最近関係者の間で「財務省がピアレビューによる2008年のRAE自体を取りやめ、データ数値(Metrics)に基づく評価に変更するよう関係機関に要請した。」とか、「複数の学長が2008年のRAEをやめさせるよう財務大臣に働きかけた。」などの噂があったことに対しては、Alan Wilson局長、David Eastwood学長及び財務省関係者とも、2008年のRAEは予定通り実施される見込であると答えている。 (JSPSロンドン研究連絡センター発行Newsletter No.9(平成18年7月発行)掲載) |








