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ドイツ大学長会議(HRK)主催”The Structure of Medical Education in Europe: Implementing Bologna - On the way to a European success story?” 参加報告


日時:2008年10月10日〜10月11日
場所:ベルリン市

本国際会議は、EUで現在進行しているボローニャ・プロセスの実施完了の目標年限である2010年を前に、医(薬)学分野における現在の実施状況を評価し、成功事例を共有する目的で開催されたものである。ボローニャ・プロセスに取り組む各国から政策担当者や大学関係者、研究者、医師、看護師、学生などを含む百数十名が参加した。

一日目は、主催者挨拶に続き、最初に一般的な全体討議が行われた。医学分野においては他分野に比較して学士・修士制の導入が困難であるとの意見、現状の医学分野の教育は研究・実習共に高品質で流動性も確保されておりカリキュラム変更は不要といった保守的な意見も述べられ、カリキュラム改変にかかるコスト問題なども提示された一方で、学生の流動性は確保されているとは言いがたく、選択性を高めることが重要との意見もあった。またボローニャ・プロセスに取り組んでいる46カ国に対して行った医学分野での学士・修士制導入状況についての調査結果が示され、既に導入している国は7カ国に留まり、4カ国が現行システムと新システムを併設、11カ国が議論中であるほか、導入に消極的な国も19あることが紹介された。

続いて、学士・修士制導入の成功事例としてエディンバーグ大学の事例及びアーヘン工科大学歯科過程における事例が紹介された。事例紹介に続いてパネル・ディスカッションが行われ、既に学士・修士制の完全導入を果たしているスイスの事例などが更に紹介された。その後、学生の流動性を高めた場合の学士・修士としての能力認定の問題だけでなく、医療従事者としての能力・資格認定の問題に焦点を当てた議論が行われた。学位取得が自動的に医療従事者資格としてEU圏で認知されるようカリキュラムの質をそろえることがボローニャ・プロセスの本意との意見がある一方、学位取得以外に統一的な資格認定試験のようなものが必要だとする意見もあった。

この後、複数のワークショップに分かれての議論が行われた。このうち、医療・保健セクターにおける雇用に関するワークショップでは、学士・修士制導入時の教育の質保証の問題や、特に学士レベルでの医療従事者としての就業能力に対する疑問が提示されたほか、医療従事者の需給の国・都市による偏在の問題や、医療技術環境の国による格差が教育訓練に及ぼす影響などが議論され、特に医学分野の学位認定と医療従事者としての法的資格認定は区別して考えるべきとの議論があった。

二日目はポスター・エキシビジョンによる複数のボローニャ・プロセス実施事例紹介から会議が再開された。その後、スペイン、オランダ、オーストリア、ベルギー、デンマーク、英国などの事例と合わせ、前日のワークショップでの議論について代表者から報告が行われた。

本会議に基づき、2009年にベルギーのルーヴェンで開催される政府レベルの国際会議において報告と提言を行うことが予定されている。



(JSPSボン研究連絡センター発行『ぼんぼん時計(平成20年秋 第22号)』掲載)